季刊ナースアイNurse 季刊第27号 eye CONTENTS 2010 Vol.23 No ·...

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  • 社会の健康ニーズに応える保健師の新たな役割

    健康を護る専門職としての保健師に求められるもの……吉岡洋治 2特集の企画趣旨

    保健所の保健師活動を取り巻く現状と課題……二宮博文 12新しい時代の保健師像の創造に向けて

    市町村保健センターが抱えている問題……渡辺多恵子 21平成の市町村合併がもたらしたもの

    これからの保健師の役割と方向性……奥山則子 32社会の変化をとらえ、将来を予測する生活支援者として

    大学における保健師教育のあり方と諸問題……錦織正子 43保健師とは何かを改めて考える

    インタビュー●村嶋幸代さん

    地域の人々の健康を護る活動を展開する保健師教育の新たな方向性を求めて保健師助産師看護師法一部改正に伴う変革の時代を切り拓く

    ……聞き手/吉岡洋治 54

    講座●難病看護の役割と課題②

    安全に、安心して生活し、社会参加活動を実現するための通所サービスの課題ALS、筋ジストロフィーなどを持つ人々が直面している課題の分析から……小倉朗子 70

    連載●国際保健・看護の基礎知識③

    国際保健・看護を知る 世界の動きについて……當山紀子 78

    連載 ● 患者・家族会と私③

    患者会と疾患と、そして私 日本二分脊椎症協会……鈴木信行 88

    ● Book guide

    遠隔看護システムの必要性と効果と今後の展望について……東ますみ 93

    ● 論考

    新人看護師の職場適応に及ぼすサポートの影響……砂見緩子、八重田淳 101共分散構造分析を用いた検討

    第7回「看護と社会」研究全国集会へのお誘い……112NURSE PRESS ●伝言板……114NURSE FORUM ●読者の声……117バックナンバー……118投稿規定……119編集後記……120次号予告……120

    CONTENTS         2010 Vol.23 No.4 通巻199 号

    季刊ナースアイ 季刊第27号

    Nurseeye

    ◆表紙制作/徳永延明

    [表紙写真]日本二分脊椎症協会のイベントで

    (p. 89 参照)〔写真提供:鈴木信行氏〕

    特集

  • 特集 社会の健康ニーズに応える保健師の新たな役割

    2 Nurse eye Vol.23 No.4 2010

    社会の健康ニーズに応える保健師の新たな役割

    はじめに

     2009 年7月9日に、保健師助産師看護師法(以下、保助看法とする)の一

    部改正が行われた。この改正により、保健師と助産師の教育期間が、従来6ヵ

    月以上で行っていたものが、1年以上に延長された。また、大学において、4

    年間の看護師教育のカリキュラム設定が可能になった。この改正を受けて、各

    看護系大学においては、これからの保健師教育について検討に入っている。

     保健師になるには、従来は、3年間の看護師教育に加えて、6ヵ月以上の保

    健師教育を受けることによって保健師の国家試験受験資格が得られ、資格を獲

    得できた。看護系大学においては、4年間で看護師教育と保健師教育を統合的

    に行うことで、両方の国家試験受験資格を得ることができた。しかし、看護系

    大学が急激に増加するにつれ、学士課程における保健師教育においては、保健

    師教育の質の低下や受け入れ実習先の確保が困難など種々の問題が生じてきて

    いた。

     このような背景のもとに、今回の保助看法改正が行われたのである。この改

    正に基づき、各大学においては、これからの保健師教育をどのように行うのか、

    健康を護る専門職としての保健師に求められるもの――特集の企画趣旨

    吉岡洋治

    特集

  • 特集 社会の健康ニーズに応える保健師の新たな役割

    32 Nurse eye Vol.23 No.4 2010

    Ⅰ.保健師に求められる役割と教育

    1.保健婦は生活全般の指導ができる生活指導者

     わが国の保健婦教育は大正から昭和初期に公衆衛生看護をアメリカで学んだ

    保良せき、イギリスに学んだ田淵まさ代、井上なつゑ等先駆者の帰国によって

    始まった。東京では 1928(昭和3)年に日本赤十字社、1930(昭和5)年に

    聖路加女子専門学校で、大阪では 1930(昭和5)年に大阪朝日新聞社社会事

    業団公衆衛生訪問協会で保良せきが、それぞれ高等女学校卒業後3年間の看護

    教育修了者に対して1年間の公衆衛生看護婦(日赤は社会看護婦)の養成を開

    始した。当時の卒業生たちは、この時代には数少ない高学歴女性であり、初期

    保健婦活動の開拓者、指導者として活躍した1)。そして、1941(昭和 16)年

    に保健婦規則が制定されたときには「保健婦は社会的な奉仕者である。単な

    る保健技術者ではなく栄養、保育、疾病予防など生活全般を指導できるような

    生活指導者であり、他面では社会事業者としての役割を含めて幅広い活動を行

    う者である」とされ、保健婦の教育カリキュラムは(保健婦規則第5条)、1.

    解剖学大意、2.生理学大意、3.環境・産業及学校衛生大意、4.結核其ノ

    他慢性伝染病予防並ニ寄生虫予防大意、5.急性伝染病予防大意、6.母性及

    乳幼児衛生大意、7.栄養大意、8.救急処置及消毒法、9.包帯術及治療危

    機取扱方大意、10.看護方法、11.衛生法規大意、12.社会事業大意、13.

    社会保険大意(ただし看護婦資格者は1.2.8.10を免除)の 13科目が規定

    され、疾病治療や予防に対する処置や看護のほかに生活環境や経済・栄養まで

    を含んだ、人々の生活に密着した総合的なものであった2)。

    東京慈恵会医科大学医学部看護学科教授

    奥山則子

    これからの保健師の役割と方向性社会の変化をとらえ、将来を予測する生活支援者として

    社会の健康ニーズに応える保健師の新たな役割特集

  • 43Nurse eye Vol.23 No.4 2010

    はじめに

     2009(平成 21)年7月、保健師助産師看護師法一部改正により、保健師助

    産師の教育年限は「6ヵ月以上」から「1年以上」に変更になった。これは、

    専門職としての資質向上を目的として1年に延長したものであり、現在の一年

    課程の保健師学校や短大専攻科等の実際の教育(養成)体制にはほとんど影響

    はない。しいて言えば、4年制大学においては、1年以上の教育年限を必要と

    する保健師課程を現行の統合カリキュラムの中に位置づけることの限界を強調

    することになり、保健師課程の教育形態についても、全員履修、選択制、専攻

    科、大学院教育など、大学の裁量による選択を促進したとも言える。

     図1は保健師資格を取得できる看護系大学数の推移を示したものであるが、

    1994(平成6)年頃より、看護教育の大学化という旗印のもと、看護系大学

    が毎年 10校前後開設され、2010(平成 22)年は 187 校となっている。この

    増加傾向は幾分緩やかになりつつも、今後も続いていくと思われる。都道府県

    別にみると、大学数が1、2校なのは 47 都道府県のうち 17 県であり、都市

    部では 10校前後となっている1)。全国平均は3、4校である。複数校を有す

    る都道府県においては、実習施設の確保以前に、学生の確保および教員の確保

    が重要な課題であり、とくに私立大学において学生の確保は大学経営上からも

    切実な緊急課題でもある。いずれの大学も設立当初は、保健師看護師の統合カ

    リキュラムが大学化した看護教育の象徴のように謳われ、4年間で2つの国家

    試験受験資格が取得できることが看護系大学の強みでもあった。

     もっとも、そうした中で、保健師教育担当の教員は、希薄な時間数や実態の

    獨協医科大学看護学部地域看護学教授

    錦織正子

    大学における保健師教育のあり方と諸問題保健師とは何かを改めて考える

    社会の健康ニーズに応える保健師の新たな役割特集

  • 54 Nurse eye Vol.23 No.4 2010

    地域の人々の健康を護る活動を展開する保健師教育の新たな方向性を求めて

    インタビュー

    村嶋幸代さん(東京大学大学院医学系研究科地域看護学分野教授)

    保健師助産師看護師法一部改正に伴う変革の時代を切り拓く

    ●プロフィール1975 年、東京大学医学部保健学科卒

    業(看護師・保健師)、東京大学で博

    士号(保健学)取得。聖路加看護大学

    等を経て、2001 年より現職。2003 年

    より健康科学・看護学専攻長。

    全国保健師教育機関協議会会長、日本

    地域看護学会理事長、日本公衆衛生学

    会・日本看護科学学会理事。専門は地

    域看護学。高齢社会におけるよりよい

    ケアシステムの構築をめざしている。

    聞き手/吉岡洋治(筑波大学大学院人間総合科学研究科准教授)

  • 55Nurse eye Vol.23 No.4 2010

    吉岡 本日はお忙しい中、時間をとっていた

    だきまして、ありがとうございます。

     はじめに、簡単な自己紹介を兼ねて、看護

    学を学ぶことになったきっかけについてお話

    しください。

     よろしくお願いいたします。

    福岡の県立高校から

    東大医学部保健学科 10 回生に

    村嶋 私は 1971(昭和 46)年に東京大学

    に入学しました。その頃は、全国で「1県1

    医大構想」で、医学部がかなりできていると

    きでした。

     私は、医学よりは、もう少し生活に根ざし

    たことをやりたいと考えました。また、病気

    になってからではなく、その前に手を打つよ

    うな予防活動をやりたい、個別だけではなく

    てシステムに働きかけることによって予防し

    たいと考えておりました。

     そんなときに、東京大学には 1953(昭和

    28)年から衛生看護学科があって、その後

    身の保健学科で、看護婦の教育をやっている

    ことを知りました。私は福岡にいたのですが、

    受験雑誌を見て、東大に行けば看護学を学ぶ

    道があることを知って、受験しました。当時、

    看護系大学は、東大を含め全国で3校と非常

    に少なかったのです。それで、東大を受験し

    ました。

     入学して1年半たって、進学先として、当

    時の保健学科を選びました。しかし、衛生看

    護学科の時代と異なり、保健学科になってか

    ら、看護を選択する学生は長らくいませんで

    した。私は保健学科 10 回生ですが、選択し

    たのは9回生になって3人、10 回生は7人

    でした。

    地域看護学、保健師教育を志す

    吉岡 地域看護学そして保健師教育を学問と

    して研究したいと思われたきっかけは何かあ

    ったのですか。

    村嶋 保健学科の学生として、病棟実習に行

    きました。その後がん看護を専門にした同級

    生は、患者さんをどう看護するかを一生懸命

    考えていたのですが、私は病棟のあり方、動

    線、看護師長の動きなどがとても気になりま

    した。どうやってシステムを動かすか、どう

    やって効率化をはかるか、どう変革していく

    か、そういうことに学生時代から関心がある

    のだなと、友達との比較を通して思っており

    ました。

     修士課程は、保健管理学教室に行きました。

    当時、田中恒男先生が主任教授で、彼の説く

    保健医療の変革とか、管理として統一的にも

    のを見るという考え方に惹かれたためです。

    保健管理は、後でわかったのですが、昔、衛

    生看護学科の時代には、公衆衛生看護という

    研究室で、保健師教育を担当していたのです。

     修士論文を書いている最中に、昔そこで助

    手をしていらした飯田澄美子先生(現聖隷ク

    リストファー大学看護学部教授、当時神奈川

    県立衛生短期大学教授)が、助手のなり手を

    探しにいらして、神奈川県立衛生短期大学の

    助手として就職をいたしました。

     ここに9年間お世話になり、その間に博士

    号を取りました。その後、飯田先生が聖路加

    看護大学に移られることになり、声をかけて

    いただいて、聖路加看護大学公衆衛生看護学

    の講師、助教授として勤めました。

  • 特集

    70 Nurse eye Vol.23 No.4 2010

    東京都神経科学総合研究所難病ケア看護研究部門看護師/保健師、主任研究員

    小倉朗子

    ■はじめに

     わが国における在宅人工呼吸の歴史は、1970 年代、川村佐和子氏らがALS

    (筋萎縮性側索硬化症)の方を支援した頃にさかのぼる。そして、社会的に医

    療保険制度において在宅人工呼吸が制度化されたのは、1992 年からであり、

    それから 15 年以上が経過した現在、その数は、全国に 16200 人(TPPV注1)

    2200 人、NPPV注2)14000 人)と推計されている(2007 年厚生労働省呼吸

    不全に関する調査研究班)。

     また、2006 年に実施した保健所等で把握している在宅人工呼吸実施者の基

    礎疾患は、ALS 等神経難病、重度心身障害、脳血管疾患後遺症、交通事故な

    どであり(表1)、それらの人々の年齢は 20歳未満から 65歳以上まで広範囲

    に及んでいる。またこれらの人々の人工呼吸器を装着しての療養期間は、東京

    都在住のALSで 49.35 ± 45.78 ヵ月(平均± SD)、つまり4年以上となって

    おり、20年を超える療養者の存在も報告されている(表2)。

     つまり在宅人工呼吸は、もはや一時的な生命維持治療ではなく、慢性疾患に

    おける長期的な緩和治療として位置づけられ、当事者から考えると、生活とと

    もにある治療であり、それらを実施しながら積極的な生活をすることが可能に

    なっている。

     さて、これらの方々の生活は実際にどのようであるか。患者会の役員をし

    ており、時には国の関連する検討会の委員もしているAさんの1週間のスケ

    ジュールを図1に示した。私的なおでかけが週に4回、公用でのおでかけが2

    回、加えて、地方への1泊旅行が1回と、それはそれは多忙な1週間を過ごし

    ている。生命と日々の生活を維持する、などというレベルをはるかに超えて、

    安全に、安心して生活し、社会参加活動を

    実現するための通所サービスの課題ALS、筋ジストロフィーなどを持つ人々が直面している課題の分析から

    講座 難病看護の役割と課題②

  • 78 Nurse eye Vol.23 No.4 2010

    国際保健・看護の基礎知識-3

    国際保健・看護を知る――世界の動きについて

    當山紀子

    連載

    元 国際協力機構(JICA)専門家

     連載3回目となる今回は、現在世界で取

    り組まれていることについて、世界保健機

    関(WHO)での議論を紹介しながらご説明

    したいと思います。WHO は遠い世界の出来

    事のように感じていらっしゃるかもしれませ

    んが、私が厚生労働省の国際課に勤めていた

    2008 年に出席した、WHO で年に1回開催

    される「世界保健総会」の経験も交え、いく

    つかの話題を通じて、身近に感じ、関心を持

    っていただければと思います。

    ■世界保健総会(WHA;World Health Assembly)

     について

     「世界保健機関(World Health Organization;

    WHO)」は、1946 年に国際連合(UN)の

    中で保健分野を専門として設置された機関で

    す。本部をジュネーブに置き(写真1~6)、

    世界を6つの地域に分けて、各地域に地域事

    務局を設置しています。ちなみに、日本は西

    太平洋地域(地域事務局はマニラ)に属して

    います。

     WHO は、設置されて以降、「すべての人々

    が可能な最高の健康水準に到達すること」(憲

    章第1条)という目的に則り、さまざまな世

    界的な健康に関する課題の解決に取り組んで

    います。連載1回目で、WHO の新型インフ

    ルエンザ対策などの感染症対策の取り組みに

    ついてご紹介しましたので、併せてご覧いた

    だけると、具体的な活動を感じていただける

    と思います。

     その WHO では、WHO 全加盟国である

    193 ヵ国が参加し、毎年 5 月に世界保健総

    会が開かれています。この総会では、約1週

    間にわたり、世界の保健課題を議論し、議題

    ごとに取り組み方針などを定めた決議を採択

    しています。

     2008 年4月に国際課に異動してからの私

    の大きな仕事の一つは、この世界保健総会の

    準備をすることでした。この総会の議題は、

    前の年に議題案が提案され、WHO が加盟国

    に意見を求めた後、1月に開かれる WHO の

    執行理事会においてさらに議論され、4月に

    はホームページ上に議題の文章が随時アップ

    デートされていきます。

     総会の開催に備え、厚生労働省内の関係部

    局では、議題ごとに概要をつくり、対応方針

    を立て、連日関係省庁とも連絡を取り、日本

    27号目次特集趣旨奥山特集錦織特集インタビュー1/22/2

    難病看護国際保健