本日のMenu ♦胃癌の知っておくべき基礎知識♦
~胃癌の進行と治療方針~
♦進行胃癌に対する治療戦略♦
~手術の役割・実際~
~再発予防の取り組み~
♦胃外科グループの取り組み♦
~Conversion Surgeryとは~
胃癌ってどんな病気?
胃癌は胃の粘膜から発生する悪性腫瘍。
胃癌の広がり方
1)壁を深く、広がる。
2)胃から離れて、転移する。
胃癌のステージは
①深達度(深さ)
②リンパ節転移
③遠隔転移
3項目で決定し、ステージごとに治療が選択される。
②リンパ節転移
▲リンパ節??
胃の担当のリンパ節
=所属リンパ節
胃から離れたリンパ節
=所属外リンパ節
ALLLD
L
LM
M
ML
MU
UMU
No.1 1 2 1 1 1
No.2 1 M 3 1 1
No.3 1 1 1 1 1
No.4sa 1 M 3 1 1
No.4sb 1 3 1 1 1
No.4d 1 1 1 1 2
No.5 1 1 1 1 3
No.6 1 1 1 1 3
No.7 2 2 2 2 2
No.8a 2 2 2 2 2
No.9 2 2 2 2 2
No.10 2 M 3 2 2
No.11p 2 2 2 2 2
No.11d 2 M 3 2 2
No.12a 2 2 2 2 3
No.14v 2 2 3 3 M
Lymph node groups
・リンパ節は場所により番号が付けられている。
・手術でとるべきリンパ節は、進行度により、ガイドラインで決まっている。
リンパ管を通じて、周囲のリンパ節に転移をします。
術前検査(内視鏡、胃透視、CT検査)で ①深達度、②リンパ節転移、③遠隔転移
で進行度(ステージ)が決まる。
術前診断のステージにより、治療方針が決まる。
ステージ Ⅰ?
ステージ Ⅱ?
ステージ Ⅲ?
ステージ Ⅳ?
転移しているもしくは、その疑いのある 所属リンパ節を周囲の血管、脂肪組織 ごと、まとめて一括切除。
1)原発巣(親玉)の除去 =胃切除術
手術で出来ること・すべきこと
2)所属リンパ節転移(子分)の除去 =リンパ節郭清術
術前に、リンパ節転移の有無を「正確に」診断できない!!
所属リンパ節
所属外リンパ節
⇒リンパ節が腫大してなくても、転移はありえる。視診や触診では正確にわからない。病理診断がすべて。
リンパ節郭清術
腫瘍部位ごと
一括切除!
一網打尽!
胃癌術後補助化学療法の
無作為化第Ⅲ相比較試験
手術 +
術後TS-1投与群 (手術後1年間)
手術単独群 手術をうけて、
ステージⅡ、Ⅲと
診断された患者
無
作
為
に
振
り
分
け
要評価項目:全生存期間
~ACTS-GC 試験~ ( ア ク ツ - ジ ー シ ー )
Sakuramoto et al. N Engl J Med 2007; 357:1810-20
3年生存率
- TS-1投与群 80.1%
- 手術単独群 70.1%
HR = 0.68 [0.52-0.87]
p = 0.003
(stratified log-rank test)
0 1 2 3 4 5 0
50
100
Overa
ll S
urv
ival (%
)
529
530
515
504
370
352
196
163
46
40
Years since Randomization No. at risk
S-1
Surgery only
(All randomized)
全生存率
Sakuramoto et al. N Engl J Med 2007; 357:1810-20
術後補助化学療法は ステージⅡとⅢの標準治療!
~ACTS-GC 試験~
知っておくべき
ステージ別 5年生存率
Sakuramoto et al. N Engl J Med 2007; 357:1810-20
手術単独群
術後
TS-1投与群
ステージⅡ ステージⅢa ステージⅢb
71.2%
84.2%
57.3%
67.1%
44.1%
50.6%
ステージⅢの生存率はまだまだ改善の余地あり。
~ACTS-GC 試験~
予後不良な進行胃癌に対する治療戦略
【対象】・大きな癌=大型3型・スキルスタイプの癌
・所属リンパ節がたくさん腫れている癌
・ステージⅢと診断された癌(今後、対象になるかも)
手術前に化学療法を導入。
○ 術後に使用する化学療法よりも、強力な化
学療法ができる。
Neoadjuvant chemotherapy(NAC)
× ガイドラインでは臨床試験的治療である。
遠隔転移を伴う胃癌=ステージⅣ胃癌
ガイドラインでは化学療法,放射線治療,緩和手術,対症療法を推奨。
さらに
5年生存率
=14.9 % (日本胃癌学会発表)
所属外リンパ節転移
血行性転移(肝臓、肺、脳など)
腹膜播種
予後不良な進行胃癌に対する治療戦略
腹膜播種の消失、腹腔内細胞診の陰性化 → 胃切除+リンパ節郭清+(腹腔内抗癌剤投与)
広島市民病院 胃外科グループの ステージⅣ胃癌に対する取り組み
数個以内で化学療法後、新規病変の出現なし。 → 胃切除+リンパ節郭清+肝切除
▼大動脈周囲リンパ節(所属外リンパ節)転移
→ 化学療法後、胃切除+拡大リンパ節郭清(D3)
▼肝転移
▼腹膜播種
症例 70歳台 女性 • 現病歴;検診で異常を指摘。
• 腫瘍マーカー;CA19-9 120 U/mL
• 内視鏡; 胃前庭部から胃角部小彎にかけて腫瘍進展。生検にて、sig~muc adenocarcinomaと診断。
• CT;所属リンパ節に腫大あり。PETにて、腹膜播種に集積。
MLU, Less, Type3,T4a(SE)N1M0H0P1 StageIV
• 腫瘍マーカー;CA19-9 14 U/mL
• 内視鏡; 腫瘍の平坦化。
• PET-CT;腹膜播種の集積の消失。
• 審査腹腔鏡で、洗浄細胞診陰性。
胃全摘出術、D2リンパ節郭清術、播種結節切除
TS-1+シスプラチン 2コース施行
MLU,Less,Type3,T4a(SE)N0M0H0P0CY0 ycStage IIB
腸間膜播種結節に 癌細胞の遺残なし。 組織学的効果:Grade2
術後1年半、TS-1を継続。
初診時より約3年経過。無再発生存中。
腹膜播種結節
Conversion Surgery
コ ン バ ー ジ ョ ン ・ サ ー ジ ェ リ ー
ステージⅣ胃癌に対する化学療法と 外科手術を組み合わせた治療
根治が難しいステージⅣ胃癌に対し、化学療法で縮小させ、手術で取りきる治療。
広島市民病院 胃外科グループは ステージⅣ胃癌でも治癒を目指します!
広島市民病院 胃外科グループ スタッフ紹介
部長 丁田 泰宏
副部長 石田 道拡
副部長 三宅 聡一郎
大のCARPファン。 「残せる胃は残す。」
山に海、アウトドア派 「開腹と腹腔鏡の両立。」
食飲道楽。 内視鏡技術認定医取得。 「腔内吻合。」
副部長 久保田 哲史
潜れる外科医 「救急外科を含む集学的治療。」
知ってください
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