腹臥位によるECIRS(経皮・経尿道同時内視鏡手 術):単腎結石 …

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腹臥位によるECIRS(経皮・経尿道同時内視鏡手 術):単腎結石に対する治療の工夫 濵本周造  海野 怜  田口和己  安藤亮介  岡田淳志  戸澤啓一  郡健二郎  安井孝周 要旨 尿路結石患者における単腎症例の頻度は1.4〜3.3% と少なく,その治療選択に悩むことが多い.また,単腎で あるために,治療にともなう腎機能低下に特に留意する必 要がある.20mm以上の単腎結石の治療は,破砕片の閉塞 に伴う合併症が重篤になるため,内視鏡治療が必要となる が,現在の診療ガイドラインには特記されておらず,通常 の健常腎結石と同様に扱われている.つまり,20mm以上 の巨大な単腎結石の治療の第一選択は経皮的腎砕石術 (Percutaneous nephrolithotomy:PNL)と考えられてい る.PNLは,腎結石に対する効率的な治療である反面,輸 血を要する出血や発熱などの合併症が問題となる.術中・ 術後の合併症が,長期経過観察における腎機能低下と関連 すると報告されており,単腎結石に対しては,より確実 で,低侵襲にPNLを行うことが求められる. 私たちは,大きな腎結石に対して以前より軟性尿管鏡と 細径腎盂鏡を併用した治療(Endoscopic combined intra- renal surgery:ECIRS)を導入し,その有用性を報告し てきた.手術は,(1)開脚腹臥位にて尿管シースを挿入 し,軟性尿管鏡を用いた経尿道的腎砕石術(f-TUL)を施 行,(2)別の術者が細径腎瘻シースを留置し,f-TULと併 行してPNLを施行,(3)軟性尿管鏡からの逆行性灌流を 利用して破砕片を腎瘻シースから抽石,といった手順で行 う.その利点は,1)軟性尿管鏡補助下での腎瘻穿刺によ る確実なトラクト挿入,2)細径腎瘻シースによる出血リ スクの軽減,3)灌流効率の上昇による抽石効率の改善,4) PNL単独治療では到達困難な腎杯内結石の破砕が可能, である.今回,本稿では,機能的単腎結石に対するECIRS を供覧し,腎機能に留意し,低侵襲な効率的治療を行う工 夫について概説する. 緒 言 単腎結石は,先天性腎欠損,腎摘後,機能的単腎状態に ともなう腎結石のことで,全尿路結石患者の1.4-3.3%と比 較的稀な病態である 1) .多くの症例で観血的結石治療の既 往があることから再発のリスクも高く 1) ,完全に結石を摘 出することが重要と考えられる.単腎状態であることか ら,腎機能や合併症の予防に特に留意する必要があるが 2) 現在の診療ガイドラインにはそのアルゴリズムは特記され ておらず,通常の健常腎結石と同様に扱われている.つま り,20mm以上の巨大な単腎結石の治療の第一選択はPNL と考えられている. PNLは,大きな結石に対する治療成績はよいものの, その合併症が問題となる 3) .CROSEの大規模多施設データ によると,単腎結石に対するPNLは,健常腎結石と比較 して,結石消失率が悪化し,また輸血のリスクが高くなる とされている 4) .また,単腎結石に対するPNL後の長期腎 機能をまとめた報告によると,治療全体としては術前と比 較して有意に改善するものの,腎機能の悪化を認めた症例 も15.5%に認めた.その腎機能悪化のrisk factorとしては, 2本以上のトラクト,肋骨上穿刺,出血,残石が挙げられ ている 5) .単腎結石においては,1本のトラクトから,低侵 襲かつ効率的に砕石・抽石することが重要と考えられる. ECIRSは,腎結石に対してTULとPNLを併用する尿路 結石内視鏡治療として2008年にヨーロッパで開発された手 術である 6) .砕石・抽石効率の高いPNLと,観察範囲の広 い軟性尿管鏡を組み合わせることで,高い治療成功率が達 成できる.ECIRSは,修正Valdivia位(患側を上にした半 側臥位と砕石位を組み合わせた体位) 7) や開脚腹臥位が考 案されたことで,より簡便に経尿道的操作を併用できるよ うになり,全世界に普及するようになった.現在では本邦 にも導入され,TAP(TUL assisted PNL)という呼び方 で普及している.細径トラクトを用いたECIRSはPNL単 独治療と比較して,治療成績を低下させずに,合併症のリ 濵本周造・海野 怜・田口和己・安藤亮介・岡田淳志・戸澤啓一・ 郡健二郎・安井孝周:名古屋市立大学大学院医学研究科腎泌尿器科 学分野 55 特集2:尿路結石に対する治療戦略 ⒸJapanese Society of Endourology 2016 Japanese Journal of Endourology(2016)29:55-59

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腹臥位によるECIRS(経皮・経尿道同時内視鏡手術):単腎結石に対する治療の工夫

濵本周造  海野 怜  田口和己  安藤亮介  岡田淳志  戸澤啓一  郡健二郎  安井孝周

要旨 尿路結石患者における単腎症例の頻度は1.4〜3.3%と少なく,その治療選択に悩むことが多い.また,単腎であるために,治療にともなう腎機能低下に特に留意する必要がある.20mm以上の単腎結石の治療は,破砕片の閉塞に伴う合併症が重篤になるため,内視鏡治療が必要となるが,現在の診療ガイドラインには特記されておらず,通常の健常腎結石と同様に扱われている.つまり,20mm以上の巨大な単腎結石の治療の第一選択は経皮的腎砕石術

(Percutaneous nephrolithotomy:PNL)と考えられている.PNLは,腎結石に対する効率的な治療である反面,輸血を要する出血や発熱などの合併症が問題となる.術中・術後の合併症が,長期経過観察における腎機能低下と関連すると報告されており,単腎結石に対しては,より確実で,低侵襲にPNLを行うことが求められる. 私たちは,大きな腎結石に対して以前より軟性尿管鏡と細径腎盂鏡を併用した治療(Endoscopic combined intra-renal surgery:ECIRS)を導入し,その有用性を報告してきた.手術は,(1)開脚腹臥位にて尿管シースを挿入し,軟性尿管鏡を用いた経尿道的腎砕石術(f-TUL)を施行,(2)別の術者が細径腎瘻シースを留置し,f-TULと併行してPNLを施行,(3)軟性尿管鏡からの逆行性灌流を利用して破砕片を腎瘻シースから抽石,といった手順で行う.その利点は,1)軟性尿管鏡補助下での腎瘻穿刺による確実なトラクト挿入,2)細径腎瘻シースによる出血リスクの軽減,3)灌流効率の上昇による抽石効率の改善,4)PNL単独治療では到達困難な腎杯内結石の破砕が可能,である.今回,本稿では,機能的単腎結石に対するECIRSを供覧し,腎機能に留意し,低侵襲な効率的治療を行う工夫について概説する.

緒 言

 単腎結石は,先天性腎欠損,腎摘後,機能的単腎状態にともなう腎結石のことで,全尿路結石患者の1.4-3.3%と比較的稀な病態である1).多くの症例で観血的結石治療の既往があることから再発のリスクも高く1),完全に結石を摘出することが重要と考えられる.単腎状態であることから,腎機能や合併症の予防に特に留意する必要があるが2),現在の診療ガイドラインにはそのアルゴリズムは特記されておらず,通常の健常腎結石と同様に扱われている.つまり,20mm以上の巨大な単腎結石の治療の第一選択はPNLと考えられている. PNLは,大きな結石に対する治療成績はよいものの,その合併症が問題となる3).CROSEの大規模多施設データによると,単腎結石に対するPNLは,健常腎結石と比較して,結石消失率が悪化し,また輸血のリスクが高くなるとされている4).また,単腎結石に対するPNL後の長期腎機能をまとめた報告によると,治療全体としては術前と比較して有意に改善するものの,腎機能の悪化を認めた症例も15.5%に認めた.その腎機能悪化のrisk factorとしては,2本以上のトラクト,肋骨上穿刺,出血,残石が挙げられている5).単腎結石においては,1本のトラクトから,低侵襲かつ効率的に砕石・抽石することが重要と考えられる. ECIRSは,腎結石に対してTULとPNLを併用する尿路結石内視鏡治療として2008年にヨーロッパで開発された手術である6).砕石・抽石効率の高いPNLと,観察範囲の広い軟性尿管鏡を組み合わせることで,高い治療成功率が達成できる.ECIRSは,修正Valdivia位(患側を上にした半側臥位と砕石位を組み合わせた体位)7)や開脚腹臥位が考案されたことで,より簡便に経尿道的操作を併用できるようになり,全世界に普及するようになった.現在では本邦にも導入され,TAP(TUL assisted PNL)という呼び方で普及している.細径トラクトを用いたECIRSはPNL単独治療と比較して,治療成績を低下させずに,合併症のリ

濵本周造・海野 怜・田口和己・安藤亮介・岡田淳志・戸澤啓一・郡健二郎・安井孝周:名古屋市立大学大学院医学研究科腎泌尿器科学分野

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スクも低下するため8),単腎結石のような難治性腎結石に対しても有効な治療法と考えられる.今回,機能的単腎結石に対するECIRSを供覧するとともに,ECIRSが術後腎機能に与える影響について検討する.

対象と方法

 2010年12月から2014年7月までの間に,名古屋市立大学病院及び豊田厚生病院で腎結石に対してECIRSを施行した92症例を対象とし,その中から機能的単腎結石症例2例を提示する.また,ECIRSが術後腎機能に与える影響を検討するため,全症例の治療成績(手術時間,治療成功率,Hb 変 化 量, 合 併 症 ) と 術 前 後 の 腎 機 能( 血 清Cre,eGFR,MAGシンチグラフィーにおける患側のSplit renal

function(SRF))を後ろ向きに検討した.

症例1(Fig. 1) 33歳女性.6年前に右腎結石に対して観血的治療を行われたが,通院治療を中断し,右腎萎縮となる.今回左腎結石が増大し紹介受診.既往歴に特記すべきことはなかった.CT,KUBで左腎に30×20×15mm大の珊瑚状結石を認めた.

症例2(Fig. 2) 31歳男性.1年前に左尿管結石が嵌頓し,尿管カテーテル留置のうえESWL施行.今回残石が増大し,再び尿管に嵌頓し腎盂腎炎を呈したため,尿管カテーテルを留置したのち,治療目的に紹介受診となる.既往歴として先天性右

Fig. 1 症例1CT,KUBで左腎に30×20×15mm大の珊瑚状結石.右腎萎縮あり.

Fig. 2 症例2CT,KUBで左腎に20×14×10mm大の腎結石.腎盂腎炎後で尿管ステントが留置されている.右腎は認めない.

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腎欠損がある.CT,KUBで左下腎杯に24×14×10mm大の結石と複数の小結石を認めた.腎シンチでは,右腎の取り込みは認めなかった.

手術方法

 体位は,手術開始から終了まで開脚腹臥位で行った.詳細な手術方法は過去に報告9)しているため,ここでは簡単に説明する.初めに,軟性膀胱鏡を用いて,患側尿管にガイドワイヤー,12/14F尿管アクセスシースを挿入した.アクセスシースを通して,軟性尿管鏡(URF-TYPE V, Olympus)を挿入し,結石を観察したのち,別の術者が腎杯穿刺を行った.腎杯穿刺は,超音波装置を用いて行うが,目的とする腎杯乳頭円蓋部に穿刺ができていることを軟性尿管鏡で確認したのち(Fig. 3),トラクトの拡張,増設を行った.拡張はOne-step dilatorを用い,18Fもしくは19.5Fのmini-PNLトラクト(Karl Storz)を留置した.今回の2症例には18Fトラクトを使用した.PNL側から圧縮空気式破砕装置を用いて,TUL側からホルミウムヤグレーザーを用いて,同時に砕石したのち,適宜TULの逆行性灌流を利用してトラクトから抽石した.最後に4.7F尿管ステント,腎瘻を留置するが,今回の2症例においては,腎瘻を留置せずにTubelessにて手術終了した.

結 果

 症例1/症例2の手術結果をTable 1に示す.手術時間はそれぞれ83/55分.Hbの変化量は0.2/-0.3g/dl.ともに術後合併症はなく,入院期間は5/4日だった.術3ヶ月後のKUBではともに明らかな残石は認めなかった.術3ヶ月後の腎機能は,血清Cre,eGFRともに術前よりも軽度改善していた. Table 2にECIRSを行った全92症例の結果を示す.結石最大径の平均は,34.9mmで,手術時間は116.4分であった.術後合併症として輸血を必要とした出血を2.1%に認めたが,単回の結石消失率は81.5%であった.術3ヶ月後の血清Cre,eGFRは有意ではないものの軽度改善しており,MAGシンチグラフィーでの分腎機能の評価では,SRFに変化を認めなかった.

考 察

今回のmini-PNLとTULを併用したECIRSは,単腎結石のような難治性腎結石に対しても,腎機能の悪化を伴わない有効な治療であった.また全体の治療成績でも,腎機能

に影響の少ない手術であることがわかった.PNL単独治療と違い,ECIRS は,2人以上の泌尿器科医,多くの手術機器を必要とする反面,砕石・抽石効率の高いPNLと,観察範囲の広い軟性尿管鏡を組み合わせることで,低侵襲で高い治療成功率が達成できる.珊瑚状結石など複数腎杯に結石を認め症例をPNL単独で治療を行う場合,特に結石を含む腎杯数が5個を超えると手術時間は長くなり,結石消失率は低下する10).無理に腎盂鏡を操作すると腎裂傷から出血を助長する可能性があり,2本目のトラクトが選択されることもあるが,単腎症例の場合,腎機能の悪化からためらわれることが多い.ECIRSの場合,トラクト刺入部から死角となる腎杯結石に対しても,軟性尿管鏡で砕石したのち,腎盂までバスケットで移動させること(Pass the ball)で安全にトラクトから抽石できる(Fig. 4). 私たちは,主に開脚腹臥位でECIRSを行っている.ECIRSは,経尿道的アプローチを必要とするため,砕石位と半側臥位を組み合わせた修正Valdivia位が用いられることが多い.しかし,PNL単独の治療成績を,腹臥位と修正Valdivia位で比較した報告では,腹臥位でのPNLの方が,有意に治療成績がよく,腎瘻作成のトラブルが少ないと示されている.腹臥位の欠点としては,麻酔や腎盂内圧上昇による術後尿路感染のリスクがあるものの,穿刺を行う際の柔軟性はたかく,また軟性尿管鏡の操作も容易に行うことができるため11),安全にECIRSをできる方法と考えている. 腎杯穿刺の方法には,透視下穿刺,超音波ガイド下穿刺,内視鏡補助下の穿刺がある.透視下穿刺は,様々な角度から腎杯を立体的に観察することで,腎杯の形態のイメージがつきやすいが,放射線の被爆量が多くなる.一

Fig. 3 軟性尿管鏡補助下の腎杯穿刺乳頭円蓋部に22G穿刺針が確認できる(△).

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方,超音波ガイド下穿刺は,血流動態を含めたリアルタイムな画像を観察できる反面,精度が患者の年齢や体格,術者の技量に左右される欠点がある.CROSE Studyのデータでは,86.7%に透視下穿刺が行われていたが,超音波ガイド下穿刺の方が,術後の出血が少なく,輸血のリスクが低いと報告されている12).PNLにおける出血は,トラクトを造設する際に比較的太い葉間動静脈を誤穿刺した際に見られる.解剖学的に腎動静脈は,腎乳頭を取り囲むように走行するため,穿刺は腎杯乳頭部を通ることが望ましい.私たちは,軟性尿管鏡を用いて,穿刺針が腎杯の乳頭円蓋部を通過していることを確認し(Fig. 4),腎瘻拡張,トラクト増設を行っている.血管の走行している部位を可能な限り避けてトラクトを作成することが,術中・術後の出血を減らし安全な治療につながったものと思われた. さらに,私たちは,従来のPNL で用いられる24〜30Fのトラクトではなく,18〜19.5Fと細径のトラクトを使用した.細径トラクトは従来のトラクトと比較して,内腔の面積が半分となるため,損傷する腎実質や腎血管が減少

Fig. 4 Pass the ballトラクト刺入部からの死角となる腎杯の結石に対しては,TUL から砕石(a)し,バスケット鉗子で腎盂へ誘導し,トラクトから抽石する.

Table 1     症例1 症例2結石サイズ(mm) 30×20×15 21×14×10CT値(HU) 551 1136.3手術時間(分) 83 55Hb変化量(g/dl) 0.2 -0.3Hct変化量(%) 0.1 -1.7入院期間(日) 5 4合併症 特になし 特になし結石分析 尿酸結石 Ca含有結石血清Cre(mg/dl) 術前 0.88 0.86

術翌日 0.9 0.883ヶ月後 0.75 85

eGFR(ml/分/1.73m2) 術前 61 8術翌日 60 833ヶ月後 75 88

Table 2 N=92   治療成績  合併症(%)結石最大径(mm) 34.9±2.1 38.5度以上の発熱 8.6手術時間(分) 116.4±5.2 出血(術後Hb低下≧2.5) 7.6Hb低下量(g/dl) 1.14±0.12 輸血 2.1平均入院期間(日) 6.3±0.4 動脈塞栓術 1単回結石消失率(%) 81.5 尿路損傷 6.5血清Cre(mg/dl) 術前 0.85 腎瘻抜去に関する問題 3.2

術翌日 0.833ヶ月後 0.77

eGFR(ml/分/1.73m2) 術前 77.5術翌日 74.33ヶ月後 81.2

分腎機能(%) 術前 45.43ヶ月後 45.0  

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し,輸血のリスクや腎機能に影響も少なくなると思われる.しかし,同時に抽石の効率が低下し,手術時間の延長,治療成功率が低下する問題がある.ECIRSでは,TULを併用し同時砕石ができること,TULからの逆行性灌流により効率的な抽石が可能となることより,細径トラクトを用いても通常のトラクトと同等の治療成績が期待できた. 単腎結石などの難治性腎結石に対して,「腹臥位」,「軟性尿管鏡補助下の腎杯穿刺」,「細径トラクト」,「TUL/PNLの同時治療」などの工夫を行うことで,より確実で低侵襲な治療が行えたものと思われた.

利益相反自己申告:申告すべきものなし

文 献

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