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Title 証券取引におけるブローカー・ディーラーの義務と責任 : いわゆる”Shingle theory”を中心として Author(s) 島袋, 鉄男 Citation 琉大法学(10): 95-116 Issue Date 1969-06 URL http://hdl.handle.net/20.500.12000/2283 Rights

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Title 証券取引におけるブローカー・ディーラーの義務と責任 :いわゆる”Shingle theory”を中心として

Author(s) 島袋, 鉄男

Citation 琉大法学(10): 95-116

Issue Date 1969-06

URL http://hdl.handle.net/20.500.12000/2283

Rights

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95証券取引におけるブローカー・ディーラーの義務と責任(島袋鉄男)

一、証券の大衆化に伴って、投資家層が証券市場に関する知織を有しない大衆投資家に拡っていくにつれて、

証券取引の媒介をなす証券業者の役割が重要なものとなってくる。証券の性質や証券市場の複雑性等により、証

券取引に関しては、或る程度の専門的知識を必要とするところから、一般投資家は、証券業者を介して証券の売

買を行う場合が多く、しかもその際、証券業者(特に証券業者のセールスマンを含めて)の助言や勧告に強く依

存して取引をなすのが普通となる。証券取引自体が一般的に不正行為が行われやすい分野とされるが、特に右の

ような依存関係が存する場合、証券業者の側に、一般投資家の無知に乗じた不正行為が行われやすく、しかもそ

〔英米判例研究〕証券取引におけるブローカー・

デバーラーの義務と責任

Iいわゆる〈(の亘曰巴の号の。ご》》を中心としてI

可閏]〔駈困ロ、胃溺陣○○・rE隅Ⅳトー峰トー血旧陪Ⅳr」腫匝山向卜」階トト峰トト』に吟じ

巨困胃切く・の固○」「炉帰限暉p‐ぬElに陣峰』

島袋鉄男

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琉大法学第10号 (1969) 96

即ち、

缶)

のような不正行為は広く公益に関するところから、特に証券業者の規制が必要となる。

証券取引における不正行為を禁止する一般的な詐欺禁止規定(のgの国]自茸‐【国且己【・く回目の)として

は、すべての人の証券の売付における詐欺行為を禁じた証券法一七条a項(のg芹一目]『(色)C罠蔚の9口『言研

(1)

シ・(。【]①題)及び、売付、買付における詐欺行為を禁止する証券取引所法一○条b項(の図画○コ]Ce。[sの

(2)

の円日三田因〆。ゴ目鴨シ2.ごc鷺)同条項に基いて、証券取引委員会(の円目篇の目・固〆Cゴ目、の○・日目$】8

以下SECとして引用)によって制定された規則一○b’五(幻巳の]◎▼、)があるが、特に、ブローカー・デイ

(3)

-ラーの詐欺行為を禁ずる規定として、証券取引所法一五条C項一号がある。同規定は、ブローカー又はディー

ラーが、証券取引所以外において、詐欺的手段(耳日田ロ⑩。{図ご]】]②ヨ己]】一目くの》」円⑪己こぐの》OHC夢の局帛国且ロー

}⑦日このぐ]。①○円8日己ぐ目・の)によって証券取引又は売買の勧誘をなすことを禁止し、SECに対して、詐欺的

手段の内容を定める権限を付与している。同規定に基づき、SECは九つの規則を制定しているが、特に一般的

に詐欺行為を定義したものとして、規則一五Cl’一一(宛ロ]①]留]凸)が重要である。

同規則によれば、証券取引所法一五条C項一号にいう詐欺的手段とは、次のような行為を含むものとされる。

s)。::自旨ロ日日のの国芹の曰の貝○{由ロ国→の同旨]衝、(四口二mロ『。p〕〕冊〕()ござい一四一○回日日の[旨]註、一口の8mmロ『】

」ロ。『』の『芹。■】四斤⑦(ずロ黒色{①。]のロ→ロ】ロユの】】ロ(ずの]一m西[。(→ゴのo]【、芦爲ご呉凹ゴロの叩ロロロの「蛍「ゴー、ゴ(ずの豈囚氏のロ〕四二の》

ヨ○一Hロ】の]の四』一己、ショゴ甘云印{四(のロ]のご-.『。。]一のの一○二一m己■色』⑦一二二壷宍。。ニミーの砲の。『『の臼⑩○三騨一〕一の頤『C巨己皀叩一○房の]]のくの

百℃。□四目『己の【の○口。

。::、ロ『②。{》ロ『ロ、念、。】。[no目[の⑦○mケ臣⑩一口の⑩⑩二『ず】n面○勺の『四(の②o『愛『○臣]PC己の【四群の回のPm『画ロ○○円□の、の拝

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細顧客との取引において、証券業者の側に不実表示等の積極的詐欺行為がある場合は、コモン。ロー上の詐欺

(6)

蹟(菌己・目⑩『の日田g薗威目)に関する法により証券業者の責任を追求することが可能であるが、そのような不実

》表示にいたらない段階でも、例えば、いわゆる半事実(目]【‐{日岳)の表示や、取引に重大な影響をもつ事実の不開

亜一不等により、一方の当事者のみが不当に利得する場合があり、その規制が、コモン・ロー及び制定法上問題とされ

一ブ-ている。コモン・ロ1においても、詐欺や代理(“ぬ目。】)に関する法において、そのような場合に適用される法理

デ論の発展をみているが、証券関係法の一般的詐欺禁止規定の下で、その規制が著しく強化されている。証券業者

鈩と顧客たる一般投資家との間の取引行為を規制する場合に直面する法理論上の重要な問題点は、顧客の側が、取引

」の段階における保謹手段に欠け、相手方たる証券業者に依存せざるを得ないという状態にある場合に、いわゆる

諄貿主危険負担(βご団一の曰官・局)の原則が適用される伝統的な対等者間における取引(日日》の‐一目臼可耳目、’

鋤凹28)を支配する法原理が、どのように適用されるのか、又は投資家保護の見地からどのように修正されるベ

ア』

(7)

引きかということである。証券業者の側に特殊な義務を課することによって、一般投資家を保護していくというの

取券がSECや裁判所の採っている基本態度である。

二、証券取引所法は、証券の売買を媒介する証券業者として、ブローカー及びディーラーをあげ、両者につい

”て次のような定義規定をおいている。

(島袋鉄男)

芹忘色芹洋一のロゴ一『ロの。『『ご賦一の四Q-pm・

証券取引所法は、これらの詐欺禁止規定の実効を保証する方法としてすべてのブローカー・ディーラーに対し

(4)

て、SECへの登録を強制し、SECに対して証券関係法及び規則違反があった場合の登録取消権を与えてい

、‐l〃

て、(

(5)

る。

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琉大法学第10号 (1969) 98

、史苣○口②亘(←)円寄①房目目角耳・岸の[・・自国白の目『□③H8p8mP館の』】口冒のす■のヨの冊C[の【(ロ〉一目、一『目触后ごC口の

甘頚門日葺〔閉喘○周忌のm8o巨員aC昏の【の》ず日ロ。、閉口。(旨、]ロロの回す目屍・

{可)円きの←の口巨・尾」の臼}の【弓日〔遥口mmp『ご臼典】ロのごmmmの□】ロ一彦のごロの日田い。〔ず巨豈目、四口ロ県〉]]旨、

既冶冒貫研さH旨⑭○三コ98口貝:::。

ブローカーは、顧客のために代理人(四mのロ。])として売買を行い、ディーラーは本人(ロュコQbm})として

の資格で、顧客に対して証券を売付け、顧客から証券を買付ける者であるという点で、両者は異なるものとさ

(8)

れ、判例も右のような相違点を指摘していたが、証券取引所法も同じく、両者を異なるものとして定義したわけ

ブローカーは顧客の代理人であるから、ブローカーの顧客との証券取引における不正行為に関してはゴモン・

ロー上の代理人の忠実義務(臣号冒昌旦昌のぃ目目(】研。【]・胃]ご)及び詐欺に関する法理により、ブロー

カーに対して、次のような厳格な義務と責任が課される。即ち、代理人(ブローカー)は委任された事項につい

ては本人の利益のためにのみ行為する義務を負い、委任された事項に関して、代理人としての行為に影響を及ぼ

すような、本人の利益と相反するような隠れた利害関係(目罠目『⑦ご田]巴冒目のの(且ぐの【沼8号go{吾の

己旨Cゼロ])を有することは代理人の忠実義務違反となる。又、本人の承諾ある場合を除いて、自己取引をして

はならず、自己取引を行なう場合でも、対等者間における取引においては要求されないような、代理人として知

(、)

り得たか又は知り得べき、本人の利益に関係を有する重要事実の開示義務を負う。単なる沈黙や、知り得た事実

の不開示は、原則として詐欺訴権(凹目目{・「□R図一)の原因とはならないけれども、当事者間に何らかの信任

関係(昌巨:『ご『の一目目の言已)が存し、一方が他方に対して特別な開示義務を負う場合には、不開示や沈黙

で麓。

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ラーの義務と責任(島袋鉄男)証券取引におけるプロ ・デイ99 力

(u)

も詐欺となり、従って代理人が右の重要事実の開示を怠ることは、本人に対する詐欺行為となる。

ブローカーの不正行為に対しては右に述べた法理の適用により顧客の保護がはかられるが、ディーラーの顧客

との取引には右の法理は必ずしも適用されない。何故なら、顧客との取引においてディーラーは顧客の代理人で

はなく、本人として自己のために取引を行うものであるから、ディーラーと顧客との関係は、少くとも形式上

は、いわゆる対等者間の取引であり、代理法理よりもむしろ伝統的な買主危険負担の原則が適用される法律関係

と考えられるからである。しかしながら、実際には、一方が証券業務に関して専門的知識を有する者であるのに

対し、他方は証券市場に関する知識を有しない一般投資家であり、取引に当っても、相手方たるディーラーの助

言や勧告に多く依存するという関係、或る意味での信頼関係が存在するのであるから、その間における取引を、

伝統的な対等者間の取引として処理してしまうことは顧客の利益を害し、ディーラーに不公正な利益を得させる

結果になる。このような不当な結果を排除し、一般投資家の保護をはかる手段として、一般的詐欺禁止規定及び

その下で確立した法理が、この場合にも活用されるが、特にディーラーに関してSECは、証券法一七条a項及

び証券取引所法一五条c項、規則一五C-l一一の適用について、いくつかの特殊な法理を確立している。中でも

重要なのが、ディーラーに対して、公正な取引(ず】『:巳曰、)及び専門職業の規範(鼻目:amC鳧昏のロ・

開①世(日)に従って取引をなす義務を課する、いわゆる急α面目、]の菖のCQ・・と呼ばれる法理及びディーラーと顧

客との関係を一種の信認関係としてとらえる法理である。SECによって採用されたこれらの法理は、それぞれ

o富『』(腸国邑召(出陣○○・.」。。.『・の因○ケース及び四国召の⑩ぐ・の因○ケースにおいて裁判所の支持するところと

なった。

〔注〕

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琉大法学第10号 (1969) 100

(⑬)[。①ロ菌凹、の再口田口望斤『ppmロ、三.自己ロ『四、ごロ①やC『DC巨汽いの。[す巨呂ロの⑪印ニミラ】o声。どの閂白戸ののonゴミCE-』◎己①『仰〔の色のロ

【H回巨。。円』①。①再こつCロ(すのご巨汽、豈画の①託。

2一mm日庁.、巴(巳豊)囚⑩鯉口】のロロのユロ粋。p.m.○・mのn.旨](ず)(HCo←).

3←□の庁凹[・の@m(揖①囚《)四②、目のロ」①』』山已・叩・○・叩の、。qの。(、)(』)C①。←)。

4mの。。]の(四)(】)。『吾のの①。色『骨已の⑩因浜の豈mpmのシRロ】、□・の。◎。mのC・ロロ(画)(拝)

5mg・扇(す)(、)。〔号の、の、巨昌庁】①⑩向〆、苣凹己、のシn斤・惇山ご・の.。・の①◎・旨。(す)(、).

6勺8の⑫の同亨自昏のFロ三.[『。『厨(“。⑥色・桴⑪詮)の①。』○○

7OCB日の貝の》○員局員用B亘の目の旨のの2『量⑦⑪”①、巳四二.曰雪日冨】目・貯・丙のく・gP&』(届望)

1

ロ)閂ウー。。

gなお、ブローカーとディーラーは、本文で述べたように、異なる性格のものと考えられ、証券取引所法も別個のものとして

定義しているが、実際の証券界においては、両作用が同一の証券会社によって行なわれるのが普通であり、特に店頭取引

一房}(◎の■

(函)【。○ず

庁。H昌凹【の岸

一のロローロ、・○門

おの画[・段(■巴四)■い:】の目の』》】、己。⑫。n.いのn・日P(出)(】⑪。←)・同条項は次のように規定している。

][い豈回一一ケ①Eローロニヨ【E]mOnp己】ロの『の○二』己【すの。【[のHcH⑫四一①Cmm己望⑩の。Eユ且の⑪ケ『【声の巨⑪のC【図己嗜『己の四曰⑫。H

】■の(吋巨旨己のロ【⑩。[[『ロ己⑩己。円(回ご◎己。『。。p】■]■ロ一○四二○口】曰一口[⑩n⑫〔ロ芹の。。『。『ゴの『、のC『す][ラの臣の①。【〔ゴ⑦】己■一一⑩や。」『の、匡冒

岸い豈回屋す①

】■の(吋巨旨巨のロ【⑩(

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(◎のヨ】□】。]四コ■』の『】Oの》⑩。声の門口の。◎用四円ご[』、の庁。□の〔『凹巨□やC『

【。○ず(四ゴニゴ]◎己の]◎討つ『。pの『【冒す]再己の餌ロ⑩○m四口]巨口〔【Eの、一四[の『己の。←。(画旦】四斤のユ画一[回。一己の、の⑩由、『]・pCHq①H

【の【ロ①の芹四戸の再皀の巨斥、門口囚旦の》一己佇彦①|】、毒【。、芹匡の◎一吋n戸目】、[凹已。①、巨己色の『ヨ『ゴ】、云斤声の望三の【の『己僅旦の。p○斤目二m0

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証券取引におけるブローカー・ディーラーの義務と責任(島袋鉄男)101

一、本件は、申立人のブローカー・ディーラーとしての登録を取消す旨のSECの命令(・己臼)に対して再審

理を求めたケースである。申立人の○冒円]の、西口、可①、陣○・・.旨。・は、ブローカー。ディーラーとして、SEC

に登録された証券業者で、証券の店頭取引(・くの【‐岳の‐8目芹曾寓且旨、)に従事していた。SECは申立人が、売

値と原価との差額(白日屍‐ロ巳を顧客に開示せずに、店頭市場における価格を著しく超える価格で証券を売付け

た行為が、証券法一七条a項及び証券取引所法一五条C項一号、規則一五C-l--に規定されている詐欺(洋目□

目ロ・円2)に当るとして、ブローカー・ディーラーとしての登録を取消す旨の決定をなした。

問題となった取引は、申立人の顧客係によって行われたものであり、相手方たる顧客はほとんど、証券に関す

る知識を有しない独身女性や未亡人であった。その販売の仕方は、巨厨・句ロ38房の場合を例にとってみると次

のようなものであった。申立人の代理人であるの己]白目は、見込みのある顧客として名前の載っている三『叩・

句冒す円宍に電話で株式買入れを勧誘し断られたに拘らず、翌日、翌々日と勧誘を続け、彼女の方がとうとう賀

n勺『○mの⑦『。。ご・。】【・色□】Pロ旨・

口○ず口『]●、困巨、げ。⑩陣○P》閂ロ○・・ぐ・の①2『旨①⑫嗣〆○冨目館①Og貝已印凶Cp・》

]四@句・画□』四一〈画go旨」①一四)

においては、ほとんどがそうであるといわれている。法的取扱いにおいても、後にみるように、ディーラーにもブローカー

と同様な義務責任が課される等、類似の取扱いがなされ、証券の販売行為の分野においては、両者の区別がほとんど無視

され、SECも両者を包含した犀・【円‐ロのロ]③旬という呼称を使っている。DCB目]のロ目冨』・回国呂・

nmの四弓の夢目彦①F自毫○mシ胸のロ。](]の望)の①。⑩。辰口』お》]、○・富のo彦のョ》。P二旨の。【旨の田自三○〔崔賄の回、望(届留)の円い.g←》

、←】

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(1969) 102琉大法学第10号

入れを承諾するまで毎日電話での勧誘を続けた。それ以来の三一日目と彼の使用人シ『日骨8mは、次第に彼女

の信用を得、ついに彼女の有価証券一覧表(出〉目貫のmbo1{○一]。)の完全な管理を事実上まかされるまでになっ

た。一一、一一一日ごとに、二人のうちのどちらかが、明らかに普通でない買付をなすと、彼女の方はその取引の資金

を調達するために、より評判のよい証券を売却したうえで、買付けられた当該証券を彼女のコレクションに加え

ていった。このような仕方で、旨3.句口昌円弄や他の顧客達が証券の代価として支払った価格は、市場価格を一

六・一から四○、九パーセント超えるものであった。その上、申立人が充付けるべき株式を購入する以前に、顧

客からの頁注文が確定しているというのが普通であったから、その取引は申立人にとって何らの危険をも伴うも

のではなかった。の芹皀目目やシ日風閂8mが、当該価格と市場価格との関連について二『の.『ロ『ず円歸に直接何

らかの表示をなしたか否かについては、記録上争いがあり、彼女は、買付の決定をなすについては、価格が店頭

市場における時価よりも低いという言明(の夏⑦日の貝)に直接動かされたと述べているのに対して、彼等はその

ような言明を全く否定している。しかしながら、彼等も、彼女に売付けた証券の真の市場価格や、申立人の利益

が平均一一五パーセント前後であるという事実を彼女に知らせなかったという点については争っていない。他の顧

客に関する類似の証拠は、申立人の一連の業務が、顧客に対して市場価格を開示せずに、極端に高い価格で証券

を売付けたものであるというSECの事実認定を決定的なものとするについて、制定法によって要求せられる

「実質的証拠」(呂圖目忌]の『冠88)を提供するに充分なものであった。申立人は憲法問題の他に、⑩証券

法一七条a項違反については証明されていない。②SECは当該証券の実際の市場価格を確定する実質的証拠を

提出していないとして異議を申立てた。

(、)

一一、裁判所は、まず一七条a項違反について、記録上一七条a項に規定されている三態様の禁止行為にそれぞ

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れ該当する行為があったことを示す証拠があるとして、その理由を次のように述べている。

「重要事実について虚偽表示があったことを示す唯一の証拠は、巨円の局巨【ず8房が主張している、売買価格が

》市場価格以下であるという言明があったということだけであり、先にも指摘した通り、この言明は申立人のセー袋ルスマン達によって否定されている。委員会はこの争点について事実認定をなしていないけれども、我々はこの

島極争点を解決する特別の事実認定を要求する必要を認めない。何改なら、我々は申立人が売値と原価との差額に関

霞して採った方針が、重要事実を述べることを怠ること(。且因目)に該当するのは勿論、買主に対する詐欺

露(溥目□国且。§房)仏に当ると考えるからである。

や店頭取引に従事する証券業者が、祇極的に顧客を勧誘したうえで、本件で申立人が請求したような市場価格を

一フーはるかに超える価格で証券を顧客に一元付けた場合は、詐欺を行ったと着倣されなければならない。これらの者

デは、自己を当該証券について助言する充分な資格を有する者として表示しているのであるから、もし売買価格が

が市場価格を著しく超える場合には、市場価格を開示すべきである。たとえ申立人を単純な売主、買主間の取引に

』おける本人(陣圓口・官]甘口巴日ロ」のぐ目。。【’ご色日高路:【目囲昌目)と考えた場合でも(少くとも若干の例

寂においては、申立人が実際には買主のために代理人(す『・訂『‐僧の貝)として行動しなかったか否かにつき疑い

γ制がある。この場合には開示されないすべての利益は没収されることになるだろう)なお依然として、申立人が専

に引門的知識を有すること及び積極的に助言ロを与えた点からみて申立人は顧客が市場に関して無知であるに乗じて利

取鑑得をしないという特別の義務を負うものである。申立人の取引の成功のカギは、申立人が徐々に顧客から得てい

った申立人自身に対する信頼(8.臣の月の)である。ひとたびそのような信頼が確立された後は、申立人の得

、る売値と原価との差額を明らかにしないことは、重要事実を述べることを怠ること及び詐欺的手段を用いること

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104琉大法学第10号 (1969)

(週)

に該当する。詐欺に関する法は、明示の表示と黙示の不実表示又は隠蔽行為とを区別していない。」

更に、投資証券の売買業務についてはP投資者保謎のために特別な規制が必要であると考えられているところ

から、本件における行為がどの程度コモン・ロー上の詐欺に該当するか否かを決定する必要はないとして、本件

における行為が証券法上の詐欺とみなされる理由を次のように述べている。

「証券立法の本来の目的は、市場の状況を知らない者を、それを知っている者の詐欺から保護することにあ

る。そのような保護は最終的帰結即ち証券について請求される価格の点についてまで問題としないならば無意味

であろう。実際、事実上価値がないか又は言い値(閉嵐月ご国8)よりもはるかに価値の少ない証券の売付を

排除することは、証券の売買における詐欺を防止するすべての立法の目的である。もし、この広く公表された立

法の下における数年の経験の後に、我々が、一般大衆は委員会によって免許が与えられたブローカーは、内部者

(旨の筐の『)によって容易に確めうる市場価格を一一五パーセントも超過した価格では善良な投資者に対して証券を

売付けないということについてブローカーを信頼し得ないという状態を見出すとすれば、我々はそのような立法

を一種の落し穴(日岡『の)、幻想aの]ロの】目)とほとんど変らない状態のまま残すことになるだろう。証券売

買におけるそのような悪慣行をやめさせるために、委員会はその責務について正当な解釈を下したと考え麺」

市場価格についての証明がないという点については、毎日の証券市況を提供している公認のCPC国威目閏ご】8

において公表された相場及び証券業者自身によって支払われた価格が、反対の証拠がない限り、通常、市場価格

を示すものであると述べている。

一一一、本件はSECによって採用され発展せられてきた、いわゆる月αゴヨ、]①夢角)ご・・に関する代表的ケース

である。

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ユ05 証券取引におけるブt,-カー・ディーラーの義務と安任 (包袋鉄男)

..Shingtetheory

"

sECによ

って最初に適用されたのは

Ducker&

Duct(erケースであり'そのケース

でsECはブ

ローカー

・ディーラIが'たとえ代理人としてではな-'本人として取引をする場合でも、市場価

格に照して明らかに不当且不合理な価格を請求することは'証券法

一七粂

a項及び証券取引所法

一五条C項

一号

に遵反するものであるとした.その理由は'対等者取引

(atarm.S・)engLhtransactim)におけるディーラー

にあ

っても'彼がディ17-としての看萩

(shingte)

を掲げることによって'公衆に対して'公正な取引を

行うことを

黙示的に表明したことになり'

彼の要求する価格が'

反対の意思表示の

ない限り'

市場価格とな

んらかの合理的関連を有するものであることはその黙示的表明

(imptied

representation)

1要素をなすも

のであるから'市場価格と合理的関連を有しない価格を請求することは黙示的表明に遼反することになり'顧客

(15)

に対する詐欺となるというものであ

った

その中でsECは'

「顧客は公正

(

fa

irty

)

且つ専門職業の規範

(

standardsof

theprofession)

に従

って取扱われるという表示が顧客とディーラーとの関係に内在するもの

(1

6)

である」と述べている

DuclierケースでsECは'法規違反の根拠を伝統的な詐欺や代理の法理には求めてい

ない。

コモン・ロー上の詐欺や代理人の義務に関する法理が必ずしも適用されないディーラIの行為'特に'法

技術上いわゆる本人としての資格で故引をなす場合について'新しい法理を法規違反の理由として採用したわけ

であり'それがいわゆる..Shin

gletheory"と呼ばれるにいた

った。その法理は右に見たように'免許を受けて

証券取引業務に従事するブ

ローカー

・ディーラーは'

1般大衆と取引をなす際に'いわゆる看板を掲げて自己を

ローカー

・ディユ

7-として表示することによ

って、自分が複雑な証券投資兼務に関する専門的知識を有する

こと及び取引に当

っては「公正且専門職業の規範」に従

って行為することを黙示的に表明したことになり'その結

果'不公正な敢引をなしたり'専門職業の親範に従わなかったりすることは顧客に対する詐欺となるというもの

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106(1969)琉大法学第10号

DP呂円ケース以後この法理はSECによって数多くのケースに適用されたが、裁判所においてこの法理が適

(四)

用されたのは本件が最初であるといわれる。もっとも本件における裁判所の見解は《(の三コ、一の吾8q・・の法原

則を詳細且正確に述べているとはいえず、この法理を全面的に確認したものか否かについては疑問がないではな

いが、SECは、ブローカー・ディーラーに対する訴訟手続において本件を屡々引用しており、SECが本件を

(p)

急のゲヨ、一の吾8昌弓に対して司法的承認を与えたものと考えていることは確かなようである。

・の冨口、」⑦吾の。ご・・の適用について問題となるのは、まず、ディーラーと顧客との間に如何なる関係が存す

る場合に、ディーラーの側に「公正且専門職業の規範」に従って行為すべき義務が生じるのかということと、そ

の義務の具体的内容、換言すれば、ディーラーの如何なる行為がいわゆる黙示的表明に違反すると看倣これるの

(Ⅲ)

である。

まず前者の問題について己巨・宍貝ケース及び本件についてみると、己屋・青『ケースにおいては前述の通り、法規

違反の根拠をコモン・ロー上の詐欺や代理の法理に求めてはいないけれども、顧客のディーラーとの関係に対す

(、)

る信頼(【の一同目の)があったことがディーラーの義務を定めるについて重視さるべき要素とされており、本件に

おいても、事実認定の際、ディーラーの側に執勧な勧誘行為があったこと、顧客が証券市場についての知識を有

しない者であったこと、ディーラーが株式賢付について助言を与えていること及び本件の取引がディーラーにと

って何らの危険をも伴うものではなかったこと等が強調され、それを前提にして、「申立人が専門的知識を有し

ていたこと及び助言を与えることを申出たことにより、申立人は、顧客が市場に関して無知であるに乗じて利得

(m)

しないという特別の義務を負う」とされている。これによってみると、ディーラーの助言があったこと、ディー

る場合に、ディーラー

の義務の具体的内容、

かということである。

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ユ07 証券取引kおけるブローカー・ディーラーの弟務と斉任 (島袋鉄男)

ラーと顧客の有する証券市場に関する知識に著しい差異があること及び顧客の信頼ということがディーラIの義

務を認めるについて重要な要素とされているように思われる。実際'これまで

.tShingtctheory"

が適用され

(刀

)

たケースのほとんどが同様な要素を含むものであ

ったといわれてお

'

1応これらを'この法理を適用する際の

条件と看他してよいと思われる。しかしながら'これらの要素は必ずしも絶対的要素とは看放

されていないOま

ず判例上'信頼

(r

e

-皇ance)

の存否は

「公正な取引」を行なう義務の違反については重要な問題ではないとさ

(23)

れており

'

証券市場に関する知識の相違

(disprityinthcdcgrceof

howledgeof

marketconditions)

関してもSECは'

「これらのケースの基礎をなす根本原理は'

いかなる者も'

その市場に関する知磯又は市

場に関する情報

への接近の度合如何にかかわらず'顧客は公正に取扱われるという'ディーラーによってなされ

(24し

た黙示的表明を信頼することができるということである」と指摘してい

すS

)a

更にこの法理が'固有の使用価値を

有しない証券の売買における市場価値の最重要性

(t

hesup

remeimporta

nceofmarketval

ue)にその基礎

をおくものであるところから'ディーラIの側の助辞や助言

(8ticitationoradvice)

の程度の如何に拘らず

(25)

適用されなければならないとされるであろうと云われている

即ち'ディーラーの側に帝極的な勧誘行為がない

場合でも'市場価値

-自由且公開市場において決定される価値

1に不当な影響を与えるディーラーの行為は'デ

(26)

ィIラーの公正取引義務に達反すると看倣されるというのである。

このようにみてくると

..Sh

ingletheory"

の適用について先の三ツの要素は必ずしも不可欠の要件ではなく'むしろ'ディーラーはディーラーとしての看

萩を掲げること自体によ.って当然に

「公正且専門職菜の規範に従

った取引」をなす義務を争

っこととなり'問題

は如何なる行為が右の義務遵反となるかという第二の問題に帰着するように思われる。

DucJ{erケース及び本件においては'ディーラIが自己の得る利益を開示することなく市場価格と合理的関連

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]08

Jおいて、価格の不当性の他に具体的には次のような行為がブローカー。ディーラーの黙示的表明に違反し顧客に

9(幻)

噸対する詐欺となるとされている。即ち、授権外の取引を行うこと、顧客からの注文を迅速に実行せず受取った支

く号払代金を一時的に自己の他の事業に流用すること、証券が担保に入っていることを開示せずに売付ける}」と、支加払不能の状態で顧客の資金や証券を受取ること及び売主によって操作されたり支配されたりしている市場価格で

第その事実を開示せずに証券を充付けること等々。更に、顧客に流布される詐欺的な印刷物(2」の⑩一冒日E【の[・[

鐸員・日】目目)をブローカー・ディーラーが信頼することは大衆投資家に提供される情報の正確さを調査する積(羽)

大極的義務に違反し顧客に対する詐欺となるとされた。この最後のケースはディーラーの過失(ロの、一旨の。8)に

琉よる行為をも詐欺禁止規定違反とすることを意味し、コモン・ロー上の詐欺概念との関係でSECの管轄権の問

●●

題を提起することになったが、それにも拘らず、一}の法理により詐欺禁止規定の適用範囲は漸次拡張されている

(羽)

を有しない価格で証券を顧客に売付けた行為が「公正且専門職業の規範に従った取引」を行う旨の黙示的表明に

違反するものとされたが、それ以上に、「公正な取引」「専門職業の規範」の内容又はそれを確定する基準につ

いては明確にされていない。「公正な取引」「専門職業の規範に従った取引」という抽象的、包括的基準の下

で、その具体的内容は個々のケースを通して決定されることを予定しているように思われる。その後のケースに

証券取引業務の複雑性やそこでの不正行為の多様性は確かに証券関係法の立法を促した原因であるが、同時に

これらの複雑性、多様性自体が、一定の明確な立法や司法的基準を確立することを不可能とするという性質をも

(釦)

っており、月農一息]の房の。ご患の適用についても右にみたように、抽象的、包括的基準の下でその具体的内容は

個々のケースによって、そのケースの事実関係に即して決定されることになるが、その際重要な作用を営んでい

ようである。

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109証券取引におけるブローカー・ディーラーの義務と責任(島袋鉄男)

る理念は、証券関係法全体の基本目的であり、証券取引業務の規制に当ってSECが一貫してとってきた基本政

(虹)

●●●●●●●●●●●●●●●●

策、具体的には自由公開市場の確立及び投資家保護であることがわかる。

本件は右に述べた問題の他に市場価格の決定について、原則として公認の目・→目・口用『己8において公表さ

れた相場又は証券業者自体が支払った価格が基準となる旨を判示したことにも意義を有する。

軍②PC⑩⑪》の①。ロユどのい丙の陀巳色巨。■(四二の』・]①巴)巨囹・

おno目目の具。○己.、岸・の已己目ご◎冨曰・算囹一・

m弓三・m[囹一PC⑩のC己.n房.⑪目『色二.房届呉屋囹・P目『の一一》旨く①、戸巳:[シニぐ-8自己晋の句『■巨皀宛巨一の⑫》。、三一目・伊・肉のぐ・]、S》局陰lHmum,

、注(1)参照

迫】呂甸・凹旦←い←ご念⑦I盆曰(』①念)

叫弓己・呉

狙伊。、⑫一号己・呉屋窪・

廻り○日ョ⑪貝・◎ご・、】〔..⑪巨頁②。。{の曰国呉曰匿・伊の鰐ぐの一一C巳・C-F⑩Eご日ロC【①]ロ呉]巴“・

卯○.ヨロ】の貝・弓己・胃】農。

虹】患司・ピー農

麹DC日日の貝。。□

mFo閉》。□

F1

注1-ノ

ニョーー田.

、一斤。、宮口■鯉口。【の】m・回[】←。○・

◎声。⑰Eご吋回己。[の曰・■【口⑪←。

←い『。

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琉大法学第10号 (1969) 110

一、本件も{

ケースである。

3130292827262524

申立人は一九一一八年来、ブローカー。ディーラーとして証券業に従事しており、証券取引所法一五条に従って

閂亘P呉量91】$】》○○ヨョの貝》◎口・Q(・印巨ロ『四国日の曰》呉国m・

PC印⑰》弓己・呉】」91】おPCョ日の目『す三・四国器lqs・

CC冒日の。(》胄亘』・由〔曰②P

弓己・鼻呂の1国ロ》Fの:⑦一一》・己・口(.⑫巨已『色ロ。[の】曰・具】忠一l扇、の。

○・目ロ】の己巨亘旦・ロ[星P

投資者保護の見地から、コモン・ロー上は必ずしも詐欺とならない場合でも、証券法上の詐欺と看倣される場合があること

は、本件においても明日にされているが、自由且公開市場の確立という見地からディーラーの行為が「公正な取引」義務に

違反するとされた例は、本文で述べた、売主によって操作されたり支配されたりしている市場価格で、その事実を開示せず

に証券を売付けた行為が詐欺に当るとされたケースである。即ち、価格が自由且公開市場における怖膳と合理的関連を有す

るということが、黙示的表明の一内容をなすものであるから、売主によって影響を受けている市場での価格で売付けること

は、右の黙示的表明に違反するものであるというのである。n.ヨョの貝》冒旦・呉国、.

P。⑩即

閂ワコロ、曰困巨召の如く・、の目『旨の切目9国〆○ず目、のo○貝目〕幽○口

笘『一句・国・@の①(□・○・○片.]①←S

本件も申立人のブローカー・ディーラーとしての登録を取消す旨のSECの命令に対して再審理を求めた

C己。、岸。⑩巨石『凹己。(の。、。■(凶」の○・

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111 証券取引におけるブローカー・ディーラーの義務と費任 (島袋鉄男)

ブローカー

・ディーラーとして登録されると同時に'投資顧問法

(investmentAdvisL・sAct)

〇三条に従

い'投資顧問

(InvestmentAdviser)

としても登鎖されていたO申立人は取引に際Lt顧客との間に合意香

(Memorandum

ofA

greemcnt)をとりかわしていたが'その中で'

「会社

(申立人)は投資顧問として行動

する場合も'別段の合意なき限り'各取引において本人

(princip

al)としての資格で行為丁る」と規準されて

いた。申立人が顧客に与える助言は申立人自身が収集し分析した情報を基礎にしてなされた。

Mrs.Hughes(申

立人の唯

一の所有者)の証言によれば'顧客はほとんどすべての場合に'彼女の与える助言に従

って取引をなし

ていた。申立人は顧客の買注文に対して'自己の所有する証券を捷供するか又は申立人自身の計算で証券を購入

しそれを本人としての資格で売付けるという方法で応じていた。

sECのスタッフによって'申立人の取引方法が証券関係法の詐欺禁止規定に違反していないか否かの調査が

なされたが'それは次のような観点からであ

ったO即ち'申立人は'申立人が投資助言契約により報酬を待て公

平な投資助言を顧客に提供することになっているという意味で信認関係

(fiduciary

re

lationshi

p

)

にある顧客

に対して'

川普通の勤勉さを以

って公開市場において顧客のために買い得る証券の最良の価格'

脚顧客に売付け

る証券について申立人が要した費用を含む'

申立人が顧客との取引に関して有す

る反対の利害関係

(adverse

in

tere.1,t)

の怪封及び範凶を開示せずに証券を売付けることが詐欺禁止規定に違反するのではないかということ

であった.そしてsECの見解は'申立人は受託者

(fiduciary

)

であり'顧客との取引に当

っては自己の有す

る反対の利害関係を完全に開示すべき義務を負う。

一方本件の場合'顧客は申立人に対して申立人が顧客の利益

に相反する立場に立つことについて意織的同意

(iTtformedconsent)を与えていない。その点で証券関係法の

詐欺禁止規定に遮反しており申立人のブ

ローカー

・ディーラーとしての登録は公益の立場から取消されるべきで

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琉大法学第10号 (1969) 112

しかしながら判決は、本件においてはSECも裁判所も取消命令の正当性の根拠をコモン・ロー上の詐欺の原

則においているのではなく、証券関係法及びその下で制定された規則に違反していることにその根拠があること

を明確にしている。まず証券取引の分野がその性質上特殊な法的取扱いを要するものであること、従って、詐欺

(羽)

に対する取扱いにも特色がみられることについて、シ月弓⑦『ケースを引用して次のように述べている。

「証券取引業務においては不正行為が行われる機会が不断に発生し常に存在するものである。そこでは、迅速

な理解と決断と行動に適した鋭敏・活達な精神が必要とされる。議会がこの業務を規制するのに適していると考

まず申立人が受託者であること及び受託者に関する法の基本態度について

「本件の申立人と顧客の間の大多数の取引において、申立人が受託者として行動したことは明白である・少数

の例を除き、申立人が同時に投資顧問及びブローカー・ディーラーという一一重の資格で行動したことが記録上明

白である。そのような資格においては反対の利害関係が必然的に生ずる。そのように反対の利害関係が生じた場

合、法は受託者の厳格な行為準則を定めるという形で保護手段を構ずるために終始一貫干渉してきた。百年以上

も前に最高裁判所はこの原理を次のように述べている。〃利害関係が相反する場合には法は賢明にも干渉する。

それは或る場合に起りうる受託者の義務感が利己的動機にうちかちうる可能性を基礎にしているのではなく、利

(浜)

己心が多大の影響を与え結局義務感にとってかわるというすべての場合に存する危険性に基礎をおいている。

〃」と述べている。

あるというものであった。

二、裁判所はSECのく

いる。

裁判所はSECの命令を支持し、申立人が詐欺禁止規定に違反したことについて次のような説明をなして

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113 証券取引におけるプロ ・デイ ラーの義務と責任(島袋鉄男)力えられてきた。そのような規制は、憲法及び立法上の個人権の保証に厳格に従って行われなければならないけれ

ども、禁止されるべき詐欺行為が、不正行為がなまの形あるいは一般的・典型的な形で行われる場合に比べて、

(典)

より暖昧且複雑な形態をとって行われた場合でも強行されなければならない。」

右のような態度を前提として、本件における申立人の行為の法規違反について次のように述べている。

「法規違反を構成する申立人の行為は、反対の利害関係の性質及び範囲の開示を怠ったという意味での省略行

為(、:a・目幽目)である。委員会の事実認定によれば、申立人は顧客に対して⑪普通の勤勉さを以って

公開市場において顧客のために買いうる証券の最良の価格、②顧客に売付ける証券について申立人が要した費用

を開示することを怠っている。前掲の制定法及び規則では、ある言明がなされた状態に照してその言明が他人を

誤解に導くことがないために必要な重要事実を述べることを怠ることは明らかに違法とされている。制定法に現

われたこれらの語句は、議会が故意に偽りを述べることを禁ずるばかりでなく、半事実(冨扁‐首日寄)を述べ

ること及び全事実(冨彦。】。‐す具巳を語ることを怠ることをも禁止する趣旨であることを示している。これら

の制定法の語句は明らかに、個々の投資者が疑い深い者か信じ容い者か(印巨のご互・巨叩・『目印吊已円庁目、)に拘り

なく、|股投資家を全体として保護するために意図されたものである。公開市場における最良価格及び登録人

(申立人)の要した費用はともに、前掲の語句の範囲内における重要事実に当り、それらはともに、その開示

なくしては顧客が受託者たる申立人に対して一一重の相反する任務を行うことに同意することが不可能であるとこ

(弱)

ろの重要なる要素である。」

次に、合意書において申立人が本人として行動する旨が明確にされていることによって申立人は開示義務を完

全に果したのだという主張に対しては、第一に顧客がその文言の法的意義を本当に理解していたといえるか否か

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114(1969)琉大法学第10号疑問であること、第一一に顧客が申立人は顧客の賀注文に対して、申立人の所有する証券を割当て又は他から買入

れた証券を転売するものであるという申立人の一アィーラーとしての地位を知っていたとしても、それだけでは顧

客が申立人に対して、いわゆる意識的同意(旨さ目白・○8冊日)を与えたとはいえないという理由でその主張

を斥けている。

一一一、月の彦旨巴の岳gqgの他に、ブローカー・ディーラーの責任を認めるためにSECの採った法理は、ディー

ラーと顧客の間に一種の信認関係の存在を認め一プィーラーを代理人類似のものと看倣すものであった。即ち、コ

モン・ロー上代理人は代理人自身の利害と本人のそれとが衝突するような状態で取引をしてはならず、もしその

ような状態にある場合はその取引について代理人の有する利害関係をすべて本人に開示し本人の承諾を得なけれ

ばならないとされるが、SECはディーラーを黙示の代理人(』巳ご月旦ロ、囚〕巳)と構成することにより、ディー

(訂)(記)

ラーの反対の利害関係の不開示を顧客に対する詐欺行為に当るとする見解を採ってきた。

本件の意義は、右のSECの見解を司法的に承認し、本件のような事実関係の下でどのような事項が開示の対

象となるかを明確にした点にあるといわれる。即ち、本件の事実関係の下では一プィーラーが反対の利害の性質及

び範囲を開示する忠実義務を負うとしたうえで、開示事項として、⑪その時点で公開市場において得ることので

きる最良の価格及び②当該証券について一ナィーラーが要した費用(即ち、ディーラーが顧客に証券を売付ける場

合は当該証券の取得価格、又顧客から買付ける場合は転売価格である)をあげている。

黙示の代理人と看倣されるディーラーは反対の利害関係及び範囲を開示しなければならないことが本件によっ

て明確にされたことになるが、むしろこの法理の問題は如何なる場合にデイ1ラーが黙示の代理人とみなされる

か、換言すれば、法技術的には本人としての資格で取引をなすディーラーと顧客との間にどのような事情が存す

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115証券取引におけるブローカー・ディーラーの義務と責任(島袋鉄男)る場合に信認関係が存在すると認められるかという点にあると思われるが、その点について本件は明確な一般的

基準を示していない。前述の○百『]の⑩困巨”ず冊ケースが月切言。、]の旨の。ご・・の適用について、いわゆる「公正

且専門職業の規範に従った取引」の具体的内容の決定を後のSEC又は裁判所の具体的ケースにおける判断にま

かせたのと同様、この問題も結局その後のSECと裁判所の決定に委ねられたことになる。

本件ではディーラーが同時に投資顧問として登録され、自己が一方の当事者である本件の取引に関して、相手方

たる顧客に助言を与えたという事実が信認関係を認めるについて重視されている。その際当事者間で取交された

合意書でディーラーが本人としての資格で取引をなすということが明定されているということは、信認関係の認

定について必ずしも否定的要素とはならないことが本件で明らかにされている。本件のように一ナイーラーが投資

顧問として行動する場合は信認関係の存在を認めることも容易であるが、投資顧問としてではなく本人としての

資格で行う取引に単に付随するものとして投資に関する助言や勧告をなした場合に本件におけるように黙示の代

理人と看倣し得るかは非常に困難な問題である。結局個々の取引の状況、当事者の性質等の具体的事実によって

決定される以外にないことになるが、ロス教授は信認関係の存否の判断の基準について次のように述べている。

「セールスマンが普通の付随的な投資助言に満足せず、顧客がセールスマンは顧客の利益のために行動している

のだと思い又はセールスマンが顧客がそのように思っているということを知り得る程度に至るまでセールスマ

ンに対する信任及びその助言に対する信頼感を顧客にうえつけた場合には、当事者間の確認の形式如何に拘ら

ず、対等者取引における本人としての取引に共通する要素は存在しないというべきである。その場合は、事実上

(犯)

も法律上も信認関係が存在する。」

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116琉大法学第n号(]969)

調鈩Hgの乱騨凹]・『.、因。(の。H・・』農巴

おい:切・○℃.。】庁.、巨胃色巨C庁のHm・呉】、曰.。○日日の具》。b・ロ溝・巾巨冒画己。【のロ》厨、

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〔注〕

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