法学部教授の最終講義 - law.kyushu-u.ac.jp ·...

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木佐教授の最終講義については、『財務経理』第9500号(時事通信社)、毎日新聞福岡版(2016年2月25日)にも掲載されました。

 2003年4月から13年間、母校の発展に尽くされた西山先生が退職されることとなった。西山先生のご業績についてはこのわずかな紙幅には到底収まりきらないので、『法政研究』第82巻第2・3合併号のお写真裏の献辞および巻末のご著作目録をご参照いただければ幸いである。 西山先生は気さくで話し好きである。私は、赴任とともに西山先生の隣人となったが、当時右も左もわからない私に温かく接してくださり、学内のわからないことなどを相談すると、それを機に硬軟取り混ぜいつまでも話題が尽きなかったことを覚えている。学生に対しても、個々に合わせた指導をされ、穏やかながら、時には厳しい学問の世界を説かれ、多くの実務家や研究者を育てられた。その温厚なお人柄ゆえ西山先生の周りには自然と人の輪ができ、学外にも様々なネットワークをお持ちであったがゆえに、

先生の研究室にはいつも来客が絶えなかったように思う。 西山先生は抜群の企画力と統率力とをお持ちである。九州男児らしく、一本気で、目標に向かって邁進される。だから、学術企画など、西山先生が音頭を取られると、知らぬ間にシナリオが詰められ、決行される。大黒柱として職責を果たされるに必要な資質を生まれながらにして備えておられたと改めて思う。 西山先生は意外にもほとんどお酒を嗜まれない。しかし、酒宴であっても、場の空気を読み、盛り上げてくださる。ご退職後も引き続き非常勤講師として本学にご出講くださるほか、弁護士業務に注力され、ますますご活躍されることだろう。お忙しい中にも、たまには宴会などにもお出ましいただき、「西山節」をお聞かせいただけたらと願っている。

西山先生をお送りする 上田 純子教授

 野田進先生は、1992年4月から24年間にわたって九州大学法学部において研究・教育・管理運営に尽力され、今年の春をもってご退職されることとなった。野田先生の研究・教育・管理運営面でのご業績・ご功績については、『法政研究』第82巻第2・3号をご参照いただきたい。 野田先生は、大学の外では、実務家としても活躍された。福岡県労働委員会の公益委員・会長として、また、福岡県紛争調整委員会長として、それぞれ集団的・個別的労働紛争の解決に携わってこられた。もちろん、現場で苦労もされたであろうが、トラブルシューター(Troubleshooter)としての活動も、野田先生のライフワークの1つであった。研究や教育の場面でも、こうした実務の話があると、ぐっと興味を引き付けるし、説得力を増す。

野田先生の授業が面白いのは、研究・理論のなかに常に実務が溶け込んでいるからだと想像する。 さて、野田先生は、最終講義(2月5日)の冒頭で、ご自身の退職について、AKB48メンバーの「卒業」に例えられた(野田先生らしいので、あえて文字に記録しておきたいと思う)。いわゆる「引退」というものではなく、気力や体力はまだまだ充実し、大学の管理運営や労働行政関係の仕事から、また、そうした立場(グループの一員)に伴う制約から解放され、次のステージで活発な研究活動に専念されることであろう。伊都キャンパスの図書館に颯爽と自転車で乗り付け、楽しそうに研究に取り組まれる野田先生のお姿に遭遇する機会も少なくないと思われる。 野田先生の今後のご活躍をご祈念申し上げます。

野田先生のご退職に際して 山下 昇

木佐先生のご退職に際して 田中 孝男

 2000年4月に本学に着任された木佐茂男先生が、この春、退職を迎えることとなった。近畿大学、北海道大学それに本学を通算すると、木佐先生は、38年間、行政法学の研究・教育に携わってこられた。 木佐先生のご経歴やご業績は『法政研究』第82巻第2・3合併号の献辞と著作目録のとおりだが、先生は、近年、法学部の授業科目を担当されなかった。このため、先生をよく知らない学部生もいると思う。先生の最終講義に参加した法学部生は、1名だった。ここでは、木佐先生がなさってきた学部教育、特に学部ゼミの内容を紹介したい。 現場からの問題提起や研究内容の実践に重きを置かれる木佐先生の学部ゼミには、大学院生も含め、毎年大勢が参加した。ゼミ

では、特定のテーマについてゼミ生が分担・共同して1つのゼミ論文を作成する。テーマはゼミ生が決めていたが、木佐先生の研究姿勢もあり、行政における現場の問題から選ばれた(自治基本条例、景観問題など)。各ゼミ生の分担部分の内容は調整され、表記・表現や文体も統一を図られる。厳しい共同作業の中で信頼などを育み結ばれる組もあった。また、論文は総じて質が高く、中には単行本として出版されたものもある。 ゼミOBは結束しており木佐先生を慕う者は、数多い。過日のゼミ生による木佐先生の退職をお祝いする会には、現職の熊本市長のほか、全国から教え子が集まった。これからも、木佐先生は、多彩なOBを引き連れ、各所で顔を出してくださると思う。 木佐先生の今後のご活躍を祈念いたします。

教授

准教授

法学部教授の最終講義

木佐茂男教授(行政法)最終講義(2016年2月20日) 「地方自治と司法改革を研究テーマとしてきて-幼少期の問題意識から今後の課題まで-

西山芳喜教授(会社法)最終講義(2016年1月27日) 「監査役制度とは何か-日本型企業システムにおける役割」

野田進教授(労働法)最終講義(2016年2月5日) 「一目で解る!私の「絵解き」労働法学」

ゼミ生OBによる木佐先生の退職をお祝いする会から

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木佐教授の最終講義については、『財務経理』第9500号(時事通信社)、毎日新聞福岡版(2016年2月25日)にも掲載されました。

 2003年4月から13年間、母校の発展に尽くされた西山先生が退職されることとなった。西山先生のご業績についてはこのわずかな紙幅には到底収まりきらないので、『法政研究』第82巻第2・3合併号のお写真裏の献辞および巻末のご著作目録をご参照いただければ幸いである。 西山先生は気さくで話し好きである。私は、赴任とともに西山先生の隣人となったが、当時右も左もわからない私に温かく接してくださり、学内のわからないことなどを相談すると、それを機に硬軟取り混ぜいつまでも話題が尽きなかったことを覚えている。学生に対しても、個々に合わせた指導をされ、穏やかながら、時には厳しい学問の世界を説かれ、多くの実務家や研究者を育てられた。その温厚なお人柄ゆえ西山先生の周りには自然と人の輪ができ、学外にも様々なネットワークをお持ちであったがゆえに、

先生の研究室にはいつも来客が絶えなかったように思う。 西山先生は抜群の企画力と統率力とをお持ちである。九州男児らしく、一本気で、目標に向かって邁進される。だから、学術企画など、西山先生が音頭を取られると、知らぬ間にシナリオが詰められ、決行される。大黒柱として職責を果たされるに必要な資質を生まれながらにして備えておられたと改めて思う。 西山先生は意外にもほとんどお酒を嗜まれない。しかし、酒宴であっても、場の空気を読み、盛り上げてくださる。ご退職後も引き続き非常勤講師として本学にご出講くださるほか、弁護士業務に注力され、ますますご活躍されることだろう。お忙しい中にも、たまには宴会などにもお出ましいただき、「西山節」をお聞かせいただけたらと願っている。

西山先生をお送りする 上田 純子教授

 野田進先生は、1992年4月から24年間にわたって九州大学法学部において研究・教育・管理運営に尽力され、今年の春をもってご退職されることとなった。野田先生の研究・教育・管理運営面でのご業績・ご功績については、『法政研究』第82巻第2・3号をご参照いただきたい。 野田先生は、大学の外では、実務家としても活躍された。福岡県労働委員会の公益委員・会長として、また、福岡県紛争調整委員会長として、それぞれ集団的・個別的労働紛争の解決に携わってこられた。もちろん、現場で苦労もされたであろうが、トラブルシューター(Troubleshooter)としての活動も、野田先生のライフワークの1つであった。研究や教育の場面でも、こうした実務の話があると、ぐっと興味を引き付けるし、説得力を増す。

野田先生の授業が面白いのは、研究・理論のなかに常に実務が溶け込んでいるからだと想像する。 さて、野田先生は、最終講義(2月5日)の冒頭で、ご自身の退職について、AKB48メンバーの「卒業」に例えられた(野田先生らしいので、あえて文字に記録しておきたいと思う)。いわゆる「引退」というものではなく、気力や体力はまだまだ充実し、大学の管理運営や労働行政関係の仕事から、また、そうした立場(グループの一員)に伴う制約から解放され、次のステージで活発な研究活動に専念されることであろう。伊都キャンパスの図書館に颯爽と自転車で乗り付け、楽しそうに研究に取り組まれる野田先生のお姿に遭遇する機会も少なくないと思われる。 野田先生の今後のご活躍をご祈念申し上げます。

野田先生のご退職に際して 山下 昇

木佐先生のご退職に際して 田中 孝男

 2000年4月に本学に着任された木佐茂男先生が、この春、退職を迎えることとなった。近畿大学、北海道大学それに本学を通算すると、木佐先生は、38年間、行政法学の研究・教育に携わってこられた。 木佐先生のご経歴やご業績は『法政研究』第82巻第2・3合併号の献辞と著作目録のとおりだが、先生は、近年、法学部の授業科目を担当されなかった。このため、先生をよく知らない学部生もいると思う。先生の最終講義に参加した法学部生は、1名だった。ここでは、木佐先生がなさってきた学部教育、特に学部ゼミの内容を紹介したい。 現場からの問題提起や研究内容の実践に重きを置かれる木佐先生の学部ゼミには、大学院生も含め、毎年大勢が参加した。ゼミ

では、特定のテーマについてゼミ生が分担・共同して1つのゼミ論文を作成する。テーマはゼミ生が決めていたが、木佐先生の研究姿勢もあり、行政における現場の問題から選ばれた(自治基本条例、景観問題など)。各ゼミ生の分担部分の内容は調整され、表記・表現や文体も統一を図られる。厳しい共同作業の中で信頼などを育み結ばれる組もあった。また、論文は総じて質が高く、中には単行本として出版されたものもある。 ゼミOBは結束しており木佐先生を慕う者は、数多い。過日のゼミ生による木佐先生の退職をお祝いする会には、現職の熊本市長のほか、全国から教え子が集まった。これからも、木佐先生は、多彩なOBを引き連れ、各所で顔を出してくださると思う。 木佐先生の今後のご活躍を祈念いたします。

教授

准教授

法学部教授の最終講義

木佐茂男教授(行政法)最終講義(2016年2月20日) 「地方自治と司法改革を研究テーマとしてきて-幼少期の問題意識から今後の課題まで-

毎日新聞福岡版(2016年2月25日)にも掲載されました。

「地方自治と司法改革を研究テーマとしてきて

毎日新聞福岡版(2016年2月25日)にも掲載されました。

「地方自治と司法改革を研究テーマとしてきて

西山芳喜教授(会社法)最終講義(2016年1月27日) 「監査役制度とは何か-日本型企業システムにおける役割」

野田進教授(労働法)最終講義(2016年2月5日) 「一目で解る!私の「絵解き」労働法学」

ゼミ生OBによる木佐先生の退職をお祝いする会から