OUT cours 5...OUT cours オーストリアの抽象絵画をメインとした画家、ホフマンに因んだホール ティーショットの落下付近のフェアウェイは、少し狭くなっていてグリーン
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超高速インターネットを利用したアジア
における医療ネットワークの拠点形成
九州大学大学院
臨床・腫瘍外科
教授 田中雅夫
九州大学病院
光学医療診療部
准教授 清水周次
P&P研究成果発表会 2008.12.2
遠隔医療に求められるもの
高画質(動画)
安価
患者のセキュリティー
• 従来の低容量回線では限界:遠隔医療が浸透しない原因
• 新しい通信情報技術の応用
内視鏡 ライブデモ 2004.11.15
内視鏡
術者・器具
エコー
顕微鏡
学生
九大病院 => 韓国がんセンター
学会でのライブ手術 2006.4.13
ソウル => 福岡国際会議場
Asia-Pacific Advance Network (APAN)国際間のネットワーク
• インターネット研究• アプリケーション
気象・宇宙観測農業・医療
鳥インフルエンザ会議
2007.1.24
中国・
北京大学
アメリカ・スタンフォード大学
ジャカルタ・インドネシア大学
タイ・チュラロンコン大学
ベトナム国立小児病院
フィリピン大学
日本・長崎大学
オーストラリア大学
アジアおよびヨーローッパの接続
東京
シンガポール
マニラ
ボルドー
西安
シドニー
ソウル
2007.8.29
• ドイツ• イタリア• ベルギー• チェコ• スペイン
プロジェクトの流れ
玄海プロジェクト
•システムの構築
日韓拠点大学交流事業
韓国 アジアへの展開
P&P
•ノウハウの蓄積
•ヒューマンネットワークの構築
• 組織的活動体制の確立
• 魅力的プログラム作成
• プログラムの日常利用
アジア遠隔医療開発センター
0
20
40
60
80
100
120
140
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6
2003 2004 2005 2006 2007 2008
P&P
接続国数
イベント総数
接続施設数
日韓ハイビジョン手術映像配信 2007.3.23
非圧縮ハイビジョン DVTS
手術画像
手術室
座長
1.6Gbps第1回アジア太平洋肝胆膵学会・福岡国際会議場
平成17年度 九州大学教育研究プログラム・研究拠点形成プロジェクト申請書
研 究 代 表 者
所属部局・職名
九州大学大学院 医学研究院 教授、九州大学 総長特別補佐 (ふ り が な) 氏 名
たなか まさお 田中 雅夫 印
教 育 ・ 研 究 実 施 計 画 概 要
申 請 種 目
A B(1,2,3) C D
申 請 区 分
新 規 継 続
審査希望部門
人文 社会 理工 生命 広領域 文理融合
研 究 課 題
超高速インターネットを利用したアジアにおける医療ネットワーク拠点の形成
教育・研究 の 概 要
アジアへの展開は九州大学が目指す大きな方向性の一つである。アジア学長
会議の発足、国際交流推進機構の設立など着実な成果が上がる一方で、学術交
流提携施設との交流内容やネットワークポイントの活動などに関して未だ決し
て満足できない側面が存在することもまた事実である。 九大病院は平成15年より産官学で組織される「玄海プロジェクト」に参画し、
ITによる相互交流的研究活動の中で活発な日韓医療交流を行ってきた。
この先端技術を
超高速
インターネットを使用することにより、医療用動画像の解像度を損なうことな
く送受信できる国際的システムを初めて構築し、その臨床応用における実績は内
外に高く評価され、学会やマスコミでも大きく取り上げられた。 アジア全体に展開し、医療画像の品質を保持したまま地理的
境界を越えて日常的な情報交換が実現
本システムは九州大学の医療チームと通信技術者が協力し、日韓相互に連携し
て初めて確立し得た技術である。九州大学病院を「
すれば、ネットワークの利用と人的交流
は正に相乗効果を示し、アジアとの交流を大きく前進させることが出来る。
アジアにおける医療ネットワ
ークの拠点
」とするためには、日韓で培われたこの技術を基盤に今後アジア全体
の産官学が協調してプロジェクトを推進する必要がある。アジア諸国の連携によ
りアジアブロードバンド計画が積極的に展開されつつあるこの時期は、まさにそ
の好機である。
研 究 経 費
年 度
合 計
大 学 運 営 経 費
設備備品費 消耗品費 職員旅費 講師等旅費 外国旅費 謝 金 その他 平成 17年度
千円
8,000
千円
4,000
千円
200
千円
300
千円
0
千円
3,000
千円
0
千円
500 18年度
8,000
3,000
200
300
1,000
2,000
0
1,500 19年度
8,000
3,000
200
300
1,500
1,500
0
1,500 総 額
24,000
10,000
600
900
2,500
6,500
0
3,500 連 絡 先 及び 連 絡 者
所属・職 :九州大学病院 光学医療診療部 助教授 氏 名 : 清水 周次 Ext : 2537 Fax : 5857 E-mail :[email protected]
※整理番号
教 育 ・ 研 究 実 施 計 画 書
教育・研究の目的 1. アジア地区における医療ブロードバンドネットワークの構築: インターネットの爆発的な普及とは対照的に、通信ネットワークを利用した遠隔医療は未だ
急速な発展を見せていない。その大きな理由の一つは、これまでのシステムでは不十分な画質
の映像しか伝送できないために正確な診断や適切な治療が不可能で、実際の臨床に応用できな
かったことにある。我々は日韓両国に整備された超高速インターネット回線を用いて高精細医
療用動画像の配信システムを確立し、この2年間にそのノウハウを蓄積してきた。九州大学が
目指すアジアへの展開を視野に入れ、日本のe-Japan計画やアジアのブロードバンド計画とも歩
調を合わせる形で、これまでの日韓における医療ネットワークの経験と技術をアジア全体に展
開・構築する
2. 遠隔講義を使った共同カリキュラムの計画 ことを目的とする。
共同カリキュラムの構築も九州大学にとって大きな課題の一つである。高画質な映像と遅滞
のない明瞭な音声を用いることにより、遠隔講義によるストレスを感じさせることなくアジア
とのカリキュラムを計画できる。映像は医学を学ぶ上で重要な要素であると同時に、アジア地
域に大きな時差がないことは、プロジェクトを推進する上で非常に有利な条件
であり、欧米に
対峙する三極化形成の一手段となり得る。 教育・研究の必要性 1.九州大学のアジア重視戦略と病院の中期計画目標: 九州大学の国際戦略と共に、アジアへの展開は九大病院の中期目標の一つでもある。慶尚大
学とは11年間の部局交流協定の歴史を有し、昨年はサムソン病院とも新たな協定を締結した。
しかしながら慶尚大学とは毎年1回交互に数名の使節団を送るのみで、実質的な医療交流はこ
れまで行われておらず、韓国でも有数の医療レベルを誇るサムソン病院とも提携は整ったもの
の、慶尚大学同様、今後の医療交流活動に関する具体的な行動計画は未だ予定されていない。
ネットワークを用いることにより、これら2病院は元より、今後接続されるあらゆる病院との
日常的かつ実質的な医療交流を実現
2.病院地区ネットワークの複雑化と次世代ネットワークの導入: できる。
九州大学の KITE は、30,000 人の構成員がメールやウェブを使うように設計されているが、保証
された広帯域通信、次世代ネットワーク(IPv6)、マルチキャストなどの最新ネットワーク技術に
対応できておらず、韓国や中国の進んだ研究に遅れを取りつつある。特に病院地区は本学と離れた
場所に位置し、そのネットワークは複雑で、現状ではアジア全体との送受信に十分安定したネット
ワーク環境が得られていない。アジアで主導権をとって研究を進めるには、病院の次世代指向の研
究開発をさらに推進できるネットワーク機器をプロジェクト的に配備する必要がある。 教育・研究に関するこれまでの知見 1.日韓における実績: 平成15年1月に福岡と釜山の間に敷設された大容量の海底光ケーブルが運用を開始して以来、産
官学共同の「玄海プロジェクト」が組織され、日韓の大容量インターネット環境整備が着手された。
この事業はまた総務省の「e!-Project」計画の一環として、通信、教育、文化、観光、ビジネスな
ど多方面での利用を促進したが、九大病院はこれらのメンバーとして加わり、医療応用可能なシス
テムを実現
2.アジア・太平洋地域との関わり:
した。本プロジェクトはまた日本学術振興会の拠点交流事業(日本側代表:九大副学長
有川節夫)の日韓インターネット部門に九大として初めて登録され、上記の計画を継続中である。
Asia-Pacific Advanced Network (APAN)は、アジア各国で整備されつつある超高速ネットワーク
を結び付ける組織として、最も良く知られている。各国を代表するネットワーク団体によって
組織され、毎年2回の全体協議会がある。医療グループはその中で画像転送の国際デモンスト
レーションを行うなどその実績が認められ、また医療がネットワークの重要なコンテンツであ
ることが認識された結果、平成17年1月より正式なワークグループとしてアジアネットワーク組
織の中でも活動を開始する
ことになった。
教育・研究に関する国内外の状況
1. 国内の状況 日本における遠隔医療の主流は、従来の電話線や低容量通信網を利用し、離島や医療過疎地を
その主な対象としてきた。e - Japan構想の推進により平成15年慶応大学と札幌医科大学が相次
いでブロードバンドを活用した新しいシステムを発表したが、それらはいずれも地域内に留ま
り、しかもごく散発的な利用に限られている。インターネットの特性を生かし、海外をターゲ
ットとした国際的な体制を確立して積極的な活動を展開している
2. 国外の状況 組織は、我々の他にはない。
アジア諸国でも日本同様国内のインフラ整備が急速に進んでいる。さらにこれらの国々のイ
ンターネット網を結びつけるための研究グループや政府主導のブロードバンド計画が活発な
活動を展開している。また次世代インターネットがアメリカで正式に承認されたことを契機
に、今新しいプロトコールへの改良が世界的に進行している。韓国はITの先進国であり、ア
ジア地区におけるこれらの動きをリードしており、日本も遅れをとることなくシステムの更新
を進めなければならない。シンガポールやインドもインターネット世界では大きな発展を見せ
ており、医療画像の質を損なうことなくインターネット上で伝送する独自の新技術について、
今後台頭する中国や台湾、また東南アジア諸国との連携強化が急務
である。 教育・研究に期待される効果 1.
医療には手技やテクニックを学ぶ領域が多い。簡単な処置から高度な医療技術まで、まず目
で見て学習しなければならず、書物にある図やイラストを見ても、決して十分な情報は得られ
ない。本システムを利用して医療行為に関する映像を送信することにより、わかりやすい学
習・教育材料をリアルタイムで提供することが出来る。最近社会問題としても取り上げられて
いる経験不足での内視鏡手術による医療事故も、効率的な学習効果により改善が期待できる。
動画像を利用した医学教育:
2.
微細構造の識別が重要な診断根拠となる医療の現場においては、不明瞭な画像に基づく判断
は誤診や間違った治療を導く。そのため転送される画像は、一般の画像と比較し格段に高解像
度であることが要求される。医療画像を圧縮せず、現場と全く同じ解像度のままテレビ映像の
滑らかさで参照できることは、理想的な環境と言える。同時に画像の圧縮に要するタイムロス
がなく遅滞のない音声を配信できることに加え、マルチチャンネルでの配信システムにより臨
場感を与え、ネットワークのストレスを感じさせない。
医療用として十分な画質と音声:
3.
アジアは多くの民族からなる異なった風習や文化の入り混じるダイナミックな文化圏であ
り、医療レベルや診療行為も様々である。アジア地域での交流が増加したとは言え、未だ限ら
れた医療関係者による限られた範囲の相互訪問に留まっており、広く理解し合う環境には程遠
い。ネットワークによる地理的・時間的制限を越えた情報の交換は、真にアジアを理解する第
一歩である。
国際交流の強化:
4.
欧米と日本では昼夜が逆転するためにネットワークを活用した遠隔会議にも無理が生じ、継
続が難しい。これとは対照的に、アジア圏内のほとんどの主要都市への時差は2時間以内に留
まるため、日常の生活パターンの中で遠隔授業やライブデモを行うことが可能である。これは
アジア地区に特化したネットワークを利用する上での大きなメリットである。
遠隔授業やライブデモンストレーションの実施:
5.
市販のパーソナルコンピュータと無料ソフトでシステムを構築できるため、低価格で簡単に
セットアップできる。しかもインターネットを利用するため、衛星放送やテレビ放送の様に特
殊な資格や設備を必要とせず、電話回線よりも安価な通信費で十分である。設備投資が少なく、
誰でも構築できるメリットは、アジアへ向けた情報発信の基盤作りには不可欠な要素である。
安価で容易なシステムの構築:
特記事項 ・継続課題は前年度の研究経過 ・Aタイプの新規課題はCOE研究(研究センター等の設置を含む)構築の趣旨・理念等。 大型プロジェクトへの展開,展望について記入ください。
・Bタイプの新規課題は九州大学独自の戦略的課題関連研究としての特色等を記入ください。 ・Dタイプの新規課題は「文理融合型」研究組織の説明ならびに新科学領域創成への展望につ
いて記入ください。
1.日韓におけるこれまでの実績: 通信情報技術の急速な発展が社会生活に大きな変革をもたらす中で、医療の世界もまたこの大きな流
れに立ち遅れることは出来ない。しかしながら従来は医療者と技術者の直接的な交流は乏しく、先進的
な通信技術を医療サイドで生かす機会は少なかった。我々は平成15年より「玄海プロジェクト」に参加
し、病院と情報基盤センターを中心として企業を合わせた産学共同体を組織し、医療分野に先進的な技
術を取り入れることに成功した。それを基に日韓の高速回線を利用して本システムの実証を行ってきた。 平成15年2月から16年11月現在までに合計26回のテレカンファレンスを行った。そのうちライブ手術や
ライブデモンストレーションは10回、残りの16回はデジタルビデオやPCプレゼンテーションを行った。
また内容は手術や内視鏡を初め、移植、癌、超音波、ロボット、またナース関連など多岐に渡る。
2.アジアへの展開:
さら
に6回は学会会場と直接接続し、遠隔でカンファレンスに参加した。今年9月に福岡国際会議場で行われ
た日本癌学会では韓国がんセンターから顕微鏡画像も取り入れたライブ講演をお願いし、近未来の学会
のあり方を提案し、会場を盛り上げた。
しかしながらこのような日韓の実績をこの2カ国間のみに留めおくことは非常に大きな損失であり、イ
ンターネットの国際性を生かしてこのプロジェクトをアジア全体に展開することは必然的な方向性であ
ろう。各種の広報活動を通してアジア各地からの本プロジェクトに対する参加希望は多く、既に今年1月と7月にはそれぞれハワイとオーストラリアの学会会場へ接続し、また10月には初めて北京(清華大学)
とも高速回線を利用した研究会を開催した。アジアへ向けた展開の足掛りは既に築かれている
3.本プロジェクトのチーム編成:
段階であ
る。関係各国の医療関係者と通信情報技術者の共同体制があってこそ本計画は具現化するものあり、さ
らに多くの施設と多領域に渡るコンテンツを共有していくためには、今後そのための組織作りをアジア
全体に拡げることが強く求められる。
本プロジェクトでは、福岡から国内のネットワークを経由した後に、アジア諸国の高速ネットワーク
へと接続しなければならない。その意味からアジア太平洋地域での情報通信における効率的な連携の構
築を目指しているAsia-Pacific Advanced Network (http://www.apan.net/)と強く連動する必要がある。岡村は
本国際組織の主要メンバーであり、2003年1月に福岡で開催された本大会の事務局長である。また五十嵐
は独立行政法人情報通信研究機構の国際連携室長
医療側では田中が
として日本とアジアを結ぶ研究開発ネットワーク構築
の責任を負っている。 アジア肝胆膵外科学会の次期会長であり、2007年3月の開催へ向けての準備が始まっ
ている。また清水はアジア内視鏡外科学会の会員として内視鏡外科分野での発展に貢献していると同時
にAPANに医療部門を設立し、アジアの医療者と技術者が相互に協議し合える環境を整えた。牟田は本年
9月の日本癌学会のアジアセッションの責任者として、アジア地区における特異的疾患のシンポジウムを
開催し、韓国からの遠隔講演を成功させている。杉谷もアジア移植学会のシンポジスト、また中島もア
ジア太平洋医療情報学会標準化ワーキンググループの副会長
4.本プロジェクトの意義: として各分野で活躍中である。
九大病院とアジア地域との交流もこれまで個別的には行われている。しかしそれらを統合する形で計
画・発展させる組織は未だ病院内には存在しない。本プロジェクトが申請に採用され九州大学の公認プ
ロジェクトとなれば、この計画の中で九大病院全体のアジアに絞った医療・研究を包括し、掌握・統合
する原動力となり得る。ネットワーク上での交流と共に人的交流も相乗的に増加させ、将来は「アジア
遠隔医療センター(仮称)」の設立に向かって働きかける
今後もアジアを含め世界的な高速回線の発展は、これまでにも増して加速されることは想像に難くな
い。
ことにも現実味がある。現在日本に唯一存在
する旭川医大の「遠隔医療センター」がナローバンドを使用した道内のローカルな活用を主目的として
いることとは対照的に、アジアに向けたこのセンター構想が九州大学の大きな魅力となることは間違い
ない。
本プロジェクトが、九大病院をアジアの医療拠点とし、アジア全体の医療・福祉へ貢献できる大き
な推進力となる
ことを期待したい。
(注)Cタイプの新規課題は該当しません。斜線を引いてください。
教育・研究実施計画
1. アジア地域における医療交流のニーズと通信環境の調査
調査チームは医療スタッフと通信ネットワーク研究者の両者によって組織され、アジアにおける
高精細医療画像配信の可能性と有用性を探る。代表的な医療機関の選定より開始し、各施設での診
療内容の差異や遠隔医療の必要性に関する協議、および各施設での通信回線の現状や新たなインフ
ラ構築の実現性などについて調査する。
(統括:田中):
(1)調査対象施設の確定(岡崎):アジア学長会議参加大学や既に本学と交流協定のあるアジア
地区の医療機関を中心として、10 施設程度を目安に相手大学の選別を行う。現時点での候補と
しては、以下の医療機関が考えられる。 中国:清華大学(北京)・上海交通大学(上海)・香港中文大学(香港) 韓国:ソウル国立大学(ソウル)、サムソン病院(ソウル)、慶尚大学(晋州) 台湾:国立台湾大学(台北)、 タイ:チュラロンコン大学(バンコク)、マヒドン大学(バンコク)、 シンガポール:シンガポール大学(シンガポール) マレーシア:マレーシア国民大学(クアラルンプール) インド:国立がんセンター(ボンベイ) オーストラリア:フリンダー病院(アデレード) (2)対象医療分野(清水):外科領域に革命をもたらした最新の鏡視下手術(清水)、常に世界的
の最先端を走る消化器内視鏡分野(中村)、アジア全体での共通フォーマットを探る医療情報分
野(中島)、アジア地域に特異的な疾患の血液病理学的研究(牟田)、倫理観の違いを超えた臓器
提供ネットワークの構築を目指す移植分野(杉谷)などを第一の候補として、各病院を訪問して
協議を開始する。 (3)情報技術分野(岡村):各施設について、以下の項目を調査する。 1.現有ネットワークおよび通信機器、2.広帯域回線までの距離および有効帯域、3.通信費
用経費、4.設備投資費用、5.遠隔会議の実績 (4)セキュリティーの検討(中島):患者さんのプライバシー保護のために使用するセキュリテ
ィーに関する基準は、国により大きく異なっている。平成 17 年 4 月に改訂される日本の個人情
報の取り扱い法と照らし合わせ、アジア全体での共通プロトコールを決定する。 2. ネットワークの構築
(1)アジア高速回線との接続:上記の調査の結果選定された各施設からアジアブロードバンド回
線への接続性を個別に検討し、ネットワークを構築する。
(五十嵐):
(2)各施設におけるシステムのセットアップを支援する。設定後、ネットワークに関する接続試
験を行う。映像の質やフレームレート、音質・伝送遅延、ネットワークの安定度を測定する。 3. コンテンツの充実、人的交流の推進
実際に臨床のテーマを取り上げ、テレカンファレンスやライブ手術を行い、その有用性を検討す
る。医療用としての画像・音声、プレゼンテーション方法、臨床への実用性を評価する。また SARSや鳥インフルエンザなど感染の危険を伴うもの、診断・治療法に大きな地域差を有する胃癌など、
他領域へのコンテンツの拡大を図る。同時にアジア各国からの担当者をお招きし、現状や課題を含
め共同計画に関する協議を行い、成果をワークショップで発表するなどオフラインでの人的交流に
も努める。
(中島):
4. 九州大学病院ネットワークの更新・再構築
接続ポイントの増加および通信技術の進展に対応するため、病院ネットワークの再構築を行う。
回線の整備、機器のバージョンアップ、ハイビジョン映像の導入を行い、多地点中継へも対応でき
る次世代プロトコールを採用する。
(岡村):(備品申請)
5. 遠隔共同カリキュラムの構築
本システムを利用したアジア共同カリキュラムを計画する。高精細なビデオや生中継を活用
した授業を提供すると共に、病院施設見学や臨床修練を兼ねて九大病院を訪れる機会を持つ。
(清水)
年度別の具体的教育・研究の内容
平 成 17 年 度
アジア各地域を訪問し、接続する基幹医療施設の選定を行う。その後各施設から技術
者と医療関係者を集め、ニーズの高い医療コンテンツの選別、アジアに特異的な疾患の
集中的な討議、また各国における通信インフラの状況把握とそれらを結びつける国際通
信網の配備計画などについて統合的な協議を行う。
第1段階:施設調査及び試験的運用期
1. メンバーによる委員会を開催し、進め方を協議する。 2. 各大学・病院を訪問し、遠隔医療に関するニーズの調査、ネットワークの現状、シ
ステム構築への意欲などを調査する。 3. 接続先施設を決定し、各施設におけるコンタクトパーソンを確定する。 4. 関係施設によるセミナーを開催し、現状と計画を発表する。 5. セキュリティーシステムへの各国の対応を調査し、採用プロトコールを確定する。 6. 九大病院通信ネットワーク混雑回避のため、システムの更新を行う。 7. ホームページを作成する。 8. 院内への広報活動を積極的に行い、院内からのニーズを吸い上げる。各科担当者と
協議し、九大病院内のコンテンツを統合させる。 9. 定期評価を行い、次年度の計画を立てる。
平 成 18 年 度
選定された各施設とのネットワークを完成させる。医療コンテンツを実際に配信し、
結果を評価して問題点の解決を図る。その後接続先を拡大し、コンテンツをさらに充実
させる。
第2段階:ネットワークの構築と内容の充実
1. 各施設で必要機材のセットアップを行い、ネットワークへの接続を完了する。 2. ネットワークテストを実施し、安定した回線を構築する。 3. 各施設で医療コンテンツを選定し、テレカンファレンスを実施する。 4. 統一されたセキュリティー機器を使用し、性能を評価する。 5. ライブ手術やリアルタイムのデモンストレーションを実施する。 6. ハイビジョン機器を導入し実証試験を行う。 7. ネットワークの安定度、画像の提示方法、画質や音声遅延などについて、結果を評
価し、問題の解決策を探る。またセミナーを開催して進行状況を確認する。 8. 結果を学会に発表して評価を受けると共に、プロジェクト拡大への会員を募る。 9. 共同カリキュラム構築のための話し合いを持ち、進め方を協議する。 10. 定期評価を行い、次年度の計画を立てる。
平 成 19 年 度
次世代ネットワーク機器を導入し、多機能でさらに安定した環境を整備する。プロジ
ェクトの最終的な評価と継続的な将来計画をまとめる。
第3段階:次世代ネットワークへの対応と将来設計
1. 次世代ネットワークプロトコールを導入し、それに対応する通信・映像機器やセキ
ュリティーシステムを整備し、設定および動作確認を行う。 2. 多地点間での遠隔会議やライブ伝送を実施し、結果を従来のシステムと比較検討す
る。 3. さらに接続先を拡大すると同時にコンテンツの拡充を図る。医療従事者としてナー
スや医学生の参加も求める。 4. 医療以外の分野でも応用を検討し、大学全体としての利用を推進する。 5. 遠隔共同カリキュラムを計画する。 6. 「アジア遠隔医療センター」設立に向けた計画を準備する。 7. 成果発表のための国際セミナーを開催する。 8. 論文にまとめ、研究成果を公表する。 9. 研究報告書を作成する。
(注)該当年度のみ記入し,該当しない欄には斜線を引いてください。
(別紙3) P&P研究成果発表会(平成19年度終了課題)
研 究 成 果 概 要 課題番号 17026
研究代表者 氏 名 田中雅夫
所 属 九州大学大学院医学研究院 臨床・腫瘍外科 職 教授
研究組織の構成部局 ・人数
九州大学(大学院医学研究院・大学病院・情報基盤センター、アジア総合研究センター)、情報通信研究機構(総合企画部)ソウル国立大学ブンダン病院(韓国)、韓国テレコム(韓国)、マヒドン大学(タイ)、シンガポール国立大学、フリンダー病院(オーストラリア) 計( 13 )名
研究課題名 超高速インターネットを利用したアジアにおける医療ネットワーク拠点の形成
①� 教育・研究の成果・達成度
申請時の計画では高画質で安価な本システムの導入達成の目標を8カ国13施設として記載していたが、本年3月のP&P終了時点での接続地点はアジアに留まらず16カ国65施設、その後11月現在20カ国92施設まで増加している。施行したテレカンファレンスやライブデモンストレーションは157回にも及び、これらの遠隔医療活動はすべて九州大学病院が中心となって準備・運営されており、まさに当初目標にしていた「アジアにおける医療ネットワークの拠点」となり得たと自負している。各国の医療スタッフとエンジニアの組織的管理はその基盤であり、その事務局も九大病院が務めている。さらに技術面においてはデジタルビデオの規格のみならず、ハイビジョン映像の伝送も成功させることができた。中期目標の中でも常に最上級の評価をいただき、達成度は120%にも匹敵すると考えている。
② 論文等の研究発表状況(主要な論文・学会発表等) 1. Shimizu S, Okamura K, Nakashima N, Kitamura Y, Torata N, Tanaka M: Telemedicine with Digital
Video Transport System over a Worldwide Academic Network. In: Martinez L, Gomez C, eds. Telemedicine in the 21st Century. New York: Nova Science Publishers; 2008: pp143-164.
2. Nakashima N, Shimizu S, Okamura K: Broadband Medical Network in Asia Pacific. Asian Hospital & Healthcare Management, 14: 65-66, 2007
3. Preparatory Meeting for the ASEM ICT Ministerial Meeting 招待講演 ベトナム 2006.6 4. The Healthcare Information and Management Systems Society 教育講演 シンガポール 2007.5 5. Asia-Pacific Weeks 2007: International ICT-Conference 招待講演 ベルリン 2007.9
上記を含めこの3年間に、関連した国際学会での発表・招待講演など57回、国内学会26回
、また英文論文14編と日本語論文11編をまとめた。さらに平成20年1月には、独立法人・情報通信研究機構より日本ギガビットネットワーク「国際連携賞」を授与された。 ③ 教育・研究の波及効果
外科手術や内視鏡に始まった本プロジェクトも、現在では血液・移植・医療情報分野は元より、ロボット・泌尿器・保健衛生・看護から心臓カテーテル検査や学生への遠隔講義にも応用された。さらに地域医療連携活動の一つとして大分大学や長崎大学との共同セミナーを開催し各地点に多くの参加者を迎えたのを契機に、今後は国際医療連携室と協力して海外からの患者紹介への活用も大きな柱に据える。これまでアジア太平洋肝胆膵学会、世界内視鏡学会、中国医学会、日本癌学会など多くの学会や研究会と協力して、遠隔講演やライブデモを行い、近未来の学会のあり方を提案し好評を得ている。また世界消化器学会や世界外科消化器癌学会とは、正式な活動メンバーとして協力することが決定しており、今後も各種学会との連携による大規模な利用も増えるものと考えられる。さらに「アジア遠隔医療シンポジウム」や「アジア卒後教育セミナー」を定期的に開催して本プロジェクトの一層の充実を図ると共に、ASEAN関連の共同プロジェクトに加え、Internet2やGEANT2といった欧米のネットワーク組織との連携も強化されつつあり、世界的な体制作りが急務となっている。
さらに人的交流においても、平成17年度3名、18年度10名、19年度17名の研修医師を迎え、派遣国・地域も韓国・中国から、台湾・タイ・ベトナム、さらにはインドネシア・インド・カザフスタン・エジプトなど急速に広がり、遠隔医療との相乗効果を認めている。
④外部資金獲得に向けての取組状況 ●平成 15 年度~平成 22 年度 日本学術振興会 日韓拠点交流事業「次世代インターネット技術のための研究開発と実証実験」15,400 千円(平成 20 年度) ●平成 16 年度~平成 18 年度 文部科学省大学改革推進経費 現代的ニーズ取組支援プログラム 「WBT(Web Based Training)による医療系統合教育」30,000 千円(平成 18 年度) ●平成 17 年 9 月~平成 21 年 8 月 日本学術振興会 アジア教育拠点事業「造血障害研究・交流拠点の形成とアジア血液学の創出:血液学の臨床と研究におけるITの応用」 9,000 千円(平成 20 年度) ●平成 19年 12 月 日本学術振興会 機動的交流支援 アジア科学技術コミュニティ形成戦略支援事業「アジア遠隔医療シンポジウム」 2,500 千円(平成 19 年度) ●平成 20 年度~22 年度 文部科学省科学研究費補助金 基盤研究(B)「学術用高速インターネットを用いたアジア遠隔医療システム構築のための体系的調査研究」7,150 千円(平成 20 年度) その他主な申請状況:グローバルCOE(平成19年、20年)、科学技術振興調整費(平成17年、19年)、アジア・アフリカ学術基盤形成事業(平成20年)、厚生労働科学研究費(平成19年)、日中医学交流(平成20年)、アジア遠隔医療開発センター概算要求(平成20年)
⑤その他 ・本プログラム・プロジェクト遂行にあたり、苦慮した点等を記述願います。
医療の国際化へ向けた真の体制作りには、九大病院自体の国際化へ向けた体制作りが必要不可欠である。そのためにはまず九大病院地区内での国際活動に関する情報の一本化が必須であろう。現在は各医局や診療科がそれぞれにドクターや研究者を招いて医療交流を行っていることが多く、その情報が病院地区全体として一元管理されていない。そのためアジアの大学や病院と連携を始める際に、全くゼロの状態からコンタクトをしなければならない状況があり、これまでの病院全体としての国際活動の蓄積が活用できなかったと考えられる。加えて病院地区と本学の国際交流推進室との連携も未だ有機的に機能しているとは言い難く、遠隔医療ネットワーク拡充のためにはこれら国際的ヒューマンネットワークの活用を踏まえた情報の効率的管理・蓄積が不可欠かつ重要であると考えている。 そのためには病院に存在する国際医療連携室をその窓口とし、国際担当専任スタッフの配置などその体制作りが望まれる所である。 ・本プログラム・プロジェクト終了後の研究継続にあたり、評価委員へアドバイスを求めたい点があれば、 記述願います。
本年10月病院内に「アジア遠隔医療開発センター」が開設され、今後の遠隔医療活動推進の原動力となることが期待されている。しかしながらスタッフは1名のパート職員を除き職員すべてが兼任とされ、本活動の将来性については甚だ不安を抱かざるを得ない。アジア諸国に目を向ければ、たとえばソウル大学、香港中文大学、シンガポール大学などはすべて専任の技師4-5名を配し、遠隔医療活動を積極的に支えている。これに対し現在2名の本センター技師職員は日常の病院業務が主業務という位置付けであるため、遠隔医療業務はその空いた時間のみの対応とならざるを得ず、遠隔医療をさらに発展させるには物理的・精神的にも不十分である。参加施設やメンバーも大幅に増加し、システムの設定・試験的運用、さらに増え続ける遠隔会議への準備・対応など仕事量も大きく増大しており、少なくとも1名の専任(または遠隔医療活動を主業務とすることができる)技師の追加配置は必須であり、病院常勤事務職員の配置と共に学内での調整を強くお願いしたい。 ・本プログラム・プロジェクト制度に関して、何か要望があれば、記述願います。 (経費の執行や、大学としてのサポート体制など) 国際化を目指す九州大学の体制として、事務サポートの国際化が非常に遅れていると感じる。 1)共同研究者依頼の書類が英語で書かれていない。サインをもらうのに日本語なので相手は意味がわからないままサインをしなければならない。その他多くの書類で英語版が必要である。 2)旅費支払いのための海外送金に3-4ヶ月をも要し先方からのクレームが多い。また航空券の半券やチケット控えなどの請求をされるため、帰国後に改めて郵送が必要になるなど煩雑かつ非効率的な作業が多く、事務処理の簡素化と迅速化が望まれる。 3)病院のホームページが英語になっていない。大学本部のホームページ中に僅かに英語での病院紹介があるが、詳細な医療関連情報の英語での発信こそ国際化の第一歩と考える。