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2014 複素数拾遺 【演習 1複素数を表す平面上で、z z +3i(z z)+5=0 は点 + i を中心とす る半径 の円を表す。それは |z + i| = |z 2i| を満足する点 z の軌跡 である。 z z の共役な複素数を意味する。 1970 東京大学】 【解答】 0 3 2 2 x y O 2 1 2 1 x y O z z +3i (z z)+5=0 (z 3i)( z +3i)=9 5=4 |z 3i| =2 は中心 (3i) 半径2の円を表す。 z z i (z z)+1= a 2 {z z +2i (z z)+4} ( a 2 1 ) z z + ( 2a 2 +1 ) (z z)+4a 2 1=0 より 4a 2 1 a 2 1 =5 a =2 (i) (2i) 2:1 に内分する点と、外分する点を直径の両端とす るアポロニウスの円である。 c Darumafactory -1- UltimateMath

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Page 1: 2014 複素数拾遺scipio.secret.jp › 2014-1st › complesans.pdf2014 複素数拾遺 【演習1】 複素数を表す平面上で、zz +3i(z −z)+5 = 0 は点 ア + イi を中心とす

2014複素数拾遺

【演習 1】複素数を表す平面上で、zz + 3i(z − z) + 5 = 0は点 ア + イ iを中心とす

る半径 ウ の円を表す。それは |z + i| = エ |z − 2i|を満足する点 zの軌跡である。zは zの共役な複素数を意味する。

【1970東京大学】

【解答】ア0

イ3

ウ2

エ2

x

y

O 2

12©

x

y

O

zz + 3i (z − z) + 5 = 0(z − 3i) (z + 3i) = 9 − 5 = 4∴ |z − 3i| = 2

は中心 (3i)半径2の円を表す。

zz − i (z − z) + 1 = a2 {zz + 2i (z − z) + 4}(a2 − 1

)zz +

(2a2 + 1

)(z − z) + 4a2 − 1 = 0より

4a2 − 1a2 − 1

= 5

∴ a = 2

(−i)と (2i)を 2 : 1に内分する点と、外分する点を直径の両端とするアポロニウスの円である。

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【演習 2】|z| >

54となるどのような複素数 z に対しても w = z2 − 2z とは表されない複

素数 wの全体の集合を T とする。すなわち、

T ={

w|w = z2 − 2zならば、|z| 5 54

}とする。このとき、T に属する複素数 wで絶対値 |w|が最大となるような wの値を求めよ。

【2005東京大学】

解答

1

− 34 i

34 i

Re

Im

O

z2 − 2z = wの2解を α, β とおくと、

α + β = 2, αβ = w

この2解が |z| 5 54をみたすから、

|α| 5 54, |β| 5 5

4

β が存在するために、

|α| 5 54, |2 − α| 5 5

4

これを図示すると右図。この図より、

|α| =54, |2 − α| =

54

⇔ α = 1 ± 34i

そして、

|w| = |αβ| = |α| |2 − α| 5 2516

この等号は

α = 1 ± 34i

のときに成立するから、求める wは

w =(

1 ± 34i

)(−1 ± 3

4i

)= −1 − 9

16= −25

16

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【演習 3】次の2つの条件 (a),(b)を同時に満たす複素数 z 全体の集合を複素数平面上に図示せよ。

(a) 2z,2zの実部はいずれも整数である。

(b) |z| = 1である。

【1999東京大学】

解答

2z + 2z

2= z + z,

2z + 2

z

2=

1z

+1z

が整数である。

0 5∣∣∣∣1z +

1z

∣∣∣∣ 5 ∣∣∣∣1z∣∣∣∣+ ∣∣∣∣1z

∣∣∣∣ 5 1 + 1 = 2

より、1z

+1z

= 0,±1,±2

( i )1z

+1z

= 0 ⇔ z + z = 0のとき、これと |z| = 1を満たす zが求めるもののひとつ。これを図示すると下図。

Re

Im

O

( ii )1z

+1z

= 1 ⇔ z + z = zzのとき、これは円;

|z − 1| = 1

を表す。これと領域 |z| = 1の部分で z + zが整数となるものは下図の点。

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12

Re

Im

O

∴ z =12±

√3

2i, 1 ± i, 2

(iii)1z

+1z

= 2 ⇔ z + z = 2zzのとき、これは円;∣∣∣∣z − 12

∣∣∣∣ = 14

を表す。これと領域 |z| = 1 の部分で z + z が整数となるものは下図の点。

Re

Im

O

∴ z = 1

1z

+1z

= −1,−2

のときも同様に得られる。求めるものは、

(z + z − 0 ∧ |z| = 1) ∨

(z = ±1

√3

2i

)∨ (z = ±1 ± i) ∨ (z = ±2) ∨ (z = ±1)

である。

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【演習 4】複素数平面上で、複素数 αは2点 1 + iと 1− iとを結ぶ線分上を動き、複素数β は原点を中心とする半径 1の円周上を動くものとする。

(1) α + β が複素数平面上を動く範囲の面積は ア + イ πである。

(2) αβ が複素数平面上を動く範囲の面積は ウ πである。

(3) α2が複素数平面上で描く曲線と虚数軸とで囲まれた範囲の面積はエ

オで

ある。

【1974東京大学】

解答

ア4

イ1

ウ1

エ8

オ3

(1)

2

−1

2

1

Re

Im

O

z = α + β

|β| = 1

を満たす β があるために、|z − α| = 1

αを2点 1 + iと 1− iとを結ぶ線分上で動かして、この円の通貨範囲を求めると右図。その面積は、4 + π

(2)

Re

Im

O

z = αβ, |β| = 1

を満たす β があるために、∣∣∣ zα

∣∣∣ = 1 ⇔ |z| = |α|

1 5 |α| 5√

2

であるから、zは1 5 |z| 5

√2

の範囲を動く。この面積は πである。

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(3)

(t = 1)

(t = −1)

x = 1 − y2

4

x

y

O

z = α2

= (1 + ti)2

= 1 − t2 + 2ti

(−1 5 t 5 1)

と表わせるから、z = x + yiとおくと、x = 1 − t2, y = 2t,−1 5 t 5 1

と媒介変数表示されるから、zは図のようの放物線の弧を描く。求める面積は∫ 2

−2

−14

(y − 2) (y + 2) dy =14· 16

(2 + 2)3 =83

【演習 5】複素数平面上の正方形 ABCDがある。その 4頂点を A,B,C,Dを表す複素数をそれぞれ α, β, γ, δとする。

α = i, γ = 10 + 25i, |β| > |δ|

ならば、

β = アイ + ウエ i, δ = オカ + キ i

【1972東京大学】

解答

α = i

γ = 10 + 25i

β

δ

Re

Im

O

アイ−7

ウエ18

オカ17

キ8

β, δ = (γ − α) × 1√2{cos 45 ± i sin 45} + α

=12

(10 + 24i) (1 ± i) + i

= −7 + 18i, 17 + 8i

であり、|−7 + 18i| =

√373, |17 + 8i| =

√343

であるから、β = −7 + 18i, δ = 17 + 8i

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である。

【演習 6】nを正の整数とする。αn = cos

n+ i sin

nとする。p, q が整数を表すとき、

p+ qαnの形で表わせる点のうちで、原点を中心とする半径 1の円周上にあるものの個数を An とすれば、A3 = ア , A4 = イ , A5 = ウ である。また、

n = 3のとき、それら A3 個の点を頂点とする凸多角形の面積はエ

√オ

カである。

【1975東京大学】

解答

ア6

イ4

ウ4

エ3

オ3

カ2

|p + qαn| = 1⇔ (p + qαn) (p + qαn) = 1

⇔ p2 + q2 + pq (αn + αn) = 1

⇔ p2 + q2 + 2pq cos2π

n= 1

である。

(1)

1−1

−1

1

Re

Im

O

n = 3のとき、p2 + q2 − pq = 1

q2 − pq + p2 − 1 = 0

qの実数条件より、p2 − 4

(p2 − 1

)= 0

⇔ 3p2 − 4 5 0∴ p = 0, p = ±1

よって、

(p, q) = (0,±1) , (1, 0) , (1, 1) , (−1, 0) , (−1,−1)

A3 = 6である。

(2) n = 4のとき、

p2 + q2 = 1

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上の格子点は

(p, q) = (1, 1) , (1,−1) , (−1, 1) , (−1,−1)

であるから、A4 = 4である。

(3) n = 5のとき、

p2 + q2 + 2pq cos2π

5= 1

cos2π

5は無理数だから、pq = 0である。

(p, q) = (1, 0) , (−1, 0) , (0, 1) , (0,−1)

であるから、A5 = 4である。

Re

Im

O

また、n = 3のとき、6つの点は単位円周上の点でこれらを結んで、正6角形ができる。

1 + 1 ·

(−1

2+

√3

2i

)=

12

+√

32

i

1 + 0 ·

(−1

2+

√3

2i

)= 1

0 + 1 ·

(−1

2+

√3

2i

)= −1

2+

√3

2i

0 − 1 ·

(−1

2+

√3

2i

)=

12−

√3

2i

−1 − 1 ·

(−1

2+

√3

2i

)= −1

2−

√3

2i

−1 + 0 ·

(−1

2+

√3

2i

)= −1

その面積は√

34

× 6 =3√

32

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【演習 7】Oを原点とする複素数平面上で 6を表す点をA,7 + 7iを表す点を Bとする。ただし、iは虚数単位である。正の実数 tに対し、 14(t − 3)

(1 − i)t − 7を表す点を Pと

する。

(1) ∠APBを求めよ。

(2) 線分 OPの長さが最大となる tを求めよ。

【2003東京大学】

解答

A

B

P

Re

Im

O

(1)

7 + 7i − 14(t−3)(1−i)t−7

6 − 14(t−3)(1−i)t−7

=(7 + 7i) (t − 7 − it) − 14 (t − 3)

6 (t − 7 − it) − 14 (t − 3)

=72t

(1 + i)

=7√

22t

(cos 45◦ + i sin 45◦)

より、∠APB = 45◦

(2) (1)より、Pは ABを見込む角が 45◦の円弧を描く。その中心は

(7 + 7i − 6) (cos 45 + i sin 45)1√2

+ 6

=12

(1 + 7i) (1 + i) + 6

= 3 + 4i

より、3 + 4iであり、OPが最大になるときの Pは 6 + 8i

である。

6 + 8i =14 (t − 3)

(1 − i) t − 7⇔ t = 28

これは t > 0を満たすので、これが求めるものである。

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【演習 8】複素数平面上の点 a1, a2, · · · · · · , an, · · · を{

a1 = 1, a2 = i

an+2 = an+1 + an (n = 1, 2, · · · · · ·)

により定め、

bn =an+1

an(n = 1, 2, · · · · · ·)

とおく。ただし、iは虚数単位である。

(1) 3点 b1, b2, b3 を通る円 C の中心と半径を求めよ。

(2) すべての点 bn(n = 1, 2, · · · · · · )は円 C の周上にあることを示せ。

【2001東京大学】

解答

(1)

b1

b2

b3

Re

Im

O

a3 = a2 + a1 = i + 1a4 = a3 + a2 = 2i + 1

b1 =a2

a1= i

b2 =a3

a2= 1 − i

b3 =a4

a3=

2i + 1i + 1

= −32

+12i

b1 − b3

b2 − b3=

32 − 1

2 i

−12 − 3

2 i

=110

(3 − i) (−1 + 3i)

= i

だから、

|b1 − b3| = |b2 − b3| ,∠b1b3b2 = 90◦

この3点で頂点 b2 を直角頂点とする2等辺三角形ができるから、この外接円の

中心は 12で半径は

√5

2となる。

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Page 11: 2014 複素数拾遺scipio.secret.jp › 2014-1st › complesans.pdf2014 複素数拾遺 【演習1】 複素数を表す平面上で、zz +3i(z −z)+5 = 0 は点 ア + イi を中心とす

(2)

an+2 = an+1 + an

an+2

an+1= 1 +

an

an+1

∴ bn+1 = 1 +1bn

babababababababababababababababab

w = 1 +1zによって、zが wに変換される。このとき、zが円∣∣∣∣z − 12

∣∣∣∣ = √5

2

を描くならば、w も同じ円を描くことを示せ、という軌跡の問題にすぎない。この変換は、「円円変換」という 1次変換であり、いわば、不動円を求めよということである。wの軌跡を求めたいとは、zを量化することであるから、· · · · · ·

bn =1

bn+1 − 1

が ∣∣∣∣bn − 12

∣∣∣∣ = √5

2

を満たすとすると、∣∣∣∣ 1bn+1 − 1

− 12

∣∣∣∣ = √5

2

⇔∣∣∣∣3 − bn+1

bn+1 − 1

∣∣∣∣ = √5

⇔ |bn+1 − 3| =√

5 |bn+1 − 1|

⇔ |bn+1|2 − 3(bn+1 + bn+1

)+ 9 = 5

{|bn+1|2 −

(bn+1 + bn+1

)+ 1}

⇔ 4 |bn+1|2 − 2(bn+1 + bn+1

)+ 4 = 0

⇔∣∣∣∣bn+1 −

12

∣∣∣∣ = √5

2

よって、数学的帰納法により、すべての bn は円 C 上にある。

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Page 12: 2014 複素数拾遺scipio.secret.jp › 2014-1st › complesans.pdf2014 複素数拾遺 【演習1】 複素数を表す平面上で、zz +3i(z −z)+5 = 0 は点 ア + イi を中心とす

本問は反転の問題として入試でときどき扱われる。RadicalMathの後半に詳述してある。

【演習 9】複素数平面上の原点以外の相異なる2点 を考える。P(α),Q(β)を通る直線を l,原点から lに引いた垂線と lとの交点を R(w)とする。ただし、複素数 γ を表す点 Cを C(γ)とかく。このとき、

「w = αβであるための必要十分条件は、P(α),Q(β)が中心A(

12

)、

半径 12の円周上にあることである」

を示せ。【2000東京大学】

解答 ∠ORP = ∠ORQ = 90◦ だから、wは∣∣∣w − α

2

∣∣∣ = ∣∣∣α2

∣∣∣ , ∣∣∣∣w − β

2

∣∣∣∣ = ∣∣∣∣β2∣∣∣∣

|w|2 − 1

2(αw + αw) = 0

|w|2 − 12(βw + βw

)= 0

を満たす。w = αβ がこれを満たすとは、

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Page 13: 2014 複素数拾遺scipio.secret.jp › 2014-1st › complesans.pdf2014 複素数拾遺 【演習1】 複素数を表す平面上で、zz +3i(z −z)+5 = 0 は点 ア + イi を中心とす

|αβ|2 − 1

2(ααβ + ααβ

)= 0

|αβ|2 − 12(βαβ + βαβ

)= 0

|α|2

{|β|2 − 1

2(β + β

)}= 0

|β|2{|α|2 − 1

2(α + α)

}= 0

|β|2 − 1

2(β + β

)= 0

|α|2 − 12

(α + α) = 0

⇔∣∣∣∣α − 1

2

∣∣∣∣ = 12

∣∣∣∣α − 1

2

∣∣∣∣ = 12∣∣∣∣β − 1

2

∣∣∣∣ = 12

よって、示せた。

【演習 10】a, bを実数とする。3次方程式

x3 + ax2 + bx + 1 = 0

は3つの複素数からなる解 α1, α2, α3をもち、相異なる i, jに対し、|αi −αj | =√3をみたしている。このような a, bの組をすべて求めよ。 【2003京都大学】

解答 実数係数の3次方程式は少なくとも1つの実数解をもち、虚数解をもつならば、互いに共役な2解をもつ。相異なる i, j に対し、|αi − αj | =

√3をみたしている

から、3解がみな実数であることはない。この3解は1つを実軸上にもち、他の2解は実軸に関して対称の位置にある。そして、この3点は1辺の長さ

√3の正3角形の

頂点である。α1 を実数解とする。3解の位置関係は下図の2通りである。

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c α1

α2

α3

cα1

α2

α3

外接円の中心を c ∈ Rとすると、この円の半径は 1だから、

(1) 右図の場合は

α1 = c + 1, α2 = c − 12

+√

32

i, α3 = c − 12−

√3

2i

とおけるから、解と係数の関係より、

α1α2α3 = (c + 1)

(c − 1

2+

√3

2i

)(c − 1

2−

√3

2i

)= −1

(c + 1)

{(c − 1

2

)2

+34

}= −1

(c + 1)(c2 − c + 1

)= −1

c3 + 1 = −1

∴ c = − 3√

2

−a = c + 1 + c − 12

+√

32

i + c − 12−

√3

2i

∴ a = 3 3√

2

∴ b = (c + 1) (2c − 1) +(c2 − c + 1

)= 3c2 = 3 3

√4

(2) 左図の場合は

α1 = c − 1, α2 = c +12

+√

32

i, α3 = c +12

+√

32

i

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Page 15: 2014 複素数拾遺scipio.secret.jp › 2014-1st › complesans.pdf2014 複素数拾遺 【演習1】 複素数を表す平面上で、zz +3i(z −z)+5 = 0 は点 ア + イi を中心とす

とおけるから、

α1α2α3 = (c − 1)

(c +

12

+√

32

i

)(c +

12−

√3

2i

)= −1

(c − 1)

{(c +

12

)2

+34

}= −1

(c + 1)(c2 + c + 1

)= −1

c3 − 1 = −1∴ c = 0

−a = c − 1 + c +12

+√

32

i + c +12−

√3

2i

∴ a = 0∴ b = 0

【演習 11】相異なる4つの複素数 z1, z2, z3, z4 に対して

w =(z1 − z3)(z2 − z4)(z1 − z4)(z2 − z3)

とおく。このとき、以下を証明せよ。

(1) 複素数 zが単位円上にあるための必要十分条件は z =1zである。

(2) a1, z2, z3 が単位円上にあり、wが実数であれば、z4 は単位円上にある

【1999京都大学】

解答

(1)

|z| = 1 ⇔ zz = 1 ⇔ z =1z

(2)

zi =1zi

(i = 1, 2, 3)

w ∈ R ⇔ w = w

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のとき、(z1 − z3) (z2 − z4)(z1 − z4) (z2 − z3)

=(z1 − z3) (z2 − z4)(z1 − z4) (z2 − z3)

⇔ (z1 − z3) (z2 − z4)(z1 − z4) (z2 − z3)

=

(1z1

− 1z3

)(1z2

− z4

)(

1z1

− z4

)(1z2

− 1z3

)⇔ (z1 − z3) (z2 − z4)

(z1 − z4) (z2 − z3)=

(z3 − z1) (1 − z2z4)(1 − z1z4) (z3 − z2)

⇔ z2 − z4

z1 − z4=

1 − z2z4

1 − z1z4

⇔ (z2 − z4) (1 − z1z4) = (1 − z2z4) (z1 − z4)

⇔ z2 − z4 − z1z2z4 + z1 |z4|2 = z1 − z4 − z1z2z4 + z2 |z4|2

⇔ (z2 − z1)(1 − |z4|2

)= 0

⇔ |z4|2 = 1

【演習 12】α, β は 0 でない相異なる複素数で、α

β+

α

β= 2 を満たすとする。このとき、

0,α, βの表す複素平面上の3点を結んで得られる三角形はどのような三角形か。【2005京都大学】

解答

β

α

k >のときkiβ

Re

Im

O

α

β+

α

β= 2

⇔ ∃k (k ∈ R)[α

β= 1 + ki

]これを図示すると右図のようになるから、0, α, β の3点でできる3角形は直角3角形である。

【演習 13】α, β, γ は相異なる複素数で、α + β + γ = α2 + β2 + γ2 = 0を満たすとする。このとき、α, β, , γの表す複素平面上の3点を結んで得られる三角形はどのような三角形か。

【2005京都大学】

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Page 17: 2014 複素数拾遺scipio.secret.jp › 2014-1st › complesans.pdf2014 複素数拾遺 【演習1】 複素数を表す平面上で、zz +3i(z −z)+5 = 0 は点 ア + イi を中心とす

解答 α, β, γは相異なる複素数だから、その中には 0ではないものが存在する。それを γ とすると、

α

γ+

β

γ+ 1 = 0(

α

γ

)2

+(

β

γ

)2

+ 1 = 0

これより、(α

γ

)(β

γ

)= 0

を得るから、(

α

γ

),

γ

)は、2次方程式

t2 + t + 1 = 0

の2解となるから、(α

γ,β

γ

)= (cos 120◦ ± i sin 120◦, cos 120◦ ∓ i sin 120◦)

よって、α, β, , γの表す複素平面上の3点を結んで得られる三角形はOを外心とする正3角形である、

【演習 14】複素平面上で、4ABCの頂点を表す複素数を α, β, γ とする。α, β, γ が次の 3条件を満たすとする。

( i ) 4ABCは辺の長さ√

3の正三角形である。

( ii ) α + β + γ = 3

(iii) αβγ は絶対値 1で、虚数部分は正。

このとき、次の問いに答えよ。

(1) z = α − 1とおいて、β と γ を zを使って表せ。

(2) α, β, γ の偏角を求めよ。ただし、

0◦ 5 arg α 5 arg β 5 arg γ < 360◦

とする。

【1999京都大学】

解答

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Page 18: 2014 複素数拾遺scipio.secret.jp › 2014-1st › complesans.pdf2014 複素数拾遺 【演習1】 複素数を表す平面上で、zz +3i(z −z)+5 = 0 は点 ア + イi を中心とす

(1)

α + β + γ = 3 ⇔ α + β + γ

3= 1

より、正3角形の重心は点 (1)であり、これはまた外心でもある、この外接円の半径は、1である。したがって、1を中心に αを±120◦回転させると β, γになる。

β − 1, γ − 1 = (α − 1) (cos 120◦ ± sin 120◦)

β = 1 + z

(−1

2± i

√3

2

)

γ = 1 + z

(−1

2∓ i

√3

2

)(複号同順)

(2)

1-1120◦

Re

Im

O

1の虚立方根の1つを ω とおく。β = 1 + zω, γ = 1 + zω2

と表せて、αβγ = (z + 1) (1 + zω)

(1 + zω2

)= (z + 1)

(1 − z + z2

)= 1 + z3

より、∣∣1 + z3∣∣ = 1 · · · · · · 1©

また、|z| = 1 · · · · · · 2©

zは Oを中心とし、半径1の円周上にあるから、z3もやはりこの円周上にある。1©より z3 は (−1)を中心に半径1の円周上にあるから、

z3 = cos 120◦ + i sin 120◦またはz3 = cos 240◦ + i sin 240◦

1 + z3 の虚部は正だから、z3 = cos 120◦ + i sin 120◦

z = cos θ + i sin θとおくと、z3 = cos 3θ + i sin 3θ

だから、3θ = 120◦ + 360◦n∴ θ = 40◦ + 120◦n∴ θ = 40◦, 160◦, 280◦

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Page 19: 2014 複素数拾遺scipio.secret.jp › 2014-1st › complesans.pdf2014 複素数拾遺 【演習1】 複素数を表す平面上で、zz +3i(z −z)+5 = 0 は点 ア + イi を中心とす

一般に、

z = cos θ + i sin θ, w = cos φ + i sinφ

に対して、z + wの偏角は、

|θ − φ| 5 180◦のとき、arg (z + w) =θ + φ

φ

|θ − φ| > 180◦のとき、arg (z + w) = 180◦ +θ + φ

φ

θϕ

偏角は θ + ϕ

2

x

y

O

θϕ

偏角は 180◦ +θ + ϕ

2

偏角は θ + ϕ

2

x

y

O

1 + z = 1 + cos θ + i sin θ の偏角は θ

2または、180◦ +

θ

2であるから、θ =

40◦, 160◦, 280◦ のときの 1 + zの偏角は 20◦, 80◦, 320◦ よって、

∴ arg α = 20◦, arg β = 80,◦ arg γ = 320◦

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Page 20: 2014 複素数拾遺scipio.secret.jp › 2014-1st › complesans.pdf2014 複素数拾遺 【演習1】 複素数を表す平面上で、zz +3i(z −z)+5 = 0 は点 ア + イi を中心とす

【演習 15】複素数平面上に 0と異なる3点 z1, z2, z3があり、条件(ア)(イ)(ウ)を満たしている。

(ア) arg z1 = arg z2 + 120◦

(イ) 点 z3 は2点 z1, z2 を通る直線に関して 0と反対側にある。

(ウ) 4z1z2z3 は正三角形である。

このとき、以下の問に答えよ。

(1) α = cos 60◦ + i sin 60◦ とするとき、

αz1 = pz1 + qz2, αz2 = sz1 + tz2

となる実数 p, q, s, tをそれぞれ |z1|, |z2|を用いて表せ。

(2) z3 = az1 + bz2 となる実数をそれぞれ、|z1|, |z2|を用いて表せ。

【1997一橋大学】

解答

(1) O,(z1), (z2), (z3), (αz1), (αz2)の4点の位置関係は下図の通り。

z2

z1z3

αz1

αz2

60◦60◦60◦

Re

Im

O

O,(z1), (z2)は一直線上にあるから、

αz1 = −|z1||z2|

z2

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Page 21: 2014 複素数拾遺scipio.secret.jp › 2014-1st › complesans.pdf2014 複素数拾遺 【演習1】 複素数を表す平面上で、zz +3i(z −z)+5 = 0 は点 ア + イi を中心とす

よって、

p = 0, q = −k1

k2

O(αz2)は角 (z2)O(z1)の二等分線であるから、

αz2 =|z2||z1|

z1 + z2

∴ s =|z2||z1|

, t = 1

(2) 4点 O, (z1), (z2), (z3)は同一円周上にあるから、トレミーの定理より、Oz1 × z2z3 + Oz2 × z1z3 = Oz3 × z2z1

∴ Oz1 + Oz2 = Oz3

∴ z3 =Oz3

|z2|αz2

=|z1| + |z2|

|z2|

(|z2||z1|

z1 + z2

)=

|z1| + |z2||z1|

z1 +|z1| + |z2|

|z2|z2

a =|z1| + |z2|

|z1|, b =

|z1| + |z2||z2|

点の位置関係をつかんでしまえば複素数の問題ではなくなるが、それに気がつかないとなると手強い問題かもしれない。O,z1, z2は1直線上にないから、任意の複素数 wは w = az1 + bz2 とただ一通りに表わせる。

|zi| = ki (i = 1, 2)

とする。α = cos 60◦+i sin 60◦だから、α3 = −1である。また、arg z1 = arg z2+120◦

であるから、

z1 = α2z2 ×k1

k2

が成り立つ。αz1 = pz1 + qz2

とおくと、

α · α2z2 ×k1

k2= pz1 + qz2

−z2 ×k1

k2= pz1 + qz2

∴ p = 0, q = −k1

k2

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Page 22: 2014 複素数拾遺scipio.secret.jp › 2014-1st › complesans.pdf2014 複素数拾遺 【演習1】 複素数を表す平面上で、zz +3i(z −z)+5 = 0 は点 ア + イi を中心とす

αz2 = sz1 + tz2 · · · · · · 1©

とおくと、α2z2 = sαz1 + tαz2

k2

k1z1 = s

(−|z1||z2|

)z2 + tαz2 · · · · · · 2©

1©, 2©より、αz2 を消去すれば、k2

k1z1 = s

(−k1

k2

)z2 + t (sz1 + tz2)

両辺の係数を比べて、k2

k1= ts, s

(−k1

k2

)+ t2 = 0

これを解いて、

t = 1, s =k2

k1

z3 − z1 = α (z2 − z1)

より、z3 = z1 + αz2 − αz1

= z1 +k2

k1z1 + z2 +

k1

k2z2

=(

1 +k2

k1

)z1 +

(1 +

k1

k2

)z2

と解答するのが作者の出題意図であろう。

【演習 16】点 (x, y)が直線 3x + 4y = 1の上を動くとき、 1

x + iy= u + iv から定まる点

(u, v)の軌跡の長さを求めよ。ただし、x, y, u, vはいずれも実数とする。【1965一橋大学】

解答 z = x + iy, w = u + viとおくと、

w =1z⇔ z =

1w

· · · · · · 1©

zが、

3x + 4y = 1 ⇔ 3 · z + z

2+ 4 · z − z

2i= 1 · · · · · · 2©

を満たすとき、 1©で定まる wの軌跡は、

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Page 23: 2014 複素数拾遺scipio.secret.jp › 2014-1st › complesans.pdf2014 複素数拾遺 【演習1】 複素数を表す平面上で、zz +3i(z −z)+5 = 0 は点 ア + イi を中心とす

「 1©かつ 2©を満たす zが存在する」

ような wの全体である。それは、

3 ·1w + 1

w

2+ 4 ·

1w − 1

w

2i= 1

⇔ 3 (w + w) − 4i (w − w) = 2 |w|2

⇔ |w|2 −(

32− 2i

)w −

(32

+ 2i

)w = 0

⇔(

w −(

32

+ 2i

))(w −

(32− 2i

))=∣∣∣∣32 + 2i

∣∣∣∣2⇔∣∣∣∣w −

(32

+ 2i

)∣∣∣∣ = 52

である。これは、点(

32

+ 2i

)を中心として、半径 5

2の円であるから、求める長さは

5πである。

反転の問題です。

【演習 17】(1) z10 − z7 − z3 + 1 = 0をみたす複素数 zをすべて求めよ。

(2) nを3以上の整数とする。zn +1zn

= z2 +1z2をみたす異なる複素数 z の

個数を求めよ。

【2000一橋大学】

解答テキスト【演習24】と重複しています。

【演習 18】次の条件 C を満たす複素数 zの表す点の範囲を複素数平面上に図示せよ。

C:0 5 a 5 1をみたすある実数 aに対して、

a(z + z) = |z|2 − 1

が成り立つ。

【1974一橋大学】

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Page 24: 2014 複素数拾遺scipio.secret.jp › 2014-1st › complesans.pdf2014 複素数拾遺 【演習1】 複素数を表す平面上で、zz +3i(z −z)+5 = 0 は点 ア + イi を中心とす

解答 求めるものは、

∃a[a (z + z) = |z|2 − 1 ∧ 0 5 a 5 1

]( i )

z + z = 1 ∧ |z|2 − 1 = 0

⇔ z, z =12±

√3

2i

( ii ) z + z \= 1のとき

Re

Im

Oa =|z|2 − 1z + z

を 0 5 a 5 1に代入して、

0 5 |z|2 − 1z + z

5 1

⇔ 0 5 |z|2 − 1z + z

∧ |z − 1|2 − 2z + z

< 0

以上を図示すると右図のようになる。

【演習 19】zを 1でない複素数とし、w =

iz

z − 1とおく。

(1) wが実数であるような zの全体を複素数平面上に図示せよ。

(2) aを正の実数とする。|w| 5 aであるような zの全体を複素数平面上に図示せよ。

【20034一橋大学】

解答

(1)

w =iz

z − 1

のとき、wが実数であるとは、

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Page 25: 2014 複素数拾遺scipio.secret.jp › 2014-1st › complesans.pdf2014 複素数拾遺 【演習1】 複素数を表す平面上で、zz +3i(z −z)+5 = 0 は点 ア + イi を中心とす

1Re

Im

Oiz

z − 1=

−iz

z − 1⇔ z (z − 1) = −z (z − 1)

⇔ zz − 12z − 1

2z = 0

⇔∣∣∣∣z − 1

2

∣∣∣∣ = 12

これを z \= 1のもとで図示すると右図。

(2)

|w| 5 a

であるとは、∣∣∣∣ iz

z − 1

∣∣∣∣ 5 a

⇔ |z| 5 a |z − 1|

⇔ |z|2 5 a2 |z|2 − a2z − a2z + a2 · · · · · · 1©

( i ) a < 1のとき、1© ⇔

(1 − a2

)|z|2 + a2z + a2z 5 a2

⇔∣∣∣∣z +

a2

1 − a2

∣∣∣∣ 5 a

1 − a2

( ii ) a = 1のとき、1© ⇔ z + z 5 1

(iii) a > 1のとき、1 ⇔

(a2 − 1

)|z|2 − a2z − a2z = a2

⇔∣∣∣∣z − a2

a2 − 1

∣∣∣∣ 5 a

a2 − 1

以上3つの場合を図示すると、下図のようになる。

− a2

1 − a2

Re

Im

O

12

Re

Im

Oa2

a2 − 1Re

Im

O

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Page 26: 2014 複素数拾遺scipio.secret.jp › 2014-1st › complesans.pdf2014 複素数拾遺 【演習1】 複素数を表す平面上で、zz +3i(z −z)+5 = 0 は点 ア + イi を中心とす

【演習 20】複素数平面上の点 zが原点を中心とする半径 1の円周上を 1周するとき、

w = 2√

2z − z2

で表される点 wの軌跡が虚軸と交わる回数を求めよ。【2005大阪大学】

解答

w = 2√

2z − z2

において、

z = cos θ + i sin θ (0 5 θ < 2π)

とおくと、

w = 2√

2 (cos θ + i sin θ) − (cos 2θ + i sin 2θ)

この点が虚軸と交わるのは、

2√

2 cos θ − cos 2θ = 0

⇔ 2 cos2 θ − 2√

2 cos θ − 1 = 0

⇔ cos θ =√

2 − 22

これを満たす θは2個あるから、虚軸と交わるのは、2回である。

媒介変数表示された曲線{x = 2

√2 cos θ − cos 2θ

y = 2√

2 sin θ − sin 2θ

を図示すると下左図のようになる。右図は r = 1 + cos θと極座標表示された曲線でカージオイドと呼ばれるものである。本問はこれを拡大したものである。

x

y

O x

y

O

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Page 27: 2014 複素数拾遺scipio.secret.jp › 2014-1st › complesans.pdf2014 複素数拾遺 【演習1】 複素数を表す平面上で、zz +3i(z −z)+5 = 0 は点 ア + イi を中心とす

【演習 21】

QR

S

P

A

R′

S′

c

b

a

β

α

c

d

β

α

平面上において、7点A,P,Q,R,S,R′,S′を右図のようにとる。ただし、AP= a,PQ= b,QR=QR′ = c,RS=RS′ = d,∠APQ=∠SRQ=∠S′R′Q =α(0 5 α 5 π)∠RQO=∠PQR′ =β(0 5 β 5 π)で あ る 。こ の と き 、AS2−AS′2 をsinα, sinβ および a, b, c, dを用いて表せ。

【大阪大学】

解答 Qを原点とする。QPを実軸正方向にとる。

Q

R S

P

AR′

S′

c

d

α

b

a

β

αc

d

βαz = cos (π − α) + i sin (π − α)

w = cos β + i sin β

とおくと、A : (b + az)S : (cw + dwz)S′ : (cw + dwz)

と表せる。

AS2 = |b + az − cw − dwz|2

= |b + az|2 + |cw + dwz|2 − (b + az) (cw + dwz) − (b + az) (cw + dwz)

AS′2 = |b + az − cw − dwz|2

= |b + az|2 + |cw + dwz|2 − (b + az) (cw + dwz) − (b + az) (cw + dwz)

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Page 28: 2014 複素数拾遺scipio.secret.jp › 2014-1st › complesans.pdf2014 複素数拾遺 【演習1】 複素数を表す平面上で、zz +3i(z −z)+5 = 0 は点 ア + イi を中心とす

だから、

AS2 − AS′2

= (b + az) (cw + dwz) + (b + az) (cw + dwz)− (b + az) (cw + dwz) − (b + az) (cw + dwz)= (b + az) (c + dz) w + (b + az) (c + dz) w

− (b + az) (c + dz)w − (b + az) (c + dz) w

= (bc + acz + bdz + ad)w + (bc + acz + bdz + ad) w

− (bc + acz + bdz + ad) w − (bc + acz + bdz + ad)w

= (ac − bd) (z − z) w − (ac − bd) (z − z) w

= − (ac − bd) (z − z) (w − w)= − (ac − bd) · 2i sin (π − α) · 2i sinβ

= 4 (ac − bd) sinα sin β

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