EPA/Asahi Glass Meeting...どのようにして、微量のPFOAがC8フッ素テロマ...

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フルオロカウンシルとその活動に ついて 2013723場所:日本化学工業協会 主催:フルオロカウンシル 日本サブグループ 協力:日本化学工業協会

Transcript of EPA/Asahi Glass Meeting...どのようにして、微量のPFOAがC8フッ素テロマ...

フルオロカウンシルとその活動について

2013年7月23日 場所:日本化学工業協会 主催:フルオロカウンシル

日本サブグループ

協力:日本化学工業協会

説明内容

• フッ素技術;化学、その利用と便益

• フッ素テロマーを原料とした撥水・撥油剤

• 2000年から現在に至るPFOA関連の出来事について

• フルオロカウンシル:概要

• グローバル規制動向アップデート

• フルオロカウンシル 現在の活動について

• 代替C6化学品毒性プロファイル

フッ素技術: 化学、その利用および便益

3

フッ素技術: フッ素化ポリマーと界面活性剤、フッ素ポリマー、フッ素化学品

フッ素化ポリマーと界面活性剤

フッ素テロマーと電解フッ素化物を含む

炭化水素ポリマー骨格に短いフッ素アルキル鎖がつながっている

[F(CF2)n-] n > 4

表面改質および保護、界面活性剤、撥水・撥油剤

フッ素ポリマー

分子量が1000万のポリマー

PTFEや溶融樹脂

フッ素化されたポリマー骨格

調理器具、化学工業プラントラインニング、航空宇宙、自動車、アパレル、建設など

フッ素化学品

低分子化合物

炭素数は1 - 8

冷媒

洗浄剤

発泡剤

CFC 代替(e.g. HFC’s)

フルオロテロマー: 旭硝子、クラリアント、ダイキン、デュポン、その他 フッ素ポリマー: アルケマ、旭硝子、ダイキン、デュポン、ソルベイ・スペシャルティー・ポリマーズ

フルオロカウンシルのスコープには入らない

4

フッ素技術: 社会にとって価値の高い製品

• 物理的および化学的性質が優れている: 熱安定性、化学物質に対する耐性が高い • 機能や社会的利便(便益)が他に取って代われない用途に使用される

‐ 消火剤用途における安全性の向上 ‐ 自動車や航空機、建築物、電子部品/機器用途におけ る耐久性や燃料消費効率向上 ‐ 撥水・撥油性、防汚性のような表面特性を強化するよう な製品の製造

5

人や資産を守り、消費者製品の寿命を延ばす

フッ素化ポリマーと界面活性剤用途

6

フッ素ポリマー用途

7

Telecomm

Wire & Cabling High Purity

Liquid Handling Semiconductor Manufacture

Aerospace Materials

Hydraulic tubing

Wire & Cabling Flares

Chemical Processing

Valves, Lined Piping, Tanks

Low Permeable

Automotive Fuel Hose

Non-stick Coatings for Cookware and Small Electrical Appliances

Construction

Architectural Fabric

フッ素テロマーを原料とした撥水・撥油剤

8

フッ素テロマーを原料とした撥水・撥油剤の一般的な化学構造

撥水性

撥油性

防汚性

Rf: C2F5(C2F4)n- n = 2 C6 telomer n = 3 C8 telomer

R1 : H or CH3

R2 : 炭化水素アルキル基

耐久性

風合い(固さ)

接着性

造膜性

風合い(やわらかさ)

k l m n

Y : 架橋可能な官能基

C H 2 C H 2 C H 2 C H 2

C

O

C H 2

C H 2

R f

O C

O

R 2

O X Y

R 1

C

R 1

C

R 1

C

R 1

C

k,l,m、およびnはそれぞれのモノマーのポリマー分子における構成比を表す。製品によって異なる。

繊維

-A-(

CF

2-C

F2) n

-CF

2-C

F3

繊維

-A-(

CF

2-C

F2) n

-CF

2-C

F3

-A-(

CF

2-C

F2) n

-CF

2-C

F3

-A-(

CF

2-C

F2) n

-CF

2-C

F3

-A-(

CF

2-C

F2) n

-CF

2-C

F3

-A-(

CF

2-C

F2) n

-CF

2-C

F3

-A-(

CF

2-C

F2) n

-CF

2-C

F3

-A-(

CF

2-C

F2) n

-CF

2-C

F3

-A-(

CF

2-C

F2) n

-CF

2-C

F3

熱架橋 炭化水素ポリマー骨格

A: スペーサー 配向したフルオロアルキル基

どのようにしてポリマー構造が基質の表面に撥水・撥油性を与えるのか?

どのようにして、微量のPFOAがC8フッ素テロマーを原料とした撥水・撥油剤に含まれるのか?

PFOAはC8フッ素テロマーを原料とした撥水・撥油剤の製造工程では使用されないが、行程中で微量、意図的でない副生物として発生する。

Telomerization(テロメリゼーション)

5F2C = CF2 + IF5 + 2I2 → 5CF3CF2-I

CF3CF2-I + nC2F4 → C2F5(C2F4)n-I (=Rf-I, Telomer)

Ethylene Addition(エチレン付加)

Rf-I+ CH2 = CH2 → Rf CH2 CH2-I

Alcoholization(アルコール化)

RfCH2 CH2-I + H2O → RfCH2 CH2OH + HI

Esterification(エステル化)

RfCH2 CH2OH + CH2=CHCOOH

→ RfCH2 CH2O-CO-CH=CH2 (Monomer)

PFOAに変化する考えられいる反応経路のひとつとして C2F5(C2F4)3-I

↓ H2O

C2F5(C2F4)3-OH

C2F5(C2F4) 2CF2-COOH

PFOA: C7F15COOH

2000年から現在に至るPFOA関連で起こっている出来事

12

現在に至るPFOA関連の出来事

• 2000年 3M がPFOS/PFOAビジネス撤退発表

• 2000年 フッ素化学業界が業界グループを結成(FMG and TRP)

U.S.EPAとの長期にわたる対話を開始

• 2003年 U.S.EPA がPFOAのテスト実施を目的にしたECA公聴会開始

• 2006年 U.S.EPA PFOA Stewardship Programを提案。大手フッ素化学メーカー8社

が参加を表明。

• 2009年 U.S.EPA がLCPFC Action Planを発表。

• 2010年 Stewardship Programに参加する8社は環境放出および製品中含量

を95%削減達成

• 2011年 フッ素化学業界新たなグループ結成(FluoroCouncil)

• 2012年 U.S.EPA 3つのSNUR発表

• 2013年 PFOAのSHVCリスト化提案と採決

• 2015年 (予定)署名した会社による実質的なPFOA製造、使用中止と代

替製品への切り替え完了

フルオロカウンシル:概要

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フルオロカウンシルについて

• フルオロカウンシルは世界の主要なフッ素技術企業を代表しています

• フルオロカウンシルは、以下を製造する会社がメンバーとなります

フッ素ポリマー製品

フッ素テロマー関連製品

フッ素界面活性剤

フッ素系表面特性改質剤

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• アルケマ フランス

• 旭硝子(株)

• クラリアント インターナショナル

• ダイキン工業(株)

• デュポン

• ソルベイ・スペシャルティー・ポリマーズ

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フルオロカウンシルメンバー会社

• 長鎖フッ素アルキルを含む製品(PFCs)からC6/短鎖フッ素アルキル基を有するフッ素化学製品を含む代替品(一般的に同等の性能を有し改善された環境および生物学的な性質を有する)への世界規模でのスムーズな移行を支援します

– 一環した世界規模の産業管理責任を生み出す法対応を支援

– 代替品の適切な評価を確実なものにする

– 信頼できる科学根拠に基づく新しい化学の支援

• 確認された科学論に基づき過去に使用されてきた製品について、適切な法規制に向け努力する

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フルオロカウンシルの目的

• 化学品、ポリマー製品を含む含フッ素材料へ関心が高まっている

• しばしば活動家主導による含材料を特定する川下までのサプライチェーンを巻き込んだ一連の動き

• 政府規制関連局(庁)によって、善し悪しを区別せずに、化学品が同様な性質を有するという誤った仮定の下、規制効率等のためにすべての含フッ素材料をひとつのグループに入れて規制しようとする動き

• 規制関連における新たな科学:低量投与、疫学的関連性など

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含フッ素材料を取り巻く状況

• 規制当局(国またはそれに見合ったレベル)

• 国際条約および政府間機関(組織)

• 政治家

• 他の産業界グループ

• 非政府組織

• 学究的機関

• 一般大衆

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フルオロカウンシルが従事する分野

グローバル規制動向アップデート

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長鎖フッ素アルキル化合物は、以下を含めて複数の国・地域において、検討、再評価中、制限または禁止となっている

•米国

•EU

•中国

•日本

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グローバルな法規制について

米国環境保護庁 法規制アップデート

2006 - 2009 ① 2010/2015 PFOA Stewardship Program (2006) 米国環境保護庁が提案、大手8社のフッ素化学品会社が自主的にプログラムに参加。 その内容は以下の2つを約束するというもの ○基準年をベースとして、2010年までに環境放出と製品中のPFOA含有量を 95%削減する ○実質的に2015年までに環境放出と製品含有量をゼロにする ② Long Chain PFC Action Plan Proposal (2009) 米国環境保護庁は、上記Stewardship Programが終了した2016年から長鎖パーフル オロアルキル化合物、それらを使用した製品の製造、輸入を禁止する

米国環境保護庁 法規制アップデート

2012 - 2013 ③ SNUR (Significant New Use Rules;重要新規利用規則) (2012) C8化合物に関して3 SNURs が成立(発表)された ○カーペットに関するSNUR(C8製品のカーペット用途の効果的な使用禁止) ○特殊化学品に関するSNUR(25種類のうち14種類がC8やPFOAに関するもの) ○特殊化学品に関するSNUR(20種類のうち、1種類がC8やPFOAに関するもの) ④ 米国環境保護庁がC6関連化合物、製品は、LCPFC Action Planの対象とならないこと を発表 (2013) “PFAC chemicals with fewer than eight carbons, such as perfluorohexanoic acid (PFHxA), are not considered long-chain PFAC chemicals. These shorter-chain PFAC chemicals are not part of this action plan because data in non-human primates indicate that they have substantially shorter half-lives in these animals than PFOA and are less toxic than long-chain PFAC chemicals.” -原文のまま記載-

欧州法規制アップデート

• Harmonized Classification, Labeling and Packaging (統一分類とラべリング、パッケージング) – 2011年12月、PFOA/APFOを発癌性2、生殖毒性1B(Classification, Labeling, and

Packaging - CLP Regulation)に分類する – 2015年1月に発効する予定

• SVHC(Substance of Very High Concern;高懸念物質) – 2013年6月、EUメンバー国はPFOA/APFOをSHVCリストへの記載決定

• マーケティングおよび使用の制限 – 2013年中に輸入・販売制限の提案の可能性

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日本および中国規制アップデートについて

日本 PFOAとPFOSが第二種監視化学物質(既存、新規化学物質、難分解性 あり、高蓄積性なし、人への長期毒性の疑いあり)に指定(2002年) 長鎖パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数が12から16)については 第一種監視化学物質(既存化学物質、難分解性あり、高蓄積性あり、規 制:なし)に指定(2007年)。 PFOSが第一特定化学物質に指定(人や生態系への有害性があり環境 中に広く存在、曝露可能性があると認められる物質)(2008年) 中国 PFOAを含むパーフロロアルキルカルボン酸類に関する 規制の動きは 見られない。PFOSについて、国内河川、地下水などの測定を実施中。

現在のフルオロカウンシル活動について

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市場先導とフルオロカウンシルのアクション

• Zero Discharge of Hazardous Chemicals (ZDHC) プログラム – 多数のアパレル小売業/ブランドからなるComprised of numerous

apparel retailers/brands – 長鎖PFCsの代替品を特定することに集中Focused on identifying

alternatives to long-chain PFCs – Outdoor Industry Association (米国)やEuropean Outdoor Group(欧州)と協力

• 複数のブランド/小売業がPFCsを含む化学物質の段階的使用中止スケジュールを入れた約束に署名

• フルオロカウンシルはアウトドア・アパレル産業に協力し、代替品についての情報(データ)提供

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政府関連組織との関わり

– U.S.EPA(米国環境保護庁)

– HC/EC (カナダ保健、環境庁))

– UBA (ドイツ環境保護庁)

– METI (日本経済産業省)

– OECD/UNEP(経済開発機構/国連環境プログラム)

–ストックホルム・コンヴェンション

– SPI(米国プラスティック工業会) – CEFIC(欧州化学工業会) – 日本化学工業協会、 – 日本フッ素樹脂工業会 – 中国フッ素シリコン工業会 – ZDHC(Zero Discharge of Hazardous Chemicals) – OIA (アウトドア工業協会;Outdoor Industry Associations) – EOI (欧州アウトドア工業;European Outdoor Industries)

様々な産業界との関わり

代替C6製品 毒性プロファイルと米国環境保護庁によるLCPFC Action Planについてコメント

30

C6/短鎖製品とその原料物質について毒性 データ

31

–PFHxAの毒性プロファイル • サルにおける薬物動態

• ラットにおける薬物動態

• 哺乳類における毒性

–C6テロマー化合物の毒性プロファイル

サルにおける薬物動態

32

(ng/m

L)

(hr)

1

10

100

1,000

10,000

100,000

1,000,000

0 4 8 12 16 20 24 28 32 36 40 44 48 52

PFHxA-Male

PFHxA-Female

サルにおける薬物動態 単回静脈投与(10mg/kg)後のPFHxAの血清中濃度

33

PFHxA - 雄

PFHxA - 雌

(時間)

(ng/m

L)

hr

サルにおける薬物動態 単回静脈投与(10mg/kg)後のPFHxAおよびPFOAの 血中半減期

Half life is the time required for the

amount of a chemical in the body

to decrease to 1/2 its starting level.

A shorter half-life means that a

substance is more quickly

eliminated from the body.

34

PFHxA雄

PFHxA雌

PFOA雄

PFOA雌

半減期

(時間)

半減期とは体内の化学物質の量が最初のレベルの1/2になる

までに要する時間である。半減期が短くなるということは、物質がより迅速に体内から排出されることを意味する。

ng・h

/mL

サルにおける薬物動態 PFHxAおよびPFOAの単回静脈投与(10mg/kg)後の 曲線下の面積

35

PFHxA雄

PFHxA雌

PFOA雄

PFOA雌

無限大までの血中濃度-時間曲線下面積(AUCINF)

この図に示されているのは、化学物質が生体内にどのくらいの期間残っているかの比較測定結果である。

0

500,000

1,000,000

1,500,000

2,000,000

2,500,000

L/h

/kg

サルにおける薬物動態 PFHxAおよびPFOAの単回静脈投与(10mg/kg)後の 見かけの全身クリアランス

36

0

0.02

0.04

0.06

0.08

0.1

0.12

0.14

0.16

PFHxA雄

PFHxA雌

PFOA雄

PFOA雌

見かけの

全身クリアランス

“全身クリアランス”とは、

単位時間あたりに化学物質が排出される基準体液(血液など)の見かけの体積で

ある。

カニクイザルにおける薬物動態

AUC0-∞(ng・h/mL) 84,002 75,157 1,235,000 2,293,000

半減期(時間) 5.3 2.4 501.6 782.4

Cl(L/h/kg) 0.122 0.136 0.0005 0.0002

Vd(L/kg) 0.989 0.474 0.181 0.198

PFHxA PFOA(1)

雄 雌 雄 雌

Cl: 見かけの全身クリアランス、 Vd:見かけの分配量

(1): PFOAに関するリスクアセスメント案からのデータ(米国EPA、2005年1月)

単回静脈投与(10mg/kg)後のPFHxAおよびPFOAの

薬物動態の結果

37

サルにおける薬物動態

まとめ

• サルに対するPFHxA投与の全身曝露量は同用量のPFOA

に比べて著しく低かった(15~30分の1)。

• 血清中のPFHxAの半減期はPFOAよりも2桁短かった。

38

ラットにおける薬物動態 (OECD422試験における毒物動態学)

39

ラットにおける薬物動態

<用量:300mg/kg/日>

反復経口投与試験(OECD 422)における0日目および

25日目のPFHxAの血清中濃度

1

10

100

1000

10000

100000

1000000

0 4 8 12 16 20 24 0 4 8 12 16 20 24

Male

Female

(hr)

(ng

/mL

)

Day 0 Day 25

40

(時間)

0日目 25日目

(ng/m

L)

パーフルオロヘキサン酸(PFHxA)および その塩の哺乳動物に対する毒性

41

パーフルオロ酸の哺乳動物に対する毒性 急性経口毒性および遺伝毒性試験

1) DuPont 2) EPAリスクアセスメント案(2005年1月)

PFHxNa1) APFO2)

急性経口LD50

遺伝毒性

細菌を用いる

復帰突然変異試験(Ames)

染色体異常

小核

♂: 680mg/kg ♀: 430mg/kg 陰性

陽性

陰性

1,750mg/kg

陰性

陰性

42

パーフルオロ酸の哺乳動物に対する毒性 ラットを用いる90日間経口毒性試験

*:NOEL、 **:NOAEL、 1)旭硝子 2)DuPont 3)EPAリスクアセスメント案(2005年1月)

PFHxA1) PFHxNa2) APFO3)

10mg/kg(♂)*

50mg/kg(♀)*

♂50mg/kg以下: 体重増加量の低下、

コレステロールおよび

カルシウムの低下

♀200mg/kg: グロブリンの低下

0.5 - 0.05mg/kg(♂)**

0.64mg/kg以下: 体重増加量の低下、

肝臓重量の増加、

肝細胞肥大

20mg/kg(♂, ♀)**

標的臓器: 鼻、肝臓

43

PFHxA1) PFHxNa2) PFHxNH43) APFO4)

(OECD422)

ラット

F0(♂♀):

300/450mg/kg**

F1(♂♀):300/450mg/kg**

F1(♂♀): 生殖毒性の

変化なし

(OPPTS 870.3800)

ラット

F1:3mg/kg(♂)**、

10mg/kg(♀)**

F2:30mg/kg(♂♀)**

F1(♂♀): 離乳後体重の低下

F2:生殖毒性の変化なし

1世代生殖/発生

ラット

100mg/kg**

生殖/発生

マウス

F0: 100mg/kg(♀)*

F1: 100mg/kg(♂♀)**

F1 (♂♀):

母体毒性を示す投与量でのみ影響あり

パーフルオロ酸の哺乳動物に対する毒性 生殖/発生毒性

44 *:NOEL、 **:NOAEL、 1)旭硝子 2)DuPont 3) ダイキン工業 4)EPAリスクアセスメント案(2005年1月)

繁殖パラメーター

には影響なし

パーフルオロ酸の哺乳動物に対する毒性 ラットを用いる2年間慢性毒性および発がん性試験

•:NOEL **:NOAEL ***:それぞれ1.3および14.2mg/kg(♂)、1.6および16.1mg/kg(♀)に対応

****:LOAEL 1)旭硝子/ダイキン工業 2)EPAリスクアセスメント案(2005年1月)

PFHxA1) APFO2)

発がん性なし

100mg/kg(♂) 200mg/kg(♀)

非腫瘍性

15mg/kg(♂)*

30mg/kg(♀)*

a) 30および300ppmの混餌投与で

ライディッヒ細胞腫、乳腺腫瘍***

b) 300ppmの混餌投与でライディッヒ

細胞腫、肝腺腫、膵臓腫瘍

(雄のみ試験)

c) 非腫瘍性

1.3mg/kg(♂)****、

1.6mg/kg(♀)****

45

哺乳動物に対する毒性

まとめ

• PFHxAとその塩は、PFOAに比べて全身毒性が桁違いに

低い(2~3桁)。

• PFHxAとその塩は、選択的な生殖毒性物質ではない。

• PFHxAは発がん性物質ではない。APFOはラットを用いた

2つの試験で発がん性を示したが、これらのデータと人間との関連性は明白ではない。

• PFHxAは変異原性を示さない。

• PFOAとは異なり、PFHxAは生体から迅速に排出される。

46

血液中からの排出半減期

47 * Nilsson, et al, Biotransformation of fluorotelomer compound to perfluorocarboxylates in humans, Environment

International 51 8-12, 2012

短鎖 長鎖

Elimination t1/2 (Days) PFHxA PFOA

Rat(ラット) 0.2 - 0.05 5

Monkey(サル) 1 21

Human(人間) <28* 1,100-1,500

長鎖と短鎖の間には、大きな違いがある 短鎖は迅速に排出され、著しく毒性が低い

C6フッ素テロマー化学品の毒性プロファイル

48

C6フッ素テロマー化学品の毒性プロファイル

• ポリマー製品(例)

• 原材料

– 6:2 テロマーアルコール

– 6:2 メタクリレート

• パーフルオロヘキサン酸イオン

49

側鎖にC6F13CH2CH2-基を有するフルオロテロマー系ポリマーの毒性データ 例

50

水性ポリマーディスパージョン (DuPont 商品)

•急性毒性/哺乳動物 – 経口 LD50 (ラット): >11,000 mg/kg – 眼刺激性 (ウサギ): 中等度刺激性(48時間以内に回復) – 皮膚刺激性 (ウサギ): 刺激性なし – 局所リンパ節増殖試験 (LLNA; mouse): 皮膚感作性なし

•遺伝毒性 – 微生物を用いた変異原性試験 (Ames), 哺乳類培養細胞を用

いた染色体異常試験はいずれも陰性 – 遺伝毒性、変異原性いずれも認められない

•反復投与毒性/哺乳動物 (ラット) – 90日反復経口投与毒性試験、1世代生殖毒性試験, 発生毒性試験 – NOAEL 1000 mg/kg/day – 最高(上限)用量

急性毒性/水生生物 – 魚類: 96Hr LC50 >100 mg/L – ミジンコ: 48Hr EC50 4.3 mg/L – 藻類: 72Hr EC50 >100 mg/L

まとめ

• 哺乳動物への毒性には区分されない。水生生物

への毒性ではR51/53に区分される

• 発生毒性あるいは生殖毒性物質ではない

• DNAへの傷害はなく、遺伝毒性、変異原性のい

ずれにも該当しない

• 排泄は速く、生体蓄積性ではない

6:2 フルオロテロマーアルコール(C6F13CH2CH2OH)の毒性データ

51

DuPont; Presented at 4th INTERNATIONAL WORKSHOP on Per-

and Polyfluorinated Alkyl Substances – PFAS (Nov. 9, 2012, Idstein,

Germany)

原料 6:2 フルオロテロマーアルコール*

• 急性毒性/哺乳類 – 経口 LD50 (ラット): 1,750 mg/kg – 眼刺激性 (ウサギ): 軽度刺激性あり – 皮膚刺激性 (ウサギ): 刺激性なし – 経皮 LD50: 5,000 mg/kg – 局所リンパ節増殖試験 (LLNA:マウス) : 皮膚感作性なし – 吸入 4Hr. ALC > 3.6 mg/L vapor

• 遺伝毒性 – 微生物を用いた変異原性試験 (Ames), 哺乳類培養細胞を用いた

染色体異常試験は、いずれも陰性

• 反復投与毒性/哺乳類 (ラット) – 90日間反復経口投与: NOAEL 5 mg/kg/day – 1世代生殖毒性試験: NOAEL 25 mg/kg/day – 発生毒性試験: NOAEL 25 mg/kg/day – 吸入 5 日間、28 日間反復投与: NOAEL 10ppm – 標的臓器: 歯牙 (F-), 血液, 肝臓

• 体内動態 (ラット) – 単回及び反復経口投与、及び吸入曝露 – 急速な生体排出

• 急性毒性/水生生物 – 魚類: 96Hr LC50 4.84 mg/L – ミジンコ: 48Hr EC50 7.84 mg/L – 藻類: 72Hr EC50 4.52 mg/L

まとめ

•哺乳動物への毒性には区分されない。水生生物へ

の毒性ではR51/53に区分される.

•DNAへの傷害はなく、遺伝毒性、変異原性のいず

れにも該当しない

•排泄は速く、生体蓄積性ではない

•反復投与毒性は他のフルオロテロマーアルコール

の公開データと同様であった

•環境中の濃度では、人健康や環境に対して有害で

あるとは考えられない

*Serex et al., Toxicologist, 2009, 108(1): 842. Toxicologist, 2012, 126(1): 266.

6:2 フルオロテロマーメタクリル酸の毒性データ C6F13CH2CH2OC(O)C(CH3)=CH2

52

DuPont; Presented at 4th INTERNATIONAL WORKSHOP on Per-

and Polyfluorinated Alkyl Substances – PFAS (Nov. 9, 2012, Idstein,

Germany)

原料 6:2 フルオロテロマーメタクリル酸* • 急性毒性/水生生物 – 魚類: 96Hr LC50 > 14.5 mg/L – ミジンコ: 48Hr EC50 >120 mg/L – 藻類: 72Hr EC50 > 24.6 mg/L

まとめ

• 哺乳動物への毒性には区分されない。水生生物

への毒性ではR52/53 に区分される

• DNAへの傷害はなく、遺伝毒性、変異原性のい

ずれにも該当しない

• 速やかに 6:2 FTOHへ代謝される

• 反復投与毒性は 6:2 FTOHの毒性と同じ

*Anand et al., Toxicology 2012, 292(1): 42-52.

• 急性毒性/哺乳動物

–経口 LD50 (ラット ,マウス): > 5,000 mg/kg

–眼刺激性: 刺激性なし

–皮膚刺激性: 刺激性なし

–経皮LD50: > 5,000 mg/kg

–局所リンパ節増殖試験(LNNA): 皮膚感作性なし

• 遺伝毒性

– In-vitro

• 微生物を用いた変異原性試験(Ames) 陰性

• 染色体異常試験 陽性 (構造異常)

– In-vivo

• リンフォーマ試験、小核試験および染色体異常試験: マウス陰性

• 反復投与毒性/哺乳動物 (ラット)

– 14日間反復経口投与: NOAEL 1000mg/kg/day

– 28日間反復経口投与: NOAEL 5 mg/kg/day

(非公開データ)

–標的:歯(F-)、肝重量

パーフルオロヘキサン酸(C5F11CO2 )の毒性データ

53

DuPont; Presented at 4th INTERNATIONAL WORKSHOP on Per-

and Polyfluorinated Alkyl Substances – PFAS (Nov. 9, 2012, Idstein,

Germany)

分解生成物 パーフルオロヘキサン酸 (PFHx)*

まとめ

•DNAへの傷害はなく、遺伝毒性、変異原性のいず

れにも該当しない

•発生毒性あるいは生殖毒性物質ではない

ベンチマークドーズ法で解析

•排泄は速く、生体蓄積性ではない¥.

•環境中の存在する相当濃度では、人健康や環境

に対して有害であるとは考えられない

反復投与毒性/哺乳動物(経口) •2年間反復投与毒性(慢性毒性) (ラット)

– NOAEL 雄 15 mg/kg/day; 雌 30 mg/kg/day

–発がん性なし

•90日間反復投与毒性(亜慢性毒性) (ラット) – NOAEL 20 mg/kg/day

–標的臓器: 鼻腔, 肝臓

•1世代生殖毒性(ラット) – NOAEL 100 mg/kg/day

–生殖毒性パラメータに異常なし

•生殖/発生毒性 (マウス) – NOAEL 100 mg/kg/day

•発生毒性 (ラット) – NOAEL 100 mg/kg/day

•体内動態 (ラット、マウス、サル) –単回および反復投与試験が終了: すべての動物種で雌雄ともに速やかに排泄された

*Loveless et al., Toxicology 2009, 264(1-2),32-44. Chengelis et al., Repro Tox, 2009, 24(3-4), 342-351 Gannon et al., Toxicology 2011, 283(1): 55-62 ¥ Conder et al., Environ Sci Technol 2008, 42(4): 995-1003.

-

C6テロマー化学品に対する米国環境保護庁の最近

のコメント

54

C8からC6/短鎖化学品への移行は正しい動きである

米国環境保護庁 2013年6月US EPA 「8より尐ない炭素数を有するパーフルオロアルキルカーボン化合物類、たとえば PFHxA(パーフルオロヘキサン酸)は、長鎖パーフルオロアルキルカーボン化合物と見なさない。これらの短鎖パーフルオロアルキルカーボン化合物は、LCPFC Action Planの対象ではない、何故なら、サルを使った毒性試験データは、PFOAに比べて著しく小さい半減期を示し長鎖パーフルオロアルキル化合物よりも毒性が低いからである」 http://www.epa.gov/opptintr/existingchemicals/pubs/actionplans/pfcs.html

まとめ

耐久性撥水・撥油剤はユーザーにとって、テキスタイル業界にとっても価値のあるものである。 過去で最も優れた撥水・撥油剤はC8テロマーを原料にしたものであった。 C8テロマー原料製品は規制当局の懸念となっている。 フッ素化学産業は規制当事者に協力し、C8の課題に取り組み、その成果のひとつとして、C6テロマーを原料とする撥水・撥油剤を開発するに至った。これらは、生態的、生物学的な環境負荷を低減(改善)したものである。 テキスタイル、アパレル業界は、C6テロマー製品への移行を開始する時期に来ている。

御清聴有難うございます。

1.お手元の今回の発表資料、並びにFluoroCouncilがアパレル業界用に作成した配布資

料は、近日中にFluoroCouncil (http://www.fluorocouncil.com) のウェッブサイトにアップ

ロードする予定です。

2.我々の今後の活動の参考にさせていただくため、アンケートを用意させていただきまし

た。もう尐し我々の為にお時間を割いていただき、ご記入いただきますようお願い申し

上げます。

3.FluoroCouncil Japan Subgroupとしての活動は今回を除き、現時点で具体的な計画は

ありません。活動についてのご質問、ご意見、ご提案などがお有りでしたら、下記の

メンバーまでご連絡いただくか、以下のサイトにアクセスしご意見を記入していただき

ますようお願い申し上げます。

ジャパンサブグループサイト:http://www.fcjpsub.com

有本隆宏(クラリアント) :[email protected]

大西啓一(旭硝子) :[email protected]

中村隆之(ダイキン) :[email protected]

萩原美典(デュポン) :[email protected]