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鉄道という言葉から思いつくものはなんでしょう?人それぞれ変わってくると思いますが、たぶん、鉄道が成り立つためのいくつかの「要素」のどれかを思い浮かべているだろうと思います。鉄道が成り立つための要素には次のようなものがあります。

1.地上設備(線路や信号機など)2.車両3.人間(運転士・保守作業員・経営者など)

ここでは、主に 1 と 2 について取り上げます。

1.地上設備

軌間(きかん):軌間とは、普通鉄道(ロープウェーなどは含まない)・新幹線鉄道においての 2 本のレールの幅の事です。日本では、JR の 1067mm や阪急などの1435mm、京王電鉄(井の頭線を除く)などの 1372mm、トロッコなどの 762mmのいずれかになっています。

曲線(きょくせん):曲線とはその名の通り、列車の方向をなめらかに変えるために設けられた、曲がった線路の事です。曲線では、カントなどを設けて列車が曲がりやすいように工夫してあります。

カント:曲線上では車体に遠心力という非常に強い力がかかるため、この力を打ち消すために曲線の外側のレールを少し高くします。これをカントと言います。

勾配(こうばい):勾配とは、車両の標高をなめらかに上げるために設けられた坂のことです。勾配の度合いを表す単位は‰(パーミル)という 1/1000 の単位を使用しています。                 1‰とは 1000m 進むごとに 1m高さが上が            1m る勾配の事です。

        1000m

分岐(ぶんき):分岐とは、1 つの路線から 2 つの路線へ分かれる、あるいは逆に、2 つの路線から 1 つの路線にまとめたい時に設置されるものです。ポイントとも言います。ポイントにはいくつかの種類があります。

片分岐     両分岐   ダブルクロス  スリーウェイまた、分岐時にばねを押して進むスプリングポイントというものもあります。

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架線(かせん):電車を動かすためには電気が必要です。しかし、電車は動くのでコンセントをつけるわけには行きません。そこで、架線という硬銅で出来た電線を車両の上に設置しています。電車は、パンタグラフという集電装置をこの電線に密着させることによって架線から電気を得ています。ところで、地下鉄のほとんどはこの架線を使っていません。地下鉄の場合、トンネルの断面積を小さくするために、サードレール(第 3 軌条)という方式の送電用線路を使っています。しかし、サードレールは、地面に近いところに敷設されているため、保守や保安面から低圧の電気を流しています。また、サードレールから電気

を集める装置を集電靴(集電シュー)と言い、左下のような形をしています。また、海外ではイギリスとフランスを結ぶユーロスタ ー とい う高 速 列 車 が イギ リス 国 内 で集 電シューを利用しています。

注釈:地下鉄でも、鋼体架線という非常に硬く固定された架線を用いることによりパンタグラフからの集電を行っている路線もあります。その時は、パンタグラフ破損時に備えて、2 つ以上のパンタ

グラフを上げるのが普通です。

架線柱(かせんちゅう):架線を支えるための柱を持った構造物です。これにもいくつか種類があり、JR では主にトラスビーム型、大手私鉄ではラーメン構造型、ローカル線では単ビーム型が使われています。

 トラスビーム     ラーメン    単ビーム

橋梁(きょうりょう):河川や谷、道路などを横断するためにかけられる橋の事です。これにもいくつか種類があり、目的によって普通橋梁、架道橋、乗越橋、高架橋などに分類されます。

ずい道(ずいどう):山を越えるときに急勾配やスイッチバック等が増えるのを避けて、山腹を掘りぬいた構造物の事です。トンネルと一般的に言われています。鉄道工事におけるもっとも危険な工事の一つがこのずい道の工事です。

踏切(ふみきり):道路とやむを得ず平面交差するときに設置されるものです。踏切には法律上、第一種踏切から第四種踏切まであります。第一種 警報装置と遮断機の設置されている踏切第二種 ある時間のみ遮断をする踏切(現在はほとんど存在しません)

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第三種 警報機はあるが、遮断機の設置されていない踏切第四種 警報機も遮断機もない踏切

また、踏切の軌道交差部分の道路がひどく盛り上がっている踏切ことをかまぼこ型踏切といい、自動車の下部が接触して破損する可能性があるため、注意喚起の標識が設置されていることもあります。また、交通量の多い踏み切りにおいては、障害物検知装置というレーザー光やコイル、超音波などを使った検知装置を設置し、自動車が踏切内で立往生した時に近接する信号を停止現示にしたり、特殊発光信号機を点滅させて運転士に危険を知らせるという安全策もとられています。

信号機(しんごうき):運転士に対して今後進入する線路の状態、または線路への進入許可を表すために設置される腕木式または色灯・灯列式の表示装置のことです。詳しくは、下の鉄道信号をご覧下さい。

鉄道信号(てつどうしんごう):鉄道信号とは、運転士、保守作業員などに線路の状態などを知らせるために設置するものです。鉄道信号は大きく信号、合図、標識の 3つに分けられます。ここでは、順を追ってそれぞれ解説していきます。

信号(しんごう):信号は主に運転士に対して進入する線路の状態や工事情報などを知らせるために設けるものです。信号には、大きく常置信号機、臨時信号機、手信号、特殊信号の 4 つに分けられます。これもまた、順を追って説明します。常置信号機

主信号機・・・・・場内信号機、出発信号機、閉塞信号機、誘導信号機、入換信号機従属信号機・・・遠方信号機、中継信号機、(通過信号機)信号付属機・・・進路表示機、(進路予告機)

場内信号機駅構内への進入が可能かを示す信号機です。基本的には R現示(停止現示)と G現示(進行現示)で構わないのですが、過走防止のために Y現示(注意現示)などの現示を出すことがあります。また、絶対信号機(後述)でもあります。出発信号機駅構内を出発するのが可能かを示す信号機です。これも、R と G だけで構わないのですが、内方(信号機の向こう側)より向こう側にある閉塞信号と連動していると Y などの現示を出すことがあります。また、場内信号機同様、絶対信号機です。ちなみに「出発進行!」というのは出発信号機が進行を現示している時の運転手の信号喚呼に由来しています。閉塞信号機これを説明するためには自動閉塞という概念が必要なのですが、簡単に説明してしまいます。基本的に一つの閉塞区間には一つの列車しか入れません。

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そこで、ある信号機のひとつ前の区間に他の列車がいる場合はその信号機をR にして、衝突を防ぎます。しかし、いきなり信号が R であればスピードのついた列車は止まりきれずに衝突してしまいます。そこで、段階的に列車のスピードを落とすことが必要になります。今、五灯式の信号機を例に考えます。次ページの図を見てください。

G YG Y YY Rこのように、先行列車からの開通閉塞区間数により R、YY(警戒現示)、Y、YG(減速現示)、G のような信号を現示します。これが、複線以上における自動閉塞の仕組みです。その他、閉塞にはさまざまな種類があるのですが、割愛させていただきます。また、ここからの話は特に断りがないかぎり、すべてこの「複線以上における自動閉塞」採用の路線を指しているとお考え下さい。閉塞信号機の仕組みについて分かっていただけたと思いますが、閉塞信号機にはある特例があります。さきほど、場内信号機や出発信号機などは絶対信号機だと書きました。ところが、実は閉塞信号機は絶対信号機ではありません。それでは、「絶対信号機とはなんぞや?」と言うことになるのですが、絶対信号機というのは、鉄道運転規則第 6章 169 条に定められている無閉塞運転が出来ないということを意味している信号です。

第 169 条 列車は、自動閉塞式を施行する区間で閉塞信号機の停止信号により停止し、1 分を超過した時は、前条第 3項の規定に関わらず、停止信号の現示箇所を越えて進行することができる。(第 2項は略)

第 90 条 列車は、第 169 条の規定により停止信号の現示箇所を超えて進行する場合または車内停止信号が現示されている区間を進行する場合は、15キロメートル毎時を超えない速度で運転しなければならない。

誘導信号機誘導信号機とは、すでに列車がいる閉塞内に別の列車を進入させるために場内信号機などの下に設置された信号機です。主に、併結時に使われます。入換信号機入換信号機とは、誘導によらず構内を運転する時に出発信号灯の下に設置される信号です。非常によく似ている入換標識との違いは防護区間を持っているか持っていないかにあります。安全を保証しているのが入換信号機であり、ポイントの開通のみを示しているのが入換標識です。

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  入換信号機   入換標識  誘導信号機遠方信号機遠方信号機とは、閉塞信号機がない区間で場内信号機の現示を予知するために設けられる従属信号機です。背面の板は普通の信号の楕円ではなく長方形になっています。中継信号機出発信号機および場内信号機、閉塞信号機の確認距離が短い時にそれを補うために設ける従属信号機です。現示は 3 種類ですが従属信号機のため制限は受けません。進路表示機どの線路へ進むかを示すために出発信号機・場内信号機の下に設置されます。

  進路表示機           中継信号機臨時信号機臨時信号機 徐行予告信号機、徐行信号機、徐行解除信号機・・・徐行予告信号機工事などで発生する徐行区間の手前に設置されるもので、制限速度を予告します。一見すると標識に見えますが、れっきとした信号機です。徐行信号機工事などで発生する徐行区間の始まりを示します。徐行解除信号機徐行の解除を示します。上記 3 つはセットで設置されます。

    30 30 橙黄色 緑色

  徐行予告信号機 徐行信号機  徐行解除信号機手信号

手信号は、信号機が使用できないときに旗や燈で列車に現示合図を送ります。3 つぐらいの種類があるようです。

特殊信号

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特殊信号 発炎信号、発雷信号、発光信号、発報信号・・・発炎信号自動車に積んである発炎信号とほぼ同じ役割をし、線路等の異常を示します。信号炎管ともいい、線路見張員などが携帯します。発雷信号レール上に設置し 列車がそれを踏むと大きな爆発音を生じるもので、運転、手は即時に停止手配を取ることになっています。不発の時のために、大抵 2個以上設置します。信号雷管とも言います。最近ではあまり使われません。発光信号踏み切りや危険地域に設置し 異常があれば赤いランプが順に移動しながら、点灯する信号機です。[図-1(次ページ)]のような形をしています。発報信号運転士が線路に異常を感じた時や人身事故の発生等で、付近約 1km 以内を走行中の列車を、即時停車させたい時に使います。別名防護無線ともいい、他の特殊信号が、運転士の注意によって発見されるのとは違い、この防護無線の場合は運転室にある警報の音により自動的に運転士が危険を認識するようになっているため、安全度が非常に高いのが特徴です。現在保安用としてさまざまな会社で使われています。

合図(あいず)合図とは、主に運転士・係員に対して発車、移動、ブレーキなどの動作の指示をするために規定されているものですが、主に各社の方針に任せてあるためここでは名前だけを挙げておきます。ただ、資料が非常に古く、また現在の資料もなかなか手に入らないので 現在全く使われていない、あるいは廃止されてしまっ、たものがあるかもしれませんがその辺をご了承願います。合図・・・出発合図、出発指示合図、気笛合図、推進運転合図、手信号現示合図、停止位置支持合図、ブレーキ試験合図、移動禁止合図、転轍合図、入換合図、入換通告合図など。

ちなみに、この辺りでは出発合図は車掌または、運転士知らせ灯によって行っています。移動禁止合図は、併合や折り返しの際に清掃員や作業員などが給水やケーブル接続などの目的で線路上に立ち入るため、彼らの安全のために設けられたものです。

標識(ひょうしき)標識とは、主に運転士及び保線作業員 操車係などに路線の状況及び、制限速度、 、デッドセクション、危険区域の範囲等を看板あるいは灯列・色灯式の表示機などにより示すものです。

標識列車標識、入換機関車標識、閉塞信号機識別標識、出発反応標識、列車停止標識、車両停止標識、入換信号機識別標識、入換標識、突放入換標識、転轍

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器標識、速度制限標識、速度制限解除標識、架線終端標識、架線死区間標識、架線電源識別標識、進路電源識別標識、一旦停止標識、車両接触限界標識、気笛吹鳴標識、車止標識、踏切支障報知装置使用標識など。

列車標識列車の前灯及び尾灯(テールライト)のことです。入換機関車標識入換機関車が運行時に左のテールライトのみを点灯させることです。閉塞信号機識別標識閉塞信号機の下に設置されている閉塞番号の識別標識。黒字に白の文字で閉塞番号が書かれています。[図-2]出発反応標識停車場に設置されている出発信号機と連動した標識で、出発信号機が停止以外なら点灯、停止を現示している時は滅灯します。車掌は主にこれを見ながら戸締めなどの時機を判断します。[図-3]

図-1 図-2 図-3 図-4

列車停止標識地形などの関係上出発信号機等を本来の位置に設置できない場合、本来信号を設置すべき場所にこの標識を設置します。また、この標識を超えることは対応する信号を超えたことと同じ事になります。この標識は主に通過・貨物退避駅に設置されます。[図-4,5(次ページ)]

図-5       図-6車両停止標識入換や、折り返し等で頻繁に車両の入換を構内で行う時、車両が進入できる限界位置を示すために設置されるものです。ただし、折り返しの場合、実際の列車の停止位置は列車停止目標になります。[図-6]入換信号識別標識・入換標識入換信号識別標識は前に述べた入換信号機と入換標識の区別のための灯式の標識(入換信号の下にある紫色の標識)です。また、入換標識についても入換信号機に関して述べた部分をご覧下さい。突放入換標識突放というのは、小さな丘や勾配などを利用した巨大な貨物操車場 [図-7](これをヤードといいます)において、低速で走行中の入換列車から一部の貨車を切り離し、ポイントを制御して、その貨車を仕分けすることです。

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突放入換標識自体はふつうの信号機の灯色をすべて白色にしたようなものです。[図-8]                      突放する線路がすべて開通                      しているときは3つ点灯引上線(押上線)           仕訳線

↓高さのレベル               引上線(押上線)のみ開通し                      ているときは下2つ点灯        ↑補助勾配

図-7(平面ヤードの場合)           突放する線路が開通して                      いないときは下1つ点灯

                   図-8転轍器標識転轍器(ポイント)は列車の方向を変えるものですが、保安上、運転手や係員が遠くからでも進路方向を識別できる必要があります。そこで、鉄道運転規則では転轍器を[図-9(次ページ)]のように定めています。普通転轍器の場合:

定位   反位 定位 反位             紫色灯(夜)       橙黄色灯(夜)          群青色の円に白い棒線(昼) 黄色矢筈に黒い棒線(昼)

          図-9発条転轍器(スプリングポイント)の定位は普通転轍器の昼間標識に「S」という白い文字が入ります。脱線転轍器・遷移転轍器の場合は、脱線させる方向の昼間標識は白縁の赤色板で夜間標識は赤色灯となります。その他はすべて同じです。発条転轍器・脱線転轍器・遷移転轍器に関しては、上記の通りですので図を省略させていただきます。速度制限標識勾配や曲線等で列車の速度を落とす必要があるときにこの標識を設けます。会社によって標識の方式は異なるのですが、JR の場合[図-10]のようになります。上の大きくかかれた数字が制限速度、下の数字が制限区間長です。また、ポイントにおける制限の場合[図-11]のように分岐する方向の辺に黒い三角を2つ書きます。図の場合、左方向の分岐制限が 40km/h ということになります。速度制限解除標識

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速度制限区間の終端に設置される標識で、JR では[図-12]のようになっています。列車の最後尾がこの標識を越えると制限速度が解除されます。ちなみに、たいていの場合、分岐制限には解除標識はありません。架線終端標識文字通り、終着駅などで架線が終端するところに設置されるものです。 [図-13]架線死区間標識日本では、事業用発電所から供給される電力はすべて交流となっています。また、発電所から直接出る電気は数百 KV ほどの超高圧になっています。しかし、列車を動かすためにはもっと電圧を下げなくてはなりません。その上電車のモータは直流モータがほとんどなので、交流を直流に変換する「整流」という作業を行わなければなりません。もちろん変圧・整流装置を各列車につけると各列車にかかる費用が非常に増大しますので、架線には直流を流すことになります。そのため日本の大都市圏や私鉄などでは低電圧直流を流すのが一般です。

200図-10 図-11 図-12 図-13 図-14 図-15

しかし、直流を流すのは、各車両にかかるコストは低いのですが、全体に使う変圧・整流装置のコストが著しく高いため、列車本数の少ない地方では、架線に交流を流すところが出てきました。しかし、列車本数が少ないとはいえ、大都市圏同士を結ぶ特急列車などがそこを通過しなければならないときもあります。その場合、列車を通過させながら、一時的に電気を遮断し、制御回路を組み替えなければなりません。これを行う場所をデッドセクションといいます。そこでは惰行で通過し、スイッチの切り替えを行います。そのセクションを示すのがこの架線死区間標識です。交交セクション(後述)[図-14(前ページ)]・交直セクション[図-15(前ページ)]

架線電源識別標識現代においては、デッドセクションは列車を通過させながら行うものですが 、昔はそのような技術がなかったため、一度、列車を駅で停車させてから電源を切り、架線の饋電方式を入れ替えた後、電源を再度投入するという方式を取っていました。つまり、時間によって駅構内の架線に流れる電気が2種類存在するわけです。このような場合、現在どちらの電気が流れているかを示す必要があります。それが架線電源識別標識です。[図-16]進路電源識別標識

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入換を頻繁に行う留置場等における電源識別標識です。役割は架線電源識別標識と変わりませんが、進路電源識別標識には必ず入換信号または入換標識が付属します。[図-17]一旦停止標識入換中の列車を一度停止させる必要がある場合、この標識を設置します。白い板に縦書きで「一旦停止」と書いてあるものです。図は省略します。(くれぐれも「いちにちいちていし」と読まぬよう)車両接触限界標識分岐や合流などで2線の車両が接触する限界位置に設置します。ちなみに、これは平面看板ではなく立体の標識で、2線の真ん中のバラスト部に設置されています。[図-18(次ページ)]図-16

直流:紫色を縦に2つ点灯     交流:橙黄色を横に2つ点灯

汽笛吹鳴標識対向車や、トンネル内にいる作業員に警告を発したりするために設置するもので、運転手はこの標識の地点で警笛をならさなくてはなりません。[図-19]

図-17

直流:=部を紫に点灯   交流:~部を橙黄色に点灯

図-18 :白色の標識(物体) 図-19 橙黄色の板に黒い×印

車止標識終着駅や線路の終端に車止とともに設置する標識。標識の裏に油圧を使って衝突時の衝撃を和らげる装置を持つ車止ものもあります。[図-20]踏切支障報知装置使用標識踏切支障報知装置を使用したときのスイッチ箱につくランプのこと。図は省略します。

その他の標識:距離標その線の起点からの距離を示したもので、甲乙丙号の3種類があります。[図-21~図-23]勾配標勾配の起点(または終点)に設置される標識で、勾配をパーミル(1/1000)単位で表します。[図-24]曲線標

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曲線の起点(または終点)に設置される標識で曲線半径、カント、スラック等の情報を記載します。C カント BTC 緩和曲線始点S スラック ETC 緩和曲線終点CCL 曲線長 BCC 円曲線始点BC 曲線始点 ECC 円曲線終点EC 曲線終点 TCL 緩和曲線長図-20 図-21(甲) 図-22(乙) 図-23(丙) 図-24 図-25 図-26

S標土砂崩れや崩壊などのおそれがあるところに設置します。S標はあくまで始点標で終端標は○標(まるひょう)になります。S標から○標までの区間は降雨量によっては運行規制されることがあります。 S標[図-25(前ページ)] ○標[図-26(前ページ)]

停車場(ていしゃじょう):停車場、つまり「駅」がなければ鉄道は成り立ちませんし、儲かりません。しかしながら、どんな停車場でもいいというものではないのです。目的別分類種別 取り扱い(積み降ろし) 例普通停車場 旅客・貨物・運転上の必要作業 コンテナ車・自動車の増加により

近年ではあまり存在しない旅客停車場 旅客のみ 近年のほとんどの駅(大阪など)貨物停車場 貨物のみ 梅田など客車操車場 客車の扱い 宮原など貨車操車場 貨車の扱い 普通停車場同様の理由で廃止され

た。現在では拠点間輸送が中心上の表からも分かるように、近年では有蓋車等の減少や、自動車に対抗するために拠点間輸送方式への転換が行われた等の理由で主に真ん中の3つが中心となりつつあります。

プラットホーム両面ホーム  片面ホーム 島式(アイランド)ホーム 相対ホーム 切欠ホーム

プラットホームには上のような種類があります。複線において小規模な駅はおもに

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相対ホームあるいは島式ホーム、比較的中規模な駅は待避駅として相対ホームの性質と島式ホームの性質を兼ね備えた待避・待ち合わせ用ホームが設置してあります 。また、一般的に客車列車を扱うホームは電車のみを扱うホームに比べて高さが低くなっています。例えば、JR 京都線のラッシュ時の外側快速に乗っていると、新大阪駅でドアとホームの段差が 15 センチ以上あるのを見ることができます。これは普通鉄道構造規則第 33 条第 2項の規定に基づいているからなのです。

第 33 条第 2項:プラットホームの高さと旅客車の床面または踏み段の高さとの差はできる限り小さくしなければならない。この場合においてプラットホームの高さは旅客の安全且つ円滑な乗降に支障を及ぼすおそれのない時を除き、旅客車の床面または踏み段の高さ以下としなければならない。

一般的に、客車列車の場合は踏み段の位置が電車に比べ、非常に低いために新大阪のホームはやむを得ず、他のホームより低しなければならなかったのです。

保安装置(ほあんそうち):列車の運転士は信号機や速度計などを一日に数百万回確認すると言われています。そのような中では、信号を見落としたり、疲れて居眠りをしたりして規定の速度を超過することがあります。もしその状態が続けば、停止信号をも通り過ぎてしまい前方の列車に衝突したり、ポイントを故障させたりしてしまいます。そこで、運転士の誤った操作に対し、機械によって適切な調整を行う必要があるのです。今から考えると大昔の昭和 29年に、山手線に登場したのが車内警報装置と呼ばれる保安装置です。これは、停止信号が近づくと車内の警報装置を作動させるもので、ベル音によって運転士の注意を引き、衝突を防ごうというものでした。しかしながら、三河島事故以来、警報だけでは不十分とのことでブレーキを連動させて停止させるようになりました。それが、ATS ( Automatic Train Stop ) というもので、それの代表格のようなものが ATS-S というものです。

  ロング地上子                              停止現示の信号                    信号制御装置

            500m~700m

これは停止信号の外方(手前)約 600m のところにロングと呼ばれる地上子が設置してあり、この上を列車が通過すると、車両先端の下部にある受信装置が 車内にある警報装置が「ジリジリ~」と鳴ります。この時点で運転士は5秒以内にブレーキをかけながら確認ボタンと呼ばれるボタンを押さなければなりません。この動作のことをまとめて「確認扱い」と呼びます。もし、運転士が確認扱いをしなかった、あるいは失敗した場合列車は非常ブレーキがかかり、列車は停止してしまいます。非常ブレーキがかかっている間、運転士はマスコンなどを操作することができなくなります。停止した後は、ブレーキハンドルを非常位置にしながら「復帰ボタン」

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を押すとブレーキ緩解・力行が可能になります。ところで、大都市の電車区間に設置されていた ATS-B も同じような動作をするのですが、B 型はロング地上子ではなく軌道回路というものを使って信号を発信しています。軌道回路というのは線路に軌道電流を流し、それを車輪部に接続された受信機で受け取るというものです。この軌道回路は普段は線路に信号を流しています。しかし、停止信号の約 600m 外方に列車が来たときはその区間の信号を止めます。すると、謝状の受信機がそれを感知し、ATS-S の時と同じような警報を鳴らします。その後の扱いは同じです。話を戻します。ATS-S のメリットは、運転士が発作などで運転が不可能な場合に列車の安全を確保するということにあるのですが、致命的なデメリットがあります。この装置では確認扱い後に力行や惰行をしたまま停止信号を突破できてしまうのです。これでは、全く保安装置とは言えません。そこで、登場したのが ATS-Sx です。Sx は国鉄時代に「SN 型」と統一して呼ばれていましたが、現在では各社で違う名前を付けています。具体的に言うと、北海道は -SN、東日本は-Sn、東海は-ST、西日本は-SW、四国は-SS、貨物は-SF です。しかしながら、それぞれに大きな違いはなく、互換性も十分にあります。この SN 型は S 型のデメリットを克服するために、信号直下あるいは少し外方に即時停止の地上子を設置しています。つまり、確認扱い後、停止現示の信号に連動する直下地上子を冒進すると、確認扱いとは関係なく非常ブレーキがかかるようになっているのです。SN 型の登場によって、ある程度の安全は確保できました。しかし、超過密区間でATS が作動し、非常停止してしまうと、復帰に多大なる時間がかかり、後続列車を遅延させかねません。そのための対策は2種類あります。一つは、軌道回路に信号情報を流して車内信号に現示させ、力行によって制限速度を越えた場合はブレーキを自動的にかけて制限速度まで落とすという連続照査型速度自動制御、もう一つは、従来の ATS同様、停止信号がある手前に地上子を設置し、地上子から得られた停止信号の距離からコンピュータに減速距離の計算を行わせて手本となるパターン作り、そのパターンを超過した場合、自動的にブレーキをかけてパターン内に戻そうとする連続照査パターン型停止制御です。この2つは両方とも実用化されていて、前者を ATC(Automatic Train Control)、後者を ATS-P(Pattern)と呼んでいます。連続照査型 ATC は、前ページの ATS-S および SN のデメリットを克服するために開発されたもので、現在、山手線や地下鉄等で使用されているほか、高速で安全に運行を行わなければならない新幹線でもパターン型 ATC(新幹線型 ATC)が採用されています。

在来線・地下鉄型 ATC は、軌道回路に流れる特定周波数の信号電流を車上の受信機で受信し、受信した周波数によって制限速度を判別、運転室の速度計に表示します。この制限速度は次の更新があるまでコンピュータ内に記憶されていて、列車速度と連続照査されます。もし、運転士が制限速度を1秒でも超過すれば、即時に常用最大ブレーキを作動させ、制限値以下に落とします。この保安装置は ATS-S ファミリーに比べて極めて安全性が高いのですが、閉塞間を越えたときに制限速度が下方に修

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正されると、突然常用最大ブレーキがかかるため、非常に乗り心地の悪いものです 。その問題を克服した ATC が新幹線型 ATC や今後京浜東北線に導入されるデジタルATC(ATC-P)というものです。これは、従来の ATC に緩やかな自動減速やパターン照査を追加したもので、乗り心地が格段によくなっています。

ATS-P というのは、地上子を使った従来型の ATS でありながら、パターンを作ってブレーキを自動的にかけるという新型 ATS で、研究時は TSP 型 ATS と呼ばれていたものです。これは、停止信号の約 600m 手前にあるパターン発生地上子の上を列車が通過すると、地上子から信号までの距離などの情報を、符号化して送信します。車上の送受信機は地上子から送られた情報と、あらかじめ設定されている列車の減速度などのデータから、停止信号までの速度パターンを発生し、列車が発生した速度パターンの速度を超過すると自動的に常用最大ブレーキがかかるようになっています。しかし、このままでは、停止現示の信号が上位に変わっても加速ができないため、パターン消去用地上子を信号機の外方 25m、50m、85m、130m、180m、230m に設置しています。また、速度パターンに列車速度が接近した場合、運転室の「パターン接近」のランプが点灯し、警告音を発して、運転士に減速を促します。この型のATS は運転密度が過密な大都市圏に設置されていて、在来線型 ATC に比べて乗り心地がいい上に運転密度も向上されました。ちょっと追加 三河島事故:昭和 37年常磐線三河島駅構内で信号誤認で安全側線に脱線した貨物

列車に下り列車が衝突。乗客がドアを手動で開け、上り線を歩き始めた頃に、今度は上り列車が突

っ込み、160人以上の死者を出した。この事故が ATS を国鉄全線に設置する運動の起因となっ

た。

饋電(きでん):「饋」というのは送るという意味で、「饋電」で「送電」と言う意味です。電気鉄道において最も重要な要素がこの「饋電」であり、饋電が停止すれば電気鉄道は動きません。世界中の主な饋電方式には直流と交流の2種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。下の表をご覧ください。

直流 交流メリット 各車両に整流装置必要なし・安

定・限界まで大電力が送電可能饋電区分所少ない・回生失効が発生しにくい

デ メ リ ット

饋電区分所が多い・回生失効が発生しやすい

各車両に整流装置が必要・不安定・大電力の送電がやりにくい・誘導障害が発生しやすい

電車のモータは現在、直流モータが主流であるため架線に直流を流している直流電化区間がほぼ大半を占めます。しかし、上表のような特徴から列車本数が少ない場合には架線に交流を流し、車上で整流するという交流電化方式も東北・九州を中心に各地に存在しているため、この2つの方式を行き来する列車はデッドセクションというものを通らなければなりません。

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ところで、電車に使う電気はどのように送られてくるのでしょうか。下の図をご覧ください電力会社の発電所 超高圧変電所 一次変電所    鉄道変電所Power Plant Substation Substation    Substation

27.5KV~50KV 15.4kV 6.6KV~15.4KV

電車   架線 饋電区分所    Train                 Feeder       Breaker

このように、電気は非常に多くの経路を通ってくるのが分かります。一つでも遮断および地絡等の事故が起これば最低でも饋電区分所単位、最悪の場合にはすべての送電が止まってしまうことになります。日本では、このような事故を防ぐために電気工事や設備の保安に専任の技術者、電力司令所をおいていますが、落雷等で電力機器が故障することもしばしばあります。図中に出てきた饋電区分所ですが、仮にある架線が地絡や短絡などの事故を起こした場合、電気をすぐに遮断しなければなりません。しかしながら、その鉄道変電所管理下のすべての送電を止めてしまった場合、列車の運行が数十 km も止まってしまうことになります。それを防ぐために都市部の直流電化方式では数 km ごと、交流電化方式では鉄道変電所もかねて 15~20km ごとに饋電区分所をおいています。饋電区分所には電気指令所から遠隔操作で電気を遮断することができる遮断器が設置してあり、各饋電区分所管理下の数 km の電気を止めることができます。また、架線にも饋電区分所の管理区分の境界には Air Section という違う饋電区分所からの架線をお互い平行させることにより電気的に絶縁する場所があり、この近辺で列車が停止してパンタグラフが Air Section で停止してしまうと、再発車する際に過大な電流が流れて架線や BF が溶断することがあります。それを防ぐため JR東日本などでは Air Section の警告標識を設置して、運転士にその場所に止まらぬよう注意を促しています。しかしながら、事故等が発生し、応急処置を行う場合は隣の饋電区分所も停止するのがベストです。それは、架線の応急工事中に Air Section を誤って列車が通過してしまうと、その列車のパンタグラフが饋電中の架線と饋電停止中の架線を短絡させてしまい、作業員が感電してしまう「パンオーバー」が発生する可能性があるからです。ところで、標識の解説時にセクションには、交流と直流の分断をしているデッドセクションがあると言いました。しかしながら、デッドセクションは交流と直流の境界だけではありません。交流電化区間では、電力技術の問題により (具体的にはスコット変圧器の問題)、隣り合う饋電区分に位相の異なる交流を饋電しています。もしこのセクションで 2 つの交流が混触すると、パンタグラフによる短絡によって非常に大きな電流が流れてしまいます。そこで、交流においては饋電区分(20km~30km 位)が変わるごとにデッドセクションを設けざるを得ないのです。このデッドセクションのことを「交交セクション」と呼びます。

        この時点で通常の地絡と同じ短絡が発生する

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2.車両

鉄道の最も重要な要素がこの「車両」です。この車両は技術面だけでなく、唯一客が直接触れるところなので、快適な空間を生み出すために様々な工夫が施されています。鉄道会社の収益は、車両の快適さやスピードに大きく左右されます。

車体(しゃたい):鉄道車両には、旅客および貨物等が収納できるスペースが必要です。そのため、車体は大きければ大きいほどいいのですが、トンネルや隣接する線や物体の制約もあり、どれだけ「軽く」「頑丈に」「内部空間を広く」できるかが、最大のポイントになります。車体の材質には、木・鉄やアルミ等がありますが、主に昭和初期までは木製、昭和中期には鋼製(通常の圧延鋼)、昭和後期から現代にかけては、腐食のしにくいアルミやステンレス鋼などが使われています。

台車(だいしゃ):小さな子供の書いた電車の絵などで、左下のような絵を見かけますが、仮に、この状態で車輪に回転力を加えると下のような図になってしまいます。

これは、車輪と車体が直接接触しているだけでは、回転力が車体と地面とに分散してしまい、地面と車輪の間だけならず車輪と車体の間も動いてしまうという、テールローターのないヘリと同じ現象が発生していることを示します。そこで、車輪と車体の位置を固定してやる装置が必要になります。これが、台車と呼ばれるものです。台車は、台車にある様々な機構をまとめて支持する台車枠[図-27全体]、左右の車輪の位置を固定させる輪軸[図-27a]、車軸を収める軸箱(軸受)[図-27b]、軸箱を支える軸箱支持装置[図-27c]、台車枠と車体を連結する牽引装置[図-27d]、電動機などの駆動装置、ブレーキ装置[図-27e]、ヨーイング(横揺れ)等を抑えるダンパ類等の様々な重要機器から構成されています。 図-27(ボルスタレス台車)      D

バカ!

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E

C

A       B

これらの台車は、乗り心地に非常に深く関係するため、様々な技術者がこだわるところでもあります。車両の区分(しゃりょうのくぶん):鉄道車両は、動力や運転台の有無など様々な区分の方法ができます。一般的に使われる分け方は、大きく区分すると下の図のような構成になります。  用途  動力の有無・種類 旅客車   電動車両            内燃車両車両          客車(付随車も含む)      機関車   電気機関車            内燃機関車            蒸気機関車      貨車

旅客車①電動車両電動車両は、架線あるいはサードレール等の電力供給設備から、電気を連続して受け取り、それを動力に変換して自走することができる車両のことです。アルファベットでは M と表されますが、電気設備を分散してユニット(後述)を組む場合は、一般的に主制御装置の無い方を M’と’をつけて表します。②内燃車両内燃車両とは、一般に言うディーゼル車やガスタービン車のことを指します。内燃という言葉は、内部のエンジン等で動力を発生することからそう呼ばれています。アルファベットでの表し方は存在しないか、あるいはほとんど使われていないようです。③客車

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客車・付随車というのはモーターや動力装置が無く、他の動力車・機関車に牽引される車両のことです。アルファベット表記ですが、電気車両の付随車の場合はT で表されます。

機関車①電気機関車電気機関車は、電動車両と同様に電気を連続して受け取り、それを動力に変換して自走し、長大な貨車や客車を牽引できる車両のことです。②内燃機関車内燃機関を動力に変換し、電気機関車と同様に長大な貨車や客車を牽引できる車両のことです。③蒸気機関車石炭の燃焼時に発生する蒸気を利用した蒸気機関(外燃機関)を動力に変換し、長大な貨車や客車を牽引できる車両のことです。

貨車貨車は貨物運送を目的とし、他の動力車(機関車)に牽引される車両です。運送する貨物の種類ごとに違った形式の貨車が使用されます。

JR においての分類JR(四国は例外が多い)では、在来線車両の分類形式の基本を次の 7 種類とし、それぞれの形式をその性質により、カタカナやアルファベット、数字で表しています。分類:蒸気機関車(Steam Locomotive) アルファベット+数字電気機関車(Electric Locomotive) アルファベット+数字ディーゼル機関車(Diesel Locomotive) アルファベット+数字電車(Electric Car) カタカナ+数字気動車(Diesel Car) カタカナ+数字客車(Passenger Car) カタカナ+数字貨車(Freight Car) カタカナ+数字

a.蒸気機関車蒸気機関車はテンダー式とタンク式に大きく分けることができます。テンダー式というのは、本体にテンダー(炭水車)を連結している機関車のことを指します。また、タンク式は本体に石炭や水を搭載している機関車のことを指します。

例:D 51 - 498

D→   動軸数を表します。B=2軸 C=3軸 D=4軸 E=5軸51→  形式を表します。10~49=タンク式 50~99=テンダー式498→ 製造番号を表します。

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b.電気機関車電気機関車は大きく交流式、直流式、交直両用の 3 種類に分けることができます。また、形式についてですが、国鉄からの形式継承に JR貨物の 3桁形式が加わっています。

例:E F 63 - 10

E→   電気機関車であることを示します。(Electric)F→   動軸数を表します。B=2軸 C=3 軸 D=4軸 E=5軸 F=6軸 H=8軸63→  形式を表します。次ページ参照(2桁=国鉄、3桁=JR貨物)10→  製造番号を表します。

10~29 85km/h未満の直流機関車 30~39 85km/h未満の交直流機関車

40~49 85km/h未満の交流機関車 50~69 85km/h 以上の直流機関車70~79 85km/h 以上の交流機関車 80~89 85km/h 以上の交直流機関

車90~99 試作機関車100 ~199

直流電動機の直流機関車 200~299 交流電動機の直流機関車

300 ~399

その他の直流機関車 400~499 直流電動機の交直流機関車

500 ~599

交流電動機の交直流機関車 600~699 その他の交直流機関車

700 ~799

直流電動機の交流機関車 800~899 交流電動機の交流機関車

900 ~999

その他の交流機関車

c.ディーゼル機関車ディーゼル機関車は、大きく液体式と電気式(それぞれ後述)に分けられますが、形式にはほとんど関係ありません。

例:D D 13 ― 111D→  ディーゼル機関車であることを示しています。D→  動軸数を表しています(電気機関車と同じなので略)13→ 形式を表します。10~49=85km/h未満 50~89=85km/h 以上 89~90=試作機関車 100~399(JR貨物)=電気式機関車 500~799(JR貨物)=液体式機関車

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111→製造番号を表します。

d.電車電車はバリエーションが豊富なため、それだけ形式の表現文字もたくさんあります。ちなみに JR四国は少し変わった方式を採用していますが、ここでは割愛させていただきます。例:クモ ハ 2 2 1 ― 25クモ→ 車両の運転機器の有無や種類を表します。ク=運転台あり モ=電動車 サ=付随車ハ→  車両の用途を表します。下の表参照ロ 特別車(グリーン

車)ハ 普通車 ネ 寝台車

シ 食堂車 ユ 郵便車 ニ 荷物車ヤ 職用車 エ 救援車 ル 配給車ロネ A寝台車 ハネ B寝台車

2→  電気方式を表します。1~3=直流 4~6=交直流 7~8=交流 9=試作車2→  用途を表します。時代の流れで、2 種類の意味があります。0~3=通勤近郊 5~7=急行 8=特急 9=特殊0~4=近距離用 5~8=長距離用 9=特殊1→  設計番号を表します。電動車では制御装置搭載車には奇数が、非搭載車にはそれより 1 小さい偶数番号になります。また、付随車では基本的な形式には奇数を、奇数との違いを強調したい場合や中間車などの場合は、偶数が割り当てられるのが一般的です。25→ 製造番号を表します

e.気動車気動車は、ディーゼル機関車同様に液体式と電気式に分けることができます。気動車の場合は、多少この分類方法が使われています。

二桁方式例:キハ 5 8 ― 698キハ→ 気動車の場合は運転台の有無にかかわらず、エンジン付きの車両であればキハとなります。また、エンジンなしの運転台あり=キク、運転台もない車両=キサ、その他様々なカタカナがありますが、意味的には電車の分類と同じです。5→  ディーゼル機関の種類を表します。0=電気式 1~4=液体式小馬力エンジン一基 5=液体式小馬力エンジン二基 6~7=液体式大馬力エンジン 8=液体式大馬力エンジン(特急用) 9=試作車8→  運転台の数を表します 0~4=両運転台 5~9=片運転台あるいは運転台無し

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698→製造番号を表します。

三桁方式例:キハ 1 8 1 - 101キハ→二桁と同様1→  内燃機関の種類を表します。1~2=ディーゼル動車 3=ガスタービン動車8→  用途を表します。0~5=普通車・通勤近郊型 8=特急車 9=試作車1→  設計番号を表します。101→製造番号を表します。

f.客車客車は、用途などで大きく分類されます。

例:オ ハネフ 2 5 ―221オ→  重量を表します。下表参照コ 22.5t未満 ホ 22.5t~27.5tナ 27.5t~32.5t オ 32.5t~37.5tス 37.5t~42.5t マ 42.5t~47.5tカ 47.5t 以上

ハネフ→電車の分類を参照+ テ=展望車 フ=簡易ブレーキ付き車2→  用途を表します。1=軽量客車 2=固定編成客車 3~5=一般型客車 6=鋼体化客車 7=戦災復旧客車 8=和室客車 9=特殊車両5→  台車の種類を表します。 0~7=二軸ボギー車 8~9=三軸ボギー車221→製造番号を表します。

g.貨車貨車には様々な用途があり、また、用途によって形状が大きく変わってくるため、車両の分類も用途の違いによって行われています。

例:コ キ 52219コ→用途を表します。下表参照ワ 有蓋(ゆうがい)

車ス 鉄側有蓋車 テ 鉄製有蓋車

レ 冷蔵車 ツ 通風車 カ 家畜車ウ 豚積車 パ 家禽(かきん)車 ナ 活魚車ポ 陶器車 タ タンク車 ミ 水運車ホ ホッパ車 セ 石炭車 ト 無蓋車リ 土運車 チ 長物車 シ 大物車

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ク 車運車 コ コンテナ車 ヨ 車掌車キ 除雪車 ケ 検重車 ヤ 試験車・職用車エ 救援車 サ 工作車 ソ 操重車 ( ク レ ー

ン)ヒ 控車 フ 緩急車

キ→重量を表します。無し=13t 以下 ム=14t~16t ラ=17t~19t サ=20~24t キ=25t 以上52219→形式と製造番号を表します。貨車の場合は基本的に、両者一緒に表記されます。この場合は、コキ 50000系の 2219番目の製造。

電気車両(でんきしゃりょう):電気車両には電車および電気機関車があり、架線に流れている交流あるいは直流の電気を集電装置によって集電し、変圧器や整流器、制御器などを介して主電動機に電気が供給され、それによって動力を得ている車両のことです。日本の鉄道車両の約 7割ほどを占めます。

電動機:電動機は世間一般で言うモータのことです。直流・交流電化区間どちらでも直流電動機が一般的ですが、最近は鉄道用 VVVF インバータ制御装置が開発されたことで、交流モータが使われることが多くなってきています。電動機ですが、回転の仕組みや特性・制御の具体的方法などについては「鉄道の仕組み(下)」をご覧ください。制御装置直流電化区間→抵抗制御、界磁制御(部分界磁や添加励磁など)、電機子チョッパ制御、VVVF インバータ制御交流電化区間→タップ制御、サイリスタ位相制御、直流電化区間の制御方式の一部

直流電化区間においては、架線からの電気に整流等をする必要がないため、モータを抵抗器に直接接続して(抵抗制御)モータを駆動することができます。しかし、抵抗器からの発熱や最高速度の問題から、抵抗制御は界磁制御と組み合わせて使うのが一般的です。電機子チョッパ制御は、発熱低減と省エネ化を実現した画期的な制御方式でしたが、装置が非常に高価だったことから、発熱問題に悩む地下鉄以外ではあまり普及しませんでした。しかしながら、界磁制御にしても電機子チョッパにしても、ブラシや整流子などの消耗部品のメンテナンスが必要でした。ところが、最近の電車を見ていると、力行時に「ウィ、ウィ~ン、ウィ~ン、ウィ~~ン」と変調しながら唸る電車が非常に多く存在することに気付くと思います。この音は、VVVF インバータ制御 という制御方式特有の磁歪音です。このVVVF インバータ制御というのは、今までのような直流モータを制御するのではなく、3相交流誘導モータというブラシレス交流モータを制御しています。この交流モータの最大の利点は、ブラシや整流子などの消耗部品がないため、事実上

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のメンテナンスフリーモータであるということです。また、 VVVF(Variable Voltage Variable Frequency:可変電圧・可変周波数)制御は粘着特性も良好で、発熱が電機子チョッパ並に少ないため、地下・地上関係なく全国の電化路線で普及しています。

交流電化区間においては、変圧器の巻数比を固定し、一定電圧の直流に整流してから直流区間と同じ制御方式(たとえば、300系新幹線は VVVF制御)を行う電車と、変圧器にタップを使って巻数比を可変にし、モータに供給する電圧を変化させるタップ制御の電車、整流用サイリスタを周期に合わせてタイミング良くオンオフし、平滑して任意の電圧を得るサイリスタ位相制御の電車があります。ヨーク鉄道博物館に、日本の車両では初めて展示されることになった 0系新幹線などはタップ制御を使用しています。

集電装置地上設備の架線の説明でも取り上げましたように、列車はパンタグラフまたは集電シューという装置から電気を取り出しています。日本で使われている普通鉄道用のパンタグラフは、菱形、下枠交差型、シングルアーム型の 3 つが中心です。

菱形      下枠交差       シングルアーム

また、新幹線などの高速鉄道では、オイルダンパ等の装置を使って安定した集電が行えるように工夫されています。しかしながら、前方のパンタによる振動が後方のパンタに影響を与えるのは避けられないことから、TGV のように 2 両ある機関車のうち片方のパンタのみを上げ、特高ケーブルで両機関車を電気的に接続するという方式をとっている国もあります。交直両用これまで、何度か説明してきましたように、交直デッドセクションを通るときに一度回路を遮断し、組み替えをしなければなりません。その過程を追ってみることにします。通常の切り替え① 走行中に ABB* 遮断② 交直スイッチ切り替え(回路組み替え)③ デッドセクション走行④ 異電力区間進入⑤ ABB投入、切り替え完了誤った切り替え1.直流→交流① ABB投入のままデッドセクション進入② 0.6秒後に架線電源の変化を感知し、自動で ABB開放③ スイッチを切り替えれば、デッドセクション通過後に力行可能。もし、ABB

が開放されず、かつ交直スイッチを切り替えなければ、デッドセクション通過後に直流避雷器が主回路を保護し、リレーが作動して ABB開放

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2.交流→直流① ABB投入のままデッドセクション進入② ABB投入のまま直流区間進入③ 交流変圧回路に大電流が流れ、交流回路の主ヒューズ溶断④ 切り替えスイッチを直にすれば力行可能だが、交流区間は主ヒューズを交換し

ないと走行できない

* ABB というのは正式には空気遮断機といい、遮断時に強い圧縮空気を吹き付け、アークを消

弧しながら回路を遮断する装置のことです。「バシッ」という大きな音を発生します。

車内電力設備白熱灯などのことを考えると車内に供給される電気は直流でかつ定電圧でなければなりません。しかし、架線電圧は直流の場合では 1200~1800V まで常に変動しています。そのため、一昔前には MG という装置を使っていました。これは、直流複巻モータ(主電動機ではない別の電動機)を、架線からの電気を使って定回転数で回転させ、そのモータに機械的接続を行った直流複巻発電機で定電圧直流を発電させるという装置です。ちなみに MG の M は motor(モータ)、G はgenerator(発電機)のことです。しかし、蛍光灯などの交流負荷が増えてきたため MG も 3相交流同期モータ、発電機を使用するようになり、ブラシレス MG が普及しました。近年では、半導体を使った SIV(静止型インバータ)が開発され、新造される電車に搭載されています。しかし、SIV はパンタグラフの離線が連続すると、回路保護のために数十秒間停止することから、JR西日本の 223系新快速電車などではパンタグラフの押上力を強めたりするなどの対策をとっています。また、 223系では SIV が故障したときは、VVVF インバータ装置の一部が CVCF(Constant Voltage Constant Frequency:固定電圧・固定周波数)運転を行うことにより車内電源を確保するようになっています。発電ブレーキ発電ブレーキは、主電動機を発電機として作用させ、発生した電力を抵抗器で発熱消費することによりブレーキ力を得るものです。このブレーキは空気ブレーキ系列よりブレーキ力が強く、高速域でも安定してブレーキ力が得られることから、回生ブレーキ未搭載の電車の主な電気ブレーキとして、または、回生ブレーキ搭載車でも抑速ブレーキとして使われています。回生ブレーキ回生ブレーキは、発電ブレーキ同様に主電動機を発電機として作用させ、発生した電気を抵抗器で無駄に消費せずに架線に戻してやろうというものです。しかし、この電力回生方法は「回生電圧が架線電圧より高い」「(直流の場合は)饋電区分内に回生した電力を消費する列車が走行している」ことが条件となるため、他の列車の電力回生状況や消費状況によって効き具合が変わってくる不安定な電気ブレーキです(交流饋電の場合は一般の負荷を回生対象とできるため、ある程度安定しているのですが、回生時に架線に流れる交流電気の位相や電圧等を合わせないと不安定になるため、サイリスタ位相制御等の大電力用半導体技術が発達する

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までは主に発電ブレーキが使われていました)。しかしながら、発電ブレーキに比べて省エネである(現在では力行時に使った電力の 40%程度を回生できる)ことに変わりはなく、非常に広く普及しています。

内燃車両(ないねんしゃりょう):内燃車両というのは、おもにディーゼル機関やガスタービン機関などの化石燃料を使って動力を発生する機関を列車動力に使った列車のことを指します。ディーゼル機関ディーゼル機関は、下の図のように燃料を爆発させて発生した力をピストンに伝達し、ピストンがクランクを回転させて動力を得るという仕組みになっています。

キハ 181系気動車

ところで、このディーゼル機関と似た内燃機関に普通乗用車などに使われるガソリン機関がありますが、2つの機関には決定的な違いがあります。一つは燃料です。ガソリン機関では原油の蒸留精製過程で約 30℃~180℃において分離されたガソリンを使用しているのに対し、ディーゼル機関では約 240℃~350℃において分離された軽油を使っています。二つ目は効率です。これらの熱機関は主にオットーサイクルという熱サイクルシステムになっていますが、ディーゼル機関の場合、サイクル効率が 33%とガソリン機関のサイクル効率 23%を大幅に上回っています。三つ目は安全性です。ガソリン機関に使われるガソリンは-40℃付近から引火の可能性があるのに対し、ディーゼル機関に使われる軽油は 50℃付近からしか引火の可能性はなく、危険性がかなり低くなっています。こうして見てみると、ガソリン機関に比べて非常に有利に見えるディーゼル機関ですが、最大の問題点として圧力が挙げられます。この問題にはガソリン機関とディーゼル機関の燃焼の仕方が根本的に違うために生ずる問題です。ガソリン機関は車などでご存じのように空気と燃料の混合気体を電気火花により着火させ、燃焼させる仕組みなのですが、ディーゼル機関の場合は空気を強く圧縮し、高温になった時点で燃料を霧状に噴射して自然着火させ燃焼する仕組みになっています。そのため、ディーゼル機関はガソリン機関の数倍の圧力を受けます。この圧力に耐える燃焼室やピストンを作ることが難しく、それ以上に高圧下で霧状噴射を行う際に正確に噴射を行わねばならないということもあって、高度な技術力を持っていなければ作れない機関なのです。鉄道車両では、先行して開発されたガソリンエンジンを使った車両が普及しましたが、ガソリンエンジンの危険性(日本では 1940年にガソリン機関採用の列車

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が脱線転覆し、ガソリンに引火して乗客 180 名が亡くなるという悲劇が起きた)やディーゼルエンジンの効率の良さからアメリカやドイツなどの高い技術を持った国がディーゼル機関を先駆けて採用し、現在では全世界の 80%の路線がディーゼル運転を行っています。ガスタービン機関ガスタービン機関は、現在では主に航空機のジェットエンジンに使われていますが、鉄道でもフランスなどで営業列車に採用されたほか、TGV も石油危機まではガスタービン車として試験を行っていました。ガスタービンは、下の図のように

可燃性ガスの燃焼によって発生した高温高圧のガスによってタービンを 30000~60000[rpm]の超高速で回転させ、ディーゼル機関よりはるかに高いエネルギーを供給するものです。上記からも一見、非常に便利そうに見えますが、高速回転で発生する振動や騒音、ディーゼルと比べものにならないほどの高温高圧などで、技術力が高く周辺住民の理解が得られるような国以外では使われていません。むしろ、ジェットエンジンの原理がこのガスタービンなので航空機の方によく使われています。また、最近では非常用自家発電装置としてこれを小型化したマイクロガスタービンを使用したものが流通しています。ちなみに日本の鉄道では、国鉄の 391系高速試験気動車がガスタービン試験車として制作されています。注:ガスタービン機関は日本の鉄道においてほとんど採用されなかったため、ここからは全て

ディーゼル機関搭載の列車という前提で話を進めます。

液体式と電気式内燃車両の制御は電車に比べて非常にやっかいとなりますが、それは動力の伝達の問題ゆえんです。電車ではモータの界磁にかかる電流を強くしてやることにより、低速時に大トルクを発生させることができます。しかし、内燃車両の場合は燃焼サイクルを変化させることで回転速度は変化させられるものの、トルクを大きくすることができないために低速時で空転を起こしてしまい、まったく使い物になりません。そこで、ディーゼル機関に対して何らかのトルク変換を行う装置が必要になりました。解決策ですが、一つ目の解決策として、ディーゼル機関に発電機を設け、そこから得た電気でトルクの制御が容易なモータを駆動する電気式、二つ目として大トルクの必要な低速域においてディーゼル機関の駆動軸にトルクが変換できる液体式コンバータを結合することによりトルクを増大させる液

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体式の列車がそれぞれ開発されました。鉄道ですが、アメリカなどの初期開発国ではコンバータが未開発領域だったことや効率が若干悪いことから電気式が主となりましたが、戦後において急速な開発が進んだ日本などではその低コストさや軽量さから、ほとんどが液体式の気動車となっています。しかし、最近ではVVVF インバータ技術の発展と低コスト化により電気式が見直され、DF200 型機関車のような電気式気動車が数を増やしつつあります。液体変速機上記のように気動車には低速時にトルクを変換できる装置が必要でした。そのために開発されたのが液体変速機というものでドイツが最初に開発しました。基本的な原理としては次ページの図のようにディーゼルエンジンの駆動軸が変速機のタービンを回転させ、そのときに生じた液体(油類)の流れが車輪を駆動させる軸のタービンを回転させる仕組みで、被駆動軸(車輪側の軸)のトルクが駆動軸(エンジン側の軸)のトルクを越える場合に使用されます。ほとんどの気動車では両軸のトルクが同じになるクラッチ点を超えると両軸を直結あるいは歯車による変速に切り替えて速度に制御のウェイトを置いた制御を行います。

空気ブレーキ(くうきブレーキ):鉄道車両には列車停止のために必ずブレーキが備わっています。ブレーキ方式ですが、古い電車では自転車のブレーキや普通ガソリン車のブレーキのように車輪に空気によってシューを押しつける機械的な空気ブレーキのみを主ブレーキとしていましたが、最近の車両などは前述の回生ブレーキを主ブレーキとし、回生失効が発生する速度(最近では 5km/hぐらいが一般的)においてのみ機械式の空気ブレーキを使用しているため、平時における空気ブレーキの重要性はだんだんと薄れてきて

います。しかし、新型車両でも電気ブレーキが故障した場合などの非常時はこの空気ブレーキで停止するしか方法がないため、無くなることはないだろうと考えられます(実際に非常ブレーキは運転士が電気ブレーキの故障をふまえて非常ブレーキを使用することがあるため、電気ブレーキを使わずに空気ブレーキのみでブレーキ力を得ていることがあります)。また、気動車ではエンジンブレーキを頻繁に使用しないこともあって空気ブレーキは未だにメインのブレーキとなっています。

機械式ブレーキの仕組み機械式ブレーキには様々な種類のブレーキがありますが、鉄道車両で使われているのは主に踏面ブレーキとディスクブレーキです。

      車輪       ディスク 車輪→              

踏面ブレーキ  制輪子  ライニング制輪子   ディスクブレーキ少し昔まで主に使われていたのが踏面ブレーキで、車輪の踏面に制輪子を圧着さ

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せることによって発生した摩擦力をブレーキ力としていました。しかし、最近では自動車に使われるようなディスクブレーキというものが使われるようになりました。これは輪軸に設置されたブレーキディスクをライニング制輪子で挟むことにより発生した摩擦力で輪軸の回転を抑えてブレーキとする方式です。ただ、この方式では車輪の踏面に汚れが付着したままになってしまうため、踏面清掃装置などの装置を設置することもあります。また、踏面ブレーキでも雪が付着すると膜が張り、名鉄新羽島駅での宙づり事故のようにブレーキが効かなくなることがあるので、常に制輪子を軽く押さえつける耐雪ブレーキを備えている場合もあります。空気ブレーキの種類上のような機械式ブレーキの制輪子を動作させるのはどんな方法でも構いません。しかし、常に同じ力のブレーキ力しか得られないのであれば鉄道車両の正確な運転は非常に困難なものとなるため、通常は空気の圧力を使うことになります。旧型列車に乗っていると時々、「ピョロロロポコポコポコポコ・・・・・ピョコプココ、プシュー」という音を耳にしますが、ブレーキに使う圧縮空気をコンプレッサで生成している音なのです。これを元空気溜めに送り空気のブレーキの種類に応じて放出量制御を行い、制輪子の制御装置(ブレーキシリンダ)に送っていきます。直通ブレーキこれは、列車全体につながっている直通管というものに運転士の制御に応じて圧縮空気を送り、その圧力を各車両のブレーキシリンダに伝えるもので、非常に簡単な構造である反面、車両間の連絡管が外れたり破損したりすると圧縮空気が抜けてしまい、ブレーキが全く効かなくなってしまうと言う欠点があるため、単車両に用いるのが普通です。自動ブレーキ上記の直通ブレーキが直通管にブレーキシリンダを直接制御する為の圧縮空気を送るのに対し、直通管(この場合はブレーキ管と呼ぶ)に常に圧縮空気を送っておき、制動時にはその空気圧力を弱めてやることにより、各シリンダに設けられた制御弁が開いて、そこにシリンダ制御用の空気を送る間接制御式のブレーキがこの自動ブレーキです。この方式の場合は、車両間のブレーキ管が外れたり破損しても、そのときのブレーキ管内部の極度の圧力低下によって瞬時に制御弁が全開となって自動的に非常停止するため、安全性が高いのが特徴です。電磁自動ブレーキ上の自動ブレーキのブレーキ管圧力を電気制御によって増減させるものを電磁自動ブレーキと呼びます。このブレーキ方式は管圧力を電気指令で各ユニット一斉に増減させることから自動ブレーキより素早く反応し、長い列車でも確実なブレーキがかかります。電磁直通ブレーキまず、簡単に言ってしまうと電磁自動ブレーキが自動ブレーキを応用したのに対し、電磁直通ブレーキは直通ブレーキを応用させたものです。これは、直通管の圧力を各ユニットごとに「コメ」と「ユルメ」の 2 種類の電磁弁を駆使して制御するもので、素早い応答性が得られます。また、ブレーキハンドルの角度によっ

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て圧力の制御が可能で、扱いやすいのも特徴です。ただ、直通ブレーキ同様、直通管の破断などには歯が立たないために自動ブレーキなどと併用します。電気指令式ブレーキ今まで紹介した 4 種類のブレーキはすべて直通管あるいはブレーキ管の圧力操作によってブレーキシリンダに圧力を加えていました。しかし、電気指令式は各ユニットが独立し、運転士からの電気指令によって直接空気ダメからブレーキシリンダに空気を送り込むという形を取っています。ほとんどの機構が電気制御という点で応答性が非常に良いため、最近の電車はほとんどがこの電気指令式です。

これで、上巻は終わりです。説明しきれないことがいっぱいありましたがページ数も上下巻が分かれているものでは前代未聞の 29ページになってしまいました。引き続き、下巻をお楽しみください。なお下巻は中高生以上向きです。物理公式を使うところがございますので、参考書等を横に置いてお読みください。下巻では上巻では追究しきれなかった部分をさらに深く掘り進めて参ります。

余談:これは昔からそうかもしれないが、鉄研の部誌には鉄道ファンやピクトリアルの記事を適当に寄せ集めて丸写ししている場合が多いと思う。はっきり言ってこれだけでは「丸写し+丸暗記」にしかならず、真に鉄道を研究しているとは言い難い。あくまで研究なのであって、答えの丸覚えではどうにもならないのだ。私は入部当初からこのことに非常に疑問であった。たしかに、この方法だと間違いを書くことはあるまい。あったとしても参考資料の責任にできるだろう。しかしながら、これを書いたことによって自身に何の利益が生ずるのか?色々な資料をじっくり調べるのが本質ではないのか?今後、私自身もこれを肝に銘じて部誌の執筆にあたろうと思う。

参考文献・サイト(上下巻両方):「鉄道車両ハンドブック」久保田博 グランプリ出版「世界の高速鉄道」佐藤芳彦 グランプリ出版「鉄道工学ハンドブック」久保田博 グランプリ出版「鉄道常識事典」河合時平 交友社「(月刊)電気車の科学」電気車研究会

「(月刊)交通技術」交通協力会「(月刊)鉄道ピクトリアル」電気車研究会「(月刊)鉄道ジャーナル」鉄道ジャーナル社「(月刊)鉄道ファン」交友社「図説 鉄道工学」天野光その他2名 丸善「あおい」京都大学鉄道研究会「運転法規便覧」日本鉄道図書

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「運転設備」運転設備研究会その他多数の文献

INTERNET総合鉄道部 http://www.asahi-net.or.jp/~PI5K-UN/こひつじの家 http://lavender.system.nitech.ac.jp/京王電車の博物館 http://www26.tok2.com/home/otowa/mokuji.htm垂水運転所 http://village.infoweb.ne.jp/~westkobe/TARUMI.html鉄道車両 Tips http://www1.odn.ne.jp/~aaa81350/Oyamarts のぺーじ http://member.nifty.ne.jp/oyamarts/鉄道総研ホームページ http://www.rtri.or.jp/index_J.htmlDreams on a Railway http://www.tsubasa.to/dreams/homepage.html本線北陸線出発進行! http://www10.u-page.so-net.ne.jp/pb3/tk-evo/FTRAIN Web-@nifty 鉄道フォーラム http://www.nifty.ne.jp/forum/ftrain/日本鉄道電気技術協会 http://www.rail-e.or.jp/鉄 道 技 術 と 鉄 道 模 型 の YAMADA Works http://homepage2.nifty.com/akihiko_yamada/電験道場 http://www1.kcn.ne.jp/~tanii/BVE Official Website http://mackoy.cool.ne.jp/その他多数のホームページ