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沖セ所報 ㈰〷 ⢓排蚁䖐薒䪁䖍 西表島に自生するシダ植物の胞子培養 田中孝幸・水谷高幸 ・崎原 ㄩ 東海大学農学部応用植物学科 ㄮはじめに シダ植物は,ラン科植物のようにそれほど絶 滅危倶種は多くないように思われるかも知れ ないが,その 㜰0 種のうち ㄳ1 種のシダ植物は 絶滅が危倶されている⺃嚃得 즂춌뎂 욂첊ó 少種以外にも,道路や都市開発や山火事や災害 などの環境の変化以外にも,園芸的に価値のあ るオオタニワタリ,マツバランのように趣味家 の採集により,ヘゴ、のようにヘゴ材としての伐 採により絶滅が危倶されているものが多く存 在する. 一方,シダ植物には胞子から前葉体という n 世代が存在し,前葉体にできる造卵器と造精器 上で受精が行われ, 世代である胞子体が発 生する⢐紱⤮ 奡獭敥渠 慮搠䬮 卡硥湡 ⠱㤹㜩 は,シダ胞子の発芽に胞子に付着している 䅳灥牧楬汵猠 湩来r および 呲楣桯瑨 θ 捩畭 牯獥畭 菌の代謝物質が悪影響していることを 報告した⺂ 북䌀 䉲敺湯癩瑳 ⠱㤹㤩 は, 側敲楳 噩瑴 θ臼の配偶体の細胞系は,暗黒下でも緑を 維持し,葉緑体の中にある光合成に関する遺伝 子を現していることを報告した⺖䖎熔粗箂얂춁C ショ糖が入っていない培地で行われることが 一次元成長 ⡮世代) 胞子叩 - 1 シダ植物の 世代である胞子体が発生する過程⸀ 東海大学沖縄地域研究センター ある⺂ 북䎃嚃徐䆕ꢂ첖䖎熂첒剔ꂂ춁䎈 쪓I に乾燥状態で貯蔵されるがシダ植物の胞子の 発芽には,光が必要で,暗黒条件下では発芽せ ず,暗黒条件下であれば湿潤条件での保存でも よく発芽するとしづ報告がある⺖箎詞놂얂춁C 暗黒条件下における貯蔵実験を行った. そこで,本研究では,このような西表島に自 生するシダ植物について,その保全および増殖 のため組織培養などによる増殖も行った⺂놂フ ようにして人工増殖されたシダ類は,東海大学 沖縄地域研究センターに遺伝子源として収 集・栽植されるだけでなく,園芸植物,観葉植 物としても利用価値が高いものが多く,比較的 暗い室内でも育つので、インドアプラントとし ての新しい用途が期待される⸀ 結果の概要 뾂ꢂ 톕菇䀩 ㈰〶 9 2日一9日および ㈰〷 8 日一9 日に西表島に生育する 6 種のシダ 植物をターゲットにして網取,浦内川粋 펂좂ヌ でコドラート法による植生調査を実施した⺉Y 内川,ユツン川など採集に許可のいる場所での 調査で、は植物の採集は行わなかった⺂붂뺂떁C 培養に用いるための胞子は網取の大学内の敷 地内などで採取し,胞子培養に用いた. 増殖のための胞子培養を行った⺖䖎熔粗箂フ 試験では希釈率,アンモニウムの有無,および 無菌処理の有無の影響に関して研究を行った⸀ ㈰〶 9 2日一9日に採集したコウモリシ

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沖セ所報� 2007(田中・水谷・崎原)

西表島に自生するシダ植物の胞子培養

田中孝幸・水谷高幸� 1)・崎原 健� 2)

1) 東海大学農学部応用植物学科�

1.はじめに

シダ植物は,ラン科植物のようにそれほど絶

滅危倶種は多くないように思われるかも知れ

ないが,その� 700種のうち� 131種のシダ植物は

絶滅が危倶されている.シダ類には元もとの希

少種以外にも,道路や都市開発や山火事や災害

などの環境の変化以外にも,園芸的に価値のあ

るオオタニワタリ,マツバランのように趣味家

の採集により,ヘゴ、のようにヘゴ材としての伐

採により絶滅が危倶されているものが多く存

在する.

一方,シダ植物には胞子から前葉体という� n

世代が存在し,前葉体にできる造卵器と造精器

上で受精が行われ,� 2n世代である胞子体が発

生する(図1).� Yasmeen and K. Saxena (1997)

は,シダ胞子の発芽に胞子に付着している�

Aspergillus nigerおよび� Trichothθcium

roseum菌の代謝物質が悪影響していることを

報告した.また,� Breznovits (1999)は,� Pteris

Vittθ臼の配偶体の細胞系は,暗黒下でも緑を

維持し,葉緑体の中にある光合成に関する遺伝

子を現していることを報告した.胞子培養では,

ショ糖が入っていない培地で行われることが�

~ I '" \ 一次元成長(n世代)

胞子叩 ¥ /

-図� 1 シダ植物の� 2n世代である胞子体が発生する過程.�

2)東海大学沖縄地域研究センター

ある.また,シダ植物の胞子の貯蔵は,一般的

に乾燥状態で貯蔵されるがシダ植物の胞子の

発芽には,光が必要で,暗黒条件下では発芽せ

ず,暗黒条件下であれば湿潤条件での保存でも

よく発芽するとしづ報告がある.本試験では,

暗黒条件下における貯蔵実験を行った.

そこで,本研究では,このような西表島に自

生するシダ植物について,その保全および増殖

のため組織培養などによる増殖も行った.この

ようにして人工増殖されたシダ類は,東海大学

沖縄地域研究センターに遺伝子源として収

集・栽植されるだけでなく,園芸植物,観葉植

物としても利用価値が高いものが多く,比較的

暗い室内でも育つので、インドアプラントとし

ての新しい用途が期待される.�

2.結果の概要

(材料および方法)

2006年� 9月� 2日一9日および� 2007年� 8月� 11

日一9月� 10日に西表島に生育する� 6種のシダ

植物をターゲットにして網取,浦内川|近辺など

でコドラート法による植生調査を実施した.浦

内川,ユツン川など採集に許可のいる場所での

調査で、は植物の採集は行わなかった.ただし,

培養に用いるための胞子は網取の大学内の敷

地内などで採取し,胞子培養に用いた.

増殖のための胞子培養を行った.胞子培養の

試験では希釈率,アンモニウムの有無,および

無菌処理の有無の影響に関して研究を行った.�

2006年� 9月� 2日一9日に採集したコウモリシ

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j中セ所報� 2007(田中・水谷・崎原)

ダ,オオヘツカシダ,ヒカゲへゴ¥ゴウシュウ

タニワタリおよびオキナワウラボシを,新聞紙

にはさんで乾燥し,� JJ包子を採取した.採取した

胞子は寒天培地に播種した.

一般的に植物の培養に用いる� MS培地は濃い

と思われるので� MS培地の希釈率の試験と硝

酸アンモニウムの有無の試験を� 2007年� 4月� 11

日に行った.培地にはショ糖を加えていなかっ

たので無菌的でなくてもコンタミの心配はそ

れほどない.そこで,無菌培養と無菌操作をし

ない培養も組み合わせて行った.

すなわち,硝酸アンモニウムを抜いたものと

そうでない,� MS基本培地を� 1/1,1/2,1

/8に希釈した寒天培地に無菌操作をしている

ものと無菌操作していない胞子を用いた� 12の

試験区で培養を行った.マイ クロシュパーテノレ

一杯の採取した胞子を,ミラ クロースをのせた

エッベンド、ノレフチューブにのせ,水を加えて遠

心分離機(型式� H-20 国産遠心器株式会社)

で� 10,000rpmで3分間胞子嚢などのゴミを取り

除いた.ただ し,無菌操作では最初に有効塩素

濃度� l弘に希釈したアンチホノレミンで殺菌し,

滅菌水で、� 3回洗浄した.得られた胞子は� 1mL

に希釈し,よく撹祥した後� 50μL中の胞子の数

を顕微鏡で調べ,約� 100粒になるように希釈し

た後同じ量の50μLを6ウェルの細胞培養用マ

ノレチウェルプレート� (Fa1con35-3046) にピペ

ットマンを用いて播種 した.その� 12の試験区

を3反復で� 6ウェノレプレートに� 10mしずつ作り,

シダの胞子を� lウェル当たり約� 100粒播き,前

葉体および胞子体の形成を毎週調べた.用いた

植物材料はオオタニワタリ,オキナワウラボシ,

オオヘツカシダ,コウモリシダ,ヒカゲへゴの�

5種とした.

その後,胞子の発芽および胞子体の数(発芽

率)について毎週調査した.�

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(結果および考察)

本研究では,1)保全のため胞子からの増殖

に関する生活環を明らかにする,� 2)山取りを

しなくても安価で手に入るように園芸の立場

から繁殖技術を確立する,� 3)繁殖されたもの

を用いて保全の可能性を探る,などの目的のた

め寒天培地を用いて胞子培養を検討した.

図� 2に胞子培養の結果を示す.発芽率はゴ

ウシュウタニワタリ,コウモリシダおよびヒカ

ゲへゴで高かったがオキナワウラボシでは低

くオオヘツカシダでは高くても� 1%にしかなら

なかった.シダ植物の胞子培養では,ショ摘を

入れなくても培養室の光の強度で,十分成長が

可能で,ショ糖が入っていないので無菌にしな

くてもコンタミは少なかった.無菌にした場合

としていない場合とで,コウモリシダでは,ア

ンチホルミンで殺菌した方が前葉体および胞

子体の形成率は高くなったが,ゴウシュウタニ

ワタリ,オキナワウラボシおよびオオへツカシ

ダでは無菌にした方が逆に低くなった.また,

ヒカゲヘゴでは差がなかった.オキナワウラボ

シを除き,硝酸アンモニウムは入れない方が前

葉体の形成率が優れ,また,胞子体の形成には

アンモニ ウムの入っていない培地で優れ, 希釈

率については種によって傾向は異なったが,胞

子体の形成には� 1/2希釈培地で優れた傾向が

見られた.�

3.展望

シダ植物の培養では,無菌にしなくてもシ

ョ糖が入っていないのでコンタミは少なく,ま

た培養室の光の強度でもシダ植物は,十分成長

が可能でLあったので,アンチホノレミンで殺菌せ

ず,硝酸アンモニウムを入れていなしリ/2希釈

の� MS培地で今後の研究を行う.ライフサイク

ノレに要する時間や胞子の貯蔵などを今後行っ

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沖セ所報� 2007(田中・水谷・崎原)

ていく予定である.�

3. 引用文献�

1) Yasmeen and K. Saxena. 1997. Influence of

fungal metabolites on germination of fern

spores. National Academy Science Letters,

20 (7&8) ,94 -96.

2) Breznovi ts,A. 1999. A gametophytic cell

1 ine of the fern Pteris vittata remains

green in the dark and expresses chloroplast

photogenes. ]. Plant Physiology, 155,

143-145.

4.業績

学会発表

1)田中孝幸,水谷高幸,仲里長浩. 2006.西

表島に自生するシダ植物の園芸的利用に関す

る研究.園芸学会雑誌,第� 75巻(別1),� 181.

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