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NMR Solution
NMR SolutionNMR による定量分析 :qNMR
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クロマトグラム
分析操作の比較
NMR による定量分析(quantitative NMR:qNMR)とは?
分析対象成分と同じ標準品を使用することなく、迅速に定量分析ができます。
クロマトグラフ N M R
qNMR の特長
1. 汎用性 有機化合物全般が対象
* 標準物質が手に入らない分析対象成分の定量分析も可能です。
2. 効率性 分析対象成分と同一の標準物質は不要 ⇒分子内の原子核(1Hなど)を検出して利用するため
*qNMR用標準物質を使用しますが、1つの標準物質で様々な分析対象成分の定量分析が可能です。
3. 迅速性 検量線は不要 ⇒モル比と信号強度が比例する絶対定量のため
* 数 mg程度のサンプル量が必要です。
4. 信頼性 SI トレーサブルな分析が可能
測定成分の標準物質を用意するサンプル調製をする装置やカラムを測定条件に合わせる検量線を作成するクロマト分析を行う計算して結果を得る
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分析対象成分
ppm
NMRスペクトル
標準物質を決めるサンプル調製をするNMR測定を行う計算して結果を得る
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標準物質
*1参考文献:末松孝子 「有機化合物の純度をはかる」 化学と生物:日本農芸化学会会誌:生命・食糧・環境52(7),473-477,2014-07
NMRによる純度分析が注目されるわけ*1
定量分析の信頼性を高めます
クロマトグラフ法などの定量分析で使用する標準品の純度が明確でない場合、qNMRによる純度分析を行うことによって標
準物質の値付けをすることができます。標準物質の純度を明確にすることで、クロマトグラフ法などで得られる定量分析結
果の信頼性を高めることができます。また、薬理活性などの物性評価においても、結果に対する信頼性確保に役立ちます。
迅速な分析
分析対象成分
試料溶液
外標準法の測定対象物NMRスペクトル(模式図)
外標準法の標準物質NMRスペクトル(模式図)
2
qNMR のいろいろ *2
NMR を使った定量分析には様々な方法があります。
試料溶液とは別に標準溶液を用意して使用するので、試料の汚染を防ぐことができます。様々な方法が報告されています。
外標準法:ERETIC*3 , PULCON*4 など
分析対象成分
標準物質
試料溶液内に標準物質があるので、誤差につながる様々な要因を最小限にすることができ、精確さを追及することができます。純度分析に活用されている方法です。(次ページ参照)
内標準法:AQARI
*2NMRによる定量分析では高分子や工業品の成分組成比を求めることもできますが、ここでは成分の濃度や純度を求めることを取り上げます*3ElectronicREferenceToaccessInvivoConcentrations の略。人工的に挿入される電気信号を基準として試料の濃度を定量する方法*4PUlseLength-basedCONcentrationmeasurement の略。基準物質と測定試料を個別に測定して信号の面積を比較する定量手法
測定サンプルは2つ (スペクトル間での比較)
測定サンプルは1つ (スペクトル内での比較)
内標準法のNMRスペクトル(模式図)
分析対象成分
試料溶液
標準物質
標準溶液
3
Accurate Quantitative NMR with Internal reference substance
内標準物質を使用する qNMR : AQARI
NMRの定量分析は、内標準法・外標準法のいずれも測定が可能であり、目的に応じて使い分けることとなります。内標準法のうち、分析結果の信頼性を定量的に表現できる方法で原理的に一次標準測定法の資格を有する方法がAQARI です。
物質量の絶対値は国際単位系 (SI) にトレーサブルな測定によって得られます。このような測定法は一次標準測定法と呼ばれており、NMRもその資格を有すると言われています *6。
最近のトピックス
公定法で採用されているのは内標準物質を使用する内標準法です。
定量分析の信頼性を向上させようとする取り組みとして、qNMRは標準物質の純度評価としてすでに日本薬局方16局
第一追補の参考情報に掲載されました。その後、第二追補(2014年2月28日 告示・施行)では4品目(ゲニポシド、
マグノロール、ペオノール、マグノフロリン)の生薬定量標品についてqNMRによる規格基準が設定されています。
さらに食品添加物の標準物質の規格基準*7としても採用されており、少しづつ公的な方法に取り入れられています。
*5 細江潤子、杉本直樹、末松孝子、山田裕子、早川昌子、勝原孝雄、西村浩昭、合田幸広 医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス Vol.43、NO.2182~ 193(2012)「日本薬局方における生薬等の成分定量の成分定量用試薬を利用した定量NMRのバリデーション試薬」
*6 井原俊英、齋藤剛、日本電子NEWSVol.44 1~ 10(2012)「定量NMRによる革新的計量トレーサビリティの実現」*7 2015年 6月現在、フルジオキソニル、アゾキシストロビン、ピリメタニルの規格基準として官報に公表されている
定量NMR用解析ソフトPurity Pro
AQARI 〜あかり〜
分析スキーム
信頼性の確保
1. サンプル調製定量NMR用内標準物質と分析サンプルの精密なはかり取り
3. 解析多検体の同時処理・計算・確認
2.NMR測定
AQARI は純度分析といった信頼性を重視する場合に使用されています。実際に多くのバリデーション試験 *5 が行われ、国家標準物質の値付けにも使用されています。日本電子ではNMR測定だけでなく、AQARI の分析スキーム(試料調製から解析まで)の分析操作を包括的にサポートします。
計量トレーサビリティの確保された標準物質を用いるなど適確な分析操作を実現すれば、SI トレーサブルな純度評価が可能です。
溶媒
4
アセトアミノフェンの純度分析
CH3
NH OH
不純物?
1,4-BTMSBd4
(内標準物質)
アセトアミノフェン
アセトアミノフェンの qNMRスペクトル(HPLC用:純度 100%LCassay)
ベンゼン環部分の拡大
アセトアミノフェン純度 98.4%(qNMR法)(測定3回のRSD=0.1%)
アセトアミノフェン試薬の純度分析をAQARI により分析を行った結果を示します。qNMR標準物質(内標準物質)には1,4- ビストリメチルシリルベンゼンd4 標準物質を使用しました。アセトアミノフェンに由来する 1H信号として、CH3 基の信号を使用することとし、式 (1)*8 に従っ
I=信号強度(積分値)、H=プロトン数(官能基の水素の数)、m=質量(秤量値)、M=分子量、P=純度(%)
式(1)
AQARI の活用例
*8参考文献:杉本直樹、田原麻衣子、末松孝子、三浦 亨 食品衛生学会誌 2012,53(2),J228-J233「NMRによる有機化合物の絶対定量の可能性」
Code No. Code No. 規格 容量
024-170311,4-BTMSB-d4 標準物質 TraceSure®
50mg
020-17033 50mg×4
044-31671DSS-d6標準物質 TraceSure®
50mg
040-31673 50mg×4
048-33271 ジメチルスルホン標準物質 TraceSure® 100mg
135-17951 マレイン酸標準物質 TraceSure® 100mg
093-06731 定量NMR用内標準物質セット(4種) 定量NMR用 1セット
634-29181 3,5- ビストリフルオロメチル安息香酸(1H,19F 用) NMIJCRM4601-a 200mg
041-33641 DSS-d6標準溶液 (500mg/LD2O) 定量NMR用 1ml×5A
た解析を行い98.4%となりました。このようにAQARI は純度分析・不純物の確認を同時に行うことができます。さらに、経時変化などの情報を得ることが可能であり、品質管理に広く活用できます。
< qNMR関連試薬の紹介>
詳しくは和光純薬工業株式会社のHPをご覧ください。http://www.wako-chem.co.jp/
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講習・セミナー 装置診断・定期点検・保守点検
実際に分析を行う際に必要なノウハウを講習やセミナー、ワークショップ、メールマガジンなどを通してサポートします。試料調製から分析値を得るまで、お気軽にお問い合わせください。
DeltaforqNMRご好評いただいているNMR解析ソフトウェアでqNMR解析ができます。AQARI/PULCON/QUANTASに対応しています。ソフトウェアはHPよりダウンロードできます。
PurityProAQARI に対応しています。複数のデータに対して、一度に処理 - 計算 - 確認を行えます。
装置の性能確認を行います。qNMR測定による確認(オプション)も承ります。(P6参照)
コンプレッサ型長時間低温ユニット液体窒素を使わずに容易に低温を実現できます。低温測定が必要な試料などの長時間積算に適しています。吹き出し口の温度は環境に依存しますが、室温より 20-25℃低い温度付近まで可能です。
オートサンプルチェンジャー(JackBean シリーズ)繰り返し測定を行う場合にはオートサンプルチェンジャーをお薦めします。試料テーブルの選択により、30本、64本、100本をお選びいただけます。手元にセットした試料をマニュピレータにより超電導磁石へ搬送するため、試料交換時の階段昇降が不要です。また、NMR試料管に直接触れることのない設計になっているため、様々な管径、形状の試料管を安全に搬送できます。
スーパドライヤ高分子分離膜式エアドライヤによって圧縮空気の露点を極限まで下げるユニットです。水蒸気由来の水信号を検出不可能なレベルまで低減することができます。水信号の近傍に定量したい信号がある場合にはお薦めです。
処理・解析ツール 装置オプション
DeltaforqNMR
PurityPro
内標準法も外標準法も可能なシステムです。様々なオプションやサポートをご提案します。
日本電子の qNMR 分析システム
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装置バリデーション
装置パフォーマンスが正常に保たれていることは、分析結果を評価するための必須条件です。日本電子では、qNMR分析を実施するにあたり、分析結果の信頼性を確保するためにもご要望に応じた装置バリデーションをご提案いたします。
基本点検は測定感度や分解能などお使いの装置の基本スペックを確認します。すべての装置が対象です。
品質管理において分析機器に要求されることとして、装置バリデーションがあります。この中で設置時、装置に必要とされる性能・機能がえられているかを確認し、文書化することを IQ またはOQといいます。点検内容は提案Aと同じです。
適格性確認用 qNMRサンプルを使用して、実際に測定を行います。基本点検(1H,13C)に加え、測定結果の積分値の比較、繰り返し精度を確認します。
提案 A 基本点検 提案 B IQ/OQ 提案 C qNMR
qNMR分析システム・サポートの導入事例
和光純薬工業株式会社 試薬化成品研究所様
平成 25年(2013 年)、東京工場がNMRによる含量試験について、日本で始めて国際標準規格である ISO/IEC17025に適合した試験所認定を取得しました。和光純薬は qNMRをベースとした品質保証と海外展開を拡大、そして、研究開発型企業として、これからもお客様の期待に沿った付加価値を提供し、研究成果に感動していただけるような、お客様のイノベーションを支援していくパートナーを目指しますと副所長の大野氏は言います。
品質管理に qNMRを活用されていることから、IQ/OQならびに定期点検を一年に一回実施させていただいています。
600MHzNMR装置
認定書
和光純薬工業株式会社(以下、和光純薬)でのqNMRの導入は、試薬の含量を保証するための精度の高い分析方法がないということがスタートでした。近年、分析の信頼性を確保するために標準品の需要が高くなっている一方で、標準品の整備には時間とコストが掛かっていました。このような中、NMRによる純度試験(qNMR)や安定性試験を活用することで、世界にも通用する信頼性の高い保証が可能となりました。和光純薬ではNMR装置は担当者による管理を実施し、また使用に関しても社内教育の後、力量評価を行い、合格した者しか qNMRは使えないという体制を取っています。東京工場内にある試薬化成品研究所では日本電子製の600MHz と 400MHz の NMR装置を導入。600MHz は研究開発に、400MHz は生産現場を中心にと、用途をわけて使用しています。600MHz は分解能が高く、感度も担保できるため、微量の試料で分析することが可能となり、より効率的に研究開発を行うことができるようになりました。
品質保証に qNMR が行われている例
明確に含量を値付けされている標準品を使用することは、クロマトやMSの定量分析結果の信頼性を確保します。ここでは実例として品質管理において、qNMRによる標準品の値付けの例をご紹介します。なお、新規化合物など標準品が手に入らない分析試料の値付けに qNMRは活用できます。
品質保証に qNMRが行われている試薬1:局方生薬標準品
第16局改正日本薬局方第二追補では、ゲニポシド、マグノロール、ペオノール、マグノフロリンヨウ化物について「試薬・試液等」の項に「定量NMR(qNMR)純度規定」が設定されました。和光純薬工業株式会社では定量NMR(qNMR)純度規定に適合した定量値(純度)を保証した製品を販売しています。製品1本毎に、NMRチャートが記載された現品説明書が添付されています。
品質保証に qNMRが行われている試薬2: 各種標準品
和光純薬工業株式会社では、局方標準品以外に残留農薬試験用標準品、マイコトキシン試験用標準品、動物医薬品標準品など、約400品目の標準品について qNMR含量で品質を保証されています。
現品説明書 (HPLC) 現品説明書 (NMR)
詳しくは和光純薬工業株式会社のHPをご覧ください。http://www.wako-chem.co.jp/
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適格性確認用サンプル
成 分:ビンクロゾリン・BTMSB-d4/DMSO-d6 溶液使用目的:qNMRにおける定期点検 または日常点検添付資料:試料調製情報
サンプルは内標準物質と分析試料が溶液としてNMR用に試料調製されていることが特長です。このサンプルを使用して、実際に qNMR測定を行い、現状のパフォーマンスを確認することができます。サンプルのみの購入も可能です
日本電子株式会社品名: 適格性確認用サンプルNo.1 P/N781200041
1,4-BTMSB-d4
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3
3
4
4
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最新分光計 NMR spectrometer Z の qNMR はここが違う!
1 qNMR 用測定が標準搭載
qNMR測定の基本条件となるパラメータが設定されたシーケンスが標準で入っています。13Cデカップリングも設定可能です。
2 自動測定ツール
繰り返し時間を定量測定用に最適化する際にはT1 縦緩和時間測定が必須です。DeltaV5.1 ではT1 測定と 1H-NMR測定を自動化して、サンプル毎にT1 を自動で最適化して qNMR測定を行えるツールが入りました。
パラメータ例
1)t1_tau_interval T1 測定のパラメータ2)t1_solvent T1 を計算する際に除く溶媒3)t1_range T1 を計算する際に使用する範囲4)t1_multipler T1 測定で得られた結果に対する係数 (5であればT1×5が qNMR測定 で設定されます)5)Carbon_decoupling qNMR測定のパラメータをONに すると 13C サテライトがデカップ リングされます。
3 測定後、その場で qNMR 解析が行えます。
無料配布版 Deltav5.04以降でも定量解析ツールは使用できますが、Deltav5.1 ではオペレーションを行うバージョンでも qNMR解析が行えます。
測定MethodQuantitativeAnalysis–T1&ProtonqNMR
設定パラメータ
おすすめ参考図書
「qNMRプライマリーガイド」 共立出版社
qNMRプライマリーガイドワーキンググループ著ISBN:978-4-320-04449-4版型A5ページ数 192発売日2015年 05月 23日本体価格 2,700円
【主要目次】第1章qNMRの概要第2章内標準法第3章外標準法第4章知っておきたい基礎知識第5章qNMRの実例
標準物質 分析試料
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AQARI も PULCON もQUANTAS も Delta V5 ですぐに処理・計算できます!
日本電子の qNMR 解析ソフト ①「Delta for qNMR」
AQARI:AccuratequantitativeNMRwithInternalreferencesubstance(内標準法)PULCON:Pulselength-basedconcentrationmeasurement(外標準法)QUANTAS:Quantificationusinganartificialsignal(人工信号を使った外標準法)
定量解析ツール(試料情報入力画面)
“Delta for qNMR” の主な機能
1. 1DProcessorでモル濃度の計算・表示可能(AQARI,QUANTAS対応)
2. 定量解析ツールでモル濃度、純度の計算可能(AQARI,PULCON,QUANTAS対応)
3. 定量解析ツールで分析試料中の複数成分(混合物)の解析が可能
4. 定量解析ツールで波形分離データの利用可能
5. レポート機能による印刷可能
6.1DProcessor で QUANTAS用の人工信号を作成
人工信号を作成する条件(位置・強度・信号幅・ファクタ)
定量解析ツール (結果画面) 1DProcessor人工信号入力画面
平均値をとりたい信号にチェック
標準物質 分析試料
定量分析ではデータ処理だけでなく、積分値や試料情報を計算式に入れて計算結果を得なくてはなりません。データ処理と計算をするソフトウェアが異なるのは大変面倒で、人為的なミスを引き起こしやすくなるかもしれません。
Delta は弊社HPから無料でダウンロードできる、データ処理ソフトウェアで、お気軽にお持ちのパソコンでお試しいただけます。
今すぐ ⇒ http://www.j-resonance.com
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複数のデータを一括処理・解析、気になった結果は分析値とスペクトルと連動して確認できます!
日本電子の qNMR 解析ソフト ② 「Purity Pro」
“Purity Pro” の主な機能
1. qNMR分析における解析がデータ処理と同時に実行可能(AQARI による純度・モル濃度分析に対応)
2. 分析試料中の複数成分(混合物)の解析が可能
3. 解析しようする化合物の情報、解析情報が保存可能
4. 一度に複数のデータを同一条件で処理・解析可能
5. 気になる結果はスペクトルと連動して確認可能
6. 解析結果は表計算ソフトへコピーすることが可能
7. 処理・解析後の結果は txt,csv 形式で保存可能
8. 解析結果に対して、データの追加・削除が可能
定量分析では正確な分析値を得るために繰り返し測定や複数サンプル測定を行うため、解析するデータが多数得られることになります。従って、多数のデータを上記のスキームで行うことは大変な作業です。
PurityPro は多数のデータに対して、一度に処理 - 解析 -確認を行えるので、qNMR分析を強力にサポートします。
気になる結果はスペクトルと連動して確認可能!
気になる結果をダブルクリックすると・・
計算処理部
データ処理部
信号が連動して表示されます
No.R2201G527C(Bn)