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膝関節靭帯付着位置と歩容が膝関節靭帯張力に与える影響の解析 ○石川雄己(東京大学),QiAn(東京大学,中川純希(東京大学). 山下淳(東京大学),岡敬之(東京大学),浅間一(東京大学) TheAnalysisofKneeLigaments亜bnsionbyVariousAttachment PositionsandGaitPatterns ○YukiISHIKAWA(TheUniv・ofTokyo),QiAN(TheUniv.ofTokyo), JunkiNAKAGAWA(TheUniv.ofTokyo),AtsushiYAMASHITA(TheUniv.ofTokyo), HiroyukiOKA(TheUniv.ofTokyo),andHajimeASAMA(TheUniv.ofTokyo) Abstract:Kneeosteoarthritis(OA)becomesamajorpublicissue,butastrategytopreventthediseasehasnot establishedyetduetolackofindividualmodelingtomeasureaninternalmotionofthekneeofindividualpatients・Thus thisstudyshowstheeffectofligamentsforcebyvariousgaitpatternsandthemodelwithvariousligamentsposition.To makeaccuratemotion,themodelincludeinitialdisplacementandanglewhichisdeterminedbyflexionangle.Ligaments positionisgivenbasedonanterior-posteriorandsuperior-inferiordisplacementinsagittalplane.Asaresult,itcan beconfirmedthatligamentsforcesarechangedbybothligamentspositionandgaitpatterns.Theseresultshowan importanceofindividualmodelingforresearchofkneedisease. Keywords:KneeOsteoarthritis,Kneeligamentposition,Gaitpattern,Simulation 1はじめに 運動の中心軸を担っているため,変化の影響が直接運動 に表れる.生体実験においては靭帯の張力を直接計測す 変形性膝関節症は関節軟骨の変性を主体とする疾患.ることは難しい.また,屍体実験においては歩容を再現 であり,歩行障害などを引き起こし,患者のQualityofすることが難しい.Shinらは三次元筋骨格靭帯膝関節 Lifeの低下を招いている1.本邦での有病者数は2530モデルを作成し,着地時の前十字靭帯(ACL)への負荷 万人と推定されるなど,その疾病対策に対する社会的の大きさを解析した[81.Shelbumeらは同じく三次元筋 ニーズが高まっている{2]・その一方で,疾患の予防方骨格靭帯膝関節モデルを作成し,歩行時やスクワット動 法は確立されていない.その理由の一端に,変形性膝関作時の膝関節内にかかる力の変化を解析した{91.さら 節症の発症メカニズムが明らかになっていないことが挙に著者らの研究でも三次元筋骨格靭帯膝関節モデルを作 げられる. 成し,内反歩行時に外側側副靭帯の張力が顕著に上昇す 疫学研究により,年齢・性別・肥満・外傷が危険因子でることを確認している{71.しかし,これらの研究で示 あることが示されてはいるが,発症のプロセスを示す理された結果は平均的な一例の筋骨格靭帯を再現したモデ 論は確立していない[31.Lewekらは変形性膝関節症患ルを使用して行われたものであり,複数の靭帯の状態を 者の歩行時の膝関節の運動を計測し,矢状面及び前額面調べてはいない.Gironらは複数個体を用いてACLの 上での運動が健常者と比較して大きいことを示した例.大腿骨付着位置を計測し,矢状面方向でのばらつきが大 Lingらは歩行中の筋電波形の変化と初期の変形性膝関きいことを示している[10]、つまり,個々人で靭帯付着 節症の関連性を示唆しており,歩行の動態(歩容)が疾位置にばらつきが存在することが膝関節の特徴であるた 患に関わることを示した[5].Kuroyanagiらは内側型変め,膝関節疾患の発症原因をつきとめるためにはこれら 形性膝関節症患者の歩行時の膝関節の運動を計測し,内を考慮したモデルが必要である. 反スラスト運動があることを示唆した{61.これらの研そこで本研究では個体別モデルの基礎データとして, 究により,変形性膝関節症の発症メカニズムを知るため靭帯のパラメータを調整した際に,どの程度の影響が表 には歩行中の特に膝関節の内外反運動に注目することがれるかを歩容を変えつつ調べることを目的とする. 重要であることが示唆されている. 上記のように変形性膝関節症の発症メカニズムは,メ2靭帯付着位置の設定 カニカルストレスと大きく関わると予想されるため,膝 関節内の力学的現象を調べる必要がある.膝関節内の運2.1三次元筋骨格靭帯膝関節モデル 動を計測する方法ではシミュレーションが適しているとシミュレーシ、ヨンモデルには著者らが作成した三次元 考えられる.なぜならば膝関節は骨性の運動制限が少筋骨格靭帯膝モデル{71を使用する.全体図は図1(a)に示 ないため,膝関節内の運動は周辺の靭帯によって大きくす通りである.膝関節の運動座標系は図1(b)に示す通り, 影響されており,靭帯の張力を調べるためには侵襲性の前後.内外側.上下の並進方向とそれらの軸に対する回転 、高い実験が必要となるからである.膝関節の靭帯は関節の内外反.屈曲伸展.内外転である.本モデルは下肢筋骨 第25回自律分散システムシンポジウム(2013年1月25日~26日・仙台) -93- SY0001ノ13/0000-0093c2013SICE

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膝関節靭帯付着位置と歩容が膝関節靭帯張力に与える影響の解析

○石川雄己(東京大学),QiAn(東京大学,中川純希(東京大学).山下淳(東京大学),岡敬之(東京大学),浅間一(東京大学)

TheAnalysisofKneeLigaments亜bnsionbyVariousAttachmentPositionsandGaitPatterns

○YukiISHIKAWA(TheUniv・ofTokyo),QiAN(TheUniv.ofTokyo),

JunkiNAKAGAWA(TheUniv.ofTokyo),AtsushiYAMASHITA(TheUniv.ofTokyo),HiroyukiOKA(TheUniv.ofTokyo),andHajimeASAMA(TheUniv.ofTokyo)

Abstract:Kneeosteoarthritis(OA)becomesamajorpublicissue,butastrategytopreventthediseasehasnotestablishedyetduetolackofindividualmodelingtomeasureaninternalmotionofthekneeofindividualpatients・Thusthisstudyshowstheeffectofligamentsforcebyvariousgaitpatternsandthemodelwithvariousligamentsposition.Tomakeaccuratemotion,themodelincludeinitialdisplacementandanglewhichisdeterminedbyflexionangle.Ligamentspositionisgivenbasedonanterior-posteriorandsuperior-inferiordisplacementinsagittalplane.Asaresult,itcanbeconfirmedthatligamentsforcesarechangedbybothligamentspositionandgaitpatterns.Theseresultshowanimportanceofindividualmodelingforresearchofkneedisease.

Keywords:KneeOsteoarthritis,Kneeligamentposition,Gaitpattern,Simulation

1はじめに 運動の中心軸を担っているため,変化の影響が直接運動

に表れる.生体実験においては靭帯の張力を直接計測す

変形性膝関節症は関節軟骨の変性を主体とする疾患.ることは難しい.また,屍体実験においては歩容を再現であり,歩行障害などを引き起こし,患者のQualityofすることが難しい.Shinらは三次元筋骨格靭帯膝関節

Lifeの低下を招いている1.本邦での有病者数は2530モデルを作成し,着地時の前十字靭帯(ACL)への負荷万人と推定されるなど,その疾病対策に対する社会的の大きさを解析した[81.Shelbumeらは同じく三次元筋ニーズが高まっている{2]・その一方で,疾患の予防方骨格靭帯膝関節モデルを作成し,歩行時やスクワット動法は確立されていない.その理由の一端に,変形性膝関作時の膝関節内にかかる力の変化を解析した{91.さら節症の発症メカニズムが明らかになっていないことが挙に著者らの研究でも三次元筋骨格靭帯膝関節モデルを作げられる. 成し,内反歩行時に外側側副靭帯の張力が顕著に上昇す

疫学研究により,年齢・性別・肥満・外傷が危険因子でることを確認している{71.しかし,これらの研究で示あることが示されてはいるが,発症のプロセスを示す理された結果は平均的な一例の筋骨格靭帯を再現したモデ論は確立していない[31.Lewekらは変形性膝関節症患ルを使用して行われたものであり,複数の靭帯の状態を者の歩行時の膝関節の運動を計測し,矢状面及び前額面調べてはいない.Gironらは複数個体を用いてACLの上での運動が健常者と比較して大きいことを示した例.大腿骨付着位置を計測し,矢状面方向でのばらつきが大

Lingらは歩行中の筋電波形の変化と初期の変形性膝関きいことを示している[10]、つまり,個々 人で靭帯付着節症の関連性を示唆しており,歩行の動態(歩容)が疾位置にばらつきが存在することが膝関節の特徴であるた患に関わることを示した[5].Kuroyanagiらは内側型変め,膝関節疾患の発症原因をつきとめるためにはこれら形性膝関節症患者の歩行時の膝関節の運動を計測し,内を考慮したモデルが必要である.反スラスト運動があることを示唆した{61.これらの研そこで本研究では個体別モデルの基礎データとして,究により,変形性膝関節症の発症メカニズムを知るため靭帯のパラメータを調整した際に,どの程度の影響が表には歩行中の特に膝関節の内外反運動に注目することがれるかを歩容を変えつつ調べることを目的とする.重要であることが示唆されている.

上記のように変形性膝関節症の発症メカニズムは,メ2靭帯付着位置の設定カニカルストレスと大きく関わると予想されるため,膝

関節内の力学的現象を調べる必要がある.膝関節内の運2.1三次元筋骨格靭帯膝関節モデル動を計測する方法ではシミュレーションが適しているとシミュレーシ、ヨンモデルには著者らが作成した三次元

考えられる.なぜならば膝関節は骨性の運動制限が少筋骨格靭帯膝モデル{71を使用する.全体図は図1(a)に示ないため,膝関節内の運動は周辺の靭帯によって大きくす通りである.膝関節の運動座標系は図1(b)に示す通り,影響されており,靭帯の張力を調べるためには侵襲性の前後.内外側.上下の並進方向とそれらの軸に対する回転、高い実験が必要となるからである.膝関節の靭帯は関節の内外反.屈曲伸展.内外転である.本モデルは下肢筋骨

第25回自律分散システムシンポジウム(2013年1月25日~26日・仙台)-93-

SY0001ノ13/0000-0093c2013SICE

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2.2膝関節内運動

本研究では,歩容から靭帯への影響を正確に与えるた

め,前節のシミュレーションモデルに関節運動を屈曲角度ごとに指定する.DeFrateらは生体の歩行時にX線

連続写真を用いて膝関節内の運動を計測した(12}.この結果をモデルに反映し,前後方向・内外側方向・上下方

向・内タ賑・内外反の並進運動と回転運動を屈曲角度にしたがって行うように設定する.これにより,次章で行

う逆動力学シミュレーションにおいて,光学モーション

キャプチャーのマーカデータ群からモデルにフィットす

る際に,膝関節の運動を正確に表現することが可能となる.これはマーカデータ群が持っている情報において膝

関節の場合は屈曲伸展の回転運動の情報が支配的であり,

他の運動が表現されないという問題点を解決するためで

ある.

格を解剖学的特徴にしたがって表現されており,右脚膝関節内には10本の靭帯と2本の関節包が表現されている

(図1(c)).シミュレータにはSIMM(MusculoGraphics社)を使用する.靭帯束の種類,Stiffnessと屈曲角度が

0・の際のひずみを表1に示す.靭帯の自然長は屈曲角

度が0。の際のひずみから式1にしたがって計算する.

A)は靭帯の自然長を表し.LeとEは屈曲角度が0.の際の靭帯の長さとひずみを表している.靭帯束の種類は

Blankevoortら[11]の分け方に沿って行い,StiffnessとひずみはShelbumeら[9]のデータを使用する.なお,表中のPOLは後十字靭帯,MCLは内側側副靭帯,LCL

は外側側副靭帯,McapとLeapは内外側の関節包,小文字のaは前側部.pは後側部.cは中間部をそれぞれ表している.

ふ‐1

L (1)

2.3個体差の生成

靭帯付着位置の個体差を表現するために,図2に示

すように大腿骨に靭帯が付着する位置を矢状面上で前

後上下に謝上させる.矢状面とは人体を左右に分ける面

のことである.EdwardsらはACLの大腿骨付着位置の

個々人によるばらつきを調べており,標準偏差が2mm

であったため,本研究でも変化を2mmとする[13].対象の靭帯は前十字靭帯前側部(aACL)・前十字靭帯後側

部(pACL)・後十字靭帯前側部(aPCL)・後十字靭帯後側部(pPCL)・外側側副靭帯(LCL)の5本とした.

匝庖ble.1Bundleofligaments,sti鐙1essandstrain.

Stram(e)

[-]'

Sti缶1esg

[N/strainp

Bundleof

ligaments"

aACL

pACL

aPCL

pPCL

aMCL

cMCL

pMCL

aCM^

pCMP

LCL

Mcap

Leap''

0.093

0.083

-0.390

-0.120

-0.017

0.0“

0.049

-0.274

-0.061

0.056

0.077

0.064

1000

1500

2600

1900

2500

3000

2500

2000

4500

4000

2500

1000

3歩容による影響の解析

3.1歩容の生成

前章のモデルを使用し歩行シミュレーションを行う.

本研究では靭帯付着位置と歩容の影響を調べるため,逆

動力学シミュレーションを行う.歩行の軌道と床反力を

入力し,靭帯の張力を出力する.シミュレーションには

先行研究で用いた左脚離地から始まる歩行一周期の正常Blankevoortetal.[111

Shelbumeetal.[9]

AdeeperpartofMCL

-Anarticularcapsule

r

osterior

蕊Superior

蕊g 医

匝瞳ior塁自室.9ざ:

uしー上とみ…や 零 I

(b)Coordination(a)Overall(b)Coordination(c)Ligaments

Fig.1Kneemodel[7].

Fig.2Ligamentpositionchangeinsagittalplane.

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歩行,膝関節を内反させた歩行と外反させた歩行を使用

する[71.正常歩行(Normal)は光学モーションキヤプチヤーカメラと全身25点に張り付けたマーカデータ群

(Helenhayes)を用いた歩行軌道計測結果と床反力計測結果を利用する.

内反させた歩行と外反させた歩行は正常歩行で得られ

たデータの一部を変更して生成する.内反させた歩行の

場合,膝関節の内外に位置するマーカデータ群を50mm

(Lat50)と100mm(LatlOO)外側に座標を移動するこ

とで,外反させた歩行の場合,膝関節の内外に位置する

マーカデータ群を50mm(Med50)と100mm(MedlOO)

内側に座標を移動することで生成する.床反力データは

正常歩行と同じものを使用する.図3(a)は外反させた歩行を,図3(b)は正常歩行を,図3(c)は内反させた歩行を示している.

図4は生成された歩行一周期の身体軌道をモデルに

フィットし,膝関節の内外反角度の変化を示したもので

ある.図中のItoは左脚離地,Ihsは左脚接地,rtoは右

脚離地,rhsは右脚接地のタイミングを表している.正

常歩行と比較して,各々内反と外反が行われていること

が確認できる.内反角度と外反角度はそれぞれ25。と

30°で制限しているためグラフ中もこの範囲を出ないよ

うにフィットされている.これはヒトの膝関節の可動域

を考慮したものであり,過内外反した動作は股関節の回

旋運動によって補われている.

3.2内外反歩行の影響

第2章で示した個体差を反映する前のモデルを使用し

て内外反歩行した際の靭帯張力の到上を図5~図9に示

す.図中のNormalは正常歩行を示しており,Med50は

50mm軌道をずらした外反歩行,MedlOOは100mm軌道をずらした外反歩行,Lat50は50mm軌道をずらした

内反歩行,LatlOOは100mm軌道をずらした内反歩行の

結果を示している.

図5と図6において,内反歩行を行った際にaACLと

pACLの張力が上昇することが確認された.VandePolらが屍体を用いて内反時のACLの張力を計測する研究

の結果においても,ACLの張力が上昇する現象が見ら

れたため,この現象は妥当であると思われる[14].図7と図8において,正常歩行と比較して,タ仮歩行

を行った際にaPCLとpPCLの張力が上昇し,内反歩行を行った際に張力が降下すること力雅認された変化

の大きさを比較すると,内反歩行で降下する張力よりも

外反歩行で上昇する張力の方が大きいことも示された.

つまりPCLは外反された際の役割が大きいことを示唆

している.

図9において,内反歩行を行った際にLCLの張力が

上昇することが確認された.立脚期にLCLの張力が上

昇していることから,張力が地面からの反力に桔抗して

いることが示唆されている.

難蝋“篭 署 …王

3.3靭帯付着位置の影響

靭帯付着位置を変更することによって靭帯張力がど

のように変化するかを調べた.前節の結果からACLと

LCLは内反歩行時に,PCLはどの歩容でも張力を発揮

することが分かった.ACLとLCLはLatlOOで歩行す

る際の張力を,PCLは正常歩行する際の張力を解析し

た.結果を図10~図14に示す.図中のNは個体差を反

映する前の靭祷付着位置(初期位置)を示しており.A

は前方,pは後方.sは上方,Iは下方に靭帯付着位置を移動させた場合の結果を示している.

図10において,靭帯付着位置を後方か上方に移動さ

せた際にaACLの張力が上昇し,前方か下方に移動させ

た際に張力が降下すること力雅認された.また,aACL

の張力の上昇のピークは右脚立脚期中期になっており,

前方へ膝関節がずれる方向に桔抗するようにaACLが働

いていることが確認できる.靭帯付着位置力潮期位置の

結果と比較し,後方への謝上よりも上方への劉上の方が

大きいことが分かった.

図11において,靭帯付着位置を後方か上方に移動さ

せた際にpACLの張力が上昇し,前方か下方に移動させ

た際に張力が降下することが確認された.また,pACLの張力の上昇のピークは右脚立脚期中期になっており,

前方へ膝関節がずれる方向に桔抗するようにpACLが働

W島_二言=二1口…邪

蝿蝿 睡縦一

■■■FP

I II

(a)Med50(b)Normal (c)Lat50

Fig.3VariousgaitPatternsI7}.

lto IhsrtO rhs

30

20

000000

1う一34-一

呑蛍罰②三塁聖冒嘗導き『

-oNormal

-=Mcd50

--MedlOO

…・Lat50

…"LatlOO

TimeIs]

Fig.4Varus-Valguskneeangleinonegaitcycle.

-95-

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いていることが確認できる.靭帯付着位置が初期位置の

結果と比較し,後方への翻上よりも上方への劃この方が

大きく,前方への変化よりも下方への変化力吠きいこと

が分かった.これらのことからACLの靭帯付着位置は

上下方向の変化による影響が大きいことが示唆された.

図12において,靭帯付着位置を前方に移動させた際

にaPCLの張力が上昇し,後方に移動させた際に張力

が降下すること力瀧認された.靭帯付着位置を下方に移

動させた際は右脚遊脚期以外はaPCLの張力を降下さ

せ,上方に移動させた際は右脚遊脚期以外は張力を上昇

させ,右脚遊脚期では靭帯付着位置が初期位置の際より

も張力を降下させた.

図13において,靭帯付着位置を前方に移動させた際

にpPCLの張力が上昇し,後方に移動させた際に張力が降下すること力雅認された.靭帯付着位置を下方に移

動させた際は右脚遊脚期以外はpPCLの張力を降下させ,上方に移動させた際は右脚遊脚期以外は張力を上昇

させ,右脚遊脚期では靭帯付着位置力靭期位置の際より

も張力を降下させた.このことからPCLの靭帯付着位

置は前後方向の変化による張力が全体的に上昇降下し,

上下方向の変化により全体的に上昇降下するとともに右

脚遊脚期に特有の張力変化を持つことが示唆された.

図14において,靭帯付着位置を前方か上方に移動さ

せた際にLCLの張力が上昇し,後方か下方に移動させ

た際に張力が降下すること力瀧認された.靭帯付着位置

が初期位置の結果と比較し,前後方向への変化よりも上

下方向への変化の方力吠きいことが分かった.また,靭

帯付着位置を前方へ移動させた場合に右脚遊脚期に特有

のピークが観察された.これは前方へ移動したことによ

り,膝関節全体を引き上げる方向に靭帯の走行が変化し,

右脚が遊脚するために張力が発揮されたと考えられる.

このことからLCLの靭帯付着位置の上下方向の謝上に

より,靭帯張力へ与える影響力状きいことが示唆された.

芯u遇前o1to

6420864202

1111-崖の昌邑

報。nnal

--Med50

--MedlOO

・…12画O

…・LatlOO

0020.40.60.81

Time[si

Fig.5aACLforcesinvariousgaitpatterns.

rhs1hs前⑥1m

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11

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・…I2t50

・…LatlOO

DO-ZO-4皿60.胆I

Time[s]

Fig.6pACLforcesinvariousgaitpatterns.

4おわりに

靭帯付着位置を変更することにより靭帯張力に影響を

与えることを明らかにした.内反歩行させた際にACL

は靭帯付着位置を上下方向に変化させること力揃後方向

の変化の影響より大きいこと,正常歩行させた際にPCL

は靭帯付着位置を前後方向に謝上させることにより歩行

中の全時間において張力が変化することと内反歩行させ

た際にLCLは靭帯付着位置を上下方向に変化させるこ

とにより張力の大きさに変化力現られることを明らかに

した.したがって本研究の結果は個体別モデルの必要性

を支持するものとなった.

今後はこれらの結果を元に,実際のヒトの個体差を表

現し,変形性膝関節症発症のメカニズム解明を目指す.

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Fig.7aPCLforcesinvariousgaitpatterns.

-96-

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Ihsrto Itoi、 11函r” 趣ri淫

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Fig.11pACLforceswithdifferentligamentpositions.Fig.8pPCLforcesinvariousgaitpatterns.

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Fig.12aPCLforceswithdifferentligamentpositions.Fig.9LCLforcesinvariousgaitpatterns.

11o Ihsrm msrhs勉45・

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謝辞

本研究の一部は,稗肝費基盤研究(B)24300198の助成を受けたものである..

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