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「少子高齢化社会」を迎え,我が国の医療福祉の内容や方向性は大きく変わりつつあります。岡山

大学病院でも,社会の変化を見据えながら,同時に先端的大学病院としての役割を果たすべく,「小

児医療センター」を平成24年 9 月に開設いたしました。

わたしたちの「小児医療センター」には,小児科,小児外科,小児神経科,小児循環器科,小児血

液・腫瘍科,小児歯科,小児麻酔科,小児放射線科,小児心臓血管外科が設置され,それぞれ専門の

医師,メディカルスタッフが,小児関連医療を幅広くカバーし,「小児医療の最後の砦」として,子

どもたちに高度先進医療をやさしく提供しています。

患者さんである子供さん,そしてご両親,ご家族に安心していただける最高の医療を提供すること

が私たちの最大の使命であり,そして良い成果が生まれ,皆様に喜んでいただけることが私たちの最

大の喜びです。

岡山大学病院「小児医療センター」の活動内容について,皆様にご理解していただくことは,私ど

も岡山大学病院,そして市民の皆様,ことにお子様をお持ちのお母様,お父様方双方にとって有益で

あり, 4年前より市民公開講座を開催することとしました。幸いにして,多くの皆様にご参加いただ

き,このたび第 5回の市民公開講座を開催することとなりました。

「小児医療センター」のスタッフは,本企画のために入念な準備を重ね,様々な工夫を凝らしてお

ります。多くの市民の皆様に参加していただき,小児医療についてご理解を深めていただけたらと願っ

ております。

第 5回「小児医療センター」市民公開講座開催に寄せて

  岡山大学病院病院長 金 澤   右 

晴れた日の岡山大学病院 岡山大学Jホール (撮影:槇野博史学長)

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岡山大学病院は,重要課題の 1つである小児医療の充実のため,平成24年 9 月 1 日に「小児医療センター」を開設しました。「小児医療センター」は,関係各診療科(小児科,小児外科,小児神経科,小児循環器科,小児血液・腫瘍科,小児歯科,小児麻酔科,小児放射線科,小児心臓血管外科および小児に関連するすべての診療科・診療部門)を統括し,横の連携を密にしたチーム医療を背景に最先端の高度医療を提供しています。また,小児病院ではない大学病院内に小児医療の専門部門を設けることは,小児期からの疾患を持つ患児を,思春期,成人期と各年代において途切れることなく治療・フォローの継続が行えるという大きな意義があります。こどもの病気は,いわゆる“小児科”だけで完結するものではありません。“小児科”ではない場合,どこで診てもらえるのか,どの診療科でどのような治療が行われるのかなど,一般の方には情報が十分ではありません。岡山大学病院「小児医療センター」は,このようなニーズに対し積極的に情報発信すべきと考え, 4年前より,毎年,市民公開講座を開催することとしました。本年開催される第 5回市民公開講座は,“こどもたちの輝く未来へ~小児先進医療チーム No limits to what we can do!”のスローガンのもと,岡山大学病院地域医療人育成センター(マスカットキューブ)にて開催されます。会場の皆様との質疑応答・討論の時間も十分にとっております。普段疑問に思われていること,ご意見,ご要望など忌憚のないご発言をお願い致します。次世代を担う子ども達とそのご家族のためにも有意義な公開講座となるよう,ご協力いただけましたら幸いに存じます。

司会者 ご挨拶

  岡山大学病院小児科科長 塚 原 宏 一   同 小児外科科長 野 田 卓 男 

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本年度から小児科病棟を担当することになりました。

就任当初は大人の入院病棟とたくさんの違いに戸惑うこともたくさんありました……今でも戸惑う

ことばかりです。でも,それは子供たちが,病気とともにすごしながらも成長をするための配慮がた

くさんある故とわかりました。そして大切にすべき核と感じています。

小さな赤ちゃん,未就学の子供たち,そして小学生・中学生・高校生も。

幅広い年齢の子供たちが付き添いの家族とともに病棟内で過ごしています。たくさんの人が関わり

ながら交わりながら織り成す悲喜こもごも。そんな小児科病棟での闘病生活……というよりも日常の

様子をご紹介できればと思います。

また,当病棟のスタッフたちの活躍も紹介します。

「岡山大学病院小児科病棟へようこそ」

  岡山大学病院小児科病棟看護師長 荻 野 智 美 

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子どもたちが大人になるまでに様々な病気を経験します。いわゆる「風邪」のような時間が経つことで自然と治癒する病気もありますが,一方で,治療に「薬」を必要とする病気もたくさん存在しています。薬物治療は医療において欠かすことのできないものですが,子どもへの認可されているお薬は全体の約30%と言われています。そのため大人用に作られたお薬を内服する必要がありますが,こうした薬を服用することはとてもつらいことで, 1~ 3歳の子どもたちの約40%は服薬を拒否するというデータもあります。また,御両親にとっても子どもにお薬を飲んでもらうことは非常にエネルギーを使う作業になります。今日は子どもたちが服用する際のいくつか工夫を紹介して,皆様のお力になれればと思います。

「お薬服用の工夫」

  岡山大学病院小児科病棟薬剤師 建 部 泰 尚 

(小児科診療 63: 1692–1704, 2000. より引用)

図 1 .小児における服薬拒否の頻度

図 2 .小児における服薬困難・拒否の理由

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「医療保育」,「病棟保育」という言葉を聞いたことがありますか。

「医療保育」は,医療を要する子どもとその家族を対象に,子どもを医療の主体と捉え,専門的な

保育を通して,入院中のQOLの向上を目指すことを目的としています。

岡山大学病院の小児病棟は,2011年 4 月に保育士 1名が配置され,「病棟保育」を立ち上げました。

翌年からは, 2名体制となっています。

大きな環境の変化や身体的・精神的負担の多い入院生活において,病棟保育士は,子どもの遊びを

保証し,少しでも病気の苦痛やストレスを忘れて,子どもらしい生活や心からの笑顔を取り戻せるよ

う,子どもとその家族に向き合っています。家族への支援も,必要に応じて,他職種と一緒にチーム

となって行っています。入院生活が少しでも明るく楽しいものになるように,笑顔で過ごせる時間が

多くなるようにと強く願っています。

本日は,当小児病棟における,病棟保育支援についてご紹介します。

「小児病棟における病棟保育士の支援~「病棟保育士」ってどんなことをするの~」

  岡山大学病院小児病棟保育士 辻   仁 美   同       遠 藤 佳 央 

(小児病棟内のプレイルーム)

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今までは多くの外科医が,適切で安全な良い手術は,大きな傷から十分に観察して行うべきだと考

えていました。しかし,大きな傷からの手術は患者さんの負担が大きいため,できれば小さな傷で手

術をした方がいいという思いは外科医の誰もが感じています。患者さんも,傷はできるだけ小さくし

て欲しいと考えるのは当然です。小さな傷から行う内視鏡下手術のアイデア自体は,100年以上前に

報告されていましたが,顕微鏡をのぞき込むような形での手術は難易度がきわめて高く,十分な安全

が確保できないとされていました。

昭和の終わり頃にCCDカメラが開発され,小さなレンズを通して,体内の拡大撮影が可能になり

ました。ここから一気に,この技術を応用した内視鏡下手術が世界中で広まったのです。わが国では,

平成 2年に初めて成人に対して,また小児ではその翌年に,腹腔鏡下手術が行われました。現在では,

さまざまな臓器に対して従来の大きな傷の手術と同等以上の質が確保され,その適応も広がっていま

す。

小児においては,体が小さいために手術を行うスペースが限られていますが,使用可能な小児専用

の器材がなく,鼠径ヘルニア手術や虫垂切除術などの単純な手術以外の,複雑な操作が必要な手術に

ついては成人よりも遅れをとっていました。しかしながら,近年ようやく小児用器材の開発が進み,

従来は不可能と思われていた,食道閉鎖症や先天性胆道拡張症などの,複雑な手術に対しても,内視

鏡下手術ができるようになってきております。

岡山大学病院では,これら最新の器材を導入し,複雑な手術を行っ

ています。本日は,小児の内視鏡下手術について紹介いたします。

「小児の内視鏡下手術」

  岡山大学病院小児外科 納 所   洋 

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近年,再生医療の研究はますます盛んになり,体の様々な器官の再生が試みられています。心臓に

対する再生医療についても,日々新しい知見が得られています。とりわけ2002年の心筋幹細胞の発見

は,心筋再生医療に大きな希望をもたらしました。心筋幹細胞は他の幹細胞に比べ,より高い心臓治

療効果が期待されています。海外のいくつかの研究では,心臓の血管がつまったり(心筋梗塞),心

臓の筋肉がもともと弱かったり(心筋症)する患者さんの,動きの悪くなった心臓の筋肉を再び動か

そうという治療が行われてきました。

我々岡山大学心臓血管外科は,世界に先駆けて小児心不全に対する心臓再生医療に取り組んでいま

す。岡山大学では年間300例以上の先天性心疾患手術を行っていますが,心臓の動きが良好でないた

めに手術だけでは救命できないお子さんたちが少なからず存在します。このような,子供たちを一人

でも多く救うため研究を続けています。

これまで,心筋幹細胞移植療法の第 1相臨床研究(TICAP試験),第 2相臨床研究(PERSEUS試験)

を行い,心臓内幹細胞移植療法の安全性と治療効果を確認しました。続いて,第 3相臨床研究

(APOLLON試験)を計画しており,心筋幹細胞治療の標準医療化を目指しています。

近い将来,心臓再生医療が心疾患の新しい治療手段となるよう研究を続けていきます。

「治すから再生へ ~小児心臓再生医療について~」

  岡山大学病院小児心臓血管外科科長 笠 原 真 悟 

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麻酔科ってどんな診療科なのでしょうか。麻酔科医って何をしてるのでしょうか。麻酔科医は患者

さんが手術や処置をうけるときに,苦痛のないように痛みや意識を取り除くとともに手術や処置を安

全に行えるように患者さんの体の動きをなくすことことが,まず一つの麻酔科医の役割です。

さらに,集中治療室で重症患者さんの回復のお手伝いもすることも麻酔科医の大きな一つの仕事の

分野です。

集中治療室に入っている患者さんは心臓,肺,腎臓などからだのなかの大切な臓器が弱っているこ

とがおおく,この弱った臓器の働きを助け回復を目指すことで患者さん自身の健康を取り戻します。

臓器の弱り方が,少しであれば薬などで治療しますが,重症になれば臓器の働きそのものを一時的に

肩代わりする器械を用います。そのため,岡山大学病院の集中治療室には,心臓,肺,腎臓,肝臓な

どの働きを肩代わりする,経皮的心肺補助装置,人工呼吸器,血液透析器などが準備してあります。

今回の公開講座では,これら最新の医療機器について簡単に紹介したいと思います。

「人工臓器(機械的臓器補助)で助ける 子供の命」

  岡山大学病院小児麻酔科科長 岩 崎 達 雄 

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「小児医療センター」

各診療科・診療部門の紹介

・小児科(子どものこころ診療部,子どもの遺伝診療部)

・小児外科

・小児神経科

・小児循環器科

・小児血液・腫瘍科

・小児歯科

・小児麻酔科

・小児放射線科

・小児心臓血管外科

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( 1 )概略  0歳から成人までの成育医療として小児疾患の全領域をカバーします。中国四国地域の小児医療の拠点として高度先進医療を安全に提供しています。「小児科」は「小児循環器科」,「小児血液・腫瘍科」,「子どものこころ診療部」,「子どもの遺伝診療部」を包含する診療科です(別に記述されます)。( 2 )診療体制約40名の医療者が協力して,重症感染症,心臓疾患,血液・悪性腫瘍,重症新生児疾患,アレルギー・膠原病,内分泌・代謝・腎臓疾患,心身症などの専門分野の診療を行っています。また,臨床だけでなく基礎の領域でも医学研究に精力的に取り組んでいます。

( 3 )治療方針重症・難治の子どもたちに高度で専門的な医療を安全に提供します。ご本人とご家族に診療内容を十分に理解していただくよう努めます。「小児医療センター」を中心に,岡山大学病院の各診療科・診療部門と連携した総合診療を行います。中国四国の各総合病院と協力して,患者さんのご負担ができるだけ少なくなるよう努めます。

( 4 )得意分野重症・難治の小児疾患のすべてが診療の対象です。一般病棟だけでなく,PICU(小児集中治療施設),EICU(高度救命救急施設),NICU(周産母子センター)においても集中治療を行っています。

( 5 )対象疾患主な対象疾患は急性脳炎・脳症,先天性心臓疾患,後天性心臓疾患(心筋炎・心筋症など),不整脈,白血病・固形腫瘍,重症新生児疾患,難治性アレルギー疾患・膠原病,内分泌代謝疾患,骨代謝異常,腎臓疾患,心身症です。このような疾患に対して,様々な高度先進医療,特殊医療を行っています(急性脳炎・脳症への集学治療,先天性心臓疾患へのカテーテル治療(再生医療も含む),血液・腫瘍への多剤併用療法・放射線療法・移植医療,膠原病への分子標的療法,骨代謝異常への特殊治療,心身症への心理療法(カウンセリング,箱庭療法も含む))。

( 6 )高度先進・特殊医療(保険診療で実施している技術)◎急性脳炎・脳症の特殊治療◎重症先天性心疾患のカテーテル治療◎ 白血病や固形腫瘍に対する多剤併用化学療法,分子標的療法,放射線療法(陽子線を含む)◎小児リウマチ性疾患の特殊治療(生物学的製剤)◎難治性代謝疾患に対する造血幹細胞移植◎ 内分泌代謝疾患,骨疾患,腎臓疾患の遺伝子診断を含めたゲノム医療◎心身症(摂食障害や起立性調節障害など)への心身医学療法

小児科

  小児科科長 塚 原 宏 一 

(外来棟にある小児科診療室にて)

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( 1 )概略「心身症」とは心理社会的なストレスの影響が大きい身体疾患(状態)のことで,食べられない,頭が痛い,お腹が痛いなど様々な症状が出現します。また,子どもは心身の発達途上にあり,心理社会的ストレスの影響を受けやすく,身体症状の他に,不安やイライラといった精神的な症状,学校へ行くことができない,反抗的といった行動の問題などが出現することもあります。「子どものこころ診療部」ではお子さんが困っていることを身体的,心理的,社会的な面から理解し,ご家族や学校など周囲の方々と協力しながら対応しています。

( 2 )診療体制小児科の心身症グループが「子どものこころ診療部」として診療を担当しています。外来は完全予約制で,一組に30~60分をかけてゆっくりお話を伺っています。小児科医,臨床心理士が協同して診療しており,心身症の治療以外に,慢性疾患のお子さんやご家族の相談も行っています。「小児医療センター」の各科や他職種,他機関と連携しながらbio-psycho-socialな視点で診療しています。

( 3 )治療方針心身両面からのアプローチを基本としており,お子さんへは生活指導,カウンセリング,遊戯療法,描画療法,箱庭療法などを行っています。また,ご家族を治療協力者として位置づけ,家族面接,ペアレントトレーニングなども行って,協同してお子さんを応援します。学校や児童相談所,保健所など他機関との連携も行い,多角的,重層的な診療を心がけています。

( 4 )得意分野心理社会的なストレスの影響を受ける様々な疾患,症状に対応しています。特に,小児の心身症の診療に力を入れています。また,重症の心身症のお子さんを対象とした入院治療も行っています。長期入院中の子どもとご家族のサポートも,他科と連携して行います。

( 5 )対象疾患 ・起立性調節障害,過敏性腸症候群,慢性頭痛,摂食障害など ・発達障害の二次障害や一部の精神疾患(恐怖症,不安障害,強迫性障害など) ・行動上の問題(不登校など)

( 6 )高度先進・特殊医療 ・起立性調節障害の診断と治療   Finometer MIDI(連続血圧・血行動態測定ベーシックシステム)

を使用することにより,非観血に連続した血圧を測定できます。より正確な循環動態を把握することが可能となり,鑑別診断や経過確認に有用です。

 ・箱庭療法   低年齢のお子さんや,言葉での表現が苦手なお子さんへの非言語的心理療法として有用です。

小児科~子どものこころ診療部

  小児科 岡 田 あゆみ 

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( 1 )概略

小児科~「子どもの遺伝診療部」では先天性・遺伝性疾患の的確な診断と診療情報の提供,予防的・包括的な健康管理を目的として診療しています。

( 2 )診療体制

小児科専門医,臨床遺伝専門医が協同して診療に当たっています。岡山大学病院の遺伝カウンセラーと連携しながら予約制で遺伝カウンセリングも行っています。

( 3 )治療方針および得意分野

 ・ 入院・外来ともに,先天性・遺伝性疾患が考えられるお子さんの臨床診断,特殊検査を用いた診断を慎重に的確に行い,遺伝学的に正しい情報を提供しています。

 ・ 外来では,お子さんの予防的・包括的な健康管理を目標にした発育発達フォローをしています。また,予約制で遺伝カウンセリングを行っています。

 ・ 「小児医療センター」,「周産母子センター」などの各診療科・診療部門と密に連携して医療や福祉に関する情報を提供しながら,お子さんとご家族を身体的,心理的に長く支援しています。

( 4 )対象疾患

染色体疾患,先天異常症候群など。

小児科~子どもの遺伝診療部

  小児科 吉 本 順 子 

(岡山大学病院 NICU)

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( 1 )概略小児科がこどもの内科的治療を行うのに対し,小児外科ではこどもの消化器(胃,腸,肝臓など),呼吸器(肺,気管),泌尿生殖器(腎臓,膀胱など)などで手術を必要とする疾患の診断,治療を行っています。

( 2 )診療体制小児外科学会専門医 3人がおもに担当しています。外来は火,水曜日(午前,午後),木曜日(午後)ですが,緊急を要する場合は適宜対応いたします。小児科,小児神経科との連携のもと,小児に対しきめこまかな配慮を行いながら診療します。

( 3 )治療方針“ハンディキャップを残さない外科治療の実践”をモットーに治療を行います。小児期の手術が与える影響を極力少なくすることを常に意識しています。手術の必要性および術後の影響について詳しく説明して,保護者の同意のもとに治療を行います。また,術後は長期間の(疾患により成人以降も)フォローを行います。

( 4 )得意分野直腸肛門奇形(鎖肛),ヒルシュスプルング病に対し低侵襲な術式を採用し,良好な術後の排便機能を獲得できるように努めています。身体の小さな小児にも積極的に内視鏡下手術を取り入れています。新生児・未熟児の手術,泌尿器系疾患の手術にはマイクロサージェリ―の技術を取り入れ,細かい手術に対応しています。

( 5 )対象疾患◎体表:鼠径ヘルニア,臍ヘルニア(でべそ),正中頚嚢胞,漏斗胸など◎新生児:横隔膜ヘルニア,臍帯ヘルニア,腹壁破裂,食道閉鎖症,腸閉鎖症など◎ 消化器:直腸肛門奇形(鎖肛),ヒルシュスプルング病,メッケル憩室,胆道閉鎖症,先天性胆道拡張症,腸重積症,急性虫垂炎など◎呼吸器:CCAM,肺分画症,気管・気管支狭窄,軟化症など◎泌尿生殖器:停留精巣,水腎・水尿管症,膀胱尿管逆流症,尿道下裂など◎ 固形腫瘍:神経芽腫,肝芽腫,腎芽腫(Wilms腫瘍),横紋筋肉腫,(悪性)奇形腫など悪性,良性固形腫瘍の手術

( 6 )高度先進・特殊医療◎鼠径ヘルニア,臍ヘルニア,停留精巣などの手術は短期入院で行います◎ 新生児疾患は緊急性の高いものが多くNICUで管理します。出生前診断された場合,産科,新生児科とのカンファレンスで治療方針を決めて対応します◎ 重症心身障がい児(者)の患者さんにQuality of Life(QOL)の向上のため,胃瘻造設,胃・食道逆流防止術などの手術を行っています。

小児外科

  小児外科科長 野 田 卓 男 

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( 1 )概略小児の様々な神経疾患や障がいの診療を行う小児神経科は専門性が高く,中国・四国地方をはじめ広く各地から紹介を受けています。

( 2 )診療体制「小児医療センター」をはじめとして,てんかんセンターや結節性硬化症ボードなどの院内連携を通して,小児神経専門医とてんかん専門医が小児神経疾患の診断と治療に当たります。

( 3 )治療方針様々な障がいを持った小児患者の診療であるため,単に疾病の治療だけではなく,患者さんとそのご家族が抱える発達過程での多面的な問題を,紹介医や地域・学校との協力関係の中で解決・軽減するよう努めます。また,得意とするてんかん診療では数多くの治験を含む先進的な内科的治療とてんかん外科治療の適応判断を致します。

( 4 )得意分野小児の神経疾患を広く網羅して新しい解析技術で診断を行なうとともに内科的診療を進めます。てんかん,特に難治てんかんの治療では国内でも有数の実績があります。発達障がい・行動異常や脳性麻痺も重要な分野です。難治てんかんについては,脳神経外科との合同カンファレンスで外科治療の適応判断や切除部位の決定を行っています。

( 5 )対象疾患◎ けいれん性疾患:小児てんかん(特に難治てんかん),熱性けいれんなどの良性けいれん,けいれん類縁疾患◎発達障がい・行動異常:自閉スペクトラム症,注意欠如・多動症(ADHD),限局性学習症◎神経筋疾患:末梢神経疾患,筋ジストロフィーなどの筋疾患◎睡眠障害:睡眠時無呼吸症候群,ナルコレプシーなど◎代謝・変性疾患,脳症◎脳血管障害など

( 6 )高度先進・特殊医療難治てんかんでは通常の脳波検査に加え,発作のビデオ同時記録やデジタルデータの特殊分析(高周波分析など)を行い,この特殊技術は脳神経外科と共同での頭蓋内電極による発作記録や術前評価にも有用です。認知機能や前頭葉機能に関する専門的な高次脳機能検査を行います。さらに,最近は代謝系の分析も始めており,稀少疾患の診断・治療を行っています。

小児神経科

  小児神経科科長 小 林 勝 弘 

(てんかん発作の頭蓋内電極記録)

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( 1 )概略小児循環器を専門とするスタッフが診療に当たります。

( 2 )診療体制小児科,小児外科,小児麻酔科,小児放射線科,心臓血管外科,循環器内科,周産母子センターなど各科・各部門と密接に連携しながら,患者さんにとって最善の治療,フォローアップができるような体制を構築しています。

( 3 )治療方針および得意分野 ・当院は国内有数の先天性心疾患治療施設です。 ・ 心房中隔欠損症(ASD)のカテーテル治療では国内最初の認可施設であり,小児心臓カテーテル治療の年間症例数は国内 1位の実績を誇ります。

 ・世界初となる先天性心疾患に対する心臓幹細胞移植の臨床応用を行っています。 ・小児循環器専門医修練施設に認定されています。 ・ 胎児心臓超音波専門施設に認定されており,特に複雑心奇形の胎児症例数は国内有数で,胎児期から最善の治療を考慮して管理しています。

 ・小児放射線科と協力しての心臓CT・心臓MRI件数も国内有数です。 ・ 小児麻酔科,心臓血管外科と連携しての劇症型心筋炎に対する膜型人工肺(ECMO)治療の実績も多数あります。

 ・循環器内科と協力して,小児心臓電気生理学検査,カテーテルアブレーションも行っています。 ・循環器内科,周産母子センターと連携して,成人先天性心疾患管理も行っています。

( 4 )対象疾患先天性心疾患,後天性心疾患(心筋症,心筋炎,川崎病冠動脈病変合併),不整脈,肺高血圧など小児循環器疾患全般。

小児循環器科

  小児循環器科科長 大 月 審 一 

(当診療科の研究成果)

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( 1 )概略

一般的な血液疾患の診療の他に,重症・難治の小児血液・腫瘍疾患,免疫不全症に対して高度先進的な集学治療を行っています。多施設共同の臨床研究や血液・腫瘍疾患の病態解明のための基礎研究にも精力的に取り組んでいます。

( 2 )診療体制

小児外科,脳神経外科,整形外科,頭頚部外科,肝・胆・膵外科,眼科,耳鼻科などの外科系診療科と連携した総合診療を提供しています。「子どものこころ診療部」と協力しながらこころのケアにも努めています。また,内科系診療科と連携しながら長期的ケア体制を構築しています。

( 3 )治療方針

安心安全の高度先進医療の実践を目指します。スタッフ一同,ご家族やご本人に診療内容を十分に説明してご理解をいただけるよう努めます。中国四国の多くの病院と協力・連携しながら,重症患者さんを治癒に導き,ご家族に平穏な日々を過ごしていただけるよう努めます。

( 4 )得意分野

重症・難治の血液・腫瘍疾患,免疫不全症のすべてが診療の対象です。主な疾患は再生不良性貧血,血液凝固異常,白血病,骨髄異形成症候群,悪性リンパ腫,脳腫瘍,神経芽腫,肝芽腫,腎臓腫瘍,横紋筋肉腫,骨腫瘍などの固形腫瘍です。このような疾患に対して,多剤併用化学療法,分子標的療法,造血幹細胞移植,重症感染対策を含めた高度先進医療を行っています。

( 5 )対象疾患

◎血液疾患(様々な貧血,血友病などの凝固異常症)◎白血病や悪性リンパ腫などの血液悪性腫瘍◎様々な脳腫瘍◎神経芽腫,肝芽腫,腎臓腫瘍,横紋筋肉腫,骨腫瘍などの固形腫瘍◎血球貪食症候群などの小児がん近縁疾患◎難治性免疫不全症,難治性代謝疾患

( 6 )高度先進・特殊医療

保険診療で実施している技術◎凝固異常症に対する凝固因子補充療法◎白血病や固形腫瘍に対する多剤併用化学療法,分子標的療法,放射線療法(陽子線を含む)◎難治性血液・腫瘍疾患,難治性免疫不全症,難治性代謝疾患に対する造血幹細胞移植◎敗血症など重症感染症に対する集学的医療(先制治療を含む)

小児血液・腫瘍科

  小児血液・腫瘍科科長代行 塚 原 宏 一 

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( 1 )概略日本小児歯科学会専門医および専門指導医を含む歯科医師が責任を持って,一人ひとりの患者さんのニーズに応じた治療を行っています。

( 2 )診療体制外来診療は毎日,午前中は新たな患者さんと予約患者さんの診療を,午後はおもに予約患者さんの診療ですが,救急の患者さんも受けつけています。

( 3 )治療方針小児歯科では,乳幼児から小児期・思春期の方を対象として,様々な疾患に対する治療を行っています。また,乳幼児期からのむし歯予防を親子で取り組もうという試みから,「母と子の歯科外来」を開設し,当科に通院中のお子さんの保護者の方に限り,お子さんと一緒に小児歯科で治療を受けることができます。治療終了後には定期検診を行い,新たなむし歯や歯周炎の早期発見・早期治療に努めています。さらに成長発育期に認められる歯列不正に関する診査・診断も行っています。必要に応じて,他の専門の歯科診療科に紹介することや,小児科など医科と連携する場合もあります。

( 4 )得意分野一般歯科での歯科治療が困難な低年齢で協力が得られない方,歯科恐怖のある方,障がいのある方,有病者の方などに対して心理的なアプローチを含めて,その方の特徴にあった治療を行います。また,小児歯科専門医としての視点を生かし,健全な口腔を育成していく上で障害となる異常の早期発見に努めて治療を行うとともに,新たな問題の発生を防ぐための予防的なアプローチを行います。

( 5 )対象疾患15歳以下の小児の歯科治療全般を行います。むし歯,歯周病,外傷歯,形成不全歯,埋伏歯,歯の先天性欠如(生まれつき歯の数が足りない方),歯の早期喪失,口腔内悪習癖,歯列不正(咬合誘導のみ),全疾患身を持つお子さんの口腔のフォローアップなどを行います。

( 6 )高度先進・特殊医療歯の数の異常は,将来の歯列不正の原因となります。そのためこれらを早期に発見し治療することが必要です。小児歯科では,歯の欠損および過剰についての診断および治療を行なっています。全身疾患を持つお子さんには,安心して治療を受けていただけるよう全身管理を行い治療ができるスタッフを揃えています。

小児歯科

  小児歯科科長 仲 野 道 代 

(小児歯科診療)

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( 1 )概略小児麻酔科は小児医療の「最後の砦」として設置された岡山大学病院「小児医療センター」の麻酔・周術期管理を担当する診療科です。「小児医療センター」で行なわれる最先端の高度医療では種々の医療場面での麻酔・周術期管理や鎮痛・鎮静が必要となります。小児麻酔科は小児医療の「最後の砦」の一員として安全かつ優しい麻酔・周術期管理の提供に努めています。

( 2 )診療体制国内外での小児専門施設で十分なトレーニングを受けた麻酔科医を中心に小児科,小児外科をはじめとする内科系,外科系診療科,看護師などと連携をとりながら「小児医療センター」で行なわれる麻酔・周術期管理,鎮静・鎮痛を担当します。

( 3 )治療方針最先端の知識,技術を駆使し,麻酔・周術期管理を行うことによって「小児医療センター」で行われる手術に欠かせない麻酔や検査・治療に必要な長時間の安静,あるいは十分な除痛を安全,確実に提供します。また,周術期の痛みや恐怖をできるだけ感じることがないように優しい麻酔・周術期管理を心がけています。

( 4 )得意分野他の診療科からの依頼に対応するという診療科の性格上得意分野というより不得意な分野がないと表現する方が正しいでしょう。検査に必要な短時間の鎮静から,新生児の小児外科症例や複雑心奇形に対する開心術まであらゆる症例に対応し安全,確実かつ優しく周術期管理を行ないます。また,外科術後もふくめ重症患児に対する集中治療にも経験が深く,他の診療科と協調して治療にあたり非常に良い成績を挙げています。

( 5 )対象疾患一般小児外科手術をはじめ,外科系各科の手術,小児緊急手術,先天性心疾患に対する開心術,新生児手術,心臓カテーテル検査など多様な手術・検査の麻酔に24時間体制で対応しています。また,MRI検査,CT検査に対しても麻酔あるいは鎮静を行っています。

( 6 )高度先進・特殊治療心不全,肺炎などによる重症呼吸不全,敗血症性ショック,心肺停止蘇生後の全身管理,血液・悪性腫瘍の呼吸・循環管理,急性脳炎・脳症などの症例に対し一酸化窒素吸入療法,窒素吸入療法,低体温療法,ECMO(膜型人工肺),持続的血液浄化療法,腹膜透析などの特殊治療を行っています。

小児麻酔科

  小児麻酔科科長 岩 崎 達 雄 

(小児の高度麻酔・周術期管理)

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( 1 )概略

小児の画像診断や放射線治療を担当する診療科であり,岡山大学病院内の「小児医療センター」の多くの診療科と連携しながら小児の診療にあたっています。

( 2 )診療体制

放射線科専門医を中心として,小児に対する画像診断,核医学検査,放射線治療,IVR(インターベンショナルラジオロジー)の各診療を行っています。

( 3 )治療方針

岡山大学病院においては年間1000例を超える小児のCT,MRI,核医学検査を行っており,当科はそのほぼ全ての検査を担当しています。小児の画像診断は成人とは異なる点が多く,放射線診療の中でも特殊な分野です。検査による放射線被ばくをできるだけ低減することにも留意しながら,放射線科専門医が診療にあたります。小児のがん患者さんへの放射線治療も当科が担当しており,小児科,小児血液・腫瘍科,脳神経外科,麻酔科などと連携して行っています。小児によりメリットが大きいと考えられている陽子線治療についても,津山中央病院の「がん陽子線治療センター」を共同運用しており,陽子線治療の適応判断,治療前の準備,同センターへの紹介を行っています。

( 4 )対象疾患

◎小児先天性疾患,特に先天性心疾患◎小児悪性腫瘍

( 5 )高度先進・特殊医療

◎ 最先端の画像診断機器の性能を最大限に生かして小児の画像診断を行っています。特に先天性心疾患のCT検査の件数は国内でも有数であり,低被ばくで高画質の画像を提供しています。◎ 津山中央病院と協力して小児悪性腫瘍に対する陽子線治療を行っています。◎ 小児IVRの領域では,血管腫/血管奇形に対する硬化療法や類骨骨腫に対するラジオ波焼灼療法を自由診療として実施しています。

小児放射線科

  小児放射線科科長 片 山 敬 久 

(小児のCT検査)

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( 1 )概略岡山大学病院小児心臓血管外科は,先天性心疾患を持って生まれた患者様に最高の外科治療を提供すべく設置されました。小児心臓血管外科は年間手術数が350例を有す国内有数の施設として,岡山県内,中国四国地方はもとより,日本全国や海外からも患者様の受け入れを行っています。

( 2 )診療体制国内外でトレーニングを受けた経験豊富な医師が診察にあたります。また先天性心疾患の治療には,小児循環器科医,小児麻酔科医,産婦人科医,新生児科医との協力体制のもと,24時間365日の診療を行っています。手術:月,水,木,金。手術は患者様の治療の主体となります。小児循環器科,小児麻酔科と協力して安全で高度な手術を提供します。小児心臓血管外科の集中治療室は北病棟の集中治療室(CICU)8床と東 2階病棟併設の集中治療室(PICU) 7床を常時使用でき,手術後はもとより,術前の患者様の管理にも役立っています。外来:火,木(セカンドオピニオン外来含む)。手術前には手術の必要性,効果,危険性を詳しくご説明します。また,治療の選択に迷っておられる患者様の相談にも随時対応致します。

( 3 )治療方針安全で負担の少ない手術を提供し,それぞれの患者様に応じたテーラーメイド医療を行っています。小児の患者様には,将来のライフスタイルも考慮した治療を選択することにより,QOLを重視しています。小児先天性心疾患治療における「最後の砦」として,どんな重症な患者様の受け入れも迅速に行います。

( 4 )得意分野小児循環器科,小児麻酔科,集中治療室の協力体制のもと,新生児手術や複雑心奇形の治療経験が豊富です。特に左心低形成症候群に対するノルウッド佐野手術を用いた第 1期手術は現在まで150例を超え,その成功率は92%(直近 3年間の死亡率ゼロ)と非常に良好な成績をあげています。その他,新生児手術,複雑心奇形を含めた死亡率も 1%以下となっています。心房中隔欠損症や心室中隔欠損症などに対しては右腋窩小切開手術を行なっており,患者様に負担の少ない手術を心がけています。また,小児用補助人工心臓実施施設として,重症心不全の治療も行っている他,日本唯一の小児単心室患者に対する再生医療を手がけています。岡山大学病院「小児医療センター」の一診療科として,心臓のみならず多発合併奇形に対して,補助循環下の多臓器手術にも他科との協力のもと対応します。

( 5 )対象疾患◎ 先天性心疾患全般(左心低形成症候群,単心室症,完全大血管転位症,総肺静脈還流異常症,ファロー四徴症,心房中隔欠損症,心室中隔欠損症など)◎心筋症,心筋炎を含む重症心不全

小児心臓血管外科

  小児心臓血管外科科長 笠 原 真 悟 

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・赤穂中央病院(兵庫県赤穂市)

・興生総合病院(広島県三原市)

・笠岡第一病院(岡山県笠岡市)

・三宅医院(岡山県岡山市)

本市民公開講座の開催にあたり,多大なるご支援・ご協力を賜りましたこと,心より感謝申し上げます。

「小児医療センター」第 5回市民公開講座

ご支援をいただきました連携施設

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