Content Based Instruction と 協調学習を組み合わせ …...Content‐Based Instruction と...
Transcript of Content Based Instruction と 協調学習を組み合わせ …...Content‐Based Instruction と...
Content‐Based Instruction と協調学習を組み合わせた、
情報系学生向け
英語教育の定量的評価
大阪工業大学 情報科学部
矢野浩二朗
本研究における
課題と目的
うちの情報科学部の学生さんは、、
•英語があまり得意でない。
•英語を勉強することに、あまり関心がな
い(最近は改善傾向)
情報系学生には英語が必要
• プログラミング言語は、ほぼすべて英語
• ソフトウェア関連の用語、文献の多くが英語
• IT系企業では、海外へ発注する業務も多い
namespace TaiyoSystem.GoF.CSharp.AbstractFactory.Framework{public abstract class Link : Item{protected string url;public Link(string caption, string url) : base(caption){this.url = url;
}}
}
情報系学生には英語が必要
• プログラミング言語は、ほぼすべて英語
• ソフトウェア関連の用語、文献の多くが英語
• IT系企業では、海外へ発注する業務も多い
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}}
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課題:通常の英語授業は情報系学生に適切か?
• 大学の英語授業はTOEICを意識する
ことが多い
• 授業の効果判定もTOEICスコアで評価
• 情報系エンジニアにTOEICは必ずし
も重要ではない。
• むしろ、卒研、将来の仕事で必要に
なるようなソフトウェア開発、プログ
ラミング言語にかかわる、実務的な
英語を教えたほうが良いのでは? DODA 「グローバル採用の実態調査」http://doda.jp/guide/saiyo/011.html
Content‐Based Instruction (CBI)
• CBIとは言語学的な内容ではなく、学生が得る内容や情報を中心とした、第二外国語の教育のことを指す。
•外国語を単なる知識ではなく、数学や歴史などを学ぶための手段として利用することで、より高い学びを促すことを意図している。
CBIと協調学習
• CBIをペア学習などの協調学習を組み合わせることはよく行
われ、よりリラックスした形で授業テーマに関連した活動を
行うことで言語習得を高めることが期待できる。
•数学なら協力して問題を解く、実験ならハンズオン活動やプ
レゼンを一緒にする、などで言語を使うことを促す。
目的
•情報科学部の学生向けに、学生がよく知るソフトウェアの使
い方をテーマとし、CBI と協調学習を組み合わせた授業実践
を行う。
•その中での学生の学修について、定量的な評価をおこなう。
研究対象の授業の概要と
学習の流れ
授業の概要
•対象:2014 年前期開講の「英語による情報技術Ⅱ」(全15 回)。
受講生は、大阪工業大学情報科学部コンピュータ科学科3 年次
生40 名。
•授業内容:パソコンやモバイル向けの3DCGアプリケーション作
成ツールであるUnity (http://unity3d.com)の操作方法の英文
チュートリアルを教材として使用。
•ホームページからのUnity のダウンロード、3DCGビューワーの
使い方、オブジェクトの作成、といったテーマで単元を構成して
いる。
授業における学習の流れ①
• ペア組合せ:各回自由にペアを組む。本人とペアの学生番号をマーク
テスト時に記入。
• プレテスト:その日に取り上げる単元の単語と英文について、マークテ
ストで単語の日本語訳と英文の整序問題に回答する。学生の事前知
識の確認が目的。
• 講義:Unity の画面を出しつつ、チュートリアルの英文が、Unity 上のど
の操作に対応するかを解説。わかりづらい英文については、文法に関
する解説も行う。
授業における学習の流れ②
•整序問題演習(ペアワーク):単元中の英文の日本語訳を、与えられた英単語を用いて英文に戻す。単元中の英語表現の知識の定着が目的。
•確認テスト:プレテストと同内容の問題。講義後の知識の定
着を確認する。
•プレゼンテーション(ペアワーク):単元で取り上げた操作手順等をUnity 上で行ったスクリーンキャプチャ動画を提示。動画に対して英文解説をつけ、授業内に発表する。
授業と学修の評価
評価① 授業アンケート
授業アンケート
• 授業最終回に行われる、学生の主観的評価(5 段階)。
• 全学で実施。
• 以下の項目で学内平均を大きく上回る(+0.5以上)評価を得られた
• 「この授業は、学生の理解度を配慮しながら進められましたか?」
• 「この授業は、黒板の使い方、文字の大きさ・見やすさ、映像資料の
図や文字の見やすさ、は適切でしたか?」
• 「総合的に考えて、この授業を受講してよかったと思いますか?」
• これらから、授業内容や進度はおおむね適切であったと考えられた。
評価② プレテストと確認テスト
プレテストと確認テストの比較
•第13回に行ったプレテストと第14回に行った確認テストを比較
• 40 点満点、内容は同じ。
•プレテストの平均点は23.9、標準偏差は5.38。
•それに対し、確認テストでは平均点36.7、標準偏差は3.05であ
り、得点の改善とばらつきの減少がみられた(t‐testでp<0.01)
•改善は4~22点に分布(標準偏差5・13)し、改善していない学
生はいなかった。
• 改善の大小は、プレテストの時の成績に反比例しており
(Spearman相関係数=‐0.80)、天井効果とみられる。
ペアで点数を比較
•プレテストの得点差の平均は4.85。•比較のため、コンピュータ上でペアをランダムにシャッフ
ルし、得点差の平均を10万回計算(ブートストラップ法)。
その平均は5.99で、下5パーセンタイルは4.77であった。
•得点差はランダムでペアを組む場合よりは、やや小さい。
•同じような事前知識の学生がペアを作る傾向。
ペアで点数を比較
• 学生の得点の伸びは、学生とペア相手の
プレテストの得点差と強く相関していた
(Spearman 順位相関係数=0.512)。
• つまり、ペアがプレテストで自分より高い
点数であると、自分の得点の伸びが大き
くなると考えられる-15 -10 -5 0 5 10 154
6
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ペアのプレテストの点数 - 自分のプレテストの点数
自分
の、
プレ
テス
トか
ら確
認テ
スト
での
伸び
-15 -10 -5 0 5 10 154
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12
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ペアのプレテストの点数 - 自分のプレテストの点数
自分
の、
プレ
テス
トか
ら確
認テ
スト
での
伸び
解析上の問題点
•今回の授業では、プレテストの段階で既に満点に近
い得点を出していた学生も多く、彼らについては得点
の伸びを十分に評価できなかった。
• プレテストはもっと難しく?
• 別の評価尺度を導入すべきだったか?
まとめ
• Unityの操作の学習をコンテンツとした、ペア学習による英
語授業は、情報系の学生から一定の評価を受けた。
•プレテストと確認テストのスコアの比較では、スコアの向上
を確認できた。
•ペアを組んでいる相手の点数が高ければ、自分の点数も伸
びる。