専門試験Ⅰ(鉄道電気) 問題 · 2013-04-01 ·...

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鉄道設計技士試験 平成 20 年度 専門試験Ⅰ(鉄道電気) 問題 財団法人 鉄道総合技術研究所 鉄道技術推進センター 鉄道設計技士試験事務局 無断転載を禁じます

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鉄道設計技士試験

平成 20 年度

専門試験Ⅰ(鉄道電気) 問題

財団法人 鉄道総合技術研究所

鉄道技術推進センター

鉄道設計技士試験事務局

無断転載を禁じます

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問 1

次の文章は、電気回路について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な語句または数値を解答欄

に記入しなさい。

(1) 正弦波交流における電圧の最大値は、その実効値の( ① )倍である。

(2) 単位長さあたりの銅線の電気抵抗値は、その銅線の断面積を 2 倍にしたとき( ② )倍になる。

(3) 回路の定数を変化させると回路内の電流や電圧が変化し、落ち着いた状態になるまでに時間がかかる。

この現象を( ③ )現象という。

(4) 同じ静電容量の 2 つのコンデンサを並列に接続したときの合成静電容量は、1 つのコンデンサの静電容

量の( ④ )倍になる。

(5) コイルに流す電流を変化させたとき、コイルに発生する端子間の( ⑤ )は電流の時間的変化に比例す

る。

問 2

次の文章は、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」の解釈基準における電路の絶縁について述べたも

のである。正しい記述には○を、誤った記述には×を解答欄に記入しなさい。

① 直流の電車線路(剛体ちょう架式、剛体複線式及びサードレール式を除く)と大地との間の絶縁抵抗は、

使用電圧に対する漏えい電流が電車線の延長 1[km]につき 100[mA]以下となるようにすること。

② 屋内に設ける使用電圧が 50[V]を超え 150[V]以下の低圧の電路(屋外に設ける電路と直接接続するもの

を除く)の電線相互間又は当該電路と大地との間の絶縁抵抗は、開閉器又は過電流遮断器で区分するこ

とができる回路ごとに、0.5[MΩ]以上とすること。

③ 直流のき電線路における絶縁耐力試験は、最大使用電圧の 1.2 倍の電圧を電線と大地間(多心ケーブル

の場合は、心線相互間及び心線と大地間)に連続して 10 分間加圧すること。

④ 600[V]を超え 7,000[V]以下の送電線路、配電線路及び引込線における絶縁耐力試験は、最大使用電圧の

1.5 倍の交流の電圧を電線と大地間(多心ケーブルの場合は、心線相互間及び心線と大地間)に連続し

て 10 分間加圧すること。

⑤ 最大使用電圧が高圧である送配電線路又は交流き電線路であって、ケーブルを使用するものについては、

直流電圧により絶縁耐力試験を行う場合、最大使用電圧の 3 倍の直流電圧を心線と大地間(多心ケーブ

ルの場合は、心線相互間及び心線と大地間)に連続して 10 分間加圧すること。

問 1 から問 20 までは必須問題です。受験者全員が解答して下さい。

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問 3

次の文章は、電気理論について述べたものである。正しい記述には○を、誤った記述には×を解答欄に記

入しなさい。

① 平行導線の間に働く力は、両線の電流の向きが同じであれば反発力となる。

② 磁束密度 B[T]の磁界中に、電流 I[A]が流れている長さ L[m]の直線導体を磁界とθ の角度で置くと、電

磁力 F[N]は F=BILcosθ で表される。

③ コンデンサに蓄えられた電気エネルギーは、コンデンサにある電荷量に比例する。

④ R、L、C 直列回路で共振すると、回路の電流は最大になる。

⑤ 三相平衡回路の電力は、2 個の電力計で測定される。いま、電力計の値が、W1と W2であるとき、有効

電力 P は、P= 3 (W1+W2)で求まる。

問 4

次の文章は、交流回路について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な語句、数値または数式を

解答欄に記入しなさい。ただし、解答に分数があるときには、小数にせずそのまま解答しなさい。

図の回路網に、 40V [V]の電圧を加えると 34 jI [A]の電流が流れた。

(1) この回路の複素インピーダンスは、( ① )[Ω]である。ただし、解答は実部と虚部に分けた複素数

( j : , は定数)とすること。

(2) V に対して Iの位相は、進むことになる。よって、この回路網は( ② )性である。

(3) この回路の有効電力は( ③ )[W]、無効電力は( ④ )[var]、力率は( ⑤ )である。

回路網 V

I

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問 5

次の文章は、電車線設備およびパンタグラフについて述べたものである。( )の中に入れるべき適切な語

句または数値を下の語群から1つ選び、その記号を解答欄に記入しなさい。なお、同一番号の( )には同一

語句または数値が入るものとする。

(1) 普通鉄道における架空単線式の電車線のレール面上の標準高さは( ① )[m]である。

(2) カテナリちょう架式電車線の支持点におけるトロリ線とちょう架線との高さの差を( ② )という。

(3) 直線区間では一定間隔ごとに電車線に偏位をつけている。これはパンタグラフすり板の局部的な( ③ )

を少なくするためである。

(4) 架空電車線におけるばね定数(押上力/静押上量)は、支持点と径間中央とでは( ④ )。

(5) 一般に、( ⑤ )すり板は焼結合金すり板に比べて、トロリ線の( ③ )を軽減させることができるが、衝

撃強度が弱い、抵抗率が大きい等の欠点を有している。

語群: ア 径間中央の方が大きい、 イ 摩耗、 ウ 硬化、 エ 支持点の方が大きい、 オ 銅系、

カ アルミ系、 キ 応力、 ク ハンガ長、 ケ 両方とも同じ、 コ カーボン系、

サ 弛度、 シ 架高、 ス 5、 セ 6、 ソ 7

問 6

次の文章は、架空単線式電車線の構成と特徴について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な語

句または数値を解答欄に記入しなさい。なお、同一番号の( )には同一語句または数値が入るものとする。

(1) ( ① )式は、支持点間を基本的にトロリ線のみで構成する構造である。

(2) ( ② )カテナリ式は、ちょう架線からハンガによりトロリ線を吊り下げた構造で、カテナリちょう架

式電車線の基本的構造である。

(3) ( ③ )カテナリ式は、( ② )カテナリ式の構造を変更せずに列車速度や集電性能を上げるために、( ② )

カテナリ式架線 2 組を一定の間隔(約 100[mm])で並行に架設した構造である。

(4) ( ④ )カテナリ式は、ちょう架線からドロッパにより補助ちょう架線を吊り、さらにハンガによって

補助ちょう架線からトロリ線を吊り下げた構造である。

(5) カテナリちょう架式電車線のハンガ間隔は ( ⑤ )[m]を標準とする。

問 7

次の文章は、トロリ線の温度上昇について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な語句または数

値を解答欄に記入しなさい。なお、同一番号の( )には同一語句または数値が入るものとする。

(1) 電線に電流が流れると電子が衝突することによって発生する( ① )熱により温度が上昇する。

(2) 電線の温度がある値以上になると電気的特性が低下するので、各種電線には( ② )温度が規定されて

いる。通常の硬銅トロリ線の( ② )温度は( ③ )℃である。

(3) トロリ線の主な温度上昇の要因としては、通電電流による発熱と、屋外における( ④ )からの熱吸収

があげられる。

(4) トロリ線が摩耗すると( ⑤ )が大きくなり、同じ通電電流でも摩耗前と比較して温度が上昇する。

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問 8

次の文章は、パンタグラフの揚力について述べたものである。正しい記述には○を、誤った記述には×を

解答欄に記入しなさい。

① 揚力は物体と風の相対速度の 3 乗に比例する。

② パンタグラフの揚力が大きいとトロリ線のひずみ量が増大したり、架線金具のストッパ当たりが発生す

る可能性がある。

③ 下向きの揚力が発生しても、平均的な接触力はパンタグラフの静押上力以下にはならない。

④ シングルアーム式パンタグラフでは、走行方向(なびき、反なびき)により揚力特性が異なることがある。

⑤ 一般にトンネル突入時にパンタグラフが受ける風速は、列車速度より高くなり、揚力も大きくなりやす

い。

問 9

次の文章は、電力変換装置について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な語句を解答欄に記入

しなさい。

(1) サイリスタは、ゲートからカソードにゲート電流を流すことにより、アノードとカソード間を導通さ

せることができる。これを( ① )という。

(2) 自己消弧機能のないサイリスタを整流素子とするサイリスタ整流器は、サイリスタの( ② )制御によ

り、出力する直流電圧を制御することができる。

(3) 直流を任意の振幅値と周波数を有した交流の電力に変換する装置を一般に( ③ )という。

(4) 交流電源系統の高調波対策として、逆方向の電流を発生して高調波を打ち消す( ④ )が用いられるこ

とがある。

(5) 商用電源の変動や瞬時停電が生じた場合に、一定電圧・一定周波数の交流の電力を供給する装置を一

般に( ⑤ )という。

問 10

次の文章は、直流き電システムおよびその関連における環境対策について述べたものである。( )の中に

入れるべき適切な語句または数値を下の語群から1つ選び、その記号を解答欄に記入しなさい。

(1) 直流電気鉄道で、新たに電力回生車を導入する場合、き電システム上で回生失効対策として有効なも

のは、( ① )、電力貯蔵装置、逆変換装置などがある。

(2) 変圧器の無負荷損は、主として( ② )であり、これが改善された、いわゆるトップランナー変圧器が

近年使用されている。

(3) シリコン整流器の D 種定格は、定格電流連続使用の後、定格電流の( ③ )%で 2 時間使用し、さらに

定格電流の 300%で 1 分間使用できることをいう。

(4) 電鉄用整流器の冷却媒体として使用されていたフロンに代わって、最近では環境負荷が少ない( ④ )

などが使われている。

(5) 環境に配慮したガス消火設備として、ハロンに代わって( ⑤ )を主成分にしたものや、フッ素系のも

の等が使われている。

語群: ア 純水、 イ 酸素、 ウ 上下一括き電方式、 エ 窒素、 オ 乾燥空気、

カ 六フッ化硫黄、 キ 並列き電方式、 ク 銅損、 ケ 抵抗損、 コ 鉄損、

サ 変電所の増設、 シ ポリ塩化ビフェニール、 ス 120、 セ 150、 ソ 200

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問 11

次の文章は、高圧機器について述べたものである。正しい記述には○を、誤った記述には×を解答欄に記

入しなさい。

① 高圧交流負荷開閉器は、通常状態において励磁電流、充電電流が流れているが、開閉は可能である。

② 電力用コンデンサは、高調波による障害を受けにくい機器である。

③ 保守点検時は、高圧断路器を開放してから遮断器を開放する。

④ 一般的にモールド変圧器は、油入変圧器に比べ騒音が小さい。

⑤ 真空遮断器の短絡電流遮断時間は、気中遮断器に比較して短い。

問 12

次の文章は、電力用ケーブルについて述べたものである。( )の中に入れるべき適切な語句を解答欄に記

入しなさい。

(1) CV ケーブルは、導体周囲を取り囲む絶縁体として( ① )を使用し、金属テープなどによる( ② )層を

設けた上にビニルシースを施した構造が一般的である。

(2) 単心のCV ケーブル 3 条をあらかじめより合わせた構造の( ③ )形CV ケーブルが用いられている。

(3) 地中送電用のケーブルは、架空送電線と比較し対地静電容量が大きいので、軽負荷時には、同程度の

距離の架空送電線に比べて、( ④ )効果により負荷端の電圧が( ⑤ )なる傾向がある。

問 13

次の文章は、直流電化区間の帰線について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な語句、数値ま

たは数式を下の語群から1つ選び、その記号を解答欄に記入しなさい。なお、同一番号の( )には同一語句、

数値または数式が入るものとする。

(1) 「電気設備に関する技術基準を定める省令」の解釈では、直流帰線は、帰線用レール並びにレール間

及びレールの外側( ① )[cm]以内に施設する部分(レール近接部分)を除き、大地から絶縁することと

されている。また、直流帰線のレール近接部分が金属製地中管路と接近し又は交さする場合は、この

間に不導体の隔離物を設ける場合を除き、相互の離隔距離を( ② )[m]以上としなければならない。

(2) 「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」の解釈基準では、直流の電車線路の帰線用レールの継目

における電気抵抗は、レール換算抵抗( ③ )[m]以下とするよう定められている。

(3) レールを流れる帰線電流が2本のレールに等しく流れず異なっている状態を軌道回路の( ④ )という。

左右のレールに流れる電流を I1、I2とした場合、( ④ )率は( ⑤ )%で表され、この値が大きくなると

軌道回路の動作に支障を与えることがある。

語群: ア 1、 イ 2、 ウ 3、 エ 5、 オ 10、 カ 15、 キ 20、 ク 30、 ケ 50、 コ 不等、

サ 不整合、シ 不平衡、 ス 1002 21

21

II

II、 セ 100

2

21

21

II

II、 ソ 100

21

21

II

II

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問 14

次の文章は、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」の解釈基準等における踏切支障報知装置等につい

て述べたものである。正しい記述には○を、誤った記述には×を解答欄に記入しなさい。

① 踏切支障報知装置は、発炎信号、発光信号又は発報信号を現示する装置を設けたものであること。ただ

し、近接する主信号機若しくは車内信号機に停止信号を現示するもの又は停止を指示する制御情報を示

すものにあっては、この限りでない。

② 押しボタンにより現示装置を動作させる踏切支障報知装置は、押しボタンに取扱方法を明示しなければ

ならない。

③ 障害物検知装置は、列車等が踏切道に接近した場合に、二輪車など人が容易に取り除けるものであって

も、建築限界を支障していれば、自動的に検知できることが必要である。

④ 障害物検知装置は、踏切道に対する支障が解消した場合にも現示動作を継続しなければならない。

⑤ 警報機に非常時の通報用押しボタンが設置されていない踏切道には、非常時における鉄軌道事業者への

連絡先の掲示が必要である。

問 15

次の文章は、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」およびその解釈基準における信号装置について述

べたものである。( )の中に入れるべき適切な語句を解答欄に記入しなさい。

(1) 鉄道信号の現示装置及び表示装置の構造、現示又は表示の方法並びに施設方法は、( ① )を与えるお

それのないものでなければならない。

(2) 出発信号機は、同一線路より進出させる列車の進路が停車場内に 2 以上あるときは、その進路ごとに

設けることとしているが、通過する列車のない停車場の線路にあっては、( ② )を附属させた出発信

号機を 2 以上の進路に共用することができる。

(3) 内方の信号機の現示に対応して信号を現示する信号機に係る自動閉そく式の閉そく装置は、内方の信

号機が信号を現示させた後に当該現示に対応した信号を当該信号機の( ③ )の信号機に現示させるも

のであること。

(4) 2 機以上の色灯式信号機(通過信号機及び誘導信号機を除く)は、( ④ )に設けないこと。

(5) 車内信号機は、信号の現示が変化したときは、運転室内において( ⑤ )を発するものとすること。

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問 16

次の文章は、軌道回路について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な語句を解答欄に記入しな

さい。なお、同一番号の( )には同一語句が入るものとする。

(1) 商用軌道回路は、商用周波数を使用した交流軌道回路であり、非電化区間や直流電化区間に広く採用

されている。直流電化区間では、信号電流と電気車電流を分離するため( ① )を用いる。

(2) AF軌道回路は、可聴周波数を使用した交流軌道回路であり、商用軌道回路と比べ、短絡感度が高い、

位相調整がない、( ② )の変動による受信レベルの変動が大きい、などの特徴がある。

(3) 無絶縁軌道回路は、レール絶縁が不要であることから( ③ )化が容易であり、高周波軌道回路のため短

絡感度が向上するほか、設備としては( ① )が不要になる。

(4) 長大軌道回路は、軌道回路制御長が 5~6[km]と長い閑散線区に用いられ、非電化区間や直流電化区間

に使用される。送電側では商用周波数を分周して軌道に送電し、着電側では信号電流のみを取り出し

整流して( ④ )軌道リレーを動作させる。

(5) 直流軌道回路は、非電化区間に使用される一般的な軌道回路であり、機器構成がシンプルで経済性に

優れている。閑散線区等において、この軌道回路の列車検知特性を改善するために、レール間電圧を

高く設定し、着電側にも( ⑤ )を付加する方法が採られている。

問 17

次の文章は、保安通信設備について述べたものである。正しい記述には○を、誤った記述には×を解答欄

に記入しなさい。

① 電力指令所と運転指令所の間、電力指令所と変電所(被監視変電所を除く)の間、運転指令所と主要な

停車場の間及び閉そくの取扱い又は列車の運転の方向を打ち合わせる停車場相互間に設ける保安通信

設備は専用の回線を有することとされているが、この場合、専用の回線は自営回線でなければならない。

② 主として地下式構造又は高架式構造の鉄道の本線にあっては、いずれの列車等からも変電所、電力指令

所又は運転指令所に連絡通報することができる専用の保安通信設備を設けることとされているが、この

保安通信設備として列車無線設備を設置する場合、その機能要件の一つとして、全線に亘り通話可能な

ことが挙げられる。

③ 列車無線における指令員と乗務員の通話方式において、半複信方式とは、指令員は同時送受話が可能で

あるが、乗務員からは交互通話しかできない方式をいう。

④ 列車が事故等で駅中間に停止した場合、乗務員が隣接駅や関係箇所と連絡できるように、鉄道沿線に設

置された電話回線、電話機、端子箱を連絡用高声電話機(トークバック)と呼ぶ。

⑤ 架空通信線の高さは、鉄道を横断する場合にあっては、レール面上 4.5[m]以上としなければならない。

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問 18

次の文章は、通信線路について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な語句を解答欄に記入しな

さい。

(1) 平衡ケーブルは、絶縁被覆をもった、導電性が良い同一導体径の 2 本または 4 本の導線の線対を集め

て一束にしたものである。線対はケーブルに可とう性をもたせることと、( ① )を小さくすることな

どを目的に撚りが施されている。

(2) 伝送周波数が( ② )なると、ケーブルの心線の抵抗値は増加する。

(3) 音声周波数帯域での伝送損失を改善するために、ケーブル線路に直列にインダクタンスを挿入するこ

とを( ③ )という。

(4) 1 通信回線の信号が他の回線に移入することにより生ずる妨害を( ④ )という。

(5) 送電線や電気鉄道などの電力線に近接する通信線が受ける電磁障害のうち、回線に雑音が生じたり、

通信線と大地間に危険電圧が生じたりすることを( ⑤ )障害という。

問 19

次の文章は、伝送線路について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な語句または数式を下の語

群から1つ選び、その記号を解答欄に記入しなさい。

(1) 伝送線路のような分布定数回路に信号電流を流すと、信号の振幅が減衰することや、送端と受端の電

圧位相が異なることがある。線路の単位長さあたりの減衰の度合いを示す値を( ① )といいαで示し、

位相の変化の度合いを示す値を( ② )といい β で示す。このαと β を用いて、次の式で表されるγを

( ③ )といい、その線路特有の値である。

γ= j

(2) R、Lをそれぞれ線路に直列に分布する抵抗とインダクタンスとし、C、Gをそれぞれ並列に分布す

る静電容量と漏れコンダクタンスとする。また、信号電流の角周波数を ωとしたとき、伝送線路の特

性インピータンスZ0は、次の式で与えられる。

( ⑤ )

( ④ )OZ

語群: ア G-1/jωC、 イ R+jωL、 ウ 無効減衰量、 エ 位相定数、 オ 位相変調度、

カ 振幅変調度、 キ R-jωL、 ク G+jωC、 ケ 減衰定数、 コ R+1/jωC、

サ G+1/jωL、 シ 有効減衰量、 ス 損失定数、 セ 伝搬定数、 ソ 伝搬損失

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問 20

次の文章は、変調方式について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な語句または数値を解答欄

に記入しなさい。なお、同一番号の( )には同一語句または数値が入るものとする。ただし、解答の数値に

小数第 2 位以下がある場合は、小数第 2 位を四捨五入して小数第 1 位まで解答しなさい。

(1) ビット値「0」および「1」を図 1 のような信号波形で伝送するものとする。この変調方式は、各符号

に対して( ① )を変えた正弦波信号を対応させているので、( ① )変調方式である。

0 1ビット値ビット値

1ビット値

時間

1[ms]1[ms]1[ms]

0

-Vm

+Vm

図1

(2) ビット値「0」および「1」を図 2 のような信号波形で伝送するものとする。この変調方式は、各符号

に対して( ② )を変えた正弦波信号を対応させているので、( ② )変調方式である。

0 1ビット値ビット値

1ビット値

時間

1[ms]1[ms]1[ms]

0

-Vm

+Vm

図2

(3) 図1、図2の両変調方式とも、ビット値「1」に対応する信号波形の周波数は( ③ )[Hz]である。

(4) 図1、図2の両変調方式とも、伝送速度は( ④ )[bps]である。よって、2k バイトのデータを符号圧縮等

の処理をせずに送信するには最低( ⑤ )秒かかる。ただし、1k バイトは 1,024 バイトとする。

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問 21

次の文章は、剛体ちょう架式電車線について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な語句または

数値を下の語群から1つ選び、その記号を解答欄に記入しなさい。

(1) この方式は、カテナリちょう架式電車線と対比して( ① )や振止装置が不要であり、トンネルの高さ

を低くできる等の利点を有することから地下鉄に広く採用されている。

(2) 伸縮作用による線路方向の移動を防ぐため、適当な間隔で伸縮継ぎ手及び( ② )を設けなければなら

ない。

(3) 弾性が少なく( ③ )が大きいので小さな凹凸でも離線を生じ易いため、高速運転には適さないとされ

てきたが、構成部材の施工精度の向上および集電装置の改良等により離線率は改善されてきている。

このため、技術基準における速度の上限も改められており、昭和 62 年に制定された旧普通鉄道構造規

則では( ④ )[km/h]、現在の「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」の解釈基準では( ⑤ )[km/h]

とされている。

語群: ア 曲線引装置、 イ エンドアプローチ、 ウ アンカリング、 エ 張力調整装置、

オ 電車線区分装置、 カ 質量、 キ 剛性、 ク 電流容量、 ケ 80、 コ 90、 サ 100、

シ 130、 ス 160、 セ 180、 ソ サイドインクライン

問 22

次の文章は、1995 年の兵庫県南部地震以降の電車線路設備耐震設計指針(案)について述べたものである。

正しい記述には○を、誤った記述には×を解答欄に記入しなさい。

① 電車線路設備耐震設計の設計想定地震は、土木構造物の設計想定地震と同様に L1(中地震)、L2(大地

震)の 2 つについて検討している。

② 高架橋上の電車線柱の耐震設計では、高架橋の上に設備されている電車線柱の基礎をモルタル基礎と砂

基礎に分け、モルタル基礎では 5%の減衰を、砂基礎では 15%の減衰を考慮する。

③ 高架橋上の電車線柱では、高架橋との共振現象の把握が耐震設計上重要な要素となる。

④ 高架橋上の電車線柱の耐震設計手順では、高架橋の動的応答値を用いて電車線柱の重心位置における垂

直応答加速度を算定し、これより地震荷重を求めて耐力・安全性の評価を行う。

⑤ 地震によって高架橋上の電車線柱が受ける荷重を求めるには、高架橋の損傷程度(応答塑性率 μ)が算

定条件として与えられるため、高架橋が建設されている地盤は考慮しない。

問 21 から問 40 までは選択問題です。

1 群(問 21 から問 30 まで)から 5 問を選択して下さい。

2 群(問 31 から問 40 まで)から 5 問を選択して下さい。

合計 10 問を選択して、色付きの解答用紙に選択した問題番号を○で囲み、

その欄に解答を記入して下さい。

選択問題1群(問 21 から問 30 まで。この中から 5 問を選択して下さい。)

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問 23

次の文章は、整流器用変圧器の交流入力電流について述べたものである。正しい記述には○を、誤った記

述には×を解答欄に記入しなさい。ただし、直流回路には平滑な直流電流が流れるものとし、かつ、整流器

の転流重なり角は無視するものとする。

① 回路Ⅰにおいて、単相変圧器の入力側の電流iUに含まれる高調波は、電源周波数の 2n 倍の周波数であ

る。ただし、n は整数とする。

② 回路Ⅱにおいて、ΔΔ結線変圧器の入力側を流れる電流iΔΔは、図の電流波形iΔΔとなる。

③ 回路Ⅱにおいて、ΔΔ結線変圧器の入力側を流れる電流 iΔΔには、電源周波数の(6n±1)倍の周波数の

高調波が含まれる。ただし、n は整数とする。

④ 回路Ⅲにおいて、YΔ結線変圧器の入力側を流れる電流iYΔは、図の電流波形iYΔとなる。

⑤ 回路Ⅲにおいて、YΔ結線変圧器の入力側を流れる電流 iYΔには、電源周波数の 3 倍の周波数の高調波

が含まれる。

L=∞

iU

単相変圧器

単相ブリッジ整流回路

L=∞

iU

単相変圧器

単相ブリッジ整流回路

L=∞

ΔΔ結線変圧器

iΔΔ

三相ブリッジ整流回路

L=∞

ΔΔ結線変圧器

iΔΔ

三相ブリッジ整流回路

L=∞

YΔ結線変圧器

iYΔ

三相ブリッジ整流回路

L=∞

YΔ結線変圧器

iYΔ

三相ブリッジ整流回路

電流波形 iU電流波形 iU 電流波形 iΔΔ電流波形 iΔΔ iYΔ電流波形 iYΔ電流波形

回路Ⅰ 回路Ⅱ 回路Ⅲ

問 24

次の文章は、直流変電所の保護について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な語句を下の語群

から1つ選び、その記号を解答欄に記入しなさい。

(1) ΔI 形故障選択装置の動作原理は、( ① )電流のΔI が、( ② )電流のΔI に比べ大きいことを検出して

動作する。

(2) 直流高速度気中遮断器には引外しコイルと並列に誘導分路が設けられ、急峻な電流変化では、目盛値

以下の電流で解放を行い、最終電流値に達する以前に( ③ )遮断を行う。

(3) 変電所前の電気的に分離した電車線区分箇所において電車が力行しながら通過するとき、発生するΔI

によってΔI 形故障選択装置が誤動作することがある。この対策として( ④ )が設けられている。

(4) 複線または複々線の並列き電区間において、直流き電回路の短絡事故が発生し、直流高速度遮断器が

動作した場合、健全な並行回線のΔI 形故障選択装置が誤動作する現象を( ⑤ )という。

語群: ア 横流、 イ 限流、 ウ セクション補償、 エ 充電、 オ 励磁、

カ 還流、 キ 故障、 ク 連絡遮断、 ケ 臨界電流、 コ 移行、

サ 随伴動作、 シ 2f ロック、 ス 運転、 セ 逆流、 ソ 延長き電

iYΔ

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問 25

次の文章は、変電設備について述べたものである。下線部が正しい記述には○を、誤った記述には下線部

に入れるべき正しい語句を解答欄に記入しなさい。

① き電用変電所の整流器の電力用半導体デバイスにおいて、デバイスに加わるサージ電圧の吸収を目的に、

デバイスに並列に接続される保護回路をスナバ回路という。

② 変電所で配電用ケーブルのシースをアースする場合、アースのリード線を零相変流器 (ZCT)に通して

故障電流が 1 往復半になるようにする必要がある。

③ 変圧器の励磁突入電流の大きさは、電源電圧と残留電荷によって決まる。

④ 変圧器の励磁突入電流に含まれる第 3 高調波を検出して保護継電器の動作をロックすることにより、変

圧器の電源側遮断器の投入時における継電器の誤動作を防止する方法がある。

⑤ 機械保持式の直流高速度遮断器は、投入状態を保持するため、保持電流が必要である。

問 26

次の文章は、運転保安設備における安全確保の考え方について述べたものである。( )の中に入れるべき

適切な語句を下の語群から1つ選び、その記号を解答欄に記入しなさい。

(1) 踏切の制御に踏切制御子を用いる場合、始動点には( ① )式の踏切制御子、終止点には( ② )式の踏切

制御子を使用する。これは、始動点は故障した場合に警報する側になるように、終止点は故障した場

合に警報を持続する側になるようにするためである。

(2) 連動装置の時間鎖錠などに用いられる、長い緩動時間特性を有する信号リレーを( ③ )リレーといい、

設定時間以内で動作しないことを絶対条件としている。

(3) 連動装置の鎖錠のように、誤った操作を行っても直ちに危険側の制御とならないよう、許容できる条

件が整わない限り次の処理に進まないようにする概念があり、これを( ④ )という。

(4) 機器によっては、電源断等の障害が発生したときに、現状を保持することをもって安全を確保する考

え方を採るものがある。その事例として、磁気保持リレーや( ⑤ )が挙げられる。

語群: ア 直列、 イ インターロック、 ウ 閉電路、 エ 線条リレー、 オ フィードバック、

カ 保安器、 キ 時素、 ク 絶縁、 ケ 転てつ機、 コ 低電圧、

サ フォールトマスキング、 シ 並列、 ス 位相検知リレー、 セ 開電路、 ソ ラッチ

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問 27

次の文章は、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」の解釈基準等における踏切保安設備について述べ

たものである。下線部が正しい記述には○を、誤った記述には下線部に入れるべき正しい語句または数値を

解答欄に記入しなさい。

① 遮断かんには、2 個以上の黄色灯又は黄色の反射剤を通行者から見やすい位置に設けること。

② 大型遮断装置の遮断かんにあっては、遮断時に踏切道における車道を遮断する部分の鉛直方向の長さは、

0.1[m]以上であること。

③ 踏切警報機は踏切道に向かって左側に設けること。ただし、施設の状況等に照らしやむを得ない場合は、

この限りでない。

④ 複数の単線区間にまたがる踏切道は、同時に 2 列車が運行されることがある。この場合、列車進行方向

指示器の設置は必要である。

⑤ 踏切道改良促進法施行規則には、国土交通大臣が、踏切警報時間制御装置の整備により改良することが

必要と認められる踏切道として指定を行う要件が定められており、その一つとして、列車の速度が異な

ること等により、列車ごとの警報の開始から列車の到達までの時間について 20 秒以上の差がある踏切

道であることが挙げられている。

問 28

次の文章は、データ伝送品質を向上させる方法について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な

語句を下の語群から1つ選び、その記号を解答欄に記入しなさい。なお、同一番号の( )には同一語句が入

るものとする。

(1) 連続する符号誤りが発生する場合、( ① )誤り訂正符号はデータ伝送品質の向上に有効である。

(2) 符号誤りが不定期、不連続的に発生する場合、( ② )誤り訂正符号はデータ伝送品質の向上に有効で

ある。

(3) ( ① )誤りを( ② )誤りに変える方法を( ③ )という。

(4) 符号誤りの発生を受信側で判断して、送信側へ( ④ )を要求する方法をARQ という。

(5) データを送信する際に、同じデータを複数回送信する方法を( ⑤ )という。

語群: ア インターレース、 イ インターリーブ、 ウ 符号変換、 エ 一時停止、 オ 再送、

カ 重送、 キ ビット、 ク ランダム、 ケ ブロック、 コ バースト、

サ 多重化、 シ 連送、 ス インターフェース

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問 29

次の文章は、音声伝送回線の品質について述べたものである。正しい記述には○を、誤った記述には×を

解答欄に記入しなさい。

① 電話交換網において、接続に要する時間を評価する測度として呼損率がある。

② IP 電話における R 値とは、音声の総合的な品質を表す指標である。

③ 音声品質の評価に使われるMOS 値(平均オピニオン値)は、被験者による主観的な採点に基づいて求め

られる。

④ 回線網に入力した波形が無ひずみで伝送されるためには、減衰量は周波数に比例していることが必要で

ある。

⑤ 回線網を通して信号を伝送した時の入力信号周波数と出力信号周波数の差を位相ジッタという。

問 30

次の文章は、光ファイバケーブルの接続等について述べたものである。正しい記述には○を、誤った記述

には×を解答欄に記入しなさい。

① 光ファイバケーブルの心線をフェルール形のコネクタで接続するときに用いられるフェルールは、心線

の破断を防止するための部品である。

② 融着接続法はスリーブ接続法に比較して接続損失が大きい。

③ SF コネクタは SM 型光ファイバ接続用のコネクタとして、主に構内光配線の接続に用いられる。

④ 光ファイバケーブルを布設した後、成端処理を行う前に、光ファイバケーブルの出射端を壁などに向け

て通光状態を確認する方法がある。

⑤ 光ファイバ伝送路の光損失試験において、受光器として用いられる光パワーメーターは、測定する波長

により、短波長用のものと、長波長用のものがあり、一般に、短波長用の受光素子にはシリコンが使用

される。

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問 31

次の文章は、電車線の絶縁区分について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な語句を解答欄に

記入しなさい。

(1) 電車線は、異常時におけるき電停止区間の限定や保守作業等のための区分を設ける必要があるが、

( ① )による事故を防止するため、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」の解釈基準において区

分してはならない箇所が次のように定められている。

・電気機関車又は電車が常時( ② )する区域

・場内信号機、出発信号機又は閉そく信号機の( ③ )へその信号機から走行する列車の電気的に接続す

る( ④ )間の距離のうち最大のものに 50[m]を加えた距離以内の区域

(2) 電車線区分装置の一つである( ⑤ )は、一径間に 2 本の電車線を電気的に分離して架設した構造で、

電車通過時に給電が途絶えることがなく、また、硬点とならないことから高速運転に適している。

問 32

次の文章は、トロリ線応力について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な語句または数値を解

答欄に記入しなさい。なお、同一番号の( )には同一語句または数値が入るものとする。

(1) トロリ線には張力による静的な応力(平均引張応力)のほかに、パンタグラフ通過による( ① )応力が

加わる。著大な( ① )応力が数多くトロリ線に加わると、最悪の場合、トロリ線は疲労により破断す

る。

(2) トロリ線の残存断面積が新品時の 2/3 になると、平均引張応力は新線時の( ② )倍になり、疲労破断

に至る( ① )応力振幅は小さくなる。

(3) トロリ線の( ① )応力は、直接測定することができないため、トロリ線に発生する( ③ )から応力を

求めている。トロリ線の破断に対する安全率や摩耗限度などを考慮した( ③ )の目安値は( ④ )[μ]

であり、トロリ線のヤング率(縦弾性係数)を 1.2×105[MPa]として、このときの( ① )応力は( ⑤ )[MPa]

となる。

選択問題 2 群(問 31 から問 40 まで。この中から 5 問を選択して下さい。)

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問 33

次の文章は、カテナリちょう架式電車線の横張力および垂直分力について述べたものである。( )の中に

入れるべき適切な数値または数式を解答欄に記入しなさい。なお、同一番号の( )には同一数値または数式

が入るものとする。

(1) 直線区間および曲線区間における電車線の横張力 Phは、それぞれ図 1 と図 2 に示すような考え方で求

められる。

・直線区間

Ph=( ① )sinθ

sinθ≒( ② )/S (S ≫ d) なので、

Ph=( ③ )

・曲線区間

Ph=( ① )sinθ

sinθ≒2

S/R (S ≫ d) なので、

Ph=( ④ )

S S

d

d

T T

hP

θ

d

S

θ

R

hP T

d

(2) 図 2 の曲線区間において、曲線引き金具には、図 3 のように水平分力である横張力 Phと垂直分力Pvが

作用している。ここで、S =30[m]、R =600[m]、T =10[kN]、θv =11°としたとき、この垂直分力Pvは、( ⑤ )[N]

となる。ただし、tan11°=0.2 とする。

θv vP

hP

図 1 T:張力

d:偏位

S:径間長

R:曲線半径

Ph:横張力

θ:軌道中心線と電車線と

のなす角度

図 3

Ph:横張力

Pv:垂直分力

θv:曲線引き金具の引き角度

図2

軌道中心線

軌道中心線

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問 34

次の文章は、図に示す無負荷送電線の三相短絡故障について述べたものである。( )の中に入れるべき適

切な数値を解答欄に記入しなさい。ただし、基準電圧は機器の定格電圧とし、基準容量は 40[MVA]とする。

(1) 故障点 P における基準電流[kA]は、) (3

) (

① 

である。

(2) 発電機のリアクタンスは( ③ )%、変圧器と送電線からなる回路のリアクタンスは( ④ )%である。

よって、故障点 P における三相短絡電流は、基準電流の( ⑤ )倍となる。

問 35

次の文章は、変電所の雷害対策について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な語句を解答欄に

記入しなさい。なお、同一番号の( )には同一語句が入るものとする。

(1) 電線路から変電所に侵入する雷撃波としては、電線路への( ① )や、雷が他所へ落ちることによって

発生する( ② )、鉄塔に落雷した場合で接地抵抗が高いあるいは電流が大きいため鉄塔の電位が上昇

し鉄塔から放電する鉄塔( ③ )による侵入雷などがある。

(2) 遠方雷は、送電線路上を進行するうちにがいしを通して大地に放電していくため、耐雷設計上大きな

問題とはならないが、近接雷では( ④ )および波頭峻度が大きいサージが変電所に侵入するため、機

器の保護も困難となる。

(3) 変電所の雷害対策としては、送電線の引込口に避雷器を設置したり、( ① )から屋外気中絶縁設備を

保護するために( ⑤ )または避雷針を設置する。

G P

変圧器

送電線(%x=10%(110kV,40MVA 基準))11kV ,20MVA

(%x=30%)

発電機

三相短絡故障

11kV/110kV ,40MVA(%x=10%)

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問 36

次の文章は、信号用リレーについて述べたものである。( )の中に入れるべき適切な語句を解答欄に記入

しなさい。なお、同一番号の( )には同一語句が入るものとする。

(1) 一般リレーの場合は小型で能率よく動作させることを重点設計するが、信号用リレーの場合は危険側

への誤動作が完全にないことが要求され、フェールセーフの観点から( ① )が起こらないよう配慮し

た設計としている。このため、リレーが励磁するときに接触する( ② )接点の溶着が起こらないよう

に配慮した設計となっている。

(2) 溶着に対する対策としては( ③ )系接点を使用したり、( ③ )系接点を使用しない場合でも接点の開

離力を一般リレーより強くしている。

(3) リレーなどの誘導性負荷回路を開放すると、開閉接点間にアークが発生し接点が消耗したり、開閉サ

ージが他装置に影響を与えることがある。このため( ④ )を内蔵しサージ電圧を抑制する。

(4) 錫や亜鉛等の金属表面から経年的に極細針状の単結晶が成長する現象を( ⑤ )と呼ぶ。

問 37

次の文章は、電子連動装置の代表的なデータの構造について述べたものである。( )の中に入れるべき適

切な語句を解答欄に記入しなさい。なお、同一番号の( )には同一語句が入るものとする。

(1) 電子連動装置における連動条件データの構造の代表例として、( ① )方式、( ② )方式、結線入力方

式がある。( ① )方式は、軌道回路、転てつ器、信号機などの配線形状に従って地理的に連動条件を

表現する方式で、発点から着点までの進路を順にサーチしていくことにより連動処理を実行する。

(2) ( ② )方式は、連動図表の表に対応して、連動関係を信号制御、進路鎖錠などの内容ごとに ( ② )形

式のデータで構成する。( ① )方式と異なり( ③ )長のデータを用いるため、処理負荷の変動が殆ど

ないが、駅の規模が大きくなった場合、( ① )方式に比べ、必要なメモリ容量は( ④ )なる。

(3) 結線入力方式は、継電連動装置の結線図をそのまま入力し、これを( ⑤ )に変換して実行することで

連動機能を実現する。

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問 38

次の文章は、図の連動図表について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な語句または記号を解

答欄に記入しなさい。

(1) 連動図表の鎖錠欄A に入る記号は、( ① )である。

(2) 連動図表の信号制御又はてっ査鎖錠欄 B に入る記号は、( ② )である。

(3) 連動図表の進路鎖錠欄C に入る記号は、( ③ )である。

(4) 図中D の名称は、( ④ )である。

(5) 図中 E の数値「2」は、( ⑤ )を示す。

(第1種電気継電)

名 称 番号 鎖錠信号制御又は

てっ査鎖錠 進路鎖錠 接近又は保留鎖錠

場内信号機 X方-下り本線 1R 11L 1RT 下リ2T、下リ1T ((90秒))

出発信号機 下り本線-Y方 2R 21 B (21 ロ T) (下リ2T、下リ1T但○1R )1RT ((90秒))

場内信号機 Y方-上り本線 3L 22 22T 3LT (21 イ T但 21) (22T) 上リ2T、上リ1T ((90秒))

出発信号機 上り本線-X方 2L 2LT

入換信号機 下り本線-引上線 11R ○21 21 ロ T 21 イ T 11RT (21 ロ T 21 イ T) 1RT ((30秒))

同上 引上線-下り本線 11L 2 ○21 1R 21 イ T 21 ロ T 1RT ○21 (21 イ T 21 ロ T) 11RT ((30秒))

同上 上り本線-引上線 12R ○22 21 22T 21 イ T 11RT C 3LT ((30秒))

同上 引上線-上り本線 12L 1 A 21 イ T 22T 3LT 21 (21 イ T 22T) 11RT ((30秒))

転てつ器 (2動) 21 21 イ T 21 ロ T

同上 22 22T(21 イ T但 21)

(下り1T) (21 ロ T) (2RT) (1RT) 21 ロ

21 イ

1R 2R

(下り 2T)

下り1

X方 Y方

(3LT) (22T)

11L 12L 2

(21 イ T) (11RT)

(2LT)

2L

11R

(上り 1T) (上り2T)

上り1 3L

22

12R

○○駅連動図表

(引上線)

( 12 L )

( 11L )

( 下り本線)

×

×

(上り本線)

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問 39

次の文章は、図の通信回線について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な数値を解答欄に記入

しなさい。ただし、入出力各部のインピーダンスは整合しているものとし、log104=0.6 として計算しなさい。

発信器

増幅器

(10dB)

通信回線

レベル 計

(1) 発信器で周波数が 800[Hz]の正弦波を発生させ、通信回線への入力電力が 40[mW]となるようにした。

この場合の信号レベルは( ① )[dBm]である。

(2) レベル計で受信信号レベルを測定したところ、-14[dBm]であった。したがって、通信回線と増幅器を

合わせた全体の伝送損失は( ② )[dB]となる。増幅器の利得が 10[dB]であるので、通信回線の伝送損失

は( ③ )[dB]となる。

(3) この通信回線の伝送損失が 1[km]あたり 0.8[dB]とした場合、通信回線の長さは( ④ )[km]と計算される。

また、増幅器の利得を 0[dB]に設定した場合にレベル計で受信する電力は、( ⑤ )[mW]となる。

問 40

次の文章は、LCX(漏洩同軸ケーブル)について述べたものである。( )の中に入れるべき適切な語句を

解答欄に記入しなさい。なお、同一番号の( )には同一語句が入るものとする。

(1) LCX は、同軸ケーブルの外部導体に周期的に( ① )を設け、ケーブル内部を伝送される電気信号エネ

ルギーの一部が電波として外部に放射されることを利用したものである。

(2) LCX は、トンネル内や、空間波方式では電波が遮られて通信できない( ② )地帯で使用されるほか、

ゾーン分割を行う際に、電波干渉を防ぐ必要があるゾーン境界などで使用されている。

(3) 地上に布設された LCX から放射される電波を車上で受信した場合、受信される電波の( ③ )の変動す

る幅が空間波方式と比べて小さく、また外来の雑音にも強いという特徴があるため、空間波方式より

も通信品質が安定している。

(4) LCX の特性を表す規格値のうち、無線回線設計をするうえで重要な規格値として、減衰量と( ④ )が

ある。( ④ )が大きい LCX ほど漏れる電波の強さが小さくなり、減衰量は( ⑤ )くなる。

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鉄道設計技士試験

平成 20 年度

専門試験Ⅰ(鉄道電気) 解答例

無断転載を禁じます

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平成 20 年度 鉄道設計技士試験 専門試験Ⅰ(鉄道電気) 解答例

問 1 ① 2 、 ② 1/2、 ③ 過渡、 ④ 2、 ⑤ 誘導起電力

問 2 ① ×、 ② ×、 ③ ×、 ④ ○、 ⑤ ○

問 3 ① ×、 ② ×、 ③ ○、 ④ ○、 ⑤ ×

問 4 ① 5

24

5

32j 、 ② 容量、 ③ 160、 ④ 120、 ⑤

5

4

問 5 ① ス、 ② シ、 ③ イ、 ④ エ、 ⑤ コ

問 6 ① 直接ちょう架、 ② シンプル、 ③ ツインシンプル、 ④ コンパウンド、 ⑤ 5

問 7 ① ジュール、 ② 最高許容、 ③ 90、 ④ 太陽、 ⑤ 電気抵抗

問 8 ① ×、 ② ○、 ③ ×、 ④ ○、 ⑤ ○

問 9 ① 点弧、 ② 位相、 ③ インバータ、 ④ アクティブフィルタ、 ⑤ 無停電電源装置

問 10 ① ウ、 ② コ、 ③ セ、 ④ ア、 ⑤ エ

問 11 ① ○、 ② ×、 ③ ×、 ④ ×、 ⑤ ×

問 12 ① 架橋ポリエチレン、 ② 遮蔽、 ③ トリプレックス、 ④ フェランチ、 ⑤ 高く

問 13 ① ク、 ② ア、 ③ エ、 ④ シ、 ⑤ ソ

問 14 ① ○、 ② ○、 ③ ×、 ④ ×、 ⑤ ○

問 15 ① 誤認、 ② 進路表示機、 ③ 外方、 ④ 垂直、 ⑤ 警音

問 16 ① インピーダンスボンド、 ② 漏れコンダクタンス、 ③ ロングレール、 ④ 直流、

⑤ 軌道抵抗子

問 17 ① ×、 ② ○、 ③ ○、 ④ ×、 ⑤ ×

問 18 ① 電磁結合、 ② 高く、 ③ 装荷、 ④ 漏話、 ⑤ 誘導

問 19 ① ケ、 ② エ、 ③ セ、 ④ イ、 ⑤ ク

問 20 ① 振幅、 ② 位相、 ③ 2,000、 ④ 1,000、 ⑤ 16.4

問 21 ① ア、 ② ウ、 ③ キ、 ④ コ、 ⑤ シ

問 22 ① ×、 ② ○、 ③ ○、 ④ ×、 ⑤ ×

問 23 ① ×、 ② ○、 ③ ○、 ④ ○、 ⑤ ×

問 24 ① キ、 ② ス、 ③ イ、 ④ ウ、 ⑤ サ

問 25 ① ○、 ② ○、 ③ 磁束、 ④ 第 2、 ⑤ 電磁保持

問 26 ① ウ、 ② セ、 ③ キ、 ④ イ、 ⑤ ケ

問 27 ① 赤色、 ② ○、 ③ ○、 ④ ○、 ⑤ 30

問 28 ① コ、 ② ク、 ③ イ、 ④ オ、 ⑤ シ

問 29 ① ×、 ② ○、 ③ ○、 ④ ×、 ⑤ ×

問 30 ① ×、 ② ×、 ③ ×、 ④ ○、 ⑤ ○

問 31 ① セクションオーバー、 ② 停車、 ③ 外方、 ④ 集電装置、 ⑤ エアセクション

問 32 ① 曲げ、 ② 3/2、 ③ ひずみ、 ④ 500、 ⑤ 60

問 33 ① 2T、 ② 2d、 ③ 4Td/S、 ④ ST/R、 ⑤ 100

問 34 ① 40、 ② 110、 ③ 60、 ④ 20、 ⑤ 1.25

問 35 ① 直撃雷、 ② 誘導雷、 ③ 逆フラッシオーバ、 ④ 波高値、 ⑤ 架空地線

問 36 ① 落下不能、 ② N、 ③ カーボン、 ④ バリスタ、 ⑤ ホイスカ

問 37 ① シュプール、 ② マトリックス、 ③ 固定、 ④ 大きく、 ⑤ 論理式

問 38 ① 21 ○22 、 ② 21 ロ T 2RT、 ③ (22T 21 イ T)、 ④ 車両停止標識、 ⑤ 進路数

問 39 ① 16、 ② 30、 ③ 40、 ④ 50、 ⑤ 0.004

問 40 ① スロット、 ② 不感、 ③ 強さ、 ④ 結合損、 ⑤ 小さ

(注) 語句記述式問題については、上記以外にも正解のある場合があります。