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飯豊町にぎわいと交流のまちづくり計画 (骨子案) ~飯豊町観光基本計画 2013-2016平成25年5月

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飯豊町にぎわいと交流のまちづくり計画

(骨子案)

~飯豊町観光基本計画 2013-2016~

平成25年5月

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目 次

第1章 飯豊町観光の現状と課題

第1節 飯豊町をとりまく環境と観光

1.人口減少と高齢化が進行する飯豊町

2.飯豊町の活性化に向けての「観光・交流」への期待と役割

(1)「観光・交流」の地域活性化効果

(2)飯豊町の総合計画等における「観光・交流」の位置づけ

第2節 飯豊町観光の現状と課題

1.飯豊町観光の現状-減少が続く観光入込客

2.飯豊町観光の課題

(1)町内観光関係者から見た課題

(2)最近来訪した町外の人たちから見た課題

第3節 飯豊町観光の可能性と方向性

1.飯豊町の観光・交流資源-様々な「地域の宝物」

2.飯豊町の地域資源が活用できる最近の観光トレンド-名所旧跡から体験観光へ

3.飯豊町観光の方向性-観光・交流活性化への視点

第2章 飯豊町観光・交流基本計画(案)

第1節 計画の基本的な考え方

1.計画の目標と 3つのテーマ

2.観光・交流アクション・プランの方向性

第2節 観光・交流アクション・プランの概要

1.飯豊まるごと交流のまちづくり推進計画(プラン1)

2.「農都交流ツーリズム 2013」飯豊モデル推進プロジェクト(プラン 2)

3.飯豊「一地区一交流プログラム」活動(プラン 3)

4.「飯豊のへそ」づくりプロジェクト(プラン4)

5.集客・交流のための情報提供システムの再構築(プラン5)

6.住民とともに進めるためのシステムの整備

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第1章 飯豊町観光の現状と課題

第1節 飯豊町をとりまく環境と課題

1.人口減少と高齢化が進行する飯豊町

・飯豊町の人口は平成 21年3月末で、8,393人。人口は減少を続けており、平成

12年の 9,460からの 10年間で 1,000人以上の人口減少となっている。

・一方で 65歳以上人口は、平成 15年に3割を超え、平成 21年には 31.5%と徐々

に増加している。

・全国の中山間地域と同様に、飯豊町でも人口減少と高齢化の進行によって、ま

ちの賑わいや地域産業等の活力が低下気味である。特に基幹産業である農林業

では、高齢化や後継者不足によって耕作放棄地や森林の荒廃等の問題が課題と

なっている。

2.活性化に向けて高まる「観光・交流」への期待と役割

(1)「観光・交流」がもつ地域活性化効果

・観光や交流は、人の移動や観光・交流行動に伴い、まちに賑わいを生み、また

消費行動(宿泊、飲食、買物、各種サービスの利用等)によって、地域経済を

活性化する。さらに観光関連産業だけでなく、農業や食材関連産業や施設の整

備等の他産業への経済波及効果を持つことから、大きな注目を集めている。

〔観光・交流の地域活性化効果〕

観光客(訪問者)の増加は消費行動や交流活動の活発化を促し、幅広い地域

産業に経済効果をもたらす。また住民には交流による活力や地域への誇りを

再生する効果をもたらす。

そうした効果は相乗効果を生み出し、循環することで、さらに多くの観光客

が訪れる魅力あるまちになっていく。

観光客(訪問者)の増加

観光客による消費行動 (宿泊・飲食・物販・サービス)

もてなしのための投資 (施設、イベント、街の整備)

住民のマインド向上 (交流による活力と誇りの再生)

交流、ふれあい

地域文化の再生

商品開発や

起業等の活発化

観光産業の活性化

や経済波及効果

まちの賑わい向上

まちづくりの進行

循環構造

の創出

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(2)全国の自治体が注目している旅行・観光市場

・日本の旅行市場は 23.8兆円(2010年)の大きな市場であり、景気が低迷する

中で増加傾向にあり、地域経済の活性化や地域づくりへの活用を図ろうとする

動きが全国で高まっている。

〈日本の旅行市場〉

(3)飯豊町の総合計画等における「観光・交流」の位置づけ

・第4次飯豊町総合計画(H23年度~H32年度)では、「共生と自立、そして新

たな躍動」を基本理念として、それに基づく7つの基本計画(施策展開の方向)

を示している。このうち「こだわりの産業づくり」において、「地域資源を活か

した観光・交流の振興」が明示されている。

・具体的な取組としては、自然や景観、歴史、文化などの「地域資源を活用」し

た新しい魅力づくりや「農林業との連携」による体験型観光の推進、インター

ネットを活用した観光情報の発信や特産品の販売など「情報発信の充実」など

をあげている。

・飯豊町の資源である「豊かな自然環境」「生業としての農林業」「独自の歴史・

文化」、イザベラバードが東洋のアルカディアと呼んだ「美しい景観と生活の息

吹」を保全し、次世代へと継続していくために、戦略的に「観光・交流」を活

用していくことをめざしている。

・飯豊町の戦略は、豊かな自然や農村文化といった地域資源を活かしたグリーン

ツーリズムや、農業体験や自然体験、食体験といったニューツーリズムへの

取り組みによって、交流人口の拡大を図り、それを地域経済に結び付け、持続

可能な地域づくりをめざすというものである。飯豊町の将来ビジョンにおいて、

「観光・交流」の役割や期待には大きなものがある。

・2012年度は、(株)JTB法人東京と共同で、都市型企業と農山村地域の有機的な

交流を実現する「農都交流型ツーリズム」に、飯豊の持つ様々な地域資源を活

用する形で取り組み、当プログラムにニーズと効果があることを実証した。

この模様は、県内外のマスコミでも再三にわたり報道されたほか、経済産業省

をはじめとする中央官庁からも注目・評価されるものとなった。

宿泊旅行 日帰り旅行日本人の海外旅行

訪日外国人

16.1兆円 5.1兆円 1.3兆円 1.3兆円

(67.5%) (21.4%) (5.4%) (5.4%)

(資料:JNTO)

全 体海外旅行国内旅行

23.8兆円

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第2節 飯豊町観光の現状と課題

1.飯豊町観光の現状-減少が続く観光入込客

・飯豊町の交流人口(観光入り込み客数)は、平成 16年頃までは 120万人前後

で推移してきたが、それ以降減少傾向にある。また平成 23年に発生した東日

本大震災の影響を受け、交流人口は一時的に大きく減少。現在は回復に向か

っている。

2.飯豊町観光の課題

〈1)町内観光関係者から見た課題

①町内観光業は厳しい環境にある

道の駅への訪問者や物販は好調だが、町内の宿泊施設は東日本大震災の影

響から十分に回復していない。

②町の資源を十分に活用していない

飯豊町の様々な魅力を観光・交流分野に十分に活用できていない。

③民間の観光事業者との連携不足

町が実施しているモニターツアーや台湾からの招聘等の事業で、交流人口

の回復傾向がみられるものの、そうした事業活動は第3セクターが中心に

なっている。民間の事業者との連携に十分ではないという意見が見られる。

④観光や交流人口の拡大への町民の関心が希薄

観光や交流に関する様々な取り組みに対して、平場の町民は関心が低く、

中津川地区との温度差がある。

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(2)町外の人たちの意見から見た課題

①地域資源に魅力はあるが、その存在が認知されていない

②自然、文化、民宿などスポットはあるが、それが線や面としてつながっていない

③自然体験はできるが「まち歩き」の楽しさが味わえない(まちの賑わい不足)

④飯豊町の食の魅力や楽しさを気軽に味わえるような場がない

⑤町内を自由に活動するには自動車しかなく、高齢者などが利用しずらい

⑥平場と中津川地区の資源やおもてなし意識に格差を感じる

⑦体験や交流に魅力はあるが、「なぜ飯豊か」という点に決定的な答えがない。

〔飯豊町の認知〕 〔体験ツーリズムへの関心〕

とても関心がある25.9%

ある程度関心がある44.6%

良くわからない22.3%

あまり関心はない2.9%

全く関心がない0.0%

未回答4.3%

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第3節 飯豊町観光の可能性と方向性

1.飯豊町の観光・交流資源-様々な「地域の宝物」

・町内の各地区が考える「地域の宝物」や「次世代に残したいもの」(総合計画に

おける地域計画より抽出)及び各種モニターツアー等で来訪した人たちへのア

ンケート等から、飯豊町の主な観光・交流資源は次のようなものがあげられる。

・飯豊町の観光・交流資源は、自然や文化、景観などの体験型観光に適したもの

が多く、従来のいわゆる名所旧跡型の観光資源とは異なっているが、現在最も

注目を集めている資源が多いといえる。

豊かな自然

・渓流 ・森林 ・水 ・飯豊山

・温泉 ・里山 ・雪 ・生き物たち

歴史・文化・伝統

・草木塔 ・念仏踊 ・獅子舞

・わらべうた

飯豊町の宝物

「観光・交流」

の資源

従来型の観光資源

現代の旅行・交流ニーズに

合わせて見直し・改善

新たな観光資源

環境整備やプログラム開発で

観光・交流の資源化

景観

・田園散居集落 ・新緑と紅葉 ・防雪林

・里山風景 ・古民家 ・雪景色

人・ライフスタイル

・共生する暮らし方 ・豊かな心

・ふるさと愛 ・支えあうしくみ ・農家の生き様

名所旧跡

・穴堰 ・観音堂 ・松岡文殊堂

・萩生城址 ・赤岩薬師堂 ・白川ダム 行事・イベント

・雪まつり・盆踊り ・荒獅子まつり・めざみの

里まつり ・スノーエッグフェスティバル ・季節行事 公共空間・公共施設、民間施設

・源流の森 ・公民館 ・道の駅

・ゆり園 ・青少年の家 ・公園 ・旅館、ホテル

食・食文化

・保存食文化 ・椿味噌 ・どぶろく ・酒

・アスパラガス ・牛肉 ・米 ・山菜 ・雪室熟成品

その他活用可能な資源

・学校校舎 ・パークゴルフ

・米坂線

産業

・農林業(農業体験、林業体験、収穫祭)

・渓流釣り

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〔参考資料〕 飯豊町の「地域の宝物」と「次代に残したいもの」(地区別一覧)。

地区名 地域の宝物 次代に残したいもの 地域のキャッチフレーズ

〔総合計画より〕

中地区

天養寺観音、散居集落風

景、中村原、若宮八幡神社、

土壇、中獅子踊り、八幡堂神

社、豊中稲荷神社、ホトケヤ

伝統的な食文化、季節行事、

わらべうた、方言

未来へのみちしるべ

荻生

地区

荒獅子祭り、自然(田園散居

集落・水・森)、どんでん平ゆ

り園、萩生城址、子どもたち

荒獅子祭り、どんでん平ゆり

園、小学校、萩生城址、自然

(田園散居集落・水・森)、伝

統文化

『我・和・輪』 おいおいと

黒沢

地区

地区の中心を流れる萩生川

とそれが注ぐ白川。田園環境 各地区に残る伝統の獅子舞

世代を越えて伝統と自然

を守りゆく黒沢

椿地区

多くの公共施設(役場・あ~

す・公民館)、文教施設(置農

飯豊分校・飯豊中・第二小・

保育園)、福祉施設等 。散

居集落及び里山の景観、飯

豊公園、高寺山、白川、椿味

噌、念仏踊り、獅子舞

散居集落及び里山の景観、

椿味噌、念仏踊り、獅子舞、

椿の地域づくり手法

進めよう!「温故知新の

里づくり」 誇れる椿地区を

興すために・・・・・・

小白川

地区

未来を担う子どもたち・天狗

山・地域を流れる小白川

地域を愛する心・小白川神社

獅子舞

ユニオン・パワー(団結力)

小白川!!!

東部

地区

松岡文殊堂、温泉、眺山周

辺の観光資源、喜雲寺の紅

葉、白川、獅子、国道沿いの

防雪林

豊かできれいな自然環境、地

元を愛する心、人とのつなが

り・絆、優しさを育む心、地域

行事、東部人魂、ゆったりと流

れる時間、家族と過ごす時間

ど~んとこい、

アルカディア!

手ノ子

地区

①手ノ子の( 宿場町・農村と

しての) 歴史と文化 ②手ノ

子の集落( 通り) とその周り

( 田園・里山) の景観 ③手

ノ子地区協議会・部会活動の

蓄積

手ノ子に住むことの誇り

ふるさとを愛しむ心

手ノ子町の再現

(うるおいのある景観、賑わ

い、そして歴史と文化)

髙嶺

地区

巨木①皂莢(西向)、②ぶな

(東向)、③いちょう(橋本)、

④変わり杉(中通)、赤岩薬

師堂(東向)、白川ダム

清流白川、伝統文化(観音講

・庚申・念仏踊り等)、五人組

制度、獅子舞(西向)

清流白川にはぐくむ

“たかみね”の未来

中津川

地区

恵まれた大自然とそこに根ざ

す人々の豊かな心

中津川流のおもてなし

中津川の自然と共存する心 いいもんだ中津川

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2.飯豊町の地域資源が活用できる最近の観光トレンド-名所旧跡から体験観光へ

①観光の変化

・観光のトレンドは以下のように変化しつつある。

団体旅行→個人旅行、周遊型→滞在型、名所旧跡→体験・交流

②体験型観光による競争の激化

・いわゆる観光地でなくても、地域の資源を活かすことで魅力ある体験や地元の人

たちとの交流を提供できる点で、全国で「交流体験型観光」への取り組みが活発

化している。

③新しい「体験」や「交流」を提案・提供するツーリズムへの注目

・グリーンツーリズム、エコ・ツーリズム、フード・ツーリズム、健康ツーリズ

ム、スポーツ・ツーリズム、ボランティア・ツーリズムなどの、新しいスタイ

ルのツーリズム(ニューツーリズム)も活発化している。

④企業と地方の「相互補完型」連携

・また企業などでは、研修活動に自然体験や農業体験などを取り入れる動きや社

会貢献活動(CSR)として、農山村との連携・交流を進めようとする動きも

みられる。

⑤観光・交流と連携した農林業の高次産業化

・最近の大きな動きとして、農業を観光と結び付けて、「農業体験(農作業、収穫

体験」や「農家レストラン」、「土産品開発〈農産物加工品〉」など、相乗効果を

生み出す動きが注目されている(1次産業×2次産業×3次産業=6次産業化)。

⑥外国人をターゲットとした「インバウンド戦略」の活発化

・国を挙げて外国人旅行者の拡大に向けた取り組みが展開されており、全国の自治

体でもそれに対応する環境整備やプログラム開発等が活発化している。在日外国

人を含めて、今後外国人旅行者市場への取り組みが求められる。

3.飯豊町の観光の方向性-観光・交流による活性化への視点

飯豊町の課題や資源・可能性をふまえて、以下の 8つの視点から、これからの

飯豊町観光(交流のまちづくり)を考えていきたい。

①飯豊ならではの「交流と体験」の提供で選ばれる観光地を形成する

②まちづくりと一体となった「観光・交流活動」の展開で「にぎわい」を創出する

③平場と中津川地区の連携を図り、町全体を体験・交流の場(空間)にしていく

④農林業の6次産業化や連携による新たな起業を促し、「交流産業」を確立する

⑤情報発信やしくみづくりによって町民の参加を高め、観光を担う人材育成を図る

⑥「持続可能な飯豊町」に向けて、施設や体制・システムのイノベーションを進める。

⑦住民と来訪者の交流を通じて、リピーターを育成し、さらに定住者の育成を進める。

⑧交流を通じて自信と誇りの回復や地域再生を進め、新たな時代の農山村の在り方を

示す「飯豊モデル」をめざす。

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第2章 飯豊町観光基本計画(案)

第1節 計画の基本的な考え方

1.計画の目標と3つのテーマ

(計画の目標)

(3つのテーマ)

住民とともに進める「にぎわいと交流」のまちづくり ―飯豊町への訪問者を拡大する「ヒト・モノ・コト・情報」の創出と発信―

飯豊町の豊かで魅力ある地域資源を活用して、他にはない魅力ある

交流・体験の場や機会を提供。またそれを全国に発信し、飯豊町への

来訪者を拡大する。

(視点)

① 魅力ある「体験と交流」を提供する「プラットフォーム(場としくみ)」の整備

②訪れた人の満足度を高めるための新たな連携とシステムの構築

全国の人を引きつける飯豊

訪れた人が目的に応じて飯豊の魅力(資源)を楽しみ、また来たくなる

ような満足度の高い「飯豊体験」を提供するために、まちの整備や交

流関連産業の活性化を進める。

(視点)

① 「体験と交流」の提供を通じて、まちの機能を高め賑わいを回復

② 「体験と交流」に連携した地域産業の高度化で、地域の活力を向上

にぎわいと活気にあふれる飯豊

訪れた人が感動し、さらに次回も訪問したくなるような交流・体験を提

供するために、環境整備や人材育成を通じて、まち全体のホスピタリ

ティを向上する。

(視点)

① 「おもてなし」のマインドとスキルを持った人材の育成

② 来訪者が利用しやすい「親切なまち」への環境整備

③ 訪れた人をリピーターにする「飯豊ファン」養成・育成システム

おもてなしの心に満ちた飯豊

交流人口の拡大・交流活動の拡大

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2.アクション・プランの方向性

3つのテーマに基づいて以下のようなアクション・プランを計画・推進する。

「賑わいt

全国の人を引き付ける

飯豊

にぎわいと活気に

あふれる飯豊

おもてなしの心に

満ちた飯豊

飯豊まるごと交流のまちづくり推進計画

大規模林道飯豊桧枝岐線の開通やディスティネーションキャンペーンの実施を

好機として、町全体の環境整備や各種プロモーション活動を推進

プラン1

「農都交流ツーリズム 2013」飯豊モデル推進プロジェクト

新しい観光と地域再生の試みとして注目されている「農都交流型ツーリズム」

で、交流の深化拡大を図るなど、全国モデルとなるような取り組みを進める

プラン2

飯豊「一地区一交流プログラム」活動

飯豊の各地区に来訪客が訪れるように、地区ごとに交流プログラムや交流の場

づくりを進め、賑わいの回復やツーリズムへの理解を高めていく

プラン3

「飯豊のへそ」づくりプロジェクト

町外からの観光・交流客を拡大するために、集客力のあるイベントや経済効果

を生み出す産品等の開発や各種システム、拠点整備等を推進

プラン4

集客・交流のための情報提供システムの再構築

飯豊町の魅力やニーズに対応する各種の交流資源やプログラムを、町外に強

力に発信するシステムを整備。集客やリピーター育成につなげる

プラン5

中津川と平場ほか、町内

ポイントを結ぶ公共交通

システムの検討

交流のまちを担う人材

の育成や、人材を活用

する仕組みづくり

交流のまち・飯豊を

推進するための

住民会議の発足

「にぎわいと交流」のまちづくりを支え、住民とともに推進するための新たなシステムの整備

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第2節 観光・交流アクション・プランの概要

プラン1 飯豊まるごと交流のまちづくり推進計画

(考え方)

・中津川地区、平場地区それぞれのエリアにおける観光・交流の場の整備を図り、飯

豊町全体を「交流のまち」としていく。

・また中津川地区から平場地区へ、平場地区から中津川地区へという、町内での回遊

性を高め、まちの魅力と山村の魅力を同時に体験できるようにしていく。

(主な事業例)

①林道の開通およびディストネーション・キャンペーンを契機とする来訪促進活動

・林道(飯豊桧枝岐線)の開通(H25年 6月)及び山形県の JRディストネーシ

ョン・キャンペーン(プレ:H25年 6~9月、本番:H26年 6~9月)を絶好の機

会として、観光客の来訪を図るための活動を集中的に実施する。

→ポスターや各種広報ツール等による来訪促進(歓迎)キャンペーン

・来訪促進(歓迎)キャンペーンに合わせて、町内全域での観光・交流拠点や体

験プログラム等の整備・拡充を促し、交流のまちづくりを推進していく。

②来訪者向けの休憩機能や案内機能を持つ拠点の拡充・整備

・林道を使用して自動車での訪問者が増加することをふまえて、来訪者が気軽に

立ち寄れ休憩したり、町内の各種情報を入手できるような拠点の整備・拡充を

図る。(特に中津川地区の休憩機能の整備が急務)

・具体的な手法として次のような取り組みを検討する。

1)「ふれあい茶房」の活性化と再整備

ふれあい茶房を来訪者に活用してもらうために、看板等の整備や新たな設置

などを進める。また町内の案内マップなどを置いて情報提供機能も高める。

2)新たな休憩・案内拠点の整備

学校校舎を活用するなどにより、中津川地区に「いいで山の駅」、平場地区

に「いいで里の駅」を整備。「めざみの里」(道の駅)とあわせて 3か所の休

憩・案内拠点で来訪者を迎える体制とする。

山の駅、里の駅にはトイレや自動販売機などの休憩機能、観光情報の提供機

能、周辺の農産物の直売所機能などを整備することも考える。

③町内の案内表示板等サイン計画の導入

・まちを訪れた人の利便性を高めるとともに、自動車等で通行中の立ち寄り行動

を生むなどの効果を狙って、町内の観光・交流拠点やビューポイントなどを案

内する表示板等を整備する。

・導入にあたっては、飯豊町の景観にマッチするデザイン性に配慮して、全体の

統一感を重視したサイン計画として実施する。また広報ツールとの連動も図っ

て、飯豊町のイメージ作りにも活用していく。

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プラン2 「農都交流ツーリズム 2013」飯豊モデル推進プロジェクト

(考え方)

・これまで推進してきた「農都交流ツーリズム」をパワーアップして継続実施。新た

な企業・団体等へのアプローチとマッチングを進める。

・また農都交流の成果やシンボルとなるような交流活動を進め(関係の強化・進化)、

継続的な交流・双方の問題解決という、農都交流の目指す方向性を具体化していく。

・継続的な活動を通じて、飯豊町の受け入れ態勢やプログラムの強化・充実化を図る

とともに、「飯豊モデル」として全国に発信し、新たな訪問客を獲得していく。

(主な事業例)

①交流する企業・団体を拡大する活動の展開

・2012年度に実施した企業を対象とした活動を引き続き継続するとともに、新た

な可能性を探査するために以下のような組織や団体等へのアプローチを行う。

1)在日外国人のグループ (外資系企業、留学生、その他大使館など)

2)屋外活動を行うグループや団体 (ボーイスカウトなど)

②企業・団体との交流の深化を図る活動の展開

・2012年度の交流企業等との継続的な事業展開を行うとともに、農業体験の通年

化や、飯豊町の各種活動へのボランティア参加など、より深くまた継続的な関

係に向けたプログラムへの深化を目指す。

③農都交流ツーリズムの実施エリアの拡大

・2012年度は中津川地区を中心に展開したが、農業体験や宿泊場所を平場地区に

も拡大し、飯豊町全体で交流ツーリズムを受け入れる体制を整えていく。

・これにより飯豊町の多面的な姿をアピールするとともに、町内の観光・交流体

制やおもてなし意識の向上を図っていく。

→平場地区での農業体験プログラム、伝統芸能体験プログラム、民宿への宿泊

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プラン3 飯豊「一地区一交流プログラム」活動

(考え方)

・主に平場地区の観光・交流活動の活性化や意識の向上を図るために、各地区の資源

を活用した住民主導の交流プログラム開発を、「一地区一交流プログラム」の開発を

目標として推進する。

(主な事業例)

①各地区の資源を活かした交流・体験プログラム開発

・各地区には名所旧跡のほかに、魅力ある自然景観や伝統芸能、風習(生活文化)

などがある。こうした資源を生かして、観光客を各地区に呼び込むための仕掛

けや計画を、住民を中心に考えていく(町が支援)。

・地域の伝統行事やイベントのクローズアップをはじめ、アスパラガスの収穫や

牛の世話、地域のお祭りへのスタッフとしての参加や伝統芸能の一日体験(踊

りや楽器の学習、実演)など、住民でなければめったにできない体験を中心に

プログラム開発を行う。

②地区間の連携や合同によるプログラムの強化・活用

・各地区の交流プログラムに関して、類似するものなどについては各地区の連携

を図ることで、より大きなイベントやプログラムとして町全体の資源化を図り、

観光・交流資源として活用していく。

(例)

・各地区で実施している「蛍まつり」を時期をずらして町内で連続開催し、町

外の人たちを集客(いいで蛍の里フェスティバル)

・各地区の盆踊りを集大成する形で、観光客も踊れる「盆踊りフェスティバル」

③飯豊体験を豊かにする「いいで・ふれあいマップ」の制作

・各地区の宝物や体験・交流プログラムを盛り込んだ「いいで・ふれあいマップ」

を制作し、観光・交流拠点で配布するほか各種の活動で活用していく。

・また飯豊を楽しむための推奨訪問コースを目的ごとに設定。中津川地区と平場

地区の両方を訪問するように誘導することで、まちの魅力を多面的に体験して

もらう。

→当面は自動車での来訪者向けとして、自然体験コース、歴史体験コース、お

いしい農業体験コース、健康と癒しのコースなどを設定する。

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プラン4 「飯豊のへそ」づくりプロジェクト

(考え方)

・飯豊の観光・交流の新しい「顔」やシンボル(へそ)となる大規模イベントや

名物、空間・施設などを開発し、集客や地域産業の活性化に結び付けていく。

・これまでの取り組みや活動を連携させて規模の拡大やパワーアップを図ったり、

来訪者のニーズに即した「マーケティング発想」から、モノ・コト・情報など

の開発を進めていく。

・こうした「へそづくり」は飯豊町への注目を喚起したり、特色をわかりやすく

発信するといった効果が期待でき、また初めての訪問を促すきっかけとなる。

(主な事業例)

・例えば次のような例が考えられる。

1)「いいで四季の収穫祭」イベントシリーズ

・四季折々に飯豊の魅力を味わうイベントシリーズとして企画。

春:山菜 初夏:アスパラガス、野菜、牛 秋:米、サトイモ

冬:雪のビアガーデン 等 (既存のイベントとも連携)

・会場を中津川地区(学校の活用)と平場地区(ゆり園)の両方に設置。循

環バスを運行させ、飯豊の町全体をアピールする。

2)いいで新名物料理開発

・飯豊の食材を活用した「名物料理」や「B級グルメ」を開発。優秀作品を

仮設の屋台や移動販売車などで販売。飯豊の新しい名物として浸透を図る。

料理のコンテストをイベント化することも可能

(例)・いいで「美しい村弁当」 ※弁当プロジェクトの再チャレンジ

・飯豊バーガー

3)いいでパークゴルフ・フェスティバル

・広大なパークゴルフ場を活用して日本を代表するようなパークゴルフのビ

ッグ・イベントを開催する。

・初心者からマニアまでが楽しめるイベントとして、パークゴルフ教室、グ

ループ別対抗戦、各地区代表による日本一決定戦(パークゴルフ甲子園)

などのプログラムを展開する。(町内各所に臨時会場なども整備)

4)いいで里山市の定期開催

・毎月 2~4日程度曜日などを決めて、農産物や山菜、各種加工品などを販売

する定期市を開催する。

・会場は中津川地区(学校跡など)、平場地区(ゆり園など)の 2か所として、

それぞれ「山の市」「里の市」として交代で開催する。JAの協力を得るほ

か、町民によるフリーマーケットなども併設。さらに若者を中心に各種イ

ベント(コンサート)なども行い、新しいにぎわい空間に育てていく。

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プラン 5 集客・交流のための情報提供システムの再構築

(考え方)

・首都圏在住者等への直接的かつ継続的な情報提供のために、IT等を活用した情

報提供システムを整備する。

・また林道開通やディストネーション・キャンペーンなどの際には、周辺の放送局

(テレビやラジオ)、旅行会社や交通関連会社等へのプロモーション活動を行い、

記事化・報道化を図る。

・このほか首都圏での観光・交流や地域活性化イベント(見本市など)にも積極的

に出展し、「飯豊町」の認知を獲得するともに、ユニークな活動を行っているま

ちとして関心やイメージを高めていく。

(主な事業例)

・例えば次のような取り組みを検討する。

1)「いいで通信」(メールマガジンの発行)

・メールマガジンによってファンクラブや訪れた人に対する定期的な情報提

供を行う。イベントや行事、飯豊町の動向など四季折々の情報を発信する

とともに、物産紹介や限定販売などの情報も盛り込み、飯豊町を常に意識

させる。

・またマスコミ記者にも配信し、ニュース・リリースとしても活用する。

2)いいで口コミネットワーク

・飯豊町での感動体験や訪れた人が情報発信し、口コミで広がっていくよう

な仕組み(インターネット上のサイトなど)を開発する。(フェイスブック

などのSNSの活用)

・最近の旅行者はネット上で細かい情報を収集して旅行先を決定することが

多いことをふまえて運用していく。(特に外国人は細かい情報へのニーズが

高い)

3)いいでまち&交流情報ポータルサイトの設置

・飯豊町の各種情報への入り口となるサイト(ホームページ)を設置・運用

する。現在は各主体がそれぞれのHPを運用しているために、飯豊町全体

の情報を一覧できるようなサイトがない。

・そこで飯豊の観光・交流情報を提供するとともに、HPにおとずれた人が

目的に応じて迷わずに必要なサイトにいけるようガイドするポータルサイ

トを立ち上げ運用する。(飯豊町情報への「入り口」となるサイト)

3)首都圏の観光・交流コンベンション、見本市等への出展

・昨年出展した農業フロンティアなどの首都圏で行われるコンベンションや

見本市等に出展し、情報発信や情報収集を行う。

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交流のまちづくりを住民とともに進めるためのシステムの整備

(考え方)

・交流のまちづくりを進めるためには、住民の参加・協力や主体的な取り組みが不

可欠であり、これまでの観光関連産業の関係者だけでなく、まちづくり関係者や

若い世代の参加が求められる。こうした観点から幅広い町民が参加する推進組織

の形成を目指す。

・また交流のまちづくりに向けた人材育成や町民の交流意識の啓発などを進めると

ともに、町民や来訪者が交流を深め、さらに飯豊町の魅力を十分に体験できるよ

うな環境整備として、町内の「足」となる公共交通機関の検討も行う。これは観

光・交流分野だけでなく高齢化が進行する飯豊町にとっての課題に対応するもの

でもある。

(主な事業例)

①中津川地区と平場地区および町内各ポイントを結ぶ公共交通システムの検討

・町内には公共交通機関がなく、町民にも来訪者にとってもまちの利用がしづらい

状況にある。まずは来訪者が飯豊の様々な魅力を、自由に体験できるようにする

ための交通システムを検討。その延長上で町民が日常的に利用できる公共交通シ

ステムについて検討を考える。

1)イベント開催時の送迎システム

開催時に限って、会場と駐車場、駅、旅館をマイクロバスなどで送迎

2)レンタサイクル・システムの整備

自転車や電動アシスト自転車のレンタルシステムの整備

3)町内を運行する有料循環バス

平場地区と中津川地区が気軽に往来できる地域バス交通システムの検討

②交流のまち・飯豊を推進するための住民会議(組織体)の発足

・観光関連の団体や組織だけでなく、賑わい再生プロジェクトなどを進めている団

体や地区の若手などを交えた新しい組織を発足させ、まちづくりと一体となった

観光・交流活動の検討・推進を行うことを検討する。

③交流のまち・飯豊を担う人材の育成や確保の仕組みづくり

1)住民向け講座等の実施

・住民の意識向上や観光・交流活動への参加を促すための「おもてなしまちづ

くり講座」や「飯豊検定」を実施。

→受講者や検定合格者には認定書やガイド認定などのインセンティブを付与

2)交流ボランティア、交流支援員の仕組みづくり

・農都交流ツーリズムのプログラムに「イベントボランティ」を盛りこむ。ま

た住民や周辺市町村でも募集し、イベント時の人材を確保する。

・総務省の「地域支援制度」を参考に中津川地区の見守り+交流関係活動を支

援する人材を雇用する。 等