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- 1 - 大阪湾の状況について 第1回部会の資料3「大阪湾の状況及び主な施策の実施状況について」における大阪湾の状況 に係る内容について、水質の水平分布や漁場分布、幼稚魚の主生息場の状況等を追加した。追加 分については、下線を付して示した。 大阪湾の状況 (1)概況 (地形) ・大阪湾の海底地形は図1に示すとおりであり、湾中央部のおよそ水深 20m 等深線を境に東 側と西側で様相が異なっており、湾奥東部海域では海底勾配が小さく平坦な地形となって いる。水深 20m までの海域面積は 672km で、域の 46占めている。 (海水の流動) 大阪湾の潮流の状況は図2-1及び図2-2に示すとおりであり、明石流最強時は、 神戸沖を東する流れは、湾奥部から時計回りの円弧描きながら泉州沖では沿岸ほぼ西となっている。 明石西流最強時には、大阪湾東北上する流れは、 泉南沖では沿岸ほぼとなり、 泉南沖から湾奥部へ反時計回りの円弧ている。 資料 図1 大阪湾地形図 (平成 14 11 社団法人日本水産資源保護 協会「大阪湾の海域環境と生物生産」) 図2-1 大阪湾の潮流(明石海峡東流 最強時) (平成 18 年2月 神戸市「神戸港港湾計 画資料その2」)

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大阪湾の状況について

第1回部会の資料3「大阪湾の状況及び主な施策の実施状況について」における大阪湾の状況

に係る内容について、水質の水平分布や漁場分布、幼稚魚の主生息場の状況等を追加した。追加

分については、下線を付して示した。

1 大阪湾の状況 (1)概況

(地形)

・大阪湾の海底地形は図1に示すとおりであり、湾中央部のおよそ水深 20m等深線を境に東

側と西側で様相が異なっており、湾奥東部海域では海底勾配が小さく平坦な地形となって

いる。水深 20mまでの海域面積は 672km2で、全域の 46%を占めている。

(海水の流動)

・ 大阪湾の潮流の状況は図2-1及び図2-2に示すとおりであり、明石海峡東流最強時に

は、神戸沖を東進する流れは、湾奥部から時計回りの円弧を描きながら泉州沖では沿岸に

ほぼ平行な南西流となっている。明石海峡西流最強時には、大阪湾東岸を北上する流れは、

泉南沖では沿岸にほぼ平行な北東流となり、泉南沖から湾奥部へ反時計回りの円弧を描い

ている。

資料 4

図1 大阪湾地形図 (平成 14年 11月 社団法人日本水産資源保護協会「大阪湾の海域環境と生物生産」)

図2-1 大阪湾の潮流(明石海峡東流最強時) (平成 18年2月 神戸市「神戸港港湾計画資料その2」)

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・大阪湾の恒流及びエスチュアリー循環流*は図3、図4に示すとおりである。東部海域に

は年間を通して河川水の流入があり、成層化し、その上層に密度流系の残差流である西宮

沖還流がある。西部海域では流速が速く、海水は鉛直方向に混合しており、潮汐残差流系

の沖ノ瀬還流が見られる。

*エスチュアリー循環流とは、低塩分の河川水が海域上層を沖合に流れていくのに伴い、

高塩分の海水が下層を陸に向かって進入してくることにより生じる流れのことである。

図3 大阪湾における恒流図 (藤原建紀ら「大阪湾の恒流と潮流・渦」 1989年海岸工学論文集)

図4 エスチュアリー鉛直循環と淀川河川水の振る舞い (平成 21 年5月 中辻啓二「新しい海辺づくり No.5大阪湾の流れ」環境技術 )

図2-2 大阪湾の潮流(明石海峡東流最強時) (平成 18年2月 神戸市「神戸港港湾計画資料その2」)

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(大阪湾に流入する河川の流量)

・大阪湾に流入する河川の流量は図5に示すとおりであり、湾奥部で、淀川・神崎川・大和

川などの流量の大きい河川が流入している。

図5 大阪湾に流入する河川の流量(平成 19年から 21年の6月から8月の平均値) (近畿地方整備局ホームページ「大阪湾環境データベース」)

神崎川 71.0

184.3 淀川

16.9 大和川

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(2)海岸の状況

(埋立の状況)

・埋立の状況は図6に示すとおりであり、府域の海岸の多くは港湾や工業用地として埋立が行われている。

・府域には、大阪市が管理する大阪港、府が管理する堺泉北港、阪南港の3港湾がある。

・自然海岸が府域の海岸に占める割合は1%であり、自然の浄化機能が低い。また、海との触

れ合いの場が少ない。

(大阪湾岸における主な産業集積地等)

・大阪湾岸における主な産業集積地等は図7に示すとおりであり、湾の北部から中部にかけてコンビナートや下水処理場が立地している。

図6 大阪湾における埋立の変遷 (公益社団法人 瀬戸内海環境保全協会資料)

堺泉北臨海コンビナート

泉佐野食品コンビナート

二色浜産業団地

岸和田市鉄工団地

南大阪湾岸流域下水道 北部水みらいセンター

南大阪湾岸流域下水道 中部水みらいセンター

南大阪湾岸流域下水道 南部水みらいセンター

図7 大阪湾岸における 主な産業集積地等

大阪北港コンビナート

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(海水浴場)

・大阪府域においては、図8に示すとおり4箇所で海水浴場が開設されている。

(自然海浜保全地区)

・大阪府自然海浜保全地区条例に基づき、図9に示すとおり、岬町の小島地区及び長松地区の

海岸を自然海浜保全地区に指定し、水質の監視や清掃を行っている。

二色の浜(貝塚市)

淡輪(岬町)

箱作(阪南市)

りんくう南浜(泉南市)

図8 大阪府域における海水浴場の開設状況

図9 自然海浜保全地区の指定状況

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(3)藻場・干潟

・主要な藻場の分布は図 10に示すとおりであり、湾南部から湾西部の沿岸に分布している。

・主要な干潟の分布は図 11に示すとおりであり、府域では、泉州諸河川の河口付近に小規模

な干潟が分布している。

図 11 大阪湾における主要な干潟の分布状況 (平成 24年 12月 中央環境審議会答申 水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について)

図 10 大阪湾における主要な藻場の分布状況 (平成 24 年 12 月 中央環境審議会答申 水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について)

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(4)水質

(環境基準の水域類型の指定状況)

・CODについては図 12‐1に示すとおりであり、12水域に区分して指定されている。

・全窒素・全りんについては図 12‐2に示すとおりであり、3水域に区分して指定されている。

・環境基準については、CODは表1-1に、全窒素・全りんについては表1-2に、それぞ

れ示すとおりである。

図 12-1 CODの環境基準の水域類型の指定状況 図 12-2 全窒素・全りんの環境基準の水域類型の指定状況

C-7

C-5

A-11

C-9C-8

A-10

A-6

神崎川

淀川

大和川

A-7

A-3

A-2

B-3

B-4

B-5

C-4

C-3

大阪湾(1)C類型

C-5

● 大阪府測定点兵庫県測定点

大阪湾(2)B類型

大阪湾(3)A類型

大阪湾(4)A類型

大阪湾(5)A類型

兵庫運河C類型

津名港C類型

深日港C類型

洲本港(1)C類型 洲本港(2)

B類型 淡輪港C類型

尾崎港C類型

西宮市沖1

西宮市沖2

神戸市東部沖1神戸市東部沖2

神戸市東部沖3神戸市中央部沖

神戸市東部沖4神戸市西部沖1

神戸市西部沖2

C-5

A-11

A-10

A-6

神崎川

淀川

大和川

A-7

A-3

A-2

B-3

B-4

B-5

C-4

C-3

C-5

● 大阪府測定点

兵庫県測定点

西宮市沖1

西宮市沖2

神戸市東部沖1神戸市東部沖2

神戸市東部沖3

大阪湾(ハ)Ⅱ類型

神戸市中央部沖

神戸市東部沖4神戸市西部沖1

神戸市西部沖2

大阪湾(ロ)Ⅲ類型

大阪湾(イ)Ⅳ類型

淡路島東部沖

表1-1 CODに係る環境基準

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0

20

40

60

80

100

1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

環境基準達成率(%)

年度

0

20

40

60

80

100

1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

環境基準達成率(%)

年度

(環境基準の達成状況)

・CODの環境基準達成率は、環境基準点における全層平均の年 75%値が、水域ごとに全ての

環境基準点で達成しているかどうかで評価している。近年の達成率は 67%で横ばいである。

・全窒素・全りんの環境基準達成率は、環境基準点における表層の年平均値を水域ごとに平均

した値が達成しているかどうかで評価で評価している。達成率の推移は図 13-1及び 13-2に

示すとおりであり、平成 22年度以降達成している。

・平成 26年度における、COD、全窒素・全りんの状況は表2-1~2-3に示すとおりである。

図 13-1 全窒素の環境基準達成率の推移

図 13-2 全りんの環境基準達成率の推移

表1-2 全窒素・全りんに係る環境基準

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(海域別に見た水質の推移)

・CODの表層の年平均値の推移は図 14 に示すとおりであり、3.4~4.0mg/L(1972 年度から

の5か年平均)から、2.7~3.8mg/L(2009 年度からの5か年平均)に減少している。

表2-2 平成 26 年度における全窒素に係る環境基準の達成状況

表2-3 平成 26 年度における全りんに係る環境基準の達成状況

表2-1 平成 26 年度におけるCODに係る環境基準の達成状況

図 14 表層の COD年平均値(mg/L)の推

移(大阪府が測定する環境基準点における

データ)

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・窒素、りんの表層の年平均値の推移は図 15及び 16に示すとおりであり、湾奥部(Ⅳ類型)で

は湾西部・湾南部に比べて濃度が高く、経年変化の減少率が大きい。

図 16 表層の全りん(T-P)及び溶存性無機態窒素(DIP)の年平均値(mg/L)の経年変化 (大阪府が測定する環境基準点におけるデータ)

図 15 表層の全窒素(T-N)及び溶存性無機態窒素(DIN)の年平均値(mg/L)の経年変化 (大阪府が測定する環境基準点におけるデータ)

0.00

0.50

1.00

1.50

2.00

1977

1979

1981

1983

1985

1987

1989

1991

1993

1995

1997

1999

2001

2003

2005

2007

2009

2011

T-N

,DIN

(mg/

L)

年度

Ⅲ類型海域 表層T-NDIN

0.00

0.50

1.00

1.50

2.00

1977

1979

1981

1983

1985

1987

1989

1991

1993

1995

1997

1999

2001

2003

2005

2007

2009

2011

T-N

,DIN

(mg/

L)

年度

Ⅱ類型海域 表層 T-NDIN

0.00

0.50

1.00

1.50

2.00

1977

1979

1981

1983

1985

1987

1989

1991

1993

1995

1997

1999

2001

2003

2005

2007

2009

2011

T-N

,DIN

(mg/

L)

年度

Ⅳ類型海域 表層 T-NDIN

0.000

0.050

0.100

0.150

0.200

1977

1979

1981

1983

1985

1987

1989

1991

1993

1995

1997

1999

2001

2003

2005

2007

2009

2011

T-P,

DIP(

mg/

L)

年度

Ⅱ類型海域 表層 T-PDIP

0.000

0.050

0.100

0.150

0.200

1977

1979

1981

1983

1985

1987

1989

1991

1993

1995

1997

1999

2001

2003

2005

2007

2009

2011

T-P,

DIP(

mg/

L)

年度

Ⅲ類型海域 表層T-PDIP

0.000

0.050

0.100

0.150

0.20019

7719

7919

8119

8319

8519

8719

8919

9119

9319

9519

9719

9920

0120

0320

0520

0720

0920

11

T-P,

DIP

(mg/

L)

年度

Ⅳ類型海域 表層 T-PDIP

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(水平分布)

・CODの平成 24年度から 26年度の3か年の測定結果の平均値をもとに作成した水平分布は

図 17 に示すとおりであり、湾北部・東部は3mg/L より高く(C類型相当)、湾央部は2~3

mg/L(B類型相当)、湾西部は2mg/L以下(A類型相当)の水質になっている。また、湾奥部

では南北方向の濃度勾配となっている。

・全窒素及び全りんの平成 24年度から 26年度の3か年の測定結果の平均値をもとに作成した

水平分布は図 18及び 19に示すとおりであり、湾奥部から湾口部に向けて濃度が低下してい

る。全窒素については、湾奥の堺市付近から尼崎市付近の沿岸にかけては 0.6mg/Lより高く

(Ⅳ類型相当)、湾東部は 0.3~0.2mg/L(Ⅲ類型相当)、湾央部は 0.2~0.3mg/L(Ⅱ類型相

当)、湾西部は 0.2mg/Lより低い(Ⅰ類型相当)水質となっている。全りんについては、湾

奥の高石市付近から芦屋市付近の沿岸にかけては 0.05mg/Lより高く(Ⅳ類型相当)、湾東部

は 0.03~0.05mg/L(Ⅲ類型相当)、湾央部から湾西部にかけては 0.02~0.03mg/L(Ⅱ類型相

当)の水質となっている。

図 17 CODの全層平均の年 75%値(mg/L)

の平成 24年度から 26年度の平均値の水平分

布(大阪府及び兵庫県が測定する環境基準点

におけるデータを基に作成)

図 18 全窒素の表層の年平均値(mg/L)

の平成 24年度から 26年度の平均値の水

平分布(大阪府及び兵庫県が測定する環

境基準点におけるデータを基に作成)

図 19 全りんの表層の年平均値(mg/L)

の平成 24年度から 26年度の平均値の水

平分布(大阪府及び兵庫県が測定する環

境基準点におけるデータを基に作成)

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(5)底質

・粒径別に見た底質の分布状況は図 20に示すとおりであり、湾奥部から湾央部にかけては粘

土質シルト、明石海峡や紀淡海峡付近は砂となっている。

・環境省「瀬戸内海環境情報基本調査」(平成 13年~17年)によると、大阪湾における底質

のCOD、強熱減量、全窒素、全りん、酸化還元電位の状況は図 21に示すとおりであり、

いずれの項目においても、瀬戸内海の他の海域と比較して高い値を示している。また、経年

変化については、全りん、強熱減量は増加傾向、COD、全窒素は減少傾向であると評価さ

れている。

図 20 大阪湾における底質の分布状況 (平成 24年 12月 中央環境審議会答申 水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について)

COD

全りん

強熱減 全窒素

酸化還元電位

図 21 大阪湾における底質の状況 (平成 13年~17年 環境省「瀬戸内海環境情報基本調査」)

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(6)水温

・大阪湾における水温の推移を、大阪府の公共用水域の水質測定データから見た結果は

図 22-1~22-3に示すとおりであり、いずれの海域も上昇傾向にある。

図 22-1 水温の推移(A類型海域)

図 22-2 水温の推移(B類型海域)

図 22-3 水温の推移(C類型海域)

14.0

15.0

16.0

17.0

18.0

19.0

20.019

72

1973

1974

1975

1976

1977

1978

1979

1980

1981

1982

1983

1984

1985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

水温(℃)

年度

水温(表層) 水温(底層)

14.0

15.0

16.0

17.0

18.0

19.0

20.0

1972

1973

1974

1975

1976

1977

1978

1979

1980

1981

1982

1983

1984

1985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

水温(℃)

年度

水温(表層) 水温(底層)

14.0

15.0

16.0

17.0

18.0

19.0

20.0

1972

1973

1974

1975

1976

1977

1978

1979

1980

1981

1982

1983

1984

1985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

水温(℃)

年度

水温(表層) 水温(底層)

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- 14 -

・表層と底層との水温差の推移は図 23に示すとおりであり、水温差は概ねC類型>B類型>A

類型の順に大きく、また、1994年度以降は、水温差が増大する傾向が見られる。

図 23 表層と底層との水温差の推移

(7)貧酸素水塊

・底層DOの年度最小値の推移は、図 24に示すとおりであり、長期的にはいずれの海域におい

ても上昇傾向にある。

・C類型海域では、年度最小値は、貧酸素耐性が高い水生生物の生息に必要とされる2mg/Lを

下回っている。

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

1981

1982

1983

1984

1985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

表層と底層との水温差(℃)

年度

A海域 B海域 C海域

図 24 底層 DOの年度最小値(mg/L)の経年変化 (大阪府が測定する環境基準点におけるデータ。年度につき1個のデータであり、年々の変動が大きいため、5年移動平均して経年的な変化傾向を見やすくしている。)

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- 15 -

・平成 24年度における貧酸素水塊の発生状況は図 25に示すとおりである。

・8月の底層DOの平成 24年度から 26年度の3か年の測定結果の平均値をもとに作成した水

平分布は図 26に示すとおりであり、高石市付近から神戸市東部付近の沿岸にかけて、8月に

は、貧酸素耐性が高い水生生物の生息に必要とされる2mg/Lを下回っている。

図 26 8月の底層DO(mg/L)の平成 24

年度から 26年度の平均値の水平分布(大

阪府及び兵庫県が測定する環境基準点に

おけるデータを基に作成)

図 25 平成 24年度における貧酸素水塊の発生状況 数値は酸素飽和度(%)を示す。 ((地独)大阪府立環境農林水産総合研究所調べ)

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- 16 -

(8)赤潮

・赤潮発生件数の経年変化は図 27に示すとおりであり、近年は横ばいである。なお、赤潮の確

認方法として、規模の大小にかかわらず、継続している間は1件とカウントするため、確認件

数の推移が必ずしも発生規模の推移を示さないことに留意する必要がある。

図 27 大阪湾における赤潮確認件数の推移 ((地独)大阪府立環境農林水産総合研究所調べ)

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- 17 -

(9)生物 (植物プランクトン数及びクロロフィル a) 植物プランクトン数及びクロロフィル aの推移は図 28-1~28-3に示すとおりである。

植物プランクトン数の推移は横ばいの傾向であり、概ねC類型>B類型>A類型の順に多い。

クロロフィル aはA、B類型の海域については減少傾向にあり、C類型の海域については横

ばいである。

図 28-1 植物プランクトン数及びクロロフィル aの推移(A類型海域)

(大阪府が測定する環境基準点におけるデータ)

図 28-2 植物プランクトン数及びクロロフィル aの推移(B類型海域)

(大阪府が測定する環境基準点におけるデータ)

図 28-3 植物プランクトン数及びクロロフィル aの推移(C類型海域)

(大阪府が測定する環境基準点におけるデータ)

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

1.E+001.E+011.E+021.E+031.E+041.E+051.E+061.E+071.E+081.E+09

1972

1973

1974

1975

1976

1977

1978

1979

1980

1981

1982

1983

1984

1985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

クロロフィルa(μg

/L)

植物プランクトン数(個/L)

年度

植物プランクトン数 クロロフィルa

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

1.E+001.E+011.E+021.E+031.E+041.E+051.E+061.E+071.E+081.E+09

1972

1973

1974

1975

1976

1977

1978

1979

1980

1981

1982

1983

1984

1985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

クロロフィルa(μg

/L)

植物プランクトン数(個/L)

年度

植物プランクトン数 クロロフィルa

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

1.E+001.E+011.E+021.E+031.E+041.E+051.E+061.E+071.E+081.E+09

1972

1973

1974

1975

1976

1977

1978

1979

1980

1981

1982

1983

1984

1985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

クロロフィルa(μg

/L)

植物プランクトン数(個/L)

年度

植物プランクトン数 クロロフィルa

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(植物プランクトンの綱別の構成割合) ・植物プランクトンの綱別の構成割合の推移は図 29-1~29-3に示すとおりであり、年度に

よる違いはあるが、珪藻綱が最も多くを占めている。なお、珪藻綱では、Skeletonema costatumが卓越しており、次いで、Thalassiosira sp.、Chaetoceros sp. が多く出現している。

図 29-1 植物プランクトンの綱別構成割合の推移(A類型海域)

(大阪府が測定する環境基準点におけるデータ)

図 29-2 植物プランクトンの綱別構成割合の推移(B類型海域)

(大阪府が測定する環境基準点におけるデータ)

図 29-3 植物プランクトンの綱別構成割合の推移(C類型海域)

(大阪府が測定する環境基準点におけるデータ)

0%

20%

40%

60%

80%

100%

19

72

19

73

19

74

19

75

19

76

19

77

19

78

19

79

19

80

19

81

19

82

19

83

19

84

19

85

19

86

19

87

19

88

19

89

19

90

19

91

19

92

19

93

19

94

19

95

19

96

19

97

19

98

19

99

20

00

20

01

20

02

20

03

20

04

20

05

20

06

20

07

20

08

20

09

20

10

20

11

20

12

20

13

不明

微小鞭毛藻類

藍藻

緑藻

黄緑色藻

プラシノ藻

ミドリムシ

ハプト藻

ラフィド藻

黄金色藻

クリプト藻

渦鞭毛藻

珪藻

0%

20%

40%

60%

80%

100%

19

72

19

73

19

74

19

75

19

76

19

77

19

78

19

79

19

80

19

81

19

82

19

83

19

84

19

85

19

86

19

87

19

88

19

89

19

90

19

91

19

92

19

93

19

94

19

95

19

96

19

97

19

98

19

99

20

00

20

01

20

02

20

03

20

04

20

05

20

06

20

07

20

08

20

09

20

10

20

11

20

12

20

13

不明

微小鞭毛藻類

藍藻

緑藻

黄緑色藻

プラシノ藻

ミドリムシ

ハプト藻

ラフィド藻

黄金色藻

クリプト藻

渦鞭毛藻

珪藻

0%

20%

40%

60%

80%

100%

19

72

19

73

19

74

19

75

19

76

19

77

19

78

19

79

19

80

19

81

19

82

19

83

19

84

19

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89

19

90

19

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19

92

19

93

19

94

19

95

19

96

19

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19

98

19

99

20

00

20

01

20

02

20

03

20

04

20

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20

06

20

07

20

08

20

09

20

10

20

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20

12

20

13

不明

微小鞭毛藻類

藍藻

緑藻

黄緑色藻

プラシノ藻

ミドリムシ

ハプト藻

ラフィド藻

黄金色藻

クリプト藻

渦鞭毛藻

珪藻

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(ベントス)

・環境省「瀬戸内海環境情報基本調査」(平成 13年~17年)におけるマクロベントスの生息状

況は図 30に示すとおりであり、東部よりも西部のほうが個体数・種類数とも多い。

(主要魚介類及びのり養殖の漁場分布図)

・主要魚介類(スズキ・カレイ類・ヒラメ・マダイ・ガザミ・クルマエビ)の漁場分布図は図

31-1~31-6に示すとおりであり、大阪湾はほぼ全域が漁場として利用されている。湾内で

比較すると、マダイは紀淡海峡付近で、その他の魚介類は明石海峡から湾北部の利用が多く、

湾奥の沿岸部や湾南西部の利用が少なくなっている。

・のり養殖漁場の分布図は図 32に示すとおりであり、大阪側では阪南市沿岸で、兵庫側では

神戸市西部及び淡路島の沿岸で養殖が行われている。

・全ての漁場分布を重ね合わせたものは、図 33に示すとおりである。

図 30 大阪湾におけるマクロベントスの生息状況 (平成 13年~17年 環境省「瀬戸内海環境情報基本調査」)

個体数 種類数

図 31-2 カレイ類の漁場分布図(平成 24年12 月 中央環境審議会答申「水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について」) (凡例(kg)は年間漁獲量を示す。)

図 31-1 スズキの漁場分布図(平成 24年12月 中央環境審議会答申「水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について」 (凡例(kg)は年間漁獲量を示す。)

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図 31-3 ヒラメの漁場分布図(平成 24年12月 中央環境審議会答申「水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について」) (凡例(kg)は年間漁獲量を示す。)

図 31-4 マダイの漁場分布図(平成 24年12月 中央環境審議会答申「水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について」) (凡例(kg)は年間漁獲量を示す。)

図 31-5 ガザミの漁場分布図(平成 24 年12 月 中央環境審議会答申「水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について」) (凡例(kg)は年間漁獲量を示す。)

図 31-6 クルマエビの漁場分布図(平成 24年 12 月 中央環境審議会答申「水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について」) (凡例(kg)は年間漁獲量を示す。)

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神崎川

淀川

大和川

図 33 大阪湾における主要魚介類(スズキ・カレイ類・ヒラメ・マダイ・ガザミ・クルマエビの漁場分布図 (平成 24年 12月 中央環境審議会答申「水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について」)

図 32 大阪湾におけるのり養殖漁場の分布概略図 (大阪府地先海面における漁業権免許連絡図(平成 25年9月1日 大阪府)及び兵庫県漁連ホームページのり漁場図を基に作成)

スズキ・カレイ類・ヒラメ・マダイ・ ガザミ・クルマエビの年間漁獲量の合計

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(主要魚種の産卵場及び生育場)

・主要魚種の産卵場及び生育場は表3に示すとおりであり、湾内の各地が利用されている。

表3 大阪湾における主要魚種の産卵場及び生育場 (平成 24年 12月 中央環境審議会答申「水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について」)

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(幼稚魚の主生息場)

・大阪湾における主要魚介類の生態概略図は図 33に示すとおりであり、幼稚魚の主生育場と

しては、湾全域の沿岸部が利用されており、特に湾奥部がよく利用されている。

図 33 大阪湾における主要魚介類の生態概略図(一部抜粋)(平成 14年 11月 社団法人日本水産資源保護協会「大阪湾の海域環境と生物生産」)

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(漁獲量)

・大阪府における漁獲量は図 34 に示すとおりであり、1970 年代から 80 年代にかけてマイワ

シをはじめとする多獲性魚が多く漁獲された時期があり、近年は2万トン前後で推移している。

0

2,000,000

4,000,000

6,000,000

8,000,000

10,000,000

12,000,000

14,000,000

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000S3

1 34 37 40 43 46 49 52 55 58 61 H元 4 7 10 13 16 19 22 25

全国漁獲量(t)

⼤阪府漁獲量(t)

大阪府 全国

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

S55

S57

S59

S61

S63

H2

H4

H6

H8

H10

H12

H14

H16

H18

H20

H22

H24

大阪府漁獲量(トン)

多獲性魚

多獲性魚以外

海面養殖業

図 34 大阪府における漁獲量 (近畿農政局大阪農政事務所「大阪農林水産統計年報」、農林水産省「漁業・養殖業生産統計年報」)