理科学習案 - NIER-1-理科学習案 日 時 平成18年11月9日3校時 生 徒 2年3組...

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-1- 平成18年11月9日3校時 2年3組 男子21名 女子19名 計40名 授業者 単元名 「天気とその変化」 単元について 本単元では,身近な気象の観察,観測を通し て 天気の変化の規則性に気付かせるとともに 気象現象について,それが起こる仕組みと規則 性についての認識を深めることをねらいとして いる。 天気については,小学校では 「天気によっ 」, て1日の気温の変化の仕方に違いがあること 「天気の変化は,映像などの気象情報を用いて 予想できること 「台風の進路による天気の 」, 変化」などについて学習している。そこで,本 単元に関しては,気象観測を通して,観測の仕 方や機器の扱い方を習得し,観察・実験の結果 や資料をもとに霧や雲の発生,前線による天気 の変化などの学習を通して,天気の変化の起き るしくみや規則性を理解することと,科学的な 根拠をもとに天気を予測する力を育成する。ま た,毎日の天気の変化に興味・関心をもち,自 ら集めた気象情報を正しく処理し,その結果を もとに天気を予想し,そのプロセスを表現する 見方や考え方を身に付けさせることをねらいと する。さらに,台風や自然災害に対する備えや メディアなどの情報活用など,日常生活とのか かわりを意識させながら学習を進めたいと考え ている。 事前調査から,生徒は気象の現象に関心が高 く,学習後には自分で天気を予測できるように なりたいと考えている生徒が多いが,現状では メディアで得られる気象情報をそのまま受け取 っている生徒が多いことがわかった。加えて, 夏休みの自由課題「天気に関わるレポート」で は,雲をテーマにした生徒が8割もいたことか ら,雲のでき方や動き方と天気の関係を理解さ せ,実際の雲のようすなどの観測を大事にしな がら,天気とその変化について,理解を深める ことが生徒の意欲を持続させることが大切であ る。また,自分で気象観測をしたり,科学的な 根拠をもとにして天気を予想したことがある生 徒は非常に少ない。そのため,日常生活に関わ る気象現象を学習材として多く取り上げ,理解 を深めさせたい。具体的には,次のような点に 留意したいと考えている。①導入では,日常生 活では天気予報を多く利用していることや,急 な天気の変化により困ったことの経験などにつ いて交流することにより,天気を予想すること の重要性を意識させ,単元全体を通して,その ために必要な知識や技能の習得を目的として学 習を進めることを意識させる。②生徒が住んで いる旭川市の気温や観測データを用いた学習を 多く取り入れ,天気を身近なものとしてとらえ させる中で理解を深めさせる。また,地域の気 象観察を実際に行っている旭川地方気象台の職 員を講師として招き,単元の学習が天気に関す る知識の習得に限らず,天気予報に大きく関わ ってることを意識させる ③空気中の水蒸気量 前線と前線面など観察が難しい現象は,理解を 容易にするために工夫したモデルを活用する。 ④天気予報をするための知識や技能,考え方を 習得させる視点から,それらの到達度を自分自 身で判断させることで,補充的・発展的な学習 授業75-1

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理 科 学 習 案日 時 平成18年11月9日3校時

生 徒 2年3組

男子21名 女子19名 計40名

授業者 山 川 俊 巳

1 単元名

「天気とその変化」

2 単元について

本単元では,身近な気象の観察,観測を通し

, ,て 天気の変化の規則性に気付かせるとともに

気象現象について,それが起こる仕組みと規則

性についての認識を深めることをねらいとして

いる。

天気については,小学校では 「天気によっ,

」,て1日の気温の変化の仕方に違いがあること

「天気の変化は,映像などの気象情報を用いて

予想できること 「台風の進路による天気の」,

変化」などについて学習している。そこで,本

単元に関しては,気象観測を通して,観測の仕

方や機器の扱い方を習得し,観察・実験の結果

や資料をもとに霧や雲の発生,前線による天気

の変化などの学習を通して,天気の変化の起き

るしくみや規則性を理解することと,科学的な

根拠をもとに天気を予測する力を育成する。ま

た,毎日の天気の変化に興味・関心をもち,自

ら集めた気象情報を正しく処理し,その結果を

もとに天気を予想し,そのプロセスを表現する

見方や考え方を身に付けさせることをねらいと

する。さらに,台風や自然災害に対する備えや

メディアなどの情報活用など,日常生活とのか

かわりを意識させながら学習を進めたいと考え

ている。

事前調査から,生徒は気象の現象に関心が高

く,学習後には自分で天気を予測できるように

なりたいと考えている生徒が多いが,現状では

メディアで得られる気象情報をそのまま受け取

っている生徒が多いことがわかった。加えて,

夏休みの自由課題「天気に関わるレポート」で

は,雲をテーマにした生徒が8割もいたことか

ら,雲のでき方や動き方と天気の関係を理解さ

せ,実際の雲のようすなどの観測を大事にしな

がら,天気とその変化について,理解を深める

ことが生徒の意欲を持続させることが大切であ

る。また,自分で気象観測をしたり,科学的な

根拠をもとにして天気を予想したことがある生

徒は非常に少ない。そのため,日常生活に関わ

る気象現象を学習材として多く取り上げ,理解

を深めさせたい。具体的には,次のような点に

留意したいと考えている。①導入では,日常生

活では天気予報を多く利用していることや,急

な天気の変化により困ったことの経験などにつ

いて交流することにより,天気を予想すること

の重要性を意識させ,単元全体を通して,その

ために必要な知識や技能の習得を目的として学

習を進めることを意識させる。②生徒が住んで

いる旭川市の気温や観測データを用いた学習を

多く取り入れ,天気を身近なものとしてとらえ

させる中で理解を深めさせる。また,地域の気

象観察を実際に行っている旭川地方気象台の職

員を講師として招き,単元の学習が天気に関す

る知識の習得に限らず,天気予報に大きく関わ

。 ,ってることを意識させる ③空気中の水蒸気量

前線と前線面など観察が難しい現象は,理解を

容易にするために工夫したモデルを活用する。

④天気予報をするための知識や技能,考え方を

習得させる視点から,それらの到達度を自分自

身で判断させることで,補充的・発展的な学習

授業75-1

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では,明確な目標意識をもって活動を行えるよ

うにする。

本校理科の取組として,学習を展開するとき

に生徒の思考にそったストーリー性を重視した

指導計画を作成している。単元の導入(オリエ

ンテーション)では,自分なりの課題や学習の

見通しをもたせたり,学習後の自分をイメージ

させたりする体験的な活動や試行活動などのオ

リエンテーションを行い,学びに対する期待感

を高め,課題意識をもって学びを進める工夫を

行っている。単元の展開では,自己の学びと他

の学びの交流活動を行いながら学びを進めるこ

とを大切にしている。学びを履歴する活動を取

, , ,り入れ 自己の学びをふり返り 仲間と交流し

素朴な思考を価値付けながら自分の学習に自信

をもって取り組める工夫を行っている。また,

日常生活との関連した理解を図るための学習課

題や学習材を多く取り入れ,学びの必然性や有

用感を高める工夫を行っている。単元の終末で

は,履歴した学びをふり返り,自分の変容を確

かめさせる学習プリントを活用している。自己

の学びのよさに気付き,成就感をもって学習を

終える工夫を行っている。

3 旭教研理科部中学校部会研究とのかかわり

「科学的な見方や考え方」を育成する指導計画

の作成

本単元では,育てたい科学的な見方や考え方

の要素を「日常生活との関連,規則性,総合的

な考察,観測技能の習得,情報収集・活用」と

し,その具現化を図るために評価の4観点によ

る学習目標を設定した。

また,各章の終末には,学びの履歴によるふ

り返りの場面を位置付け,自ら学びや変容を確

かめながら学習を進められるようにしたり,交

流活動により自分の思考を価値付ける場面を指

導計画に位置付けたりした。

加えて,モデル実験や実習,日常生活と関連

させた理解を図るための学習材を多く取り入れ

た。また,天気を予想する活動では,身に付け

た知識や技能を生かして,科学的な根拠をもと

に気象現象の要因やしくみを時間や空間と関連

付けて天気を予想させたり,予想したことを班

や学級で交流することで表現力を身に付けさせ

る工夫を行った。

「科学的な見方や考え方」を育てる学習活動の

展開

本校理科では,学習プリントなどに生徒の思

考を履歴させて,相互を有機的に関連させてフ

, ,ァイリングすることにより 単独の効果以上に

生徒の思考や学習活動そのものを深めたり,広

げたり,ふり返らせたり,交流に活用させたり

するなど,相乗効果(シナジー効果)を生み出

すことができる,学びを豊かにする道具とシナ

ジーファイルを活用している。シナジーファイ

,「 」ルを構成するものとして 学びの確認マップ

は,単元の終末で自らの学びを確認するための

に活用しているが 「レディネステスト」の内,

容と整合性をもたせるよう工夫した また 学。 ,「

びの確認マップ」は,各章の終末で学習内容を

, ,ふり返り 日常生活に関連付けて考えさせたり

わかったことや学習の感想などを自由に記述さ

せたりして,思考を深め,学習前後の思考の変

容を見取る活動を行う道具として活用した。毎

時の授業で活用する「学びの履歴付きノート」

は,ノートとして活用するだけでなく,わかっ

たことや気づいたこと,感じたこと,友だちの

考えなどを記録していく「学びの履歴」の記入

欄を設けた。学習中の思考をメモ書きのように

記述しながら履歴していくことで後に自分の思

考をふり返りやすくする工夫をした。また,生

徒の「学びの履歴」を班内で交流し,気づいた

ことや共感したこと,アドバイスなどを記入し

合い,これまでの思考を価値付けるコミュニケ

ーション活動を行った。

本単元は,目に見えない現象や広い空間をイ

メージすることが必要なので,様々な気象現象

をモデル化して生徒の思考を深めさせることが

大切である。例えば,露や霧など現象をモデル

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化した実験を行い,空気中の水蒸気の存在やそ

の変化を確認したり,個別化した前線モデルで

暖気と寒気の動き方を観察したり,前線の接近

と降水量の関係をイメージしやすくしたりモデ

ルを作成するなどの工夫を行った。

「科学的な見方や考え方」を育てる評価

, ,単元の終末では シナジーファイルを活用し

仲間や教師との交流活動により,自分の思考や

学びが深まったり,価値付いたりするなど,自

分の変容を自己評価したり,他者による評価を

行い,今後の学習に向けた意欲化を図る工夫も

行った。また,教師はシナジーファイルを活用

し,科学的な見方や考え方の育ちを多面的に見

取る工夫を行った。

そこで,生徒が,学習目標に対する到達度や

学習内容の理解や技能の習熟度を確認したり,

思考の変容や自己課題の解決度合いを確認した

りできるような補充・発展的な学習の時間を単

元の学習の評価場面として4単位時間設定し

た。補充的・発展的な学習やその学習で取り組

む課題は,シナジーファイルを活用して生徒自

らが設定・選択させる。ここでは,日常の事象

と関連付けて興味をもたせ,問題解決的な学習

をくり返すことによって育ってきたであろう科

学的な見方や考え方を活用して,個々が解決に

向けて意欲的に取り組んでいく学習を展開す

る。補充的な学習では,気象情報の記録,湿度

の計算,湿度のイメージ,水の循環,前線と天

気などでつまづく生徒が多いと考えられること

から,それぞれのつまづきを解決するための課

題を設定する 「発展的な学習では,旭川地方。

気象台で行われている実際の天気予報について

学習する。多くのデータを活用することや一般

では入手できないデータから天気が予想されて

いることを知り,天気の予報にはより深い科学

的な根拠があることに気付き,旭川市の季節に

よる天気の特徴や,地理的な気象変化の要因に

ふれ,より精度の高い天気を予報する活動へと

発展させていくことにより,この単元で学習し

た内容が日常生活で生かされていくことを学

ぶ。

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5 単元の指導計画(28時間)

学 習 内 容 と 主 な 活 動 教師のはたらきかけ学 見方

習 考え

内 方の

容 要素

【関】 【思】 【技】 【知】時数

観測1 学校内の気象観測をしよう

何を学ぶと天気を予測できるようになるか考えよう

気温や湿度,気圧の変化と天気には何か関係があるのだろうか

天気図から読み取れる情報には何があるのだろうか

単元の学習を見通し,学習の課題を立てよう

学習後の自分を思い描いてみよう

日常

生活

との

関連

日常生活に役立

てたい

気温や湿度,気圧の変化を

調べればよい(1章で学習)

雲のでき方や動き方,種類からわ

かるのでは(2・3章で学習)

自然災害に合わな

いようにしたい

天気変化による日常生活での影響はどんなものがあるだろう

天気を予測でき

るようなりたい

急な雨で行事

が中断したね

集団下校した台風18号を思い出さ

せたり,身近な地域のニュース映像

や新聞記事を見せる。暑い夏で体調

を崩したよ

副 課 題主 課 題

予想される生徒の思考 身に付けたい知識・技能

日常生活と関連付けた

理解を図る手立て

天気と日常生活の関わりを考えよう

災害が発生し,

被害を受ける

予定を変更しな

ければならない

経済的な影

響を受ける

気持ちが

変化する

思考を価値付ける交流活動

KJ法による学級交流

天気による影響が

こんなにあるんだ

台風がす

ごかった

情報

収集

活用

◎支援 ●評価

◎ここでは生徒の考えを分類する

程度し,内容の吟味は行わない。

◎学級討議から,気象に関する知識

や情報の必要性に気付かせる。

自由な意見交流(班→学級)

どんな学習をす

るのかな

疑問だったこと

が解決するかな

学習後に役立

ったらいいな

天気に関する疑問をあげてみよう

気象観測にはどん

なものがあるの

雲のでき方や,雲の種

類と天気の関係は?

天気を予測

するには?

天気や風向,

風力がわかる

天気図は読み取れ

るようになったぞ

天気図だけで予測

できるかな

●天気を予想するために必要なこと

は何かを考えようとしたか。【関】

◎学習前にユニットの学びの意義を

確認し,学習後の新たな自分の見通

しをもたせる。

●天気に関する疑問を見つけようと

したか。【関】

KJ法による学級交流

・気象観測の方法・天気図の読み方

天気図からわかるの

では(1章で学習)

気温が高いと晴れるわ

けではないみたいだ

湿度は雨と関

係ありそう

●天気・風向風力・気圧・気温・湿

度を観測して記録し,結果をまとめ

ることができたか。【技】

発表板を使った学級交流

学校周辺で気象観測を実施する

●天気図から気象要素を読みとる

ことができたか。【知】

観測

技能

習得

観測

技能

習得

日常

生活

との

関連

◎アウトラインシートを活用する。

晴れの日は温度変

化が大きいな

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雲のでき方や動き方,種類と天気はどのような関係になっているだろうか

~空気中の水蒸気の変化に着目しよう~

天気図を見ると天気予報ができそうだね。気象観測の結果か

らも予報ができそうだよ。でも雲のでき方や動き方,種類な

どと天気の関係も天気予報をするときには必要そうだな。

気象観測を継続して行い,気温や湿度,気圧の変化と

天気の変化の関係を調べよう

「グランドの霧(放射霧)」が消失する仕組みを予想しよう

「露」の発生・消失の仕組みをまとめよう

予想した仕組みを「露」のモデル実験で確かめよう

「露」が発生する仕組みを予想しよう

水蒸気が水や氷に変化するとき,

天気はどのように変化するか考えよう

第1章の学習をまとめ,これまでの学びを整理しよう

~「学びの確認マップ」の作成~

気象観測の技能

気圧が高いと晴れて

いる日が多いね

気温が上がると

湿度は下がるぞ

学校グランドの露のビデオ視聴

冷たいコップには

水滴がつくよね

空気には水蒸気がふく

まれているんだったね

水面からは水蒸

気が出ているよ

規則

総合

的な

考察

●観測記録の結果から,気温と湿度

の一日の変化の規則性や気圧と天気

の関係を見いだすことができたか。

【思】

付箋紙を使った班間交流

◎学びのよさが見られる生徒を取り

上げて紹介する。

「学びの履歴ノート」のふり返り

雨の降るしくみが

わからないな

天気の変化には規

則性があるんだね

新聞の天気図が読

めるようになった日常

生活

との

関連

情報

収集

活用

空気中の水蒸気はどのように変化するのか Ⅰ

~露の発生・消失の仕組みを考えよう~

空気中の水蒸気はどのように変化するのか Ⅱ

~登校時の霧(放射霧)の発生・消失の仕組みを考えよう~

水に変化すると雨,

氷になると雪だね

雨や雪が降るとき

には雲があるよ

露や霧,霜など

もそうかな

●露の発生・消失の条件をモデル

実験により調べることができた

か。【技】

◎ゆげと水蒸気の違いを確認する。

晴れた朝

に多いよ

朝,自転車のサド

ルがぬれているよ

夏にはあまりぬ

れていないよね

気温の

影響?

あれ,予想した考

えとは違いそうだ

第1章で学習したことを日常生活と

関連させて考えさせる。

どっちが冷たいのか

な,空気?サドル?

冷たいものとふれあ

えばいいのでは?

朝,サドルがぬれてい

る理由がわかったよ

霧も露と同じ

しくみかな

気温が上昇すると

露が消えるんだね◎露の消失については,演示実験を

行い,その条件を全体で確認する。

登校後には消

えているよ

露が消える理

由と同じかな

空気が暖まると

消えるのでは?

◎生徒実験では,現象として見てい

る放射霧の消失について扱う。

◎生徒が登校時に学校周辺で見るこ

とが多い放射霧を扱う。

総合

的な

考察

日常

生活

との

関連

日常

生活

との

関連

情報

収集

活用

モデルや発表板を使った交流活動

◎机間指導により,終わった班は見

いだした結果を反証させる。

規則

規則

気象観測だけで予

測できるかな

◎小学校での既習事項を思い出さ

せる。

発表用プリントを使った全体交流

発表用プリントを使った全体交流

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湿度はどんなときに変化するのだろうか

水蒸気が水になるときの温度は決まっているのだろうか

霧の濃さが発生する場所によって違う理由を考えよう

モデル実験で濃い霧を発生させるにはどうしたらいいだろうか

【本時】 空気中の水蒸気はどのように変化するのか Ⅲ

~霧の濃さが発生する場所によって違うのはなぜだろう~

計算で湿度を求めてみよう

空気にはどのくらいの水蒸気

をふくむことができるのかな

情報

収集

活用

「霧(放射霧)」の発生・消失の仕組みをまとめよう

予想した仕組みを「霧(放射霧)」のモデル実験で確かめよう

湿度 露点 飽和水蒸気量

温度を測っ

てみよう

あれ,予想した考

えとは違いそうだ

条件を変えながら

実験するんだね

露のモデルと比べな

がら実験しようよ

登校後に霧が晴れる

理由がわかったよ

霧が発生しそうな

日がわかったよ

霧の濃い日とうす

い日があるよね?

◎放射霧の発生については,消失の

仕組みを考察した後,演示実験を行

い,その仕組みを全体で確認する。

また,露とのちがいも確認する。

湿度って

何だろう

飽和水蒸気量に対す

る割合で表すんだ

湿度を計算で求めら

れるようになったぞ●飽和水蒸気,湿度,露点の説明が

でき,湿度を計算によって求めるこ

とができたか。 【知】

水蒸気量は

変化する?

同じ水蒸気量でも気温に

よって湿度がちがうんだ

◎バスの大きさと定員を使って、飽

和水蒸気量の求め方を理解させる。

●水蒸気が水滴になる条件を,気温

・飽和水蒸気量・湿度の変化と関連

付けて考察することができたか。

【思】

総合

的な

考察

総合

的な

考察

日常

生活

との

関連

日常

生活

との

関連

規則

規則

情報

収集

活用

技能

習得

1m の空気中にふくまれている水蒸気の質量[g/m ]3 3

湿度[%]= ×100その空気と同じ気温での飽和水蒸気量[g/m ]

モデルや発表板を使った交流活動

◎机間指導により,終わった班は

見いだした結果を反証させる。

雲ができるときにも

関係しているのかな

●ビデオの視聴やモデル実験を通し

て,霧の仕組みに関心をもち,進

んで調べようとしたか。 【関】

発表板を使った交流活動霧の濃さが発生する場所によって違う理由を予想しよう

グランドには海や川のよ

うに豊富に水がないね

温度差の違いが

影響してそうだ

あれ,予想した考

えとは違いそうだ

水蒸気をたくさん

発生させたいね

グランドの霧(前時)と学校裏の川

霧,釧路の海霧を扱う。

自由な交流による情報収集

◎モデル実験や身近な現象を根拠に

して考察するように助言する。

発表板を使った交流活動

●霧の濃さの違いを空気にふくまれ

ている水蒸気量や温度差と関係付け

て考えることができたか。【思】

露や霧の発生・消失には,気温と空気にふくまれている水

蒸気の量が関係してるんだ。どんな関係があるのかな。何

かきまりはあるのかな。

予想に基づいて条件を

変えながら実験しよう

予想した通

りだったね

温度差が影

響している

ふくまれている水蒸

気量が関係している

気温差と水蒸

気量の両方だ

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旭川市の「前線通過前後の気象要素」を調べよう

前線が近づくと天気はどのように変化するだろうか

温度の違う空気のかたまりが接するとどんなことが起きるか考えよう

モデル実験で「暖気と寒気の動き」を調べよう

雲はどのようなところにできるのだろうか

第2章の学習をまとめ,これまでの学びを整理しよう

~「学びの確認マップ」の作成~

雲の発生のしかたと雨や雪が降るしくみを考えよう

教室から見える雲のようすを観察しよう

モデル実験で「雲のでき方」を調べよう

雲のできる場所は

きまってるのかな

雲の動きと天気は,どのよ

うな関係があるのだろうか

気団 前線 前線面 寒冷前線 温暖前線 温帯低気圧

雲の発生 雨・雪 上昇気流 下降気流 水の循環

雨や雪は雲の中でつ

くられているんだ

雲の種類と天気には

関係がありそうだ

雲ができる高

さが違うね

うすい雲と厚い

雲があるね

◎雲の種類や形,動く方向,高さ,

成長するようすを観察の視点とする

どうして雲は浮か

んでいられるの

●雲のでき方に興味をもち,観察な

どをもとに雲のでき方を調べようと

したか。 【関】

●雲のでき方を調べるモデル実験か

ら結果をレポートにまとめることが

できたか。 【技】

●雲の発生・消滅や,雨や雪が降る

しくみを説明することができたか。

【知】

●温度のちがう空気のかたまりは接

してもすぐには混じり合わないこと

に気づくことができたか。 【思】

雲も霧などと同じようにしてできるのだろうか

雲の発生は,温度と水蒸気量の変

化だけが関わっているのだろうか

露とは

違うね

霧と同

じかな

上空は気圧と気温の

変化があるはずだ

気圧を下げて実

験してみよう

気圧が下がると気温も下

がり,露点に達するね

季節によって天気がち

がうのはなぜだろう

露・霧・雲・雨・雪

のしくみがわかった◎学びのよさが見られる生徒を取り

上げて紹介する。

「学びの履歴ノート」のふり返り

第2章で学習したことを日常生活と

関連させて考えさせる。湿度の求め方

がわかった

◎水の循環についても取り上げる。

気圧も関係

していたね

暖かい空気が冷え

ると雲ができたよ

暖気と寒気が接すると

ころでできそうだね

暖気は

軽いね

寒気が暖気の下にも

ぐりこんでいるよ

上空ではどんなときに暖

気と寒気が接するのかな

暖気と寒気の接し方でで

きる雲が変わるんだね

大きな雲が

できるね

雲ができれば天気の

変化が起きてくるね

湿度も調べた

らどうかな

天気と気温,風向

を調べてみるよ

前線の通過と天気の変化

にはきまりがあるのかな

◎旭川市における平成18年9月の

寒冷前線を扱う。

実際に教室から見える雲を観察する

◎ミニ前線モデル装置(自作)を活

用する。

日常

生活

との

関連

日常

生活

との

関連

日常

生活

との

関連

総合

的な

考察

総合

的な

考察

観測

技能

習得

観測

技能

習得

規則

規則

規則

授業75-8

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個人課題を解決しよう(3時間)

単元の学習をふりかえり,個人課題を解決しよう

予想した天気と実際の天気を比べ,考察しよう

実習 旭川市の明日の天気を予想しよう

天気の変化を予測してみよう

日本で起きる特徴的な天気の変化をまとめよう

低気圧通過前後の天気の変化をまとめよう

気象台職員から専門的な話も聞きたいな

何を学ぶと天気を予測できるようになるか思い出してみよう

雲の動き方,種類からわ

かる(2・3章で学習)

発展的な内容で課

題解決をするよ

天気図を見ると気圧が近

づいてくると思うよ

空にはこんな

雲があるぞ

停滞前線・閉そく前線

多くのデータを総合的に

見ることが必要だね

予想がはずれたぞ

どうしてだろう

雲のでき方が難しく

理解できなかった

もっと詳しく,正確に天

気を予想したいな

●前線の構造をふまえて、前線通過

と天気の変化の関係について理解す

ることができたか。【知】

●実習の結果を考察し実際の天気と

比較検討することができたか。

【思】

●天気を科学的な根拠をもとに予想

することができたか。 【技】

●自分で設定した課題に対して,主

体的に思考をはたらかせ探求的に学

習を進めようとしたか。【関】

単元全体をふり返り,目標に対す

る達成度や学びの履歴などを班で

交流し,課題を共有する。

低気圧がくると天気

が悪くなるんだよね

前線通過前後の天気の変化をまとめよう

前線の種類によって天

気の変化がちがうね前線ごとにできる雲の種

類にちがいがあるんだね

低気圧の通過と天気の変化

にはきまりがあるのかな

温帯低気圧には寒冷前線と

温暖前線がついているね

天気や風向が変

化するんだね

他に特徴的な天気の

変化はないのかな

北海道にはないけ

ど梅雨は有名だね

秋には必ず台

風もくるよ

天気を予測できそうなく

らい学習した気がするよ

気温や湿度,気圧の変化か

らわかる(1章で学習)

天気図からわかる

(1章で学習)

第3章の学習をまとめ,これまでの学びを整理しよう

~「学びの確認マップ」の作成~

天気を予想することが

できるようになったよ

前線と天気の関

係がわかったよ

日本の天気の特徴

がわかっったよ ◎学びのよさが見られる生徒を取り

上げて紹介する。

「学びの履歴ノート」のふり返り

第3章で学習したことを日常生活と

関連させて考えさせる。

◎生徒の課題解決のためT・T,外

部講師(気象台職員)による指導,

援助を行う。もう一度復

習したいな

湿度の求

め方が?

仲間といっしょに課

題に取り組みたいな

旭川地方気象台のデータの活用

◎発展的な内容だが日常生活との関

連が深いことから取り上げる。

地域から日本に視点を向けさせる

◎学習の目的や学習後の自分を想起

させる。

日常

生活

との

関連

日常

生活

との

関連

日常

生活

との

関連

総合

的な

考察

総合

的な

考察

総合

的な

考察

観測

技能

習得

観測

技能

習得

情報

収集

活用

情報

収集

活用

規則

規則

総合

的な

考察

授業75-9

Page 10: 理科学習案 - NIER-1-理科学習案 日 時 平成18年11月9日3校時 生 徒 2年3組 男子21名 女子19名 計40名 授業者 山川俊巳 1 単元名 「天気とその変化」

- 10 -

6 展開(2時間扱い)

(1)本時の目標, , 。【 】○ ビデオやモデル実験を通して 霧の濃さの違いに関心をもち その理由を調べようとする 関

。 【 】○ 霧の濃さの違いを水蒸気量のちがいや空気の温度差と関係付けて考えることができる 思

(2)本時の展開

学 習 内 容 と 主 な 活 動 教師のはたらきかけ学 見方

習 考 え

過 方の

程 要素

○前時までの学習をふり返る。

把 ○学習課題を確認する。

○川霧と海霧のビデオとモデル実験の演示を見て,それ

らが発生する仕組みを理解する。

○課題の予想を立て,班内で検討する。

題 ○班の予想を全体交流する。

追 ○海霧のモデル実験により検証する。

○各班のモデル実験の結果を自由に交流する。

○モデル実験の結果や交流をもとに考察する。

○本時の学習をまとめ,新たな疑問や感想を記入する。

と ○次時の学習とのつながりを確認する。

(3)本時の評価○ 霧の発生する場所による濃さの違いに関心をもち,その理由を進んで調べようとしたか 【関】。

○ モデル実験や交流活動を通して,霧の濃さの違いを水蒸気量のちがいや空気の温度差と関係付

けて考えることができたか。 【思】

● 【関 ・ 思】の見取りは,行動観察・学びの履歴付きノート(学習プリント)による。】 【

情報

収集

活用

主 課 題 予想される生徒の思考生徒の活動

日常生活との関連

思考を価値付ける交流活動

◎支援 ●評価

空気中の水蒸気はどのように変化するのか Ⅲ

~霧の濃さが発生する場所によって違うのはなぜだろう~

【予想】霧の濃さが発生する場所によって違う理由を予想しよう

【実験】海霧モデルで濃い霧を発生させるにはどうしたらいいだろうか

あれ,予想した考

えとは違いそうだ

予想に基づいて条件を

変えながら実験しよう

水蒸気をたくさ

ん含ませたいね

露や霧の発生・消失には,気温と空気にふくまれている水蒸

気の量が関係してるんだ。どんな関係があるのかな。何かき

まりはあるのかな。雲にも当てはまるかな。

●ビデオの視聴やモデル実験を通して

霧の濃さの違いに関心をもち,進ん

で調べようとしたか。 【関】

学校裏の川霧,釧路の海霧をモデル

化した演示実験を行う。

発表板を使った交流活動

●霧の濃さの違いを空気にふくまれて

いる水蒸気量や温度差と関係付けて

考えることができたか。 【思】

日常

生活

との

関連

規則

日常

生活

との

関連

総合

的な

考察

◎露や霧で疑問となった「水蒸気の

変化と気温・水蒸気量の関係」を

次時に学習することを知らせる。

【考察】霧の濃さが発生する場所によって違う理由を考えよう

予想した通

りだったね

温度差が影

響している

ふくまれている水蒸

気量が関係している

露とグランドの霧(放射霧)の仕組みを学習したよ

川には海のように

豊富に水がないね

温度差の違いが

影響してそうだ

室内のお風呂と露天風呂の湯気の出

方の考え方は当てはまらないかな

発表板を使った交流活動

◎モデル実験や身近な現象を根拠に

して考察するように助言する。

今まで不思議だった

ことがわかったよ

水蒸気が水になる温度

は決まっているのかな

次の時間も

楽しみだな

◎「自分で天気を予測できるように

なりたい」という生徒の初発の思

いを確認し,本時の学びの必然性

を高める。

名刺交換方式による自由な情報収集

気温差と水蒸

気量の両方だ

授業75-10

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