SmartOn ID - Soliton · このカタログは2020年1月現在のものです。仕様、デザインは予告なく変更することがあります。 so-2001a 安全に関するご注意
ポピュレーション・ヘルス・マネジメントを基盤に …...Population Health...
Transcript of ポピュレーション・ヘルス・マネジメントを基盤に …...Population Health...
広島大学大学院医歯薬保健学研究院 応用生命科学部門 成人看護開発学
慢性疾患看護専門看護師コース 森山美知子
ポピュレーション・ヘルス・マネジメントを基盤にした 地域包括ケアシステムの構築と展開
1
地域包括ケアシステムの保健・医療・介護部分を データに基づいて科学的に構築してみたらどうだろう!
2
ポピュレーション・ヘルス・マネジメントの 考え方の導入
Population Health Managementとは、集団に属するすべての者が何らかの健康支援を必要とするとの認識
に立ち、集団に属する人々を、身体・心理社会的ニーズ評価から、資源の投入度等に応じてリスク分類(階層化)し、そのリスク特性に応じたプログラム/サービスを提供するもの(American College of Healthcare Executives, 2011)
3
大崎上島町でのPopulation Health Managementの構築と展開
医療資源が限定的で、高齢化の進む 介護費・医療費が高い
4
• 人口:8,448人(平成22年度国勢調査) • 高齢化率:42.8% (平成22年度国勢調査) • 医療資源:診療所5か所、医師 9名、看護師 23名、保健師 5名 • 一人あたりの医療費(国保):広島県内1位460,744円 (平成24年度国民健康保険の現況)
全国平均315,858円(平成24年度広島県国民健康保険医療費等の概況)
• 一人当たりの医療費 入院外+調剤では全国3位(平成24年度医療費の地域差分析)
• 診療費の中で高血圧が最も高い
広島市
大崎上島
大崎上島町 高血圧、透析患者が多い
映画の舞台に
5
今、大崎上島町で起こっていること
平成24年 死亡 165人 病院 92人(51.7%) 診療所 32人(19.4%) 老人保健施設 11人(6.7%) 老人ホーム 15人(9.1%) 自宅 13人(7.9%) その他 2人 病院で亡くなる人は横ばい。自宅で亡くなる人は減少 5ヵ所の診療所は同じ機能。夜間・休日対応は限定的。急病は救急
艇で本土の病院へ 住民は緊急時を考えて、本土の病院へ顔つなぎ受診(重複受診)
小さい島なのに、 広島県で1位~2位の、医療費・介護保険費がかかっている町!
6
推進会議
大崎上島町
看護師・保健師
・高度ケアマネジメント ・慢性疾患疾病管理 ・データ管理(質管理)
地元医師会
訪問看護
自治会 等
介護事業者
地域(島)の外にある大病院・
専門医
住民
健康指標の分析
かかりつけ医
地域連携パスへの参加
高齢者ケア施設等
訪問看護ステーション
地域包括支援センター 居宅介護支援事業所
高齢者用サロン・調理教室/患者会等 介護予防・地域リハビリテーション
重症者:生体センサの使用
バーチャル病棟
プログラムの提供
在宅看取りの推進
広島大学
地域包括支援センター
ケースマネジメントセンター
●コールセンター
大崎上島町の地域包括ケアシステム(医療・介護編)を構築
7
在宅 看取り
医療的 見守り
疾病管理
健康増進(介護予防・特定保健指導等)
アドバンス・ケア・プラニングの推進 (事前指示:アドバンス・ディレクティブ)
寄り添いパートナー養成 ケア会議推進
入退院を繰り返す人・心不全者を特定 遠隔モニタリングを用いての支援
・かかりつけ医から紹介 ・健診データから特定 ・地域連携パスを活用して本土と島の医師との連携
医療に強いケアマネ養成
高度ケースマネジメント
地域包括ケアシステム
8
サービス投入を最も要する階層へのアプローチ
在宅看取りの推進
本当は、小規模多機能/ホームホスピスを作りたいのですが、、、
9
寄り添いパートナーとは
寄り添いパートナーとは、身体の機能が低下したり、認知機能が
低下したりした住民(エンド・オブ・ライフ)に、見守りや日常生
活支援、心理的支援が必要な状況が生じたときに、その人の
そばに寄り添い、これらを支援する人のことをいう。
大崎上島町の地域の住民全員で講習会を受講した人
寄り添いパートナーになれる人
大崎上島町町長が任命する。 講習会を受講した者を町が登録し、登録証を本人に手渡す。
認証及び認証方法
10
養成を開始しました!
寄り添いパートナー 活動の流れ
要介護認定を受けている高齢者 要介護認定は受けていないが介助が必要な人 看取り
町の生活コーディネーター
ご近所や支援関係が築けるパートナー
寄り添いパートナー 講習受講
登 録
要 請
11
ケアマネジャー 本 人 周囲の人
寄り添いパートナーが支援する内容
家 で の 寄 り 添 い
日常生活のちょっとしたこと ・「お水を飲みたい」「庭を見たい」 「スーパーで●●を買ってきて欲しい」 など ・やろうとしていることの声かけ
2
寄り添い・見守り ・1人でいる時間、家族がいない間、そばで看ていてくれる ・1人でさみしいとき、そばにいてほしい ・話し相手 ・一緒に写真鑑賞や読書 ・安全に、安心して過ごすための確認 (食事をしたか、くすりを飲んだか、倒れていないか など)
1
注)家事一般(掃除や調理、洗濯など)や身体介護は、介護保険での訪問介護や役場の
派遣によるヘルパーが行う。身体介護に該当するものは、ヘルパーに実施してもらう。
12
看取りのケアカンファレンスには、家族も入る。 <大崎上島町保健師からのメールより> 先日(お盆前後)、看取りのチームケアをしました。 その中に寄り添いさんにも入っていただき、実際の看取り場面は、夫と寄り添いさんの2人のときでした。 あまり、どんどんと動けているわけではありませんが、少しずつ声がかかり、広がっています。
13
アドバンス・ケア・プラニング(ACP)の導入 延命治療の是非、どこで最期を迎えたいかといった、人生の終生期(エンド・オブ・ライフ期)で望むケアを、医療者や家族などの大切な人と話し合うコミュニケーションプロセスのこと。 (※DNARオーダー(生命維持治療の希望の是非)や、事前指示の記入等も含む)
千葉大学大学院看護学研究科 エンド・オブ・ライフケア看護学HPより http://www.n.chiba-u.jp/eolc/opinion/index.html
事前指示(アドバンス・ディレクティヴ)を含む ①リビング・ウイル ②医療判断代理委任状
14
だから、大崎上島町は、彩ノートを作りました
生き方・暮らし方の自己決定 最期はどこで過ごしたいか
老後の「未来予想図」 医療・介護について
延命治療について 最期をどこで看取られたいか リビング・ウィル(延命処置など望まないことを生前に書類に残すこと) 代理意思決定者 介護をどこで受けたいか 誰に介護をしてもらいたいか 介護費用のこと
お金の管理のこと 認知症になったときのこと 葬儀の仕方 最期に連絡をとってほしい人
まず、これらについて話し合っておきましょう 15
地域住民に対する講演会(4講座で2回)を実施
1回に125名が参加! 16
実施結果 講演会後、9人が事前指示書を作成 97.5%の参加者が「事前指示書の作成の重要性」を認識 37人が家族と話し合った しかし、 医師との対話は「困難」と認識。(高いハードルが) →医師への直接の協力依頼、対応の仕方の研修の必要性 「対話依頼カード」の作成 事例集の作成
今年度は、地区ごとに実施
17
医療的見守り
高齢者に最も多く、 症状(むくみや呼吸困難等)のコントロールが最も困難で、 終末期では在宅での管理が極めて難しく、 入退院を繰り返し、高額な治療を要することから、最も医療費を使用する疾患
2番目に高い医療費を使用する階層へのアプローチ
18
高度ケースマネジメント 医療に強いケアマネ養成 入退院を繰り返す人の遠隔モニタリング
レセプトから抽出 ・高額医療費使用者 ・慢性心不全+入退院歴のある者
入退院が止まった!
19
疾病管理
医師と患者双方へのアプローチ 自己管理(セルフマネジメント)行動習得の支援(患者教育) 医師に根拠に基づく診療ガイドラインに基づいた治療の支援
3番目の階層:重症化すると高額な医療費を使用する者の悪化を防ぐ
糖尿病、慢性腎臓病、高血圧症、脂質異常症(高コレステロール血症)の管理
20
疾病管理センター
アルゴリズム・ 支援プログラム
データ管理
コールセンター
電話・e-mail、手紙、面接、教材提供
=具体的なサービス= ①療養指導計画・質管理 (データモニタリング) ②セルフマネジメント患者・ 家族教育支援 ③かかりつけ医のサポート、 専門医と非専門医の連携
医療保険者 保健師等
慢性疾患 被保険者
慢性疾患 被保険者
慢性疾患 被保険者
技術・人的支援
レセプトデータ・健診データ かかりつけ医からの対象者紹介
サービス提供
かかりつけ医 かかりつけ医
中核病院 専門医
通院 通院
同意の取得
報告
看護師・保健師
図 サービス提供戦略
指示書
地域連携パス
21
結 果
自己管理行動(血圧測定、体重測定、食事療法、運動療法) すべてが統計的有意差をもって向上! 生理学的指標(血圧、体重、尿たんぱく、血液検査データ) すべてが統計的有意差をもって改善!
22
23
後期高齢者医療制度・国民健康保険・介護保険レセプトの突合分析結果からみた対策
高額医療費消費者へのケースマネジメントの展開 ニーズアセスメントとサービス利用の適正化 疾病管理を中核にした重症化・再入院予防(心不全や脳卒中等) 在宅看取りの推進 後期高齢者、難病患者等の在宅医療の推進 精神病院対策 長期入院の是正、適切な治療、病床削減 統合失調症者等の慢性疾患管理(特に透析予防) プライマリ・ケアの強化による、生活習慣病の発症・重症化・再発予防 (透析導入予防を含む) 減塩、節酒、体重コントロール等 ロコモーティヴ対策 誤嚥性肺炎予防対策 アルツハイマー病/認知症に対する正しい診断と適切な治療薬の使用 感染症対策(HIV、ウイルス性肝炎等)
高額な治療に対して 医療技術評価(Health Technology Assessment)を導入。高額な治療薬や高額医療機器の使用等、費用対効果による検討が必要。QALY(Quality Adjusted Life Years)による評価の導入