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Title 衝突噴流の時・空間温度および流動場の可視化による熱伝達特性に関する実験的研究( 第1章~第2章 )
Author(s) 松田, 昇一
Citation : 1-125
Issue Date 2000-01
URL http://hdl.handle.net/20.500.12000/5749
Rights
衝突噴流の時司空間温度および流動場の可視化による
熱伝達特性に関する実験的研究
2000年1月
日異松臼鼻  ̄=
目次
第1章緒論
記号
17
0●
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■●。
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CS
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円形衝突噴流..・・・-........・・・・・・・・・・・9
2.1緒言-.............・・・・・・・・・・・9
2.2実験装置および実験方法.・・・・・・・・・・・・・・・・10
2.2.1実験装置・…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
2.2.1.1熱伝達率測定用の実験装置・・・・・・・・・・・・10
2.2.1.2流動場の可視化用実験装置・・・・・・・・・・・・11
2.2.1.3赤外線映像装置による温度分布測定用の実験装置・・11
2.2.1.4円形衝突水噴流の温度および流れの可視化実験装置・12
2.2.2実験方法・・・・・・・・・・・・..・・・-...14
2.2.2.1最大速度の減衰および噴口断面の速度分布の測定・・14
2.2.2.2熱伝達率の測定.・・・・・・・-......14
2.2.2.3泊膜法による可視化写真の撮影-.......15
2.2.2.4赤外線映像装置による熱伝達率の測定・・・・・・・15
2.2.2.5円形衝突水噴流の温度および流れの可視化方法・・・15
2.3実験結果および考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
2.3.1円形衝突空気噴流による熱伝達特性..…・・・・・・16
2.3.1.1自由噴流の流れ特性・・・・・・・・..…・・・16
2.3.1.2半径方向局所熱伝達率分布・-.........19
2.3.1.3衝突平板上の流動場の可視化・・・・・・・・・・・19
2.3.1.4赤外線映像装置による熱伝達特性・・・・..…20
2.3.1.4.1衝突平板上の温度分布・・・・・・・・・・・20
2.3.1.4.2半径方向の局所熱伝達率分布・・・・・・・・21
2.3.2円形衝突水噴流による熱伝達特性・-........22
2.3.2.1流れ特`性..・・・-.............23
2.3.2.2衝突平板上の温度分布・・・・・・・・・・・・・・23
第2章
1
2.3.2.3流動場と温度場の相関・・-..........2s
2.3.2.4岐点熱伝達率の流れ方向変化・・・・・・・・・・・26
2.3.2.5平均熱伝達率特性・・・・・・・・・・・・・・・・26
2.4結言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
第3章 長円形衝突噴流・・・・・・・・・・-............46
3.1緒言・・・・・・・・・・・・・・-..........46
3.2実験装置および実験方法..・・・・・・・・・・・・・・・46
3.2.1実験装置・・・・・・・・・・-..........46
3.2.2実験方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47
3.3実験結果および考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48
3.3.1速度.乱れ強さの分布・・・・・・・・・・・・・・・・48
3.3.2長軸・短軸方向の局所熱伝達率分布・・・・...・・・49
3.3.3等熱伝達率線図・・・・・・-...........50
3.3.4衝突平板上の流動場の可視化・・・・・・・・..・・・51
3.3.5衝突平板上の速度.乱れ強さの分布・・・・・・・・・・51
3.3.6赤外線映像装置による熱伝達特性-.........53
3.3.6.1衝突平板上の温度分布・・・・・・・…..・・・53
3.3.6.2長軸・短軸方向の局所熱伝達率分布・・・・・・・・54
3.3.6.3ヌツセルト数の流れ方向変化・・・・・・・・・・・55
3.3.6.4赤外線映像と等熱伝達率線図との比較-.....55
3.4結言・・・・・・・・・・・-.............55
第4章十字形衝突噴流・・・・・・・
4.1緒言.・・・・・・・.
4.2実験装置および実験方法
4.2.1実験装置・・・・.
4.2.2実験方法・・・・.
4.3実験結果および考察..
4.3.1速度.乱れ強さの分布
8888900
6666677
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●C
OC
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O●
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CO
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CC
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C
OC
O●
●C
D
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■●
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◆◆
●●
●
●■
B●
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11
4.3.2局所熱伝達特'性・…・・・・・・・・・・・・・・・・71
4.3.3等熱伝達率分布と流れの様子との対応-.......72
4.3.4赤外線映像装置による温度場の可視化・・・・..・・・73
4.3.5岐点熱伝達率・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・74
4.4結言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75
第5章 長円形2噴口の衝突噴流・・・・・・・・・・・・..…・・・・86
5.1緒言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・86
5.2実験装置および実験方法・・-..............86
5.2.1実験装置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・86
5.2.2実験方法-.............・・・・・・・87
5.3実験結果および考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88
5.3.1噴流の長・短軸方向の速度および乱れ強さ分布..・・・88
5.3.2噴口間距離S/Lを変えた場合の短軸・長軸方向の
局所熱伝達率分布・・・・・・・・・・・・・・・・・・89
5.3.3噴口出口速度による局所熱伝達率の変化・・・・・・・・90
5.3.4等熱伝達率線図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92
5.3.5衝突平板上の流動場の可視化・・・・・・・・..・・・93
5.3.6赤外線映像装置による熱伝達特性・・・・・・・・・・・93
5.3.6.1衝突平板上の温度分布・・・・・・・・・・・・・・93
5.3.6.2長軸・短軸方向の局所熱伝達率分布・・・・・・・・95
5.3.6.3長円の2噴口と単一長円形噴口との
等熱伝達率分布の比較・・・・-........97
5.4結言.・・・・・・・・・・・・・・・・…・・・・・・・98
ヨ
第6章結論・・・・・・・
参考文献・・・・・
謝辞・・・・・・・
..・・・・・・・・・・・・・・・115
.・・・・・・・・・・・..・・・118
.・・・・・・・・・・・・・・・・’25
●●●
●
●●
111
第1章緒論
物体を加熱・冷却あるいは乾燥する場合に,大きな熱流束が必要なことから衝突噴
流が用いられる.衝突噴流とは噴口から流体を噴出し,固体面に衝突させるものであ
り,噴流が衝突する物体表面のよどみ点(岐点)近傍で大きな熱伝達率が得られ,熱
負荷の制御が容易である利点も兼ね備えていることから工学的に広く利用されている
(7).(8).一般的な噴流は噴口から出てしばらくは流れの展開領域にあたり,そこでは噴
流軸線上の平均速度が噴口出口速度を保っている比較的乱れの少ないポテンシャル・
コアが存在する.その後噴流外縁部の乱れが噴流軸に到達して噴流軸線上速度が減衰
し,ポテンシャル・コアが消え,噴流が完全に乱れた完全発達領域となる(,).高温壁
の冷却など,高い熱伝達率が必要な場合は,噴流を高速にし,かつ乱れが大きくなっ
た発達域の流れを衝突させる.逆に紙や電子機器などの基板上の高分子の水溶液に温
風を当てて薄膜を形成するときの加熱および乾燥は,噴流の乱れたところは適せず,
比較的乱れの小さいポテンシャル・コア領域で衝突させる.最近,電子機器の除熱促
進('0),高温鋼片の温度均一化(11),シートの乾燥等では機器の小型化に伴い,狭い空間
での衝突噴流が利用されている.しかし,従来は噴口と衝突平板間距離が比較的長く
噴流の発達領域を利用する研究が多く見受けられる.噴流は噴口の形やその出口状態
の僅かな差異によって流動場および熱伝達特性が大きく変わり,とくに噴口と衝突平
板間距離が短い場合に顕著となることはよく知られている.そのため,機器の高性能
化と制御を図るには,とくに噴口と衝突平板間距離が短い場合の噴流および衝突後の
流動を含めた全体の流動特性が温度場にどのように影響をおよぼすかを詳細に調べる
必要がある.
衝突噴流におけるもっとも簡単なノズル形状としては細長比ノズルによる2次元噴
流と,円形噴口による軸対称噴流がある.2次元噴流は噴口幅に比べスパン方向に十
分に長く,噴流の流動特性が流れ方向と噴口幅方向にのみに依存する噴流のことを指
しており,数多くの研究(12)-('5)がなされ,よどみ域における高い熱伝達率は壁面上に
存在する組織的な渦構造に基づく壁面からの熱輸送によることを示している.例え
ば,横堀らO`)は,2次元衝突噴流の可視化を行い,よどみ線(2次元噴流の場合は線
となる(岐線))と垂直かつ壁面に平行に軸を持ち噴口1幅と同程度の大きさを有する
縦渦が存在し,これが伝熱に大きく寄与することを示している.
-1-
軸対称の円形自由噴流の流動特性は,Hussainら(17)-(20)により詳しく調べられてお
り,噴流中の大規模な渦構造により支配されることを明らかにしている.それによる
と,噴口出口近傍に形成される円形の渦輪構造は,下流になるにつれ隣接する渦同士
の誘導速度により合体して大きなスケールの渦へと成長し,その後ポテンシャル.コ
アの末端において円周方向の3次元不安定性により波状に変形し小さな渦に分裂する.
円形衝突噴流による伝熱促進研究は,その流動特性およびそれによる衝突平板上の伝
熱特性が数多く(21)-(33〕調べられている.PoPielら(34)は噴口出口でほぼ_様な速度分布が
得られるノズル型とそうでないオリフイス型の噴口を用いて噴口形状の相違による噴
流特性および衝突熱伝達特性を調べ,ポテンシャル.コア領域内とそれ以降では,岐
点の熱伝達率へのレイノルズ数Reの依存性が異なることを報告し,縮流による流れ
の加速効果によりオリフイスがノズルの場合よりも高い熱伝達率を持つことを示して
いる.Gardonら(3s)はオリフイス型噴口を用い,噴口と衝突平板間距離が短い場合に
現れる局所熱伝達率分布の第1,第2ピークのうち,第2のピークは平板上の半径方
向流れの層流境界層が乱流への遷移によることを述べている.
これまでの衝突噴流による伝熱促進の研究の多くは,時間平均的な伝熱特性を扱っ
ている.しかし,たとえ軸対称の円形噴流の比較的乱れの少ないポテンシャルコア領
域でも,噴出した噴流と静止周囲流体との間にせん断摩擦が生じ,そのために流体は
不安定となり,噴流軸線上でも流れはすでに変動し脈動流となる.それに対応してこ
の噴流を垂直に高温壁に衝突させた場合の平板上の伝熱現象も時間的および空間的に
変化している・横堀ら(3`)は,軸対称噴流をポテンシャル領域内で平板に衝突させた場
合の衝突平板上の流動場を水素気泡法により可視化し,岐点近傍の流れ場はすでに乱
れを含む流れ場となっていることを示している.さらにポテンシャル.コアの消滅す
るところでは噴流外縁部に生じたせん断層の巻き上がりによる渦の乱れが噴流軸上に
到達し,急速に速度を減衰させ乱れは増加し流れ場は三次元変形を受け,必ずしも軸
対称な噴流とはならない.円能寺ら(37)‐(3,〕は,衝突噴流の工業利用において最も重要
な役割を果たすと思われる衝突領域の流動場を,ノズル直径,噴流速度,噴口と衝突
平板間距離,衝突角度などを種々変えて衝突領域全面における平均.変動速度,壁面
圧力などを測定し,その変動する流動特性を実験的および数値的に明らかにしてい
る土方ら(40)はホログラフィーを用いて変動する圧力場を可視化し,その圧力変動パ
ターンより伝熱促進に寄与すると思われる大きなスケールの渦が秩序的に衝かってい
-2-
ることを明らかにした.2次元噴流において伝熱に大きく寄与する縦渦は,軸対称噴
流の場合も類似の渦が放射状に生成されると思われるが,いまのところまだ明確には
確認されていない.
非円形噴流は円形噴流に比べ混合・拡散を促進させる手段として注目されている.
噴口出口に形成される渦糸の自己誘導速度は曲率半径に反比例するので非円形渦輪は
同一平面内に存在できず,流れ方向に歪むことになる(41),(42).このことは,非円形ノ
ズルから発生した噴流中の大規模渦構造の形成直後に3次元変形を受けることを示唆
している.非円形噴流の代表例である楕円形噴流の流動特性は円形噴流と同じく,噴
流中の大規模渦構造に支配され,その挙動に関する研究(43)-(4`)は数多くなされている.
楕円の渦構造の長軸側は短軸側より大きな曲率を持つため,長軸側の渦部は短軸側の
前方かつ渦中心方向に移動し,このために短軸側では曲率が大きくなり自己誘導速度
により外側方向に変形する.その結果,長径は減少し短径が増加し長短軸が入れ替わ
る(47)‐(so),この現象をaxesswitchingという.この変形は噴流の混合・拡散を促進させ,
ひいては非円形噴流を平板に衝突させた場合の伝熱特性を向上させると思われる.
Leeら(5')はアスペクト比2.14の楕円形オリフイス型噴口を対向する伝熱板に衝突させ
た場合の衝突平板上の温度場を感温液晶法を用いて可視化し,楕円形自由噴流の特徴
である長短軸が入れ替わるaxesswitching現象を衝突平板上の等温度分布図から明ら
かにした.この局所熱伝達率は噴口と平板間距離が小さい範囲で岐点以外に第2,第
3のピークが見られ,岐点最大熱伝達率は円形噴流と比較して周囲流体の巻き込みが
増えたために高くなったと説明している.しかし液晶による温度場の測定では液晶層
の熱容量に基づく応答遅れが支配的(52〕で,測定精度および応答性の問題があり変動の
激しい温度場の測定には向かないと思われる.一方,楕円形より鋭い角部を有する正
方形,三角形,長方形(53入(54)などの噴流は渦構造がさらに激しく変形し,著しい混合
の増大が見込める.豊田ら(55)‐(58)は,噴口を正方形,三角形,長方形(アスペクト比
=2,4)の非円形噴流中の渦構造の挙動を,染料を用いて可視化することにより明らか
にした.噴流中の平均速度分布および乱れ強さ分布を測定し,可視化結果と比較する
ことにより非円形噴流における混合促進効果は,非円形渦構造の変形・干渉過程で生
じる渦構造の伸長および分裂により発生することを明らかにした.さらに噴流を励起
することにより渦構造を操作し,噴流の断面積および流量を増大させることが可能で
あることを示している.そこでより非円形性の著しい十字形噴流の場合の渦構造はき
-3-
〆
らに激しく変形し,著しい混合の増大が期待される.豊田ら(59)は等しい辺を有する十
字形オリフイスからの噴流について,外部励起法を用いた可視化法により渦構造を詳
細に調べ,円形噴流との比較を行っている.それによると十字形渦構造では外向きの
角部と内向き角部があり,オリフイス出口直後に自己誘導速度により変形し,外向き
角部は平坦に,内向き角部は激しく突出し,axesswitching現象を起こす.円形噴流
と比べると十字形噴流では渦構造の変形・干渉・崩壊が激しいので,混合がさらに増
大することが期待される.とくに自己誘導速度と平均流の影響による渦構造の伸長,
小規模渦への分岐は混合を促進させることを述べている.藤田ら(60)-(`2)は種々のアス
ペクト比の有限長十字形噴流の平均流れ特性を測定し,ポテンシャルコアの伸びを2
次元噴流との関係で述べている.このように十字形噴流は他の噴流に比べ混合が激し
いので,十字形噴流を平板に衝突させた場合の伝熱特性もかなり向上すると思われる
が報告例(1),('.),(4)はきわめて少ない.
衝突熱伝達特性を向上させる-つの手段として,噴流と衝突平板との間に円柱等の
物体を挿入する方法がある("),(`4)Kataokaら(65)は噴口直径の4~6倍の位置に円柱群を
配置することにより,熱伝達率が最大L8倍程度高くなることを述べている.
これまでの衝突噴流はすべて単一噴口からの噴流についてであった.高速で移動す
る紙や膜のような平面を一様に加熱あるいは乾燥するためには,単一噴流でなく多数
の孔あるいはノズルから熱風を噴出させる噴流群が用いられる.ガスタービン翼や燃
焼室の高温壁の冷却にも千鳥あるいは碁盤目に配置された噴口からの噴流群が用いら
れる.その場合,隣接する噴流の周囲流体からの誘引量のいずれかの優劣によって引
き起こされる噴流軸の揺動,どちらかに軸が湾曲する双安定的な流動の他に,衝突し
た後に外部に流出する流れ(流出流)が,隣接の噴流の衝突を妨げるなどの現象が起
こる.衝突噴流群の噴口形状は主にその加工の容易さから円形が用いられるが(65)-(`8)
その配置によって非円形とする場合も考えられる.例えば,噴流と噴流の干渉および
噴流と流出流との干渉によって,単一噴流の局所熱伝達率より低い熱伝達率域が存在
するが,その領域の伝熱改善を図る必要性から非円形噴口の配置もある.円形噴口群
でも,その配置および噴口と衝突平板間距離によっては平板に衝突する前に非円形と
なっている場合がある.森ら(`,)は平行二次元流路内の-面を高温壁とし,その面に突
起を付設し,対向面より2次元噴流を当て,伝熱面の突起の配置が伝熱特性に及ぼす
影響を調べ,衝突噴流群の伝熱特性の改善を試みた.Obotら(70),Florschuetzら(7')は円
-4-
形噴流群を噴出させ,流出流が2次元および3次元流れ場となる場合に対して噴流と流
出流との干渉の程度を調べている.
最近の衝突噴流の研究では,コンピューター技術のめざましい進歩により新しい測
定技術が導入されている.菱田ら(72),(73)はレーザ誘起蛍光法(LIF:Laserlnduced
Fluorescence)と粒子像流速計(DPIV:DigitalParticlelmageVelocimeter)による温度と
速度の面的同時計測システムを開発,実用化し,対流熱輸送に関する諸量の時・空間
分布を捉えることを可能にしている.LIFは,励起させる光の強度が一定なら,蛍光
発光強度は温度だけの関数になるため,この特性を利用して温度を空間的に測ってい
る.DPIVは,流体中にトレーサとしての粒子を大量に入れ,その時々刻々の動きを
CCDカメラで撮り,その流れの速度ベクトル量を算出し,流動場を測定している.こ
のシステムで,2次元噴流を対向する伝熱面に衝突させた場合の流動場と温度場の同
時測定を行っている.その結果上流で生成された渦対が,渦度を増加させながら流下
し壁面近傍に滞在して,活発な温度境界層の界面更新により高い熱伝達率が得られる
ことなどを明らかにした.西野ら(74)は軸対称衝突噴流の流動場をPTV(ParticleTrack‐
ingVelocimeter)の手法を用いて測定した.PTVとはLowlmageDensityPIVともい
われ原理的には前述したDPIVと同じである.
本研究では衝突噴流群による伝熱機構の解明と伝熱促進・制御を目的としている.
衝突噴流群の流動特性は先に述べたように単一の衝突噴流の流れの様子とはかなり異
なるが,実際に用いるには個々の噴流の流動および衝突熱伝達特`性を明らかにする必
要がある.
そこで第2章では,噴流群において最も使われている軸対称の円形噴流について,
その流動特性および衝突熱伝達特』性を解析した.なお噴口出口速度を変化させた場合
の平均熱伝達特性は空気噴流を用いて衝突平板上に設置された熱電対により測定し
た.時・空間的な熱伝達特性は,瞬時に平板全面の温度分布を捉えることのできる赤
外線映像装置により測定した流動場と温度場の関係を時・空間的に調べ,伝熱機構
の解明とそれらの相似則を知るために,作動流体を水とし,流れ場に染料を注入する
ことで可視化し,同時に前述の赤外線映像装置により温度場を測定した.これにより
流動場と温度場の関係を明らかにした.
第3章では,非円形噴流としては正方形,三角形,長方形等があるが,その中でも
角部を持たない最も単純でaxesswitching現象をもち,噴口の曲率半径が連続的に変
-5-
化するアスベクト比3:1の長円形を採用し,その流動特性および衝突熱伝達特性を調
べた.これの特性を解明することが非円形噴流を知る基本になると思われる.その
結果,非円形噴流の曲率の異なることによる渦輪の変形が温度場にあたえる影響等を
明らかにできた.伝熱板上に写しだされるaxcsswitching現象を,速度分布形状,抽
膜法による流動場の可視化平均熱伝達率分布,赤外線映像より明らかにした.
第4章では,3章の噴口形状と比べ非円形が著しい十字形オリフイスからの噴流につ
いて,その流動特性および衝突熱伝達特性を解析し,岐点熱伝達率は円形,長円に比
べて下流まで増大し,平均的な熱伝達率が向上することを述べた.
第5章では,噴流群の基礎となる単純な2噴流の場合の,噴流と噴流との干渉,噴流
と流出流との干渉等を明らかにし,噴口と衝突平板間の距離によるそれぞれの干渉域
での伝熱機構,両噴口の間隔を変化させた場合の流動特性と伝熱特`性を関係づけ考察
し,実験式を提案した.これら一連の円形,長円形,十字形の単一噴流の衝突熱伝達
特性や長円形2噴流の干渉域での衝突熱伝達特性を示すことにより,衝突噴流群の応
用への基礎的資料になると思われる.
最後に第6章で本論文の結論を示す.
-6-
記号
:半値幅[mm]
:相当直径;噴口断面積をぬれ縁長さで除した値の4倍の長さ
b
,
(円形噴口の場合は噴口直径)
:渦の発生周波数
r局所熱伝達率
:長円形噴口の短軸長さ
:ヌツセルト数(=hxD/入)
:熱流束
:噴流レイノルズ数(=UbD/v)
[mm]
f [1/s]
[W/(m2K)]hX
L [mm]
Ⅳu
[W/mzl9
Re
:半径方向距離
:水平方向(短軸方向)距離
:垂直方向(長軸方向)距離
:噴口間距離
:ストローハル数(=f、/Ub)
:噴口板厚さ
:伝熱面温度
:噴流温度
:噴流軸方向速度
:噴口出口速度
:最大速度
:半径方向速度
[mm]
[mm]
「
'1V
[mm]rv
S [mm]
Sf
f Imm]
fw [K]
[K]
[WS]
;
U
副
乢咄
[m/s]
[m/s]
[m/s]〃
行,、噴流軸方向および半径方向の乱れのRMS値 [m/s]
-7‐
:半径方向速度
:噴口と衝突平板間距離
:衝突平板からの垂直方向距離
:水平軸を基準にした場合の噴口回転角
V [m/s]
X [mm]
Z [mm]
0 [deg]
[W/mKl
[mVS]
[kg/m3]
[IWm2]
:流体の熱伝導率
:流体の動粘性係数
:流体の密度
:レイノルズ応力
入
V
P
で
-8-
第2章円形衝突噴流
2.1緒言
衝突噴流によるガスタービン翼や燃焼室の高温壁の冷却には単一の噴流でなく,千
鳥あるいは碁盤目に配置された噴口からの噴流群が用いられるが,噴流による伝熱促
進および制御を行うためには単一噴流の諸特性を明らかにする必要がある.噴流群は
主に円形の噴口形状が用いられる(66)-(`8),(701(71).円形噴流特性は噴流中の大規模な渦構
造により支配され,その特徴が明らかにされつつある('7〕-(20)
噴流は噴口の形状や噴口出口状態の僅かな差異によってその流動場および熱伝達特
性が大きく変わり,とくに噴口と平板の間隔が短い場合に差異は顕著となる.軸対称
の円形噴流は,比較的乱れの少ない噴流軸線上の平均速度がノズル出口速度を保って
いるポテンシャル・コア領域でも,噴流と静止周囲流体との間にせん断力が働くため
流動場は不安定となり,噴流軸線上でも流れはすでに脈動流となる.さらにポテン
シャル・コアの消滅するところでは噴流外縁部に生じたせん断層の巻き上がりによる
渦の大きな乱れが噴流軸上に到達し,激しく流動場を擾乱させ,その流れ場は3次元
変形を受け,軸対称な噴流とはならない.横堀ら(36〕は,軸対称噴流をポテンシャル・
コア領域内で平板に衝突させた場合の衝突平板上の流れ場を水素気泡法により可視化
し,岐点近傍の流れ場はすでに乱れを含む流れ場となっていることを示している.
衝突熱伝達の研究の多くは,時間平均的な流動・伝熱特性を扱っている.しかし,
円形噴流でも噴流外縁のせん断流れにより生じるリング状の渦の影響でその流動特性
は変動し,それに対応してこの噴流を垂直に高温壁にぶつけた場合の平板上の伝熱現
象も時間的に,空間的に変化していると思われる.このように時間的・空間的に変動
している流動場における伝熱特性を知るには,流動場と温度場の同時測定あるいは流
動場の詳細な流れ挙動を知る必要があると思われる.
そこで本章では,流動場の変動が比較的大きい噴口と平板間の距離が小さな範囲
で,単一円形噴流を対向する平板に衝突させた場合の衝突平板上の温度分布を,瞬時
に平板全面の温度分布を測定できる二次元配置のインジウム・アンチモン(InSb)セン
サーを搭載した赤外線映像装置を用いてリアルタイムに測定する.これにより時・空
間的に変化する伝熱現象を捉える.ここでは比較的取り扱いが簡単である空気噴流を
用いて,噴流の流動特性および温度場の特性を調べ,つぎにそれらの伝熱機構を水噴
-9-
流を用いて,流動場と温度場の同時可視化により明らかにした.
まず空気の単一円形自由噴流の基本的な流動特性を知るために,噴流軸線上の最大
速度の減衰と下流の各断面における噴流の速度分布など平均的流れ場を測定した.平
均的な熱伝達特性は衝突平板に設置された熱電対で種々の噴口速度に対して平板全面
で測定したさらに衝突平板上の流動場を油膜法により可視化した.
つぎに水噴流を対向する平板に垂直に衝突させ,平板上の流動場と温度場との関係
を調べた.水槽内で噴流を対向する高温壁に衝突させ,流動場はトレーサーとして
Fluoresceinを用いた注入流脈法で可視化し,それと同時に前述の赤外線映像装置を用
いて平板上の全面の温度分布をリアルタイムに測定した.
これらの結果より単一の円形衝突噴流の流動場と温度場の関係を解析し,衝突熱伝
達特'性の最も基本となる円形噴口による伝熱機構を明らかにする.
2.2実験装置および実験方法
2.2.1実験装置
2.2.1.1熱伝達率測定用の実験装置
空気噴流の場合の実験装置の全体図を図2.1に示す.この装置は第3章,第4章お
よび第5章においては噴口部および衝突平板部を取り替えて用いる.実験装置は大別
して4つの部分,送風部,ダクト部,噴口部,衝突平板部からなる.送風機から送り
込まれた空気は,ダクト部を経てダクト出口に接続した噴口部より噴出し,対向する
平板に垂直に衝突する.
送風機は吹き出し型遠心送風機を利用しており,手元のコントローラーによって回
転数を200~800rpmに制御することにより所定の噴口速度に設定が可能である.
ダクトは,直径’200mmの塩化ビニール管1000mmと透明アクリル管800mmをフ
ランジ接続したもので,その全長は1800mmである.
噴口部および噴口形状を図22に示す.噴口部のノズルは一様加速の条件の
Witonszynazikiの手法により,‘200mmから’60mmに絞った.これによりノズル出
口の速度分布は噴口全面にわたってほぼ一様になる.ノズル出口には平行部120mm
の円管を取り付け,その端面に種々の噴口が設置出来るようにした.噴口形状は直径
-10-
D=15mmの円形オリフイス型噴口を用いた.なお噴口から衝突平板までの距離をXと
し,図中に示すように円形では中心軸から半径方向をrとした.
噴流が衝突する衝突平板は直径'400mmのアクリル製円盤を用い,その平板の中央
部に200mm×300mmの伝熱板を面一になるように設置した.伝熱板はベークライト
板に,21mm×300mm,厚さ301mのステンレス箔9枚が直列に接続されている.伝
熱面は直流電源により通電加熱し,熱流束9一定の条件が保持されている.この伝熱
面はステンレス箔の電気抵抗を増大させるために,9枚に分割し,噴口速度の大きい
場合でも噴口と壁面との温度差が生じるようにした.伝熱面の温度は図2.3示す伝熱
面中央位置のステンレス箔裏面にほぼ10mm間隔でハンダ付けされた21本の銅一コン
スタンタン熱電対(O701Lm)により測定した.空気噴流を衝突させた場合の熱電対に
よる平均的熱伝達率の測定には,本章,3,4,5章を通してこの装置および伝熱板を用
いた.
2.2.1.2流動場の可視化用実験装置
噴流が衝突する平板上の流動場が噴口と平板間の距離xのによってどのように変化
するかを調べるために,平板に抽膜を塗布し,それを一定時間流れにさらした後に抽
膜の残粒により流跡をみる油膜法によって可視化を行った.衝突平板上の流れの流跡
をより鮮明に可視化するための装置を図2.4に示す.装置は三脚,可視化用衝突平板,
噴口部およびチャンバー部からなる.三脚は噴口平板間距離を自由に変化させること
ができる.可視化用衝突平板は直径○300mmのアルミニウム製円盤を使用し,その表
面は黒色に塗装した.さらに衝突平板の表面に流れに対する抵抗を小さくするため,
透明セロハンを接着した噴口部は,熱伝達測定の噴口と同一のものである.
2.2.1.3赤外線映像装置による温度分布測定用の実験装置
実験は熱伝達率測定用実験装置の噴口部と衝突平板部を取り替えて行った
図2.5に実験装置の概略,噴口形状および温度分布測定用の赤外線映像装置の配置
を示す.噴口形状は直径医10mmの円形オリフイス型噴口を用い,噴口から衝突平板
までの距離をX,噴流中心軸から半径方向距離をrとした.
赤外線映像装置は日本アビオニクス社製のTVS-8200を使用した赤外線センサー
には水平160×垂直120素子のインジウム・アンチモン(InSb)が搭載され,掃引速度
-11-
l/100秒程度で衝突平板全面の温度分布を熱画像として取り込み最大1/52秒のフレー
ムの間隔で温度分布を映す非接触型のものである.測定可能温度範囲は-40~2000°C,
最大温度分解能は0025°Cで,瞬時視野角は2,radである.この装置の応答性,空間
分解能は本実験の範囲では時・空間的な測定に適していると思われる.
赤外線映像装置による温度分布測定用の衝突平板の詳細図を図2.6に示す.衝突平
板は高さ140mm×幅270mm×厚さ10mmのベークライト板に真後ろから温度分布が
測定できるように110mm×90mmの観察用の窓を設けた.伝熱面は厚さl0lLmステ
ンレス箔(100mm×280mm)を衝突平板に張り付けたものであり,直流電源により通
電加熱して熱流束一定の条件が保持されている.なお,この実験条件下でのステンレ
ス箔(SUS-304)の時定数は約0.15s~020s(75)の範囲である.ステンレス箔裏面は放射
率がほぼ1で,反射が起こらないようにつや消しの黒色塗料をペイントした赤外線
をほとんど透過させるポリ塩化ビニリデン・フイルムを張り付けたプラスチック板を
ステンレス箔と平板との間に1mmの隙間ができるように差し込こんで,観察用窓に
おけるステンレス箔裏面からの熱散逸を防いだ.ステンレス箔表面には銅一コンスタ
ンタン熱電対O701Lmが取り付けられており,赤外線によりその部分の温度を真後ろ
から測定できるように直径@10mmの穴を設けた.この熱電対の測定値を用いて赤外
線映像装置による温度測定の補正を行った.
2.2.1.4円形衝突水噴流の温度および流れの可視化実験装置
本実験ではステンレス箔を熱板として用いるため,熱板の時定数を小さくするため
に作動流体として水を用いた.流動場と温度場測定用の実験装置の全体図を図2.7に
示す.実験装置は大きく分け,噴流貯水用のメインタンク,整流用のチャンバー,噴
流観測用水槽からなる.水は水道水から水位を一定に保つことの出来る噴流貯水用の
メインタンクに流れ込み直径’20mmのパイプを経て整流用のチヤンバーに流れ込む.
整流された後に端部に噴口が取り付けられた砲金製の直径○60mm,長さ550mmの噴
口部を経て噴流観測用水槽に水が流れ込み,水槽上部に設けられた4つの排水管によ
り均一に排水する.
噴流貯水用のタンクは0550mm,高さ470mm円筒型タンクで,水位を一定に調整
するために,水槽底面からある高さに排水用のパイプを設け,overflowするように
した.
‐12-
流れを整流するためのチヤンバーは直径○250mm,高さ400mmで,厚さ30mmの
スポンジを敷き詰めた.
噴流観測用水槽の概略図を図2.8に示す.水槽は厚さ10mmと20mmのアクリル製
平板で作られた高さ375mm×横440mm×縦440mmの立方体で,その上部に,噴口
軸に対して直角に衝突平板を取り付けた.水槽内部には厚さ5mm,内径’300mm,高
さ270mmのアクリル製円筒を取り付け,その内側,外側全部を水で満たした.水槽
内の流れ場をカメラ等で撮影する際,また水槽外部から照明する場合,歪みや反射で
像が歪んだり,照明にムラが出来るが,これを防ぐために水槽内部に前述のアクリル
製円筒を取り付け,歪みや反射を少なくした(76).
噴口と衝突平板の詳細図を図2.9に示す.噴口部は外径‘60mm,内径○50mmの砲
金製円筒の端面に,直径060mm,厚さ2mmの銅製円盤の中央部に直径D=9mmの穴
を角部がシャープになるよう'慎重に加工したオリフイス型噴口を取り付けた.衝突平
板は直径0266mm,厚さ10mmのアクリル製円盤で,真後ろから温度分布が測定でき
るように直径‘80mmの観察用の窓を設けた.伝熱面は厚さ3011mステンレス箔
(100mm×260mm)を衝突平板に張り付けたものであり,直流電源により通電加熱し
て熱流束一定の条件が保持されている.作動流体を水に換えたことにより熱伝達率が
10倍以上に増加したので,この実験条件下での厚さ3011mのステンレス箔(SUS-304)
の時定数は,約0.04s~0.05s(7s)となる.ステンレス箔裏面は空気の実験と同様に放射率
がほぼ1で,反射が起こらないようにつや消しの黒色塗料をペイントした観察用窓
におけるステンレス箔裏面からの熱散逸を防ぐために赤外線の透過率がlに近いポリ
塩化ビニリデン・フイルムを観測面裏側に取り付けた.
温度分布測定用の赤外線映像装置は空気噴流の場合と同じく日本アビオニクス社製
のTVS-8200を使用した.流動場の可視化写真の撮影にはNikonF4とSONYCCD-
WOOを用いた.光源はスライドプロジェクタ(1000W)を利用して,前面にスリッ
トを置き,平面光を観測面に当てる.
放射率の測定は上記の衝突平板と同じ伝熱面積を持つ平板を用いる.図2.10に放射
率測定用の平板を示す.平板は縦180mm×横180mm×厚さ10mmのアクリル板に厚
さ30仏mステンレス箔100mm×260mmを張り付けた.なお真後ろから温度分布を測
定できるように100mm×80mmの観測用窓を設けた.また上記の熱板と同じく観測
用窓裏面につや消しの黒色塗料をペイントし,ポリ塩化ビニリデン・フイルムを観測
-13-
面裏側に取り付けた.さらにその観測用窓内のステンレス箔裏面2箇所に銅一コンス
タンタン熱電対○70lLmを取り付けた.この熱電対により,伝熱面の温度を測定し放
射率を求める.これにより本実験条件下での放射率はほぼB=0.97となる.
2.2.2実験方法
流動場の特性および熱伝達特性を,噴口の相当直径Dと噴口と平板問距離Xとの比
XZDを変化させて速度および衝突平板上の局所熱伝達率を測定することで明らかにす
る.噴口出口速度はあらかじめ検定しておいたダクト部の静圧と噴口静圧を一定と
し,同一の噴口圧力のもとで同一の速度とした.
2.2.2.1最大速度の減衰および噴口断面の速度分布の測定
円形噴流の噴流軸上の最大速度の減衰および噴口断面の速度分布はピトー管。
2.4mmを用いて測定した最大速度の減衰はポテンシャル・コアが消滅すると思われ
るX7Dが4~5を含むX7D=0.5~12の範囲で,噴口断面の速度分布はその変動が比較的
大きいXZD=0,1,2,3,45の位置で測定した.
2.2.2.2熱伝達率の測定
衝突平板の加熱板はステンレス箔に3.35A×12Vの直流電流で通電加熱し,熱流束
9=710W/m2の一定条件とした.衝突平板壁面における局所熱伝達率hxは加熱板中央
部のステンレス箔裏面にハンダ付けされた21本のp701Lmの銅一コンスタンタン熱電
対により局所壁面温度を測定し,次式により算出した.
hx=Ww-l:i) .・・・・・・・..・・・・・・・・(2.1)●
ここで9は熱流束,twは衝突平板の壁面温度,;は噴口出口での主流温度でありダ
クト内に挿入されたO70umの銅一コンスタンタン熱電対により測定した.また衝突平
板を平行に5mmずらすことにより噴流に対して熱電対の相対位置をずらし,合計42
点で熱伝達率を求めた.作動流体は空気を用いてレイノルズ数Re(=UbD/v)=15×
104~3.5×104の範囲で衝突平板をxZD=l~12に変化させて測定を行った.
-14-
2.2.2.3抽膜法による可視化写真の撮影
衝突平板の壁面全体の流れ特性を詳細に知るために図2.4に示す装置を用いて油膜
法による可視化を行った.油膜法に用いる油膜は,油(亜麻仁油),顔料(酸化チタン,
白色)および顔料粒子の凝固を防ぐための添加剤(オレイン酸)などによる混合物であ
る.この混合物を可視化用衝突平板に塗布し,衝突平板下方に設置した噴口から噴流
を上向きに衝突きせ適当な時間後の衝突平板上の顔料の拡散状態を写真撮影した.
2.2.2.4赤外線映像装置による熱伝達率の測定
赤外線測定用の伝熱面のステンレス箔は裏面が空隙となっているために,噴流速度
を増すと振動を起こすので,噴口出口速度をUb=10m/s(Re=6600)の一定とした.さら
に噴口寸法を2/3倍に縮小した噴口直径D=10mmの噴口を用いた.
測定面である加熱部のステンレス箔には25A×115Vの直流電源で通電加熱し熱
流束9=1030W/m2の一定条件とした.壁面上の温度分布を赤外線映像から求め,式
(2.1)より局所熱伝達率を算出した赤外線の瞬時視野は衝突平板と赤外線カメラとの
距離が450mmと一定で瞬時視野角が2,radから約0.8mm×0.8mmである.噴口と衝
突平板との距離はX7D=1,2,3,4,5,6,8,10,12と変化させた.
2.2.2.5円形衝突水噴流の温度および流れの可視化方法
噴流は噴流観測用水槽とその上部に設けられた噴流貯水用のタンクとの水位差によ
り発生させ,上部に設けられた衝突平板に下方から上方へ垂直に衝突する.噴流の速
度は噴流貯水用のタンクと整流用のチャンバーの間に設けられたバルブの開閉度に
よって調節した.衝突平板の伝熱面はステンレス箔を直流電源で通電加熱し,熱流束
9=6400-8500W/m2の範囲とした熱伝達率は赤外線映像装置による衝突平板上の局
所温度値をもとに算出したが,その際の噴流温度は噴流出口上流部に設けられた銅一
コンスタンタン熱電対’03mmで測定した.流れはトレーサーとしてFluoresceinを
用いた注入流脈法(771(78)で可視化した.スチルカメラでの撮影条件はシャッター速度
1/60秒,絞りF28とした.ビデオカメラはフレーム速度1/30秒で撮影した.光源と
してはプロジェクターを利用して,前面にスリットを置き,平面光をスチルカメラま
たはビデオカメラに対して直角に観測面に当てる.
赤外線映像装置を用いて瞬間的な伝熱面の温度分布を測定し,同時に流動場をスチ
-15-
ルカメラおよびピデオカメラで撮影する.その場合の赤外線映像装置とスチルカメラ
はパソコンにより制御し,瞬間的な流動場と温度場を同時測定した.座標系は噴口と
平板間の距離をx,噴口中心軸から半径方向距離をrとした.実験は噴口と平板間距
離X7D=1-8に対して,噴口の相当直径Dを代表長さとするレイノルズ数Re=660~4700
の範囲で行った
2.3実験結果および考察
2.3.1円形衝突空気噴流による熱伝達特性
2.3.1.1自由噴流の流れ特性
衝突噴流の流動特`性を知るのに先立ち,円形自由噴流の基本的な特性を調べた.噴
流軸線上の最大速度の流れ方向変化を測定し,その結果を図2.11に示す.縦軸に噴流
の最大速度UIm麺を噴口出口速度で除したUh,鋤/Ubを取り,横軸の噴口と平板間の間隔
XZDに対して示す.図中の○は実験値を表す.軸線上の最大速度UlmxはX7D<4まで
一定でありポテンシャル・コア(potentialcore)域が存在しており,それ以降XZDの増
加とともに減少し始める.x7D三5では最大速度の減衰曲線は一般的な軸対称噴流と同
じく(x、)-1に比例して減衰している(9).本噴流の最大速度の減衰は
UInaj/U{戸53(XDl .・・・・・・・・・・・・・・・..(2.2)
で近似される.つぎに自由噴流の下流断面における速度分布を噴口と平板間距離x7
D=O~5に対してピトー管を用いて測定したその結果を図2.12に示す.縦軸はUソUb,
横軸は半径方向距離rを噴口直径Dで除して伽とした.IzD=±0.5が噴口端となる.
噴口出口にあたるXzD=Oでは,実際の噴口断面積よりも噴流断面積が狭まり,オリ
フイス型噴口の特徴である縮流が起こっているが,中心部ではほぼ平坦で一様な速度
分布となっており,端面が鞍型になるほどの縮流ではない.XZDの増加に伴い噴流は
周囲の流体を巻き込みながら混ざり合い,その噴流幅は拡大し,それに伴い中心部の
平坦部は減少する.さらに下流になると噴流軸上にピークをもつ山なりの分布とな
り,XZD=4以上になると,前述したようにポテンシャル・コアが消滅し外部の乱れが
----
-16-
噴流中心軸に到達するので,噴流軸上の最大速度は減衰し,下流断面の速度分布の形
も平坦化していく.発達した速度分布は噴流の自己相似性から,例えば局所分布はU
とその位置における最大速度Uhj率との比U/Uh1劉馬と「と最大速度Uimxの1/2となるr方
向の位置,いわゆる半値幅bとの比z/bで整理すると,1本の曲線でまとめられること
は良く知られている(,).
ここで実験結果との比較のために従来の理論的な噴流の流動特』性を記述しておく.
定常軸対称流に対する円筒座標系を用いたReynolds方程式において,理想的な周方
向の旋回流のない軸対称噴流とし,また大気中の圧力勾配を無視すると,基礎方程式
は単純化され次のように書くことが出来る(,).
運動方程式刀姜w等=古響
連続の式:響十響-.-
・・・・・・・・・・・(23)◆■●
.・・・・・・・・・・・(2.4)●、●■◆
ここでXは噴流軸方向,rは半径方向,軸方向および半径方向の速度成分をUV,P
は流体の密度,ではレイノルズ応力である.
(2.3)式の両辺にPrを掛けて戸OからI=。・まで積分すると
腕券什lrM'誤臺r響,…… .・・・(2.5)
(25)式の左辺第1項目をLeibnitzの法則により微分項を積分の外に出すと
炉U熟=士衾lrM2`,… .・・・・・・・・・・・(2.6)
(2.5)式の左辺第2項目を部分積分して,(24)式の連続の式を代入すると
rIw茅,=砂w]r-lWpU苧,=Iirp0等,=孟試2叩rw’
.・・・(2.7)
(2.5)式の右辺は
-17-
r製=['T]『=0 .・・・・・・・(2.8)●■●●●●
(2.6)~(28)式を(25)式に代入すると
d ̄
dX 1WpU22mzか=0...........・・・・・・・・(29)
(2.9)式の積分項は噴流断面の単位時間あたりの全運動量にあたるので,(29)式は軸方
向の運動量が保存されていることを示している.
そこで自由噴流の完全発達領域において前述の噴流の自己相似性より,速度分布を
下記のように仮定する.
鎧=八m)rTD
--nU
●9
.・・・・・・・・・・・・・・・・(2.10)
UimxoCXMプcX9. .・・・・・・・・・・・・・・・・(2.11)
ここでbは半値幅,P,9は未知の指数である.(2.10),(2.11)式を(2.9)式に代入すると
会(,【Mr2"物)=。 .・・・・・・・・・・・・・・・(2.12)
(2.12)式で積分項は速度分布が相似であることから,Xに関係なく一定な値であり
鴫xb2区Xo
となる.したがって(2.11)式より
2p+29=O◆●●■..
〃+9=0.・・・・(213)
●■S●●■●■●●
ここでp,9を求めるにはもう一つの式が必要となる.もう一つの式はエネルギー方
程式およびエントレンメン卜の仮定からも求めることができ,一般的には9=1,p=-1
となる.したがって(2.11)式より
-18-
.・・・・・・・・・・(214)Umax区X-1,6.cX●
となる.(2.14)式は噴流発達領域において噴流軸速度はxlで減衰し,半値幅bはxに
比例して大きくなることを示している.この結果は先に述べた実験結果とも良く対応
する.また軸対称噴流と同じく基本的な噴流形態の2次元噴流では,噴流軸速度はX
'/zで減衰し,半値幅bはXに比例して大きくなることが実験的にも理論的にも知られ
ており(7),(,),軸対称噴流と比較して噴流軸速度の減衰は小さい.
2.3.1.2半径方向局所熱伝達率分布
円形噴流を対向する伝熱面に衝突させ,半径方向の局所温度分布を熱電対によりx7
D=1~12の範囲で測定し,壁面温度と噴流温度との差を基にして局所熱伝達率分布を
求めた.その結果を図213に示す.まず噴口と平板間距離が小さいXZD=1では岐点
を含むI7D=-0.5~+0.5の範囲と17,=±1.8付近にピークを持ち,半径方向にいくに従
い減少する.岐点付近のピークは噴流軸線上速度が大きいためである.円形噴流の軸
対称噴流を垂直に平板にぶつけると衝突平板上の流れは放射状壁面噴流として外側に
広がる.その際岐点近傍の層流境界層が乱流境界層に遷移する.ZノD=±1.8付近の
ピークはその遷移領域であり,層流に比べ乱れが大きくなるために現れたものと思わ
れる(3s).この乱流への遷移によるピーク値はレイノルズ数によって大きく変化し,高
レイノルズ数域においては3個以上のピークを持つことが報告されている(34).下流に
なるにつれて岐点を含むJメD=-0.5~+0.5の範囲のピークの幅は縮まり,乱流への遷移
によるピークも小さくなり,X7D=3以上になると岐点に唯一のピークを持つ山なりの
分布となる.前節の結果からXの=4付近でポテンシャル・コアが消え噴流の最大速度
は減衰するが,その後噴流タト縁部のせん断渦による乱れ強さが噴流中心軸に到達し乱
れ強さが増加するためにXZD=4~5付近で最大局所熱伝達率を持つ.その後速度,乱
れ強さ共に減衰しそのピーク値は減少する.
2.3.1.3衝突平板上の流動場の可視化
衝突平板上の流動場が温度場にどのように影響するかを調べるために油膜法により
衝突平板上の流動場を可視化した.その結果をXの=lとXZD=6について図214に示
-19‐
す.半径方向の局所熱伝達率との比較のために可視化写真下部にそれに対応する局所
熱伝達率分布をそれぞれ示したまずxzD=,の流れ場において,岐点に円形の粒子の
残存が見られ,’17,’二05~'付近でほとんどの粒子は放射状に拡散し,その後粒子
がほとんどない真っ黒の環状の領域が存在し,’17,|=1~2付近で再びすじ状の粒子
の残存が放射状に広がっている.岐点付近の粒子の残留は,噴流が平板に衝突する場
合に岐点でよどみ状態となり中心部の粒子が外縁部に拡散できず生じたと思われる.
’17,|=05~1は噴流の衝突領域にあたるために壁面上には噴流の衝突により圧力勾
配(")が生じ,壁面上の流れは加速ざれ粒子は拡散する.その後流れは壁面に沿ってな
がれるいわゆる壁噴流へ移行し層流をなすが,再び|〃|=1~2付近では層流境界層
が乱流境界層へ遷移(”)する遷移領域に入るために粒子はすじ状に残存すると思われ
る.なお衝突領域における壁面圧力,変動速度は円能寺〔38)らなどにより実験的に測定
されている.局所熱伝達率分布と比較すると,熱伝達率の岐点付近のピークとI〆D=±
L8付近のピークはそれぞれ岐点付近での粒子の残留と遷移域のすじ状の粒子の残留
に対応するが,l17Dl=05~1付近における拡散は先の二つの領域に比べて熱伝達率
にあまり影響を与えていない.つぎにXの=6の流れ場は,中心付近に僅かな粒子の残
留が見られるが,噴流が十分に発達して衝突しているのでM〕=1に見られた遷移によ
る粒子の残留は見られず,ほぼ均一に放射状に広がっている.これは岐点を唯一の
ピークとする局所熱伝達率分布とよく似ている.
2.3.1.4赤外線映像装置による熱伝達特性
前節では円形自由噴流の基本的な流動特性および熱電対により測定した衝突熱伝達
特性について述べた.とくに熱電対による熱伝達率の測定には,各測定点に時間的な
差が生じるのと熱電対が僅かに熱容量を持つために,平均的な熱伝達特'性として扱わ
ざる得なかった.しかし前述したように,たとえ円形噴流でも流れ場は時間的に空間
的に変動している.そこで瞬時に平板全面の温度分布を捉えることができる非接触型
温度測定器の赤外線映像装置を用いて時・空間的な熱伝達特性を詳細に調べた.
2.3.1.4.1衝突平板上の温度分布
赤外線映像装置を用いて測定した衝突平板上の瞬間的な温度分布をX7D=1~12に対
して図215(a)~(i)に示す.図中の濃い青色の領域が低温度域を表しており,図中の数
-20-
字は温度(。C)を表す.ここでの等温線の間隔は2°Cとなっている.まずXZD=1の場合,
中心付近がもっとも温度が低く外縁部になるにつれて高くなる.分布の形状は中心部
および外縁部ともに同心円状を示しているが,その中間付近の42°Cの等温度線は歪
んだ形をしている.これは噴流外縁部のせん断渦の乱れによるコア変動(3`)の影響と思
われる.その結果,瞬間的な温度分布は歪んだ形となる.従来の平均的な温度分布で
はこの現象は捉えきれないと思われる.事実,図2.13,XZD=1の時間平均的な熱伝達
率分布ではこの歪みに対応する箇所はみられない.中心付近で38°Cの等温度線が2
個みられ,その間にもっとも温度の低い領域が存在し,岐点よりむしろIzD=±0.5に
ピークをもつようである.このピークの生成については後で述べることにする.xZD
が増加するにつれて中心部38°Cの領域ljS増加し,XZD>6では逆に減少していく.さ
らにxZDが増加すると,噴流は発達して拡がった状態で衝突するので,外縁部にある
赤色の高温度域が消え,低温度域が空間的に拡がっている.
2.3.1.4.2半径方向の局所熱伝達率分布
半径方向の伝熱特性をより詳しく調べるために,前節の結果より半径方向における
局所熱伝達率を算出し図Z」6に示す.熱伝達率分布はX7D≦3では岐点IzD=Oよりむ
しろIメD=±0.5付近にピークをもっている.このIID=±05付近のピークは噴口直径
、の端部の位置と一致すること,噴口と平板間が小さい場合に現れる事を考えると,
噴口出口に形成されるリング渦(18入(20)の影響と思われる.静止流体中に噴流を噴出す
ると,周囲の止まっている流体と動いている噴流との境目に流体摩擦が働き,回転
モーメントが働くことによって渦が巻き上がる.この渦は,とくに円形噴流の場合,
周囲に輪になった環状渦になるのでリング渦と呼ばれる.すなわち図2.11よりX7D<4
では噴流はポテンシャル・コアが存在する状態で衝突しており,岐点での最大速度は
大きいものの乱れが小さく熱伝達率は余り増加しない.一方その周辺部ではリング渦
の衝突により熱伝達率が高められたと思われる.この渦輪が平板に衝突する際の平板
上の圧力変動等の流動特性は内藤ら(30>およびKataokaら(西)により詳しく調べられてい
る.衝突平板上の流動場の可視化写真図2.14と比較すると,|〃|=05~1の領域は
噴流の衝突領域で壁噴流へ移行し粒子が拡散している領域であり,リング渦による乱
れと壁噴流への移行により熱伝達率が高められたと思われる.熱電対により測定した
平均熱伝達率分布図2.13と比較すると,平均熱伝達率分布にはこのIXD=±05付近で
-21-
高い熱伝達率を有するが,ピークとしては存在していない.レイノルズ数が異なるの
で完全な比較は出来ないが,この実験条件下での赤外線映像装置のセンサー1個あた
りの空間分解能は約08mm×O8mmなのに対して,熱電対による測定ではその間隔
は10mmであり,しかも赤外線映像装置では1/100秒程度の瞬間的に平板全面の測定
が出来るので,より詳細な局所熱伝達率分布が得られたと思われる.x7Dが増加に伴
い岐点での熱伝達率が高まり,この両ピーク値は小さくなり,XZD=4で平坦となる.
それ以降では岐点に最大値を持つ山なりの分布となる.平均熱伝達率分布の噴口と平
板間距離が小さい場合に見られた層流境界層から乱流境界層へ遷移するためのピーク
は,同じくlj7D|=15-2付近で見られるが,レイノルズ数が小さくなったのでその
ピーク値は小さくなる.全体的に平均熱伝達率と比較すると,レイノルズ数が異なり
ピーク値に差異がみられるが傾向はよく似ている.
さらに詳しく流れ方向の局所熱伝達率の変化を見るために,岐点とI7D=0.5のリン
グ渦の衝突によるピーク,ZID=1.8付近の乱流への遷移による極値の位置で局所熱伝
達率の流れ方向変化を図2.17に示す.図より熱伝達率の値はXZD<4ではIXD=0.5の方
が岐点I7D=Oに比べて高くなっているが,X、>4では岐点IzD=Oが高くなり前者と逆
の関係にある.岐点の最大局所熱伝達率はXZD=4~6に現れ,熱電対による測定とほ
ぼ ̄致している.これは前述したがポテンシャル・コアが消滅したXXD=4以降は乱れ
強さが大きくなる一方,最大速度の減衰が始まる.そのため,その両者の相殺の結果
として岐点熱伝達率はXZD=5~6で最大となる.I〆D=1.8ではXZD=2~3でピークを持
ち,XZDが増カロするにつれて緩やかに減少している.
2.3.2円形衝突水噴流による熱伝達特性
前節で円形空気噴流を対向する平板に衝突させた場合の伝熱特」性すなわち流動場と
温度場との関係を調べた.実験装置の構造上幾つかのパラメーターが異なり完全な対
応は難しかったが,平均的な流動と熱伝達特性を把握できたここではさらに詳しく
流動場と温度場の関係を調べ,流れと伝熱場の相似則にもとづく伝熱機構を議論する
ために,作動流体を水に変えトレーサーとしてFluoresceinを用いた注入流脈法で流動
場を可視化すると同時に衝突平板上の温度分布をリアルタイムに測定した.
-22-
2.3.2.1流れ特性
円形噴流を平板に垂直に衝突させた場合の流動場は,噴口と平板問距離が小さい場
合に,とくにポテンシャル・コアが存在する領域と,そうでない領域とではかなり異
なることが予想される.そこで両者の代表例としてXZD=1とXの=6の場合の流動場
の可視化写真を図2.18(a)~(。)に示す.流動場は時間的・空間的に変動しているのでそ
れぞれ2枚づつ示し,レイノルズ数は比較的可視化を行いやすいRe=660とした.な
お図中下側が噴口部,上部が衝突平板に当たり噴流は下から上へと衝突する.豊田ら
(41)によるとオリフイス型噴口から噴出する大規模渦構造の発生周波数fはストローハ
ル数s[=f・D/Ub=0.63-0.80となっており,この可視化の実験条件下での渦の発生周波
数はほぼ仁5.0Hz-66Hzとなろう.シャッター速度は1/60秒なのでほぼ渦構造の大概
が把握できると思われる.
xZD=1の場合,静止流体中に吹き出た噴流は静かに周囲流体を巻き込みながら垂直
に平板に衝突し,その後噴流は壁噴流として衝突平板上を半径方向へ広がっていく
が,I7D=±2.8付近で剥離し,流れは噴口があけられている噴口板に到達する.その
後,噴口板上を噴流中心軸方向へ流れるが,再びI7D=±2.5付近で流れは剥離して回
転方向の異なる渦が対となって存在する.そのアップウォッシュは再び衝突平板近傍
へ,ダウンウォッシュは噴流軸方向へ流れ込み,それぞれ主流に巻き込まれ,流れは
噴口板と衝突平板間を循環する.なお平板上の流れがIzD=±2.8付近で剥離する際,
逆回転のもう1つの渦が存在すると思われるが可視化写真からは見られない.後述す
るが,XZD=2付近になると衝突後の流れは衝突平板上を半径方向外縁部に広がりX7
D=1の場合に生じた半径方向流れの剥離による流れの循環領域は見られない.
つぎにXZD=6の場合,噴流外縁でせん断層の巻き上がりにより生じた渦が僅かに見
られ,噴流外縁部が波打っている様子が見られる.この場合,噴流外縁のせん断流れ
により生じた渦よる乱れが噴流中心軸にまで到達しポテンシャル・コアは消え,噴流
軸は時間的・空間的に揺動や変動をする.
2.3.2.2衝突平板上の温度分布
赤外線映像装置を用いて衝突平板上の瞬間的な温度分布を測定した.その結果を前
節の流動場の可視化写真にあわせてRe=660,XXD=1とXZD=6の場合を図2.19(a)~(。)
に示す.図2.19(a)~(。)は図2.18(a)~(d)とそれぞれ同時に測定したものであり,先の流
-23-
動場と同時に起こっている温度場である.図219(a),(b)の、D=1において,両方と
も中心部がもっとも温度が低く,外縁部にいくに従い温度が高くなり,全体的な分布
の形状はほぼ円形を示す.さらに外縁部の31.C以上の等温度線は密となっており,温
度は急激に上がっている.噴口板の端付近のIzD=±28以上になると熱板はほとんど
冷やされておらず,高い温度を示す赤色となっている.これは図218(a),(b)の流れの
可視化写真において,衝突後の半径方向流れがI〆D=±2.8付近で剥離する事に対応し
ている.また両温度分布を比較すると中央部の29.5°Cの低温度領域は僅かに変動して
いる.噴流はポテンシャル・コアが存在する領域で衝突しているにも関わらず噴流外
縁部のせん断渦により,周方向に流れの変動が生じるために,たとえ噴流中心部でも
すでに脈動流(3`〕となる.そのために衝突平板中心部の温度分布は変動する.これらの
現象はすべて瞬間的なもので平均するとほぼ同心円上の分布になる.本実験条件下で
の赤外線映像装置の空間分解能は0.8mm×0.8mmであり,これらの変動している現
象は測定器によるものではないと思われる.XZD=6では,噴流は発達した状態で衝突
するのでX7D=1と比較すると低温度域は外縁部に拡がっている.噴流外縁部の乱れが
噴流中心軸に達してポテンシャル・コアが消滅するので噴流軸は揺動し,そのために
中心部の低温度域の変動は大きくなる.このことは可視化写真とも良く対応してい
る.
つぎにレイノルズ数を変えた場合の例としてRe=1160,2400,4700の衝突平板上の
温度分布を示す.レイノルズ数がRe=660の場合の等温度分布と同じくXZD=1とX7
D=6に対して図2.20(a)~(f)に示す.図220(a)のX7D=LRe=1160の場合,Re=660に
比べレイノルズ数が大きいので,中心部の低温度域の変動は大きくなる.外縁部の
31°Cの等温度線はRe=660のときと比べて内側に位置しており,低温度域の広がりが
小さい.図示はしていないが,この場合の半径方向流れはRe=660の場合に比べて内
側ではく離し,それに対応して中心部の低温度域の拡がりは小さい.I17Dlz3では,
ところどころにセル状の低温度の小域が存在し,Re=660の場合とは異なる.図2.20
(。)のXの=6では,Re=660の場合と同様に低温度域は外縁部に拡がり,分布の形状は
ほぼ円形を示している.レイノルズ数が大きくなりRe=2400,4700になると,低温度
域はXZD=1においても広範囲に拡がっている.Re=2400,4700の場合,レイノルズ数
が大きくなり噴流の混合が激しくなるのでRe=660の流動場に見られた噴口板と衝突
平板間の流れの循環は半径方向へ押し出され,それに対応して低温度域はRe=660に
-24-
比べて広い範囲に拡がる.XZD=6の場合,Re=660の場合と比べ噴流軸の揺動が大き
くなり,温度分布の変動は中心部,外縁部ともに大きくなる.
2.3.2.3流動場と温度場の相関
前節で流動場と衝突平板上の温度分布を比較したが,流動場が温度場に及ぼす影響
をより詳しく見るために,赤外線映像装置による衝突平板上の温度分布から算出した
半径方向の局所熱伝達率と流動場の可視化写真を比較した.その結果をXの=1~9の
範囲で図221(a)~(h)にそれぞれ示す.図中上部が局所熱伝達率分布,下部が流れの可
視化写真でレイノルズ数はRe=660とした.まずXZD=1において局所熱伝達率分布は
岐点を含む中心付近でほぼ平坦で,半径方向に緩やかに減少しIメD=±2.8付近で急激
に減少する.中心付近の平らの分布は,噴口と平板問距離が小さく噴流と静止流体と
の間に生じる流体摩擦による速度減衰も小さいので,ほぼ一様な速度分布が衝突した
ためと思われる.図2.16の空気噴流の場合に見られた,リング渦の衝突による17℃=
±0.5付近のピークは,水噴流の場合も僅かに見られるが,空気噴流に比べレイノル
ズ数が小さいので,リング渦の乱れによる影響は小さく熱伝達率は余り高められな
い.なおこの平坦部は流れの可視化写真において噴流の衝突領域とほぼ一致する.急
激な熱伝達率の減少が起こるI7D=±2.8付近は衝突平板上の半径方向流れが剥離する
領域に対応する.X7D=1.7の場合,局所熱伝達率分布は岐点近傍で最大値を持ち,半
径方向に減少していく山なりの分布となる.衝突後の平板上の流れは噴口と衝突平板
間距離が大きくなり,半径方向への流出が容易になるので,xの=1にみられた大きな
剥離は生じず半径方向へ広がる.XZD=1の場合と比較すると,高熱伝達率域は半径方
向に広がっている.これは平板上の半径方向流れが広範囲に拡がることに対応してい
る.Xの=2.6までの流れはほぼ直線的に平板と衝突するがXZDE38になると噴流と静
止流体の問に生じる流体摩擦により噴流境界は乱れ始める.局所熱伝達率分布は刀
D=26,3.8とも岐点で最大値を持つ山なりの分布となる.X7D=4.8になると,噴流境
界でせん断層の巻き上がりによる渦が明確に見られる.この場合,噴流外縁部の乱れ
が噴流中心部にまで到達し,ポテンシャル・コアは消え速度は減衰するが乱れが増加
するために岐点における熱伝達率は他のXZDに比べて少し高めの値をとる.衝突後の
半径方向流れは,とくにI〆D=2付近に剥離により生じた渦が見られ,その剥離点付近
が局所熱伝達率分布の凸部にあたる.可視化写真ではすべての渦は見ることは出来な
-25-
●
いが,局所熱伝達率分布の僅かな凹凸はそれぞれ剥離点に一致すると思われる.噴口
と平板間距離が大きくなりXZD=6,7,9になると,局所熱伝達率分布の形状はほとん
ど変わらず岐点で最大値を持つ山なりの分布となる.噴流はとくにX7D=9において
かなり乱れてはいるが,速度が減衰するために熱伝達率には反映されていない.この
範囲での噴流軸は揺動しており,僅かに左右どちらかに偏流する.このことは熱伝達
率分布にも反映ざれ偏った分布となる.
2.3.2.4岐点熱伝達率の流れ方向変化
岐点熱伝達率の流れ方向変化をレイノルズ数Re=660,2400の場合のヌッセルト数
.MJの流れ方向変化の形で図2.22に示す.岐点での熱伝達率は変動しているので,こ
こでは時間的に平均した値を示している.まずRe=2400の場合,XXD=0.5で比較的高
い値をとりXZD=1付近で極小値を持つ,下流に行くにつれヌッセルト数は増加し,X7
D=4~6付近で最大となり,その後減少する.空気噴流の場合と同じでXZD=4付近で
噴流外縁部の乱れが噴流軸にまで達し,ポテンシャルコアが消え噴流の速度は減衰
するが,乱れが増加するためにXZD=4~6付近で最大値をとる.なお岐点最大熱伝達
率はレイノルズ数が大きくなると,そのピーク位置は上流側に移動する傾向がある.
空気噴流のときとは異なり,噴口と平板間距離が小さいX7D=05付近で高い値を持つ
が,これは,レイノルズ数が小さくプ噴口と平板間距離が小さい場合に高くなる傾向
がある.この結果は,横堀ら(3`)の実験結果とよい対応を示している.つぎにRe=660
の熱伝達率は,Xの=05で高い値をとり,その後少々の変動はあるもののほとんど一
定の値をとっている.なおX、=4~5付近で少々高い値をとっているがほとんど変わ
らない.
2.3.2.5平均熱伝達率特性
前節までに瞬間的な温度分布は,たとえポテンシャル・コアが存在する領域でも時
間的・空間的に変動していることを述べた.この節では,これらを時間的に平均した
平均熱伝達率特性を調べる.
図2.23(a)~(d)および図224(a)~(d)にレイノルズ数Re=1160のX7D=2.7,X7D=5の場
合の瞬間的な局所熱伝達率分布およびそれらを平均した局所熱伝達率分布を示す.図
223(a),(b)は瞬間的な熱伝達率分布の代表例,(c)はそれら約2秒間(約103枚)のデー
-26-
ターを時間的に平均したもの,(d)は(c)を立体的に表した鳥lWt図である.XZD=2.7の場
合,図2.23(a),(b)の瞬間的な局所熱伝達率は,全体として岐点近傍で高い熱伝達率を
もつ山なりの分布となるが,(a)の場合はIID=05付近に急激に突出する箇所があり,(b)
の場合は逆に肢点付近で急激に下がっている箇所があり変動している様子がわかる.
これらを2秒間平均した(c)では急に突出した箇所もなくほぼ左右対称ななめらかな分
布となっている.空気噴流と比較すると中心部のくぼみは見られないものの'7,=±
2付近に乱流への遷移による極値が僅かに見られる.(d)の時間的に平均化された局所
熱伝達率の鳥撒図より,熱伝達率は中心部で最大値を持ち,半径方向にほぼ一様に減
少しており軸対称な鐘状な形状を示している.立体的に局所熱伝達率を描くことで,
空間的な熱伝達率の広がI)がわかりやすくなっている.図2.24(a)-(。)のX7D=5の場
合,(aMb)の瞬間的な局所熱伝達率は,噴流のポテンシャル・コアが消え噴流外縁部
の乱れが噴流軸にまで到達し,噴流軸が揺動しているので,(a)の分布は右へ,(b)の分
布は左へ偏っている.また両分布とiMZD=Zの場合と比べて変動が大きい.平均した
(c)では(a),(b)に見られた変動成分はほぼ均一化され,ほぼなめらかな分布となってい
る.これは空気噴流の場合と良く対応している.(d)の鳥臓図ではXZD=2と同様に軸対
称な分布となるが,噴流が発達して衝突することにより高熱伝達率域が広範囲に広
がっている様子が見られる.
2.4結言
円形オリフイス型噴口からの噴流を対向する平板に衝突させた場合の衝突熱伝達特
性を空気噴流と水噴流により調べた.空気噴流では自由噴流の基本的な流動特性,最
大速度の減衰,下流断面での速度分布をピトー管で測定し,平板上の流動場は抽膜法
により可視化した温度場は熱電対および赤外線映像装置で測定した.水噴流では流
動場をFluoresceinを用いて可視化し,それと同時に温度場を赤外線映像装置により測
定した.得られた結果はつぎのとおりである.
(1)軸線上の最大速度UはX、<4まで一定でポテンシャル・コアが存在し,X7D=4
以上では最大速度の減衰曲線は一般的な軸対称噴流(,)と同じく(XZD)'に比例して減衰
し,Uh1aj/Ub戸53(XZD)'で近似できる.噴流出口の速度分布は僅かに縮流の影響が見ら
れるが,ほぼ噴口全断面で一様な速度分布となっている.
-27-
(2)熱電対による平均熱伝達率特性は噴口と平板間距離が小さい範囲では岐点近傍と
IzD=±1.8付近にピークが見られる.前者は噴流軸線上速度が大きいために生じ,後
者は乱流への遷移のために生じる.XZDの増加に伴い,岐点に唯一のピークを持つ山
なりの分布となる.
(3)赤外線映像装置による温度分布と局所熱伝達率分布より,ポテンシャル・コアが
存在するx7D=4までは,噴流外縁のせん断流れによって生じるリング状の渦の影響で
熱伝達率は岐点より噴口端にあたるI7D=±05の方が高くなる.XZD=4でポテンシャ
ル・コアは消え噴流軸線上の速度は減衰するが,乱れ成分の増加により岐点熱伝達率
はXZD崖4-5で最大値をもつ.
(4)熱電対による平均局所熱伝達率分布と赤外線映像装置による瞬時の局所熱伝達率
分布を比較すると,後者には噴口端にあたる,メD=±0.5付近にせん断流れにより生じ
たリング状の渦によるピークが見られるが,前者には見られない.これはセンサーの
空間分解能と感度の違いだと思われる.このことからも赤外線映像装置による測定
は,従来の熱電対の測定と比べて,より詳細な現象を捉えることができ,時・空間的
に変化する現象を捉えるのに適していることを確認した.
(5)作動流体を水にした場合の流れ場と温度場の同時可視化より,XZD=LRe=660で
は,噴流は噴出後,噴口板と衝突平板間に挟まれたせまい空間で循環し噴口部の外側
にはほとんど拡がらない.それに対応して高熱伝達率域も外縁部には拡がらなかっ
た噴口と衝突平板間距離が大きくなりXZD=2になると,衝突後の流れは半径方向に
大きく拡がり,それに対応して高熱伝達率域も半径方向に拡がりを見せている.これ
よりXZDが小さな範囲では,噴口板による影響が流動および熱伝達率に大きく寄与す
ることがわかった.さらにX7Dが大きくなると噴流外縁のせん断層の巻き上がりによ
る渦がはっきりと見られはじめ,衝突後の半径方向流れも所々剥離している様子が見
られる.とくにXZD=48ではIXD=2付近に剥離により生じた渦が見られ,その剥離点
付近が局所熱伝達率分布の凸部にあたる.XZD>6では噴流軸の偏りが見られ,その偏
りに対応して熱伝達率分布も同じ方向に偏る.
-28-
(6)作動流体を水に換えたことで伝熱面の応答性が向上し,より細かな温度場の時間
的な変化を捉えることが出来た.比較的乱れの小さいポテンシャル・コア領域で噴流
を衝突させても,その時の温度場は変動している.このことは噴流はポテンシャル・
コアが存在する領域でも噴流外縁部のせん断渦により,噴流中心部はすでに脈動流〔3`)
となることに対応する.岐点最大熱伝達率はポテンシャル・コアが消え噴流外縁部の
乱れが噴流軸にまで達し,噴流の速度は減衰するが,乱れが増加するためにXの=4-6
付近で最大値をとる.レイノルズ数が大きくなると,そのピーク位置は下流方向へ移
動する傾向がある.
(7)瞬時の局所熱伝達率は時・空間的に変動し,その分布形状は左右どちらかに偏っ
たり,凹凸が見られるが,時間的に平均化するとほぼ岐点で唯一のピークをもつなめ
らかな山なりの分布となる.XZD=2.7とX7D=5の鳥臓図より,X7D=5ではX7D=2.7の
場合と比べて高熱伝達率域が空間的に拡がっている.
-29-
800
B1ower lmpingementPla e
JetEmitter
①Duct
Nozzle
■I■■I■■■ ̄ ̄
Fig.2.1Exper mentaIapparatusofairjet
JetEmitterHeatingSurface
I厚き=H二IFlow
X
ImDinqementPlate
、|ノ
nlU
JetEmitter
CircleNozzle(、筐15mm)
Fig.2.2Arrangementofnozzleandimpingementplate
-30-
120
Zクククソ”zlz”′I'Z”ブク””Zクク
●
〔。
。
フククZzZzクク〃/ククzZクク/クク
ロノヮジ/////
〆ノノノノノノノ
妥豊
300
○○N
301J[、)
Fig.2.3Detailsofimpingementplate
ImpingementP1ate
JetEmitter
Oil-titaniumlV
oxide mixtureJet
蝿
Chamber
--Flow
Fig.2.4ExperimentaIapparatusforflowvisualization
-31-
010
けlmpingementplate
鰯EquivalentdiameterD=10mmJetemitte
坐
Flow
---
己X
Inf「aredcamera
450
Fig25Arrangementofnozzle,impingementplateandinfra「edcamera
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mIorideFilm
iiiiiiiiiiiii1鱗i篝iiiill】と騨啓
鍵jjiDi闇蕊
0
14C
一一
一
Thermocouple
250
BAKELITEDIate
Fig.2.6DetaiIsofimpingementplate
-32-
luge
=>ワアアアフフファz
ノヴPrfInw
JlV
Testtank
Fig.2.7Experimentalapparatusof waterjet
q↓
tplate|mgelI
Drain
=>
uraIn
- ̄ヘー
蕊霧
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|〈
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Fig.2.8Arrangementofnozzle,impingementpIate,infraredcamera,
stilIcame「aandslitlight-33‐
DTC’1(〕
-砦ムワ兵日フフフフラ
uワー
(a)nozzle (b)impingementplate
Fig.2.9Detailsofnozzleandimpingementplate
牌oIvVInvIid偲
 ̄
B■Z■尼 ローZ呂田〆戸■
IlOil
UCopperConstantan
Themlocouples(701」Lm)
Fig.2.10,etailsofimpingementplateinorde「tomeasuredaemissivity
-34-
0864
■
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2
2461.0246102
X/,
0.1
Fig.2.11 Decayofmaximumvelocityforfreejet
150150150150150150
000000
ニミコ
-1.0001.o
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Fig.2.12VariationofvelocityprofiIeswithdistancedownst「eamfromexitof
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-35-
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-37-
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(Re=6600,Ub=10m/s)
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100
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40
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Fig.2.17VariationofstagnationNusseltnumberwith
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-38-
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-202
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‐202
,/D
(b)X/D=1,月e=2400
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30.8
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‐202
,/D
(f)X/D=aRe=4700
‐202
〃D
(e)X/D=6,Re=2400
‐202
〃、
(d)X/D=6,円e=1160
Fig2201sothermsofinfraredimages(Re=1160,2400,4700)‐40-
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議鯛鐵
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600 600
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-202
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(b)distributionofinstantaneouslocaIheattransfercoefficient
14001400 三
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1400
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12001200
120010001000
1000800800
800600 600
600‐202
ノブD
(c)dist「ibutionofmeanlocalheatt「ansfe「Coefficient
(d)Bird's-eyeviewofmeanlocalheattransfe「Coefficient
Fig.2.23Compa「isonbetweeninstantaneouslocalheattransfercoefficient
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44
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2000 2000
三mE一一三]×仁
三四E一一二]×こ
1600 1600
1200 1200
800 800
-202
,/D
(a)distnbutionofinstantaneouslocalheattransfercoefficient
‐202
h/D
(b)distributionofinstantaneouslocalheattransfercoefficient
20001400[
エ印E一二二×こ
亘山E一一三一×こ
14001600 1200
120010001200
1000800
800 800600
600-202
〃D
(c)distributionofmeanIocalheattransfercoefficient
(。)Bird,seyeviewofmeanlocalheattransfercoefficient
Fig224ComparisonbetweeninstantaneouslocalheattransferCoefficient
andmeanlocalheattransferCoefficient(Re=1160,X/D=5)
45
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