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Title 処理モードの異なる自己注目が抑うつ的反すうに及ぼす 影響 Author(s) 竹市, 咲乃; 伊藤, 義徳 Citation 琉球大学教育学部紀要(77): 163-172 Issue Date 2010-08 URL http://hdl.handle.net/20.500.12000/18367 Rights

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Title 処理モードの異なる自己注目が抑うつ的反すうに及ぼす影響

Author(s) 竹市, 咲乃; 伊藤, 義徳

Citation 琉球大学教育学部紀要(77): 163-172

Issue Date 2010-08

URL http://hdl.handle.net/20.500.12000/18367

Rights

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処理モードの異なる自己注目が抑うつ的反すうに及ぼす影響

竹市咲乃*・伊藤義徳**

Theeffectsofself-focusbasedonthedifferent

processingmodesondepressiverumination

TakeichiSakino,ItoYoshinori

要旨

本研究の目的は、抑うつ的反すうをもたらす自己注目の背景にあるとされる、異なる情報処

理のモードが、反すうに及ぼす影響を実験的に検証することであった。具体的には、Teasdale

(1999)の情動処理理論におけるdoingモードとbeingモードの、それぞれに基づく自己注目

が反すうに及ぼす影響を検討したWatkins(2004)に、改善を加えながら追試を試みた。大

学生を対象に、抑うつや反すう特`性を有せず、最近ネガティブな経験をし、それに対して適度

に反すうしている20名を抽出し、doingモード自己注目を誘導する群とbeingモード自己注目

を誘導する群にランダムに振り分けた。先行研究を参考に、筆記表現課題の際の教示を変える

ことでそれぞれのモードに誘導した。1日15分、3日間筆記表現課題を行い、その前後で抑う

つ気分、反すう、侵入的想起、回避、出来事の苦痛度を測定した。その結果、回避を除く全て

の指標において、両群共に実験前後で得点が減少することが示された。しかし、手続きの妥当

性の分析により、教示による誘導の妥当性が確保されていないことが明らかとなった。本研究

結果から得られる示唆と、教示によるモードの誘導の注意点等について考察を行った。

ティブな思考や記憶などが連合する。そのため、

寛解後でも、軽度の抑うつ気分が引き金となって

ネガティブな思考パターンや記』億などのいわゆる

抑うつ的処理が容易に再活性化され、再発に至る

のである。このような抑うつ的処理の連鎖は簡単

には切り離せない。そこで彼は、抑うつ的処理を

なくすのではなく、それとの「関係'性を変える」

ことによる再発予防が重要であると指摘している。

例えば、失敗経験によって抑うつ気分が生じた際、

抑うつ気分に圧倒され、その感↓情と上手く向き合

い処理することが困難になる。こうした状態の背

景で優位になっている処理のモードを、マインド

レスモードと呼ぶ。また、同じ失敗を繰り返さな

【背景と目的】

近年、精神的健康を脅かすさまざまな問題に関

心が寄せられているが、その中でも大うつ病性障

害(うつ病)は、生涯罹患率や危険率の高さから

その深刻さが指摘されている。またうつ病は,再

発,反復化,』慢性化しやすいという特徴を持つこ

とから、再発や反復を効果的に予防することの重

要,性が指摘されている(Hayes,Follette,&

Linehan(2004)(武藤・伊藤・杉浦(監訳),

2005))。うつ病の再発・反復のメカニズムについ

て、Teasdale(1999)は次のように述べている。

うつ病者は、発病時に経験した抑うつ気分、ネガ

*浦添市教育委員会指導部子ども青少年課子ども育成係**琉球大学教育学部生涯教育課程心理臨床科学コース

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琉球大学教育学部紀要第77集

いために過去の失敗経験(記憶)を参照し、自己

の経験を評価したり、失敗の原因を分析したりす

る、概念的、評価的なモードが生じる。こうした

処理モードをdoingモードと呼ぶ。このdoingモードは、自身にとっての理想の状態が得られる

まで、自分の状態を監視・評価し、改善するため

の行動を動機付けるが、先ほど延べたように、抑

うつ的処理は一度形成されると容易に変容はされ

ないため、いつまでたっても理想の状態は訪れず、

むしろ評価的なモードが過剰に強くなることで、

自罰的になったり、完全主義傾向が強くなり、自

身をより苦しめるようになる。そこで、こうした

状態を打破するため、新たな処理モードを確立す

ることが必要になる。それがbeingモードであ

る。このモードは、過去の記憶ではなく、今ここ

で刻々と入力される新規な」情報に関する処理を重

視する。評価したり考えたりするのではなく、た

だ今ここで経験していることを処理し続けるモー

ドといえる。Teasdale(1999)は、doingモード

ではなくbeingモードで抑うつ喚起状況を処理

できるスキルを獲得することが、うつ病の再発予

防に不可欠な要素であると指摘している。これに

より、ネガティブな気分や記'億が活,性化しても、

それから距離を置いて眺めることができ、それに

飲まれることなく、落ち着いて生活することが可

能となるのである。出来事を捉える認知を修正す

るのではなく、beingモードの処理を用いて、出

来事を距離を置いて眺めることのできるスキルを

獲得するという発想は、少なくともこれまでの認

知行動療法にはない新しい発想である。

他方、近年、抑うつ的処理を反映する特有の思

考パターンとして、過去の出来事や結果の否定的

な側面について繰り返し考え続ける「反すう」が

注目されている(Nolen-Hoeksema,1991)。自

分自身の抑うつ症状やネガティブな経験に注意を

向けることにより反すうが引き起こされるが、こ

れにより、抑うつ症状の悪化や持続がもたらされ

ることが指摘されている(Just&Alloy,1997;

Lyubomirsky&Nolen-Hoeksema,1995;Nolen‐

Hoeksema,2000)。この反すうについてRobert,

Gilboa,&Gotlib(1998)は、反すうが、自己の

経験の理由や原因、意味を探ろうとする「分析的

思考」と、自己に目を向けることである「自己注

目」の2つの要素からなることを示した。このう

ち、分析的思考は、記憶の精繊化を妨げ、抑うつ

を悪化、持続させる要因であることが示されてい

るが(Watkins&Teasdale,2001)、自己注目の

成分そのものは、筆記表現法の効果に見られるよ

うに、精神的健康を促進する(Pennebaker,1993;

Smyth,1998)ことが示唆されている(Teasdale,

Segal,Williams,Ridgeway,Soulsby,&Lau,

2000)。Watkins(2004)は,Teasdale(1999)

の`情動処理理論を実証するための実験的検討とし

て、この異なる自己注目を利用している。自己に

評価的に目を向ける「分析的自己注目」は、

doingモードを反映する。一方、自己の経験して

いる事柄にただ注意を向け、その処理に専念する

「経験的自己注目」は、beingモードを反映する

といえる。そこで、筆記表現課題の教示を変える

ことによって自己注目のモードを操作し、両者が

失敗経験の反すうに及ぼす影響を検討した。その

結果、経験的自己注目群は、分析的自己注目群よ

りも抑うつ気分,出来事関連の侵入思考,回避が

共に低いことが示された。

Watkins(2004)は、doingモードとbeingモー

ドという処理のあり方がその後の抑うつ的結果に

影響を及ぼすことを実証した貴重な研究であると

いえる。しかし、この研究には、いくつかの改善

すべき点を指摘することが出来る。一つは、著者

自身が指摘しているように、自己注目の対象が,

実験的に操作された失敗経験であり、日常におけ

る失敗経験とは質的に異なる。こうした研究の知

見は、生態学的妥当性の観点(井上ら,2002)か

ら見れば一般化可能性が高いとは言えない。こう

した問題を解決するためには、実験参加者本人の

生活により近い経験を対象とすることが望まれる。

またTeasdale(1999)は、doingモードの'清動

処理により、反すうが導かれるとしているが、

Watkins(2004)は、誘導した失敗経験が短期的

な課題であるために、思考の持続の指標として反

すうではなく侵入思考を測定している。侵入的想

起が反すうの引き金となることは確かだが、侵入

思考と反すうの質的差異(Wells&Matthews,

1994)が指摘されていることを考慮すると、直接

的に反すうを測定することがより望ましいといえ

よう。そこで本研究では、この2点を改善した上

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竹市・伊藤:処理モードの異なる自己注目が抑うつ的反すうに及ぼす影響

でWatkins(2004)の追試を行ない、Teasdale

の情動処理理論をより明確に実証することを本研

究の目的とする。具体的には、最近ネガティブな

出来事を経験し、その出来事について反すうして

いる者を実験対象者とし,反すうの程度を直接的

に測定する指標を用いて、処理モードの異なる自

己注目が反すうに及ぼす影響について検討する。

仮説として,doingモードによる分析的自己注目

(doingモード自己注目)を行う群は、抑うつ気

分,侵入思考,反すう,苦痛度が維持されるが,

beingモードによる経験的自己注目(beingモー

ド自己注目)を行う群はそれらが改善すると考え

られる。

(B群)7名(平均年齢=21.14歳,標準偏差=2.

19)の2群にランダムに振り分けた。

2.指標

抑うつ症状を測定するため、BDI-Ⅱ(小嶋・

古川,2003)を使用した。21項目,O~3の4件

法である。

反すう傾向を測定するため、ACS-P尺度(宮

元,1996)を使用した。これは抑うつ気分や無力

感を生じさせる出来事を示した13場面それぞれに

ついて、2種類の文節の強制選択式で回答する。

2種類の文節は、その出来事にとらわれる状態指

向傾向を表す文節を選んだ場合に0点、その出来

事を引きずらない活動指向傾向を表す文節を選ん

だ場合に1点を与える。

筆記課題の対象となる、出来事の経験の質を尋

ねるため、4つの質問項目を自作し用いた。この

回答に基づいて、エピソードは個人的なものであ

りながら、経験の質は統制されたエピソードが抽

出される。具体的には、過去1ヶ月以内に経験し

た特定のネガティブな出来事を1つ想起させ,回

答方法の異なる次の質問に回答させた。はじめに、

①出来事によって抑うつ気分が生じたかどうかを

確認するため,抑うつ気分を表す複数の言葉を提

示し、それらが生じたかどうかを「はい」・「いい

え」の二択で回答させた。次に、②出来事の主観

的なネガティブ強度を測定するため、出来事のネ

ガティブ強度をVisualAnalogScale:VASを

用いてO~100の間で得点化させ、③出来事が自

我関与度の高いものかどうかを確認するため、出

来事の主観的重要度を「全く重要でない:0」~

「非常に重要である:4」の5件法で回答させた。

最後に、④出来事についての反すうの有無を確認

するため、最近3日間の出来事に対する反すうの

程度を「全くなかった:O」~「常にそのことば

かり考えていた:4」の5件法で回答させた。

最近数日間の抑うつ気分を測定するため、日本

版POMS(ProfileOfMoodStates:POMS)

(横山・荒記,1991)の抑うつ因子を使用した。

15項目で、「まったくなかった:O」~「非常に

多くあった:4」の5件法で回答する。本来、過

去1週間の気分についてたずねるが、本研究では、

実験操作が気分の持続に与える影響の程度を考慮

【方法】

1.実験参加者

本実験の実験参加者を選抜することを目的に、

①日本版ベック抑うつ尺度第2版(Beck

Depressionlnventory-Ⅱ;BDI-Ⅱ:小嶋・古川、

2003)、②日本語版ActionControlScale(ACS)‐

P尺度(Preoccupation;とらわれ・反舞』性)(宮

元,1996)、③自作の「出来事の経験の質を尋ね

る4つの質問項目」を用い、集団一斉法による質

問紙調査を実施した。今回、ネガティブなモード

を誘導する課題を行うが、抑うつ傾向がもともと

高い者は、抑うつ的処理が活性化しやすいことが

指摘されている(Teasdale,1999)。この点に配

慮して、本研究では抑うつ傾向のない大学生を対

象に、抑うつ気分と処理モードの関連を検討する

ため、抑うつ症状と反すう傾向の高い者を除外す

るため、①BDIⅡ得点が15点以下で,なおかつ

②ActionControlScaleのP尺度得点が平均値か

ら+lSD以下の者を選出した。さらに、その中

で筆記課題の対象となりうる出来事を経験した者

を実験参加者の対象とするため、③により、過去

1ヶ月以内に、自我関与度が高く、それについて

反すうしている、抑うつ気分が生じた出来事を経

験した者を実験参加者として選出した。その結果、

実験参加者13名(男性6名,女`性7名,平均年齢=

2062歳,標準偏差=176)を選出し、doingモー

ド自己注目群(D群)6名(平均年齢=2000歳,

標準偏差=089)と,beingモード自己注目群

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琉球大学教育学部紀要第77集

し、過去3日間に変更した。

出来事についての侵入思考と回避を測定するた

め、改訂出来事インパクト尺度(Impactof

EuentScaleRevised;IES-R;飛鳥丼,1999)

を使用した。再体験・侵入型想起因子8項目と回

避因子8項目からなり、「全くなし:O」~「非

常に:4」の5件法で回答する。本来、過去1週

間の症状の程度についてたずねるが、本研究では、

過去3日間に変更した。

出来事を想起した際の主観的苦痛の強度を測定

するため、出来事の苦痛度を測定する質問項目を

自作し用いた。出来事の主観的苦痛の程度を「全

く苦痛ではない:O」~「非常に苦痛である:4」

の5件法で回答させた。

教示による自己注目の姿勢の操作の妥当性を確

認するため、実験操作の妥当性を確認する質問項

目を自作し用いた。D群、B群いずれにも共通す

る筆記教示の遵守についての質問が1つ、D群誘

導教示に対する遵守を確認する質問が2つ、B群

誘導教示に対する遵守を確認する質問が2つであ

り、それぞれ「全く書かなかった:0」~「かな

りたくさん書いた:5」の6件法で回答させた。

具体的には、両群の共通の筆記内容を反映する質

問として、①この出来事の中での,「自分の行動」

について筆記しましたか?②この出来事の中での,

「自分の気持ちや考え」について筆記しましたか?

という2項目を用いた。D群の筆記内容を反映す

る質問として、③自分は,「なぜそうしたのか」,

「なぜそう思ったのか」,その出来事は「なぜそう

いう結果になったのか」といったことを考えまし

たか?という単項目の質問を用いた。B群の筆記

内容を反映する質問として、④筆記しながら,そ

の時の自分の気持ち,身体感覚を思い出したり,

感じたりしましたか?⑤筆記しながら,この出来

事に関する新しい気づきやひらめきのようなもの

が浮かびましたか?という2項目を用いた。

1回目から3回目までの期間は、

り、1回目と3回目は実験室で、

ワークとして自宅で実施した。

3~5日間であ

2回目はホーム

4.実験操作

筆記表現課題において両群に異なる教示を行う

ことにより、自己注目の姿勢を操作した。教示は、

Watkins(2004)を参考にしつつ、本邦の大学生

がより理解しやすい内容を考慮し、予備調査を経

た上で、実験者と臨床経験が10年以上ある臨床心

理士が協同で作成した。具体的な教示内容は、以

下の通りであった。

(1)doingモード自己注目群

「その出来事の中で,あなたは,なぜそういう

気持ちになったのか,なぜそう行動したのか,な

ぜそう考えたのかについて,筆記してください。

その出来事の中で,あなたがそういう気持ちになっ

たり,そう行動したり,そう考えたりした理由や

原因について,筆記してください。」

(2)beingモード自己注目群

「その出来事において,あなたが「どのように

感じていた(いる)か」について筆記してくださ

い。その出来事の中で,そして今まさにここで,

浮かんでは消えていった(いく)あらゆる感覚に

ついて筆記してください。さらに,その困難な状

況や,それについて考えている自分の思考に対し

て,あなた自身がどのように臨んでいたか(臨ん

でいるか)についても筆記してください。」

5.手続き

1日1回の筆記表現課題を、3~5日の間に計

3回行い、3回の筆記表現課題の前後、課題終了

から1週間後の計3回、抑うつ気分、侵入思考、

反すうの程度、出来事の苦痛度を測定した。また、

毎回の筆記表現課題の終了時に実験操作の妥当性

確認の質問項目への回答を求めた。筆記課題につ

いて、本研究では、両群の実験参加者にそれぞれ

の自己注目の姿勢を効果的に誘導するための工夫

として、以下の3点の手続きを盛り込んだ。1点

目は、日常経験における出来事が、筆記の対象と

してふさわしいかどうかを確認するため、「出来

事の経験の有無を尋ねる4つの質問項目」を用い

て筆記する出来事を決定した。2点目は、筆記課

3.筆記表現課題

筆記表現課題は、「出来事の経験の質」をたず

ねる質問項目により選定された、自我関与度が高

く、その出来事をここ数日よく考える(反すうし

ている)出来事について、1回15分で1日に1回、

計3回、筆記により表現してもらうことであった。

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竹市・伊藤:処理モードの異なる自己注目が抑うつ的反すうに及ぼす影響

署名を得た上で参加してもらった。本実験では、

参加者にとってネガティブな日常経験について筆

記してもらうため、一時的に参加者の抑うつ気分

が増加する可能性が考えられた。そのため、実験

参加者は抑うつ傾向や反すう傾向が高くない者の

中から選出した。そして、過度にネガティブであっ

たり、過度に反すうをしている状況は避けられる

場面設定手続きを用いた。筆記表現で使用された

用紙等は、個人』情報保護の観点から、全て参加者

が持ち帰ることが出来るよう配慮した。D群には、

FollowUp終了後にB群と同様の筆記表現課題

を行ってもらうことで、出来事への反すうが長引

かないよう配慮した。その他、実験中の参加者へ

の影響が過度なものではないことを、予備実験を

経て確認した。万が一の事態に備えて、実験の最

中に参加者が不調を訴えた場合、実験者が自律訓

練法により対処できるよう準備を行い、さらに不

調が続く場合には、臨床心理士が対応できるよう

準備を整えていた。実際、そうした対処が必要な

参加者はいなかった。

題は情動処理を誘導することが目的であるため、

実験参加者が課題中に出来事の状況や客観的事実

に焦点化して筆記することがないよう、課題の前

に予め出来事の概要について別の用紙に記入させ、

課題中はそれを見ながら、自己注目のモードを促

す教示文に従って筆記をするように伝えた。3点

目は、それぞれの自己注目のモードを効果的に操

作するための工夫として、15分間の筆記課題を行

なう前に、実験者が実験参加者とともに自己注目

のモードを誘導する教示文を読み合わせ、2分間

の練習課題を行なった後に、教示文に従った筆記

ができたかどうかを確認した上で、15分間の本課

題を行なった。具体的な実験手続きは以下の通り

である。

(1)実験(1回目):Pre-test

①インフォームドコンセント、②実験の説明と

承諾書への記入、③POMSへ回答、④筆記する

出来事の選定(反すうの程度,苦痛度へ回答)、

⑤IES-Rへ回答、⑥出来事の概要の記入、⑦筆

記表現練習課題(2分間)、⑧筆記表現本課題

(15分間)、⑨実験操作の妥当性確認の質問項目へ

の回答、⑩ホームワークの説明。

(2)ホームワーク

①筆記表現課題(15分)、②実験操作の妥当性

確認の質問項目へ回答。

(3)実験(2回目):Post-test

①ホームワークの受け取り、②出来事の概要の

黙読、③筆記表現課題(15分)、④実験操作の妥

当性確認の質問項目へ回答、⑤POMS,IES-R,

反すうの程度,苦痛度への回答、⑥デブリーフィ

ング、⑦指標回答の説明。

(4)指標の回答:FollowUp

①POMSIES-R,反すうの程度,苦痛度への

回答、②筆記表現課題(15分)(倫理的配慮から、

概念・評価型自己注目群に対する、経験型自己注

目の筆記表現課題)、③実験操作の妥当性確認の

質問項目。

【結果】

1.実験操作の妥当性

実験操作の妥当性検討のため,実験操作の妥当

`性を確認する自作の質問項目それぞれについて,

筆記条件(D群.B群)×測定段階(Pre-test・

Post-test・FollowUp)の2要因混合計画の分

散分析を行った。各質問項目の平均値と標準偏差

をTablelに示す。

その結果、全ての質問において、筆記条件の主

効果が見られなかった。このことから、本研究で

用いられた教示文が、妥当に機能しなかった可能

`性が示唆された。

2.抑うつ気分,出来事に関する思考の持続につ

いて

自己注目のモードが抑うつ気分や思考の持続に

及ぼす影響について検討するため、POMSの抑

うつ因子得点、IES-Rの再体験症状・侵入的想

起因子得点、IES-Rの回避因子得点,自作の

「その出来事に対する反すうの程度」を測定する

質問項目得点,自作の「その出来事の苦痛度」を

6.倫理的配慮

本研究は、臨床研究の倫理的基準であるヘルシ

ンキ宣言に則り進められた。実験参加に当たって

は、実験内容、途中で中断/中止しても参加者に

一際不利は生じないこと等を説明を行い同意書に

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琉球大学教育学部紀要第77集

測定する質問項目得点それぞれについて,筆記条

件(D群.B群)×測定段階(Pre-testPost-test・

FollowUp)の2要因混合計画の分散分析を行なっ

た。各指標の得点の平均値と標準偏差をTable2

に示す。

その結果、いずれの指標においても交互作用は

見られなかった。

抑うつ気分においては、測定段階の主効果に有

意差が見られた(P(2,22)=4359,p<,05)。

多重比較検定の結果、Post-testからFollowUp

にかけて群に関わらず有意に得点が減少している

ことが示された。

IES-Rの再体験・侵入的想起因子得点におい

て、測定段階の主効果が見られた(P(2,22)

=6.143,p<01)。多重比較検定の結果、Pre-test

からFollowUpにかけて、群に関わらず有意に

得点が減少していることが示された。

出来事に対する反すう得点において、測定段階

の主効果が見られた(P(2,22)=17.137,p<01)。

多重比較検定の結果、Pre-testからFollowUp

にかけて、またPost-testからFollowUpにか

けて、群に関わらず有意に得点が減少しているこ

とが示された(Fig.1参照)。

出来事における苦痛度得点において、測定段階

の主効果に有意差が見られた(F(2,22)=19.326,

p<01)。多重比較検定の結果、PretestからPost‐

Tablel実験操作の妥当性を確認する質問項目の平均値と標準偏差*()内は標準偏差

質門1質門2質門3質門4質門5

268(052)400(110)450(084)367(082)268(151)

283(098)400(089)450(084)350(105)283(147)

318(075)467(052)433(052)333(103)333(134)

329(138)414(069)371(09)371(111)257(098)

271(170)414(038)371(111)257(113)257(054)

343(127)443(054)414(038)300(116)343(098)

Table2気分、思考の持続を測定する各指標の平均値と標準偏差*()内は標準偏差

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質問1 質問2 質問3 質問4 質問5

doingモード自己注目群

筆記1回目 2.68(0.52) 4.00(1.10) 4.50(0.84) 3.67(0.82) 2.68(151)

筆記2回目 2.83(0.98) 400(0.89) 4.50(0.84) 3.50(1.05) 2.83(1.47)

筆記3回目 3.18(0.75) 4.67(0.52) 4.33(0.52) 3.33(1.03) 3.33(1.34)

beingモード自己注目群

筆記1回目 3.29(1.38) 414(069) 3.71(095) 3.71(1.11) 257(0.98)

筆記2回目 271(1.70) 4.14(0.38) 371(1.11) 2.57(1.13) 257(054)

筆記3回目 3.43(127) 4.43(054) 414(0.38) 3.00(1.16) 343(0.98)

POMS(抑うつ) pre-test post-test FollowUp

doingモード自己注目群 10.33(7.09) 1667(1384) 8.17(722)

beingモード自己注目群 11.00(658) 10.57(9.02) 5429(6.35)

IES-R

(再体験症状・侵入的想起)

doingモード自己注目群 9.67(615) 7.50(565) 4.33(437)

beingモード自己注目群 8.29(4.19) 6.43(4.04) 429(3.82)

(回避)

doingモード自己注目群 4.67(393) 4.00(276) 2.83(2.79)

beingモード自己注目群 9.43(5.68) 7.86(6.70) 614(7.43)

出来事に対する反すうの頻度

doingモード自己注目群 2.83(075) 2.00(1.10) 1.33(1.03)

beingモード自己注目群 2.71(049) 2.57(054) 1.29(0.95)

出来事の苦痛度

doingモード自己注目群 2.50(0.55) 2.00(063) 1.50(1.05)

beingモード自己注目群 2.29(0.49) 1.29(076) 1.43(0.54)

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竹市・伊藤:処理モードの異なる自己注目が抑うつ的反すうに及ぼす影響

testにかけて、またPre-testからFollowUpに

かけて、群に関わらず有意に得点が減少している

ことが示された。

により分析対象者を選定するという手続きをとる

ことが困難であったことが考えられる。本研究で

は、①抑うつ特`性や②反すう特』性は高くないが、

③ここ1ヶ月の間に自我関与度の高いネガティブ

な経験をし、④その経験をよく反すうしてしまう

個人をスクリーニングした。この様に、4つの基

準をクリアしなければ実験参加者として協力を依

頼できないということは、それだけスクリーニン

グを難しくする。こうした基準の厳しさが、実験

参加者人数が確保できなかった理由である。2点

目は、教示にしたがった筆記表現課題を行なうこ

との困難さが挙げられる。実験参加者の中に、誘

導された自己注目の姿勢で筆記をすることが困難

であると報告した者や、beingモード自己注目の

姿勢が普段の自己注目と異なるためリアリティが

伴わない、と報告した者が少なからずいた。

doingモードと比較してbeingモードは、普段意

識されにくい処理モードであり、特に抑うつ的'情

報を処理するためには利用されにくいモードであ

る。こうしたことから、特にbeingモードの誘

導に際しては、単なる教示による誘導ではな

く、ある程度時間をかけた説明と訓練が必要に

なるのかもしれない。この点に関して、Watkins,

Moberly,&Moulds(2008)は、自己注目のモー

ドを操作する際に、より効果的な誘導を行なうた

めの工夫として、教示を2段階に分けて行う手続

きを導入している。本邦においても、こうした方

法を用いた実験研究が行われ、一部その効果が確

認されている(佐々木・岩永・金井,2009)。モー

ドの操作において、このような実験方法の工夫が

可能であると考えられる。

他方、本研究のような自己注目を操作する研究

は、国内外で試みられているが、海外の研究にお

いては自己注目のモードの効果が確認されている

のに対して、国内での研究においては結果が一貫

しない。この理由として、欧米と日本の文化的差

異の問題が考えられる。欧米では理性が人を動か

すが、日本は集団の意見が人を動かすと言われる

(トリアンデイス(箸)神山・藤原(編訳),2002)。

少なくとも本邦においては、言語教示に対して言

語的には「理解した」と言いながら心の底から納

得はしない場合があり、心の底から納得しない場

合は、した場合と比して教示の効果が得られない

2.5

1.5 厩0.5

Pre-testPost-testFolloWUp

Figl出来事に対する反すうの程度の得点

【考察】

本研究の目的は、Watkins(2004)を参考に、

いくつかの改善を加えつつ追試をし、beingモー

ド自己注目は、doingモード自己注目と比較して

反すうの程度や抑うつ的処理の活性化を軽減する

働きがあるかどうかを実証的に検討することであっ

た。しかし、いくつかの理由により、この仮説を

検証するにはいたらなかった。以下に、考えられ

る問題点と本研究の結果から得られる示唆につい

て考察する。

1.実験操作の妥当性

実験操作の妥当`性を確認するすべての質問項目

において、両群は等質であった。まず、両群の共

通の筆記内容を反映する質問項目において群間に

差が見られなかったことより、自分の行動、気分、

思考に注目するという自己注目の誘導が両群にお

いて等質であったと考えられる。しかし本研究で

は、D群の筆記内容を反映する質問項目、B群の

筆記内容を反映する質問項目それぞれにおいても、

交互作用、群の主効果共に認められなかった。こ

のことから、教示によって自己注目のモードを誘

導する実験操作が効果的でなかったと考えられる。

この理由について、実験方法と文化的差異とい

う2つの視点から考察する。まず、実験の方法上

の問題として2点考えられる。まず1点目は、実

験参加者の人数の少なさから、実験操作の妥当,性

-169-

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琉球大学教育学部紀要第77集

ことが示されている(Ito&Nagamine,2008)。

このことから、特に本邦においては、簡単な言語

教示ではない、新しいbeingモード誘導手続き

の開発が必要となるのかもしれない。なお、本研

究では、当初Watkins(2004)の教示文を和訳

したものを用いたが、予備実験の中で理解が得ら

れにくかったことから、より理解しやすくなるよ

う文を変更して用いた。そのため、教示文が先行

研究と異なるために効果が得られなかったと考え

ることも出来る。しかし、亀沖・佐藤(2009)は、

Rimes&Watkins(2005)の教示文を忠実に和

訳した教示文を用いて検討を行っているが、本研

究と同様に十分な結果は得られなかった。彼女ら

は、実験操作の妥当性を確認する指標と実験参加

者の内省報告から、経験型自己注目群の教示文の

理解が困難であり、実験操作が不十分であったと

考察している。こうしたことから、教示文の訳出

の問題よりも、教示による誘導に対する従順`性の

文化差の影響が強いと想定される。

本研究の結果から、beingモードはただでさえ

掴みにくい概念であり、そこに文化的な影響が重

なったことが、その効果を見えにくくする要因と

なったと推察できる。こうした文化的影響も考慮

すると、教示を行う際の工夫も大事かも知れない

が、よりアクティブなbeingモードの誘導手続

きを検討する必要があると言えるかも知れない。

川監訳,2004)。doingモード自己注目によりネ

ガティブな出来事を筆記することが、そうした技

法としての機能を果たした可能性もある。さらに、

本邦の筆記表現法をもちいた研究において、トラ

ウマティックな出来事を筆記表現するだけではな

く、中性的な出来事(新聞記事、今目の前にある

ものの客観的な描写など)について一定期間筆記

するだけでも、心身に好影響を与えることが示さ

れている(例えば佐藤・坂野,2000)。本研究に

おいても、こうした筆記表現に共通する、書くこ

とそのものに含まれる要因の影響があったとも考

えられる。一方で、本研究においては、筆記する

出来事の感』情的強度が高くなかったことが影響し

ている可能`性もある。今回倫理的配慮により、筆

記する出来事は「過度にネガティブでない出来事」

という基準を設けていたため、それほどネガティ

ブとは感じていない出来事について筆記した者が

実際多かった。そのため、抑うつ気分や侵入思考、

反すうも軽度なものであったために、時間経過と

共に自然回復したとも考えられるのである。

本研究では十分beingモードの自己注目の有

効`性を示すことが出来なかったが、このモードの

酒養を目指すマインドフルネストレーニングや、

マインドフルネスに基づく様々な認知行動プログ

ラムは、うつ病の再発予防の他、様々な対象に効

果を発揮することが示されている(伊藤・長谷川・

甲田,2010)。近年のマインドフルネスブームに

より、その効果`性ばかりが注目されるが、その背

景のメカニズムがどの様なものなのか、理解を深

める必要がある。心理療法は、技法さえ用いれば

簡単に効果が発揮されるものではない。その技法

を如何に活用するかが重要となる。その技術を高

めるためにも、効果のメカニズム研究は必要とな

ろう。本研究の成果を、今後のメカニズム研究に

活かしていきたい。

2.自己注目のモードが気分や思考の持続に及ぼ

す影響

本研究では、上記に述べたように、実験操作が

十分でなかったため、教示が反すうに及ぼす影響

の違いを捉えることは出来なかった。しかし、一

方で両群の教示がいずれも反すう傾向や苦痛度の

軽減に寄与することが示された。このことについ

て簡単に考察したい。筆記表現は、ネガティブな

出来事に関連する事実や↓清動に注意を向け、スト

レスフルな刺激に繰り返しさらされることでその

刺激とネガティブな情動との結びつきが消去され

る「馴化」と、ストレッサー関連の刺激に対する

見方や刺激への反応に対する見方が変化する「認

知的再体制化」のメカニズムによって、心身の健康

に有益な効果をもたらすと言われている(Lepore

&Smyth,2002(余語・佐藤・河野・大平・湯

【付記】

本研究は、科学研究費補助金(課題番号185305

38)の課題研究の一環として行われた。

-170-

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竹市・伊藤:処理モードの異なる自己注目が抑うつ的反すうに及ぼす影響

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