1 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
第3章 通信の概念
システムLSI設計
2018 10/19石黒
2 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
内容
変調方式 アナログ変調
デジタル変調
(スペクトルリグロース)
移動体RF通信
多元接続方式 時分割(TDD)および周波数分割(FDD)デュプレクス
周波数多元接続(FDMA) 時分割多元接続(TDMA) 符号分割多元接続(CDMA)
各種無線規格
3 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
iPhone Xs Maxの無線機能
Ref.) TechInsightshttp://www.techinsights.com/about-techinsights/overview/blog/apple-iphone-xs-teardown/
4 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
Intel PMB5762 (4G LTE modem)
28
14nm-CMOS•LTE Cat16: DL > 1Gbps•256QAM•4 x 4 MIMO•GPS
Ref.) TechInsights
5 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
Broadcom BCM4377 (WiFi/BT)
28
•802.11ax•1.429 Gbps PHY rate•1024 QAM modulation•OFDMA,MU-MIMO•Bluetooth 5.0+
Ref.) TechInsights
6 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
無線通信システムの構成
変調 復調チャネル(通信路)
アンテナ(端末)のサイズ複数のサービス、ユーザー同士、上り下り、での同時利用
7 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
内容
変調方式 アナログ変調
デジタル変調
(スペクトルリグロース)
移動体RF通信
多元接続方式 時分割(TDD)および周波数分割(FDD)デュプレクス
周波数多元接続(FDMA) 時分割多元接続(TDMA) 符号分割多元接続(CDMA)
各種無線規格
8 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
変調とは
元の低周波信号を使って、搬送波の変数(振幅、位相、周波数)を変化させる
元の低周波信号(ベースバンド信号)を搬送波(ωc)近傍の信号(パスバンド信号)にシフトする
周波数空間では、
9 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
時間領域での乗算の波形(復調)
RF信号:1GHz
LO信号:0.9GHz
出力信号:0.1GHz& 1.9GHz
Q. 上記波形と「うなり」波形(ビート)との違いは?
10 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
周波数変換の基本原理
( )tttt LORFLORFLORF )cos()cos(21)cos()cos( ωωωωωω −++=⋅
機能:周波数変換原理:時間領域でのアナログ乗算器
LORFIF ωωω −=
LOω−RFω− LOω+ RFω+0
LORF ωω −+0 LORF ωω ++LORF ωω +−LORF ωω −−
時間領域での乗算→周波数領域での畳み込み→LO成分による周波数シフト
IF帯でLPFにより選択
( )RFωωδ −
時間領域
周波数領域
11 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
アナログ変調
)cos( θω +ta C
AM、FMラジオ、アナログテレビ、第一世代携帯電話 etc.
振幅変調 周波数変調 位相変調
周波数ωcの搬送波(キャリア)
元のアナログ信号をそのまま使って、上記パラメータのいずれかを変化させる
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デジタル変調
アナログ変調変復調器や通信チャネルで重畳したノイズがそのままS/N比を劣化させる。
デジタル変調アナログ信号をAD変換して1,0信号に変えたあと搬送波を変調ノイズが重畳しても、復調しやすい。
1 10 1 10 1 10
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デジタル変調(ASK, PSK: 線形変調)
BPSK
ASK
14 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
符号間干渉(ISI)
1 10出力信号
(ベースバンド波形)
入力信号(ベースバンド
波形)
1 0
10
1 1 00 1
1 01 1 00 1
送信信号は0であるが、受信信号は0に成りきらない送受信機、チャネルの帯域が信号帯域に比べて狭くなる(制限される)と前シンボルの応答の裾が次シンボルに影響を与える(ISI)
15 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
帯域制限
( ) ( ) 2sin)(,sin)(
==
b
bb
b
bb fT
fTTfSxfT
fTTfPππ
ππ
幅Tbで高さが1の矩形パルスのスペクトルは、
1/Tbごとにnullを持つsinc関数
サイドローブ
変調
隣接チャネル漏洩
ベースバンド信号がパルス波形でそのまま変調すると、サイドローブによる隣接チャネルへの漏洩電力大(周波数利用効率が悪い)よって、帯域は制限したい。でもそうするとISIが発生
周波数利用効率、雑音除去⇔ISIはトレードオフ
16 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
帯域制限とISI抑制の両立のためには
滑らかな波形にしてサイドローブを抑制(帯域制限)し、かつ、前シンボルの裾が、それ以降のシンボル判定時刻で0となるようにするには?
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ナイキスト波形整形( )
b
b
TtTttx
ππsin)( = 時間波形: Tbごと
に0となるsinc関数
周波数スペクトルは幅1/Tbでサイドローブのなし(周波数利用効率良好)
周期Tbでランダム0,1パターンを送っても判定時刻では前パルスの振幅は0 → ISIなし!
18 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
波形整形
ナイキスト波形の生成(矩形フィルタの実装)は難しいので、実際には二乗余弦形状のスペクトルとなるような波形を用いることが多い
( ) ( )22241
cossin)(S
S
S
S
TtTt
TtTttp
απα
ππ
−⋅=
aは0.3~0.5の範囲で用いられることが多い(0のときに時間波形がsinc関数となる。)
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信号コンスタレーション
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BPSKの変復調
21 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
デジタル多値変調(QPSK:線形)
A(同相成分 I)
A(直交成分 Q)
(+1,+1)(-1,+1)
(+1,-1)(-1,-1)
1 0 1 1 0 0 1 0 1 1
シリアル・パラレル変換(SP変換)で2bitで対を構成
同相信号と直交信号で表現
各信号は1/2のレートとなり帯域は半分に
22 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
QPSK信号の生成と帯域制限
シンボルの切り替わりで波形が不連続に変化
周波数空間でサイドローブが高くなる
帯域制限をすることで信号をなまらせる
23 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
エラーベクトルマグニチュード(EVM)
ノイズ無しの場合
ノイズ有りの場合
EVMの定義
EMV
eNV
EVMN
jj
rms
log20
111
2
、デシベル表記の場合は
∑=
=
24 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
デジタル変調(FSK)と帯域制限
シンボルの切り替わりで波形は連続であるが周波数が不連続に変化やはり周波数空間でサイドローブが高くなる帯域制限をすることで周波数変化をなまらせる
25 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
1 0 1 1 0 0 1 0 1 1
デジタル多値変調(QAM)
シリアル・パラレル変換(SP変換)で4bitで直交座標で1つの点を対応付け全部で24=16通りの信号点シンボルレートは1/4もとのビットレートの1/4となり帯域は1/4に
26 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
内容
変調方式 アナログ変調
デジタル変調
(スペクトルリグロース)
移動体RF通信
多元接続方式 時分割(TDD)および周波数分割(FDD)デュプレクス
周波数多元接続(FDMA) 時分割多元接続(TDMA) 符号分割多元接続(CDMA)
各種無線規格
27 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
セルラシステム限られた周波数帯域をより多くのユーザーで同時利用するためにセル構造が採用。隣接するセルでは異なる周波数を利用
同一チャネル干渉
28 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
ハンドオフ
セル間を移る(ローミング)する際に担当する基地局が変わる周波数が異なるのでチャネルを切り替える必要がある
29 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
パス損失とマルチパスフェーディング
各経路からの信号の合成により、距離の2乗から4乗に反比例
送信アンテナから受信アンテナには反射等により多数の経路が存在。直接波は信号強度が距離の2乗に反比例、反射波は4乗に反比例
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パス損失とマルチパスフェーディング
異なる経路の信号が同相になると強めあい、逆相になると弱めあう位相差は経路差と周波数で決まるので、同じ経路差でも周波数に依存する
経路差が長いと、受信強度の山と谷の間隔(周波数差が小さい)
31 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
内容
変調方式 アナログ変調
デジタル変調
(スペクトルリグロース)
移動体RF通信
多元接続方式 時分割(TDD)および周波数分割(FDD)デュプレクス
周波数分割多元接続(FDMA) 時分割多元接続(TDMA) 符号分割多元接続(CDMA)
各種無線規格
32 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
デュプレクシング(二重化:上りと下り)
RX
TX
BaseStation
時分割デュプレクス(TDD)スイッチで切り替えて上り下りを制御
周波数分割デュプレクス(FDD)上り下りの搬送波に別周波数を利用(要RFフィルタ)
一般的にスイッチよりもフィルタの方が信号ロス(減衰)が大きい→ 最近はTDDが増えている
33 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
多元接続(FDMAとTDMA)
時分割多元接続(TDMA)時間スロットを分割して、複数のユーザーに割り当て(周波数は同一チャネル)
周波数分割多元接続(FDMA)複数ユーザがそれぞれ異なる周波数チャネルを利用(同時刻に通信)
34 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
多元接続(CDMA: 符号分割多元接続 1)
直接拡散(DS)-CDMAベースバンド信号に擬似ランダムな直交符号を掛け合わせるとスペクトルが拡散される(ベースバンドのシンボルレートと拡散符号のチップレートの比率に拡散)
直交符号(ウォルシュ符号)
35 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
多元接続(CDMA: 符号分割多元接続 1)
送信側
受信側
Signal1が逆拡散され狭帯域に復調
36 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
DS-CDMAにおける遠近問題
近くに別の送信機があり、同一の信号電力を送信すると逆拡散後も妨害並レベルが高くなり復調ができなくなる。→ 送信電力の制御が非常に重要になる
37 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
多元接続(CDMA: 符号分割多元接続 2)
周波数ホッピング(FH)-CDMA搬送波周波数(局発)を高速に擬似ランダムに変化(ホッピング)させる。受信側で同じ擬似ランダム系列で局発周波数を切り替えることで復調できる。
38 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
内容
変調方式 アナログ変調
デジタル変調
(スペクトルリグロース)
移動体RF通信
多元接続方式 時分割(TDD)および周波数分割(FDD)デュプレクス
周波数多元接続(FDMA) 時分割多元接続(TDMA) 符号分割多元接続(CDMA)
各種無線規格
39 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
W-CDMA(IMT2000, 第3世代移動体通信)
1985年ごろから規格検討, 1999年に勧告(2000年からの実用化を目指してIMT2000と命名)
例:チャネル幅 5MHz, FDD, 上りBPSK/下りQPSK, 384kb/s
Q:拡散レートは?
40 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
TX:隣接チャネル漏洩レベルとスペクトルマスク
所望波レベルを基準にして、隣接チャネルに対しては33dB以下、次隣接チャネルでは43dB以下に漏洩電力を抑える必要あり
41 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
RX:妨害波除去試験
帯域内妨害波除去(変調波)
帯域外妨害波除去(単一トーン)
基準感度 -107dBm!
89dB
Q:基準感度-107dBmでの熱雑音によるS/N比は?
42 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
RX:相互変調歪と隣接妨害波試験
相互変調歪試験 隣接妨害波試験
43 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
Bluetooth
例:チャネル幅 1MHz, FH-CDMA(625µsec), GFSK, 1Mbps
44 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
TX:隣接チャネル漏洩レベルとスペクトルマスク
次隣接チャネルには-20dBm以下、次々隣接には-40dBm以下最大送信電力が0dBmと低いため、比較的緩い仕様
45 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
RX:帯域内妨害波試験
基準感度 -70dBm
30dB
基準感度が-70dBm, 次々隣接妨害波除去性能は30dB通信距離が短いため、感度、妨害波性能の要求仕様も緩い→ 仕様を緩和して低電力、低コストでの無線I/F実現がねらい
46 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
無線LAN (IEEE 802.11a)20MHz帯域でOFDM(一次変調はQAM)Max:54Mb/s
47 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
TX:隣接チャネル漏洩レベルとスペクトルマスク
OFDMをもちいているため次隣接チャネルとの境界は急峻次々隣接以降は所望波レベルを基準として-40dB
48 of 48H. Ishikuro System LSI Design 2018/10/19
まとめ
無線通信では、アンテナ(端末)サイズ削減、多元接続、多重化のために変復調が必要
アナログ変調 → デジタル変調 → 多値化により、通信品質(信頼性)および周波数利用効率が向上
上り下り、および複数サービス、ユーザーの同時利用のために、デュプレクシング(二重化)、多元接続方式が考案
移動環境での端末利用のために、多種多様な無線規格が策定され、用途に応じて使い分けられている
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