弘前大学COI 弘前大学COIヘルシーエイジング・学人間健康学部 砂川昌範...

18
第91号 発行日:令和元年12月18日 発行者:医学研究科広報委員会 印 刷:やまと印刷株式会社 題字 前弘前大学長 遠藤正彦氏筆 1面:弘前大学 COI ヘルシーエイジング・イノベーションフォーラム 2019  2面:医学研究科長・医学部長寄稿/4th International MISt Congress Best Paper Awardを受賞して/第23回整形・災害外科優 秀論文賞受賞報告/令和元年度糖尿病性神経障害を考える会優秀演題 賞を受賞して  3面:第 140回日本医学放射線学会北日本地方会優秀 演題賞/第16回日本中性子捕捉療法学会学術大会ベストプレゼン テーション賞をW受賞して/第44回日本足の外科学会地域別研修医 報告最優秀賞を受賞して  4面:第2回櫻井記念医学研究賞授賞式/ 特別賞を受賞して/若手奨励賞を受賞して  5面:第2回 COI 学会に おいて優秀賞を受賞して/令和元年度教育に関して優れた業績を上げ た教員を受賞して  6面:秋季学位記授与式/解剖体慰霊祭/弘前肉 腫 腫瘍医学への貢献 記念石碑の設置  7面:弘前大学医学部スクー リング/中学生と医師との交流プログラム/医学展 2019 を終えて  8 :医学研究科学内公開講座メンタルヘルスの開催報告/医学研究科 健康・医療講演会の報告/市民公開講座身近な脳疾患の治療を開催し て/癌研究の国際カンファレンスを開催して  9面:国体セーリング 競技に参加して/留学だより 10面:若手教員・医師だより/青森あ ずまし温泉紀行 11面:学生だより 解剖学実習を終えて 12~13 面留学だより ハワイ大学・三沢米軍基地 14面:海外臨床研修を体験 して 15面:部活動紹介 剣道部、空手道部、Medical Cool Quartet  16面:写真コラム/東日本医科学生体育大会夏季競技を終えて/研究 室紹介 放射線腫瘍学講座 17面:研究室紹介 放射線診断学講座/テ レビに出演して 18面:人事異動 調佐藤学長 柏木副知事 菱山文部科学省科学技術・ 学術政策局長 中路先生 明治安田生命 鈴木会長 ミルテル 田原会長 浜内先生 櫻田弘前市長 100 会場の様子 ポスター展示会場 パネルディスカッションの模様 弘前大学COI 松田ビジョナリーリーダー 小宮山先生

Transcript of 弘前大学COI 弘前大学COIヘルシーエイジング・学人間健康学部 砂川昌範...

Page 1: 弘前大学COI 弘前大学COIヘルシーエイジング・学人間健康学部 砂川昌範 いて紹介されました。先生が、研究の最前線につ 「地域連携最前線」では、

第91号発行日:令和元年12月18日

発行者:医学研究科広報委員会

印 刷:やまと印刷株式会社題字 前弘前大学長 遠藤正彦氏筆

1 面:弘前大学COIヘルシーエイジング・イノベーションフォーラム2019  2 面:医学研究科長・医学部長寄稿/4th International MISt Congress Best Paper Awardを受賞して/第23回整形・災害外科優秀論文賞受賞報告/令和元年度糖尿病性神経障害を考える会優秀演題賞を受賞して  3 面:第140回日本医学放射線学会北日本地方会優秀演題賞/第16回日本中性子捕捉療法学会学術大会ベストプレゼンテーション賞をW受賞して/第44回日本足の外科学会地域別研修医報告最優秀賞を受賞して  4 面:第2回櫻井記念医学研究賞授賞式/特別賞を受賞して/若手奨励賞を受賞して  5 面:第2回COI学会において優秀賞を受賞して/令和元年度教育に関して優れた業績を上げた教員を受賞して  6 面:秋季学位記授与式/解剖体慰霊祭/弘前肉腫 腫瘍医学への貢献 記念石碑の設置  7 面:弘前大学医学部スクーリング/中学生と医師との交流プログラム/医学展2019を終えて  8面:医学研究科学内公開講座メンタルヘルスの開催報告/医学研究科健康・医療講演会の報告/市民公開講座身近な脳疾患の治療を開催して/癌研究の国際カンファレンスを開催して  9 面:国体セーリング競技に参加して/留学だより 10面:若手教員・医師だより/青森あずまし温泉紀行 11面:学生だより 解剖学実習を終えて 12~13面:留学だより ハワイ大学・三沢米軍基地 14面:海外臨床研修を体験して 15面:部活動紹介 剣道部、空手道部、Medical Cool Quartet 16面:写真コラム/東日本医科学生体育大会夏季競技を終えて/研究室紹介 放射線腫瘍学講座 17面:研究室紹介 放射線診断学講座/テレビに出演して 18面:人事異動

 

弘前大学と青森県、弘前

市は、科学技術振興機構

(JST)共催のもと、十

月四日㈮、「弘前大学CO

I 

ヘルシーエイジング・

イノベーションフォーラム

2019」を一橋講堂(東

京都千代田区)で開催しま

した。

 

まずは本フォーラムの開

催にご尽力をいただきまし

た学内外の先生方、参画機

関の皆様、そしてスタッ

フとして運営にご協力い

ただいた皆様にお礼を申

し上げます。おかげさま

で東京での開催も五回目

となり、当日は雨天にも

関わらず、首都圏内外を

はじめ全国から企業や大

学、研究機関、一般の

方々、メディア関係者な

ど約八百人がご来場くだ

さり、会場内のホールは

一、二階ともに満席、

立ち見が出るほどの

賑わいとなりました。

 

フォーラムでは、『健

康BD』と『新健診モ

デル』でQOL &

NHを最大化しSDG

sへ貢献することを目的と

している弘前大学COIの

取組について、最先端の研

究成果等を紹介したほか、

社会実装の進捗状況など、

産学官民各界の第一線で活

躍している関係者が参集

し、ご発表いただくととも

に、熱い議論が展開されま

した。

 

開会にあたり、弘前大学

長 

佐藤敬先生、青森県副知

事 

柏木司氏、弘前市長 

田宏氏からご挨拶いただき

ました。来賓を代表して、

文部科学省 

科学技術・学

術政策局 

局長 

菱山豊氏、

COI

STREAMビ

ジョン1ビジョナリーリー

ダー(元協和発酵キリン社

長)

松田譲氏よりご挨拶を

頂戴しました。

 

基調講演では、弘前大学

COI拠点長・研究統括

ルの追求」、株式会社ミル

テル取締役会長/広島大学

副理事 

田原栄俊氏が「テ

ロメアによる未病改善への

挑戦」、料理研究家の浜内

千波先生が「減塩のスス

メ」との題で、それぞれ熱

のこもったご講演をいただ

きました。

 「ビッグデータ研究最前

線」では、京都大学大学院

医学研究科 

奥野恭史先生、

東京大学医科学研究所 

元清哉先生、東京大学大学

院医学系研究科 

平川晃弘

先生、東京大学大学院情報

学環 

上村鋼平先生、東京大

学大学院薬学系研究科 

十嵐中先生が研究の進捗等

についてご発表、続いての

「データ連携最前線」では、

九州大学大学院医学研究

院 

二宮利治先生、京都府

立医科大学大学院医学研究

科 的場聖明先生、和歌山

佐藤学長

弘前大学COIヘルシーエイジング・

  イノベーションフォーラム2019

弘前大学COI研究推進機構

教授

COI副拠点長(戦略統括)  

村 

下 

公 

柏木副知事

菱山文部科学省科学技術・学術政策局長

中路先生 明治安田生命 鈴木会長

ミルテル 田原会長 浜内先生

櫻田弘前市長

県立医科大学保健看護学

部 

上松右二先生、名桜大

学人間健康学部 

砂川昌範

先生が、研究の最前線につ

いて紹介されました。

 「地域連携最前線」では、

青森県むつ市長 

宮下宗一

郎氏、北星交通株式会社総

務部次長 

積田裕子氏が地

元地域での健康づくりへの

活動について紹介されまし

た。

 

続いて、COI

STR

EAMガバニング委員会委

員長 

㈱三菱総合研究所理

事長/プラチナ構想ネット

ワーク会長/東京大学第二

十八代総長の小宮山宏先生

より激励のお言葉を頂戴し

ました。

 「認知症・意思決定支援

最前線」では、京都府立医

科大学大学院医学研究科 

成本迅先生、京都府立医科

大学サテライト拠点PL/

株式会社ベネッセスタイル

ケア 

奥村太作氏から認知

症にかかる意思決定支援に

ついてご紹介いただき、参

画機関による「社会実装リ

レープレゼン」では、弘前

大学COI副拠点長・社会

実装統括/花王㈱安川氏を

はじめ合計二十社の代表者

が登壇、それぞれの社会実

装の状況についてプレゼン

テーションが行われまし

た。

 

パネルディスカッション

では「人生100年時代の健康

未来を考える」をテーマ

に、株式会社宮田総研代表

取締役 

宮田満氏をモデ

レータとし、COI総括ビ

ジョナリーリーダー代理/

名古屋大学医学部附属病院

先端医療開発部

先端医療・

臨床研究支援センター

長 

水野正明先生がアドバ

イザー、社会実装リレーの

演者がパネラーとなって議

論を交わしました。拡大す

る産学官民連携チームと社

会実装の現状に対し、パネ

ラーからは期待とともに、

絞り込んだうえでのさらな

る推進といった提言もあ

り、貴重な意見交換の場と

なりました。

 

閉会にあたり、弘前大学

副学長(COI担当)医学

研究科長の若林孝一先生が

挨拶され、大盛況のうちに

幕を閉じました。

 

弘前大学COIは今後

も、参画機関、ご関係の皆

様、学内外の先生方のご指

導・ご協力を賜りながら、

本事業のさらなる推進、真

の健康オープンイノベー

ションの実現、SDGsへ

の貢献を目指し、躍進して

参ります。引き続きご指導

のほど、どうぞよろしくお

願いいたします。

会場の様子

ポスター展示会場

パネルディスカッションの模様

弘前大学COI

松田ビジョナリーリーダー

(RL)・弘前大

学大学院医学研

究科 

特任教

授 

中路重之先

生が『「啓発型

健診」で世界展

開をめざす』と

題し、最新の研

究、特に「啓発

型健診(新健診

モデル)」やそ

の取り組みにつ

いて発表されま

した。

 

特別講演では

三人の演者が登

壇し、明治安田

生命保険相互会

社 

取締役会長

代表執行役 鈴

木伸弥氏が「〝健

康コンシェル

ジュ〟としての

新たな生保モデ

小宮山先生

Page 2: 弘前大学COI 弘前大学COIヘルシーエイジング・学人間健康学部 砂川昌範 いて紹介されました。先生が、研究の最前線につ 「地域連携最前線」では、

医学部ウォーカー第 91 号令和元年 12 月 18 日 

弘前大学COI(以下C

OI)は今年で七年目を迎

え、これまで二度の中間評

価ではいずれも最高評価を

受けました。その実績が認

められ、健康未来イノベー

ションセンターが建設さ

れ、最近では第一回日本

オープンイノベーション大

賞の内閣総理大臣賞受賞に

も結び付いたところです。

しかし、残り二年となり、

将来的な課題がないわけで

はありません。今回はCO

Iの将来像について述べて

みたいと思います。

 

岩木健康増進プロジェク

ト健診は一五年目となり、

測定項目は二千を優に超え

ています。まさに世界最強

の健康ビッグデータであ

り、多くの企業が参画して

いる理由もそこにありま

す。現在はこのビッグデー

タ解析を東大や京大の解析

チームに依頼しています

が、自前のデータサイエン

ティストがいれば、これに

越したことはありません。

 

COIは研究だけを目的

とした事業ではありません

が、研究業績という点でも

伸びています。二〇一九年

度だけでCOIデータを元

にした論文は二〇編を超え

ており、今後増えてゆくこ

とは確実です。現在、CO

I関連の共同研究講座は一

弘前大学COIの十年後

医学研究科長 

若 

林 

孝 

医 学 研 究 科 長医 学 部 長 寄 稿

三講座が設置され、その総

額は年間三億円余となって

います。共同研究講座の設

置は人材のみならず間接経

費という点でも医学研究科

の支えとなっています。ま

た、若手ファンドも六件採

択され、若手研究者の支援

ともなっています。 

 

今後、ポストCOIにお

いて産官学民の連携をより

強固にしてゆくためには、

プラットフォームが必要で

す。岩木健診のビッグデー

タに興味があるのは研究者

と企業であり、一般住民や

自治体が関心を持つプラッ

トフォームを作ることが必

要です。その中核の一つは

大学においては健康未来イ

ノベーションセンターです

が、COIの活動が自立

化、持続化してゆくために

は青森県などの協力も得

て、COI事業を継承する

組織(学外の法人組織)が

必要でしょう。

 

COIの大きな目標とし

 

このたびは二〇一九年十

月六日に東京で行われまし

た4th International MISt

Congress

(国際最少侵襲脊

椎治療学会)において年間

最優秀論文賞を受賞するこ

とができましたので、報告

させていただきます。この

ような栄誉ある賞を頂き、

大変光栄に存じます。今回

受賞した論文は「A

ssocia-tion betw

een skin trouble of percutaneous pedicle screw

and subcutaneous vascular structures using M

RI study in patients after thoraco -lum

bar fractures.

(MRI

のSTIR画像を用いた胸

腰椎破裂骨折手術症例にお

ける皮下血管評価と皮膚切

開部位皮膚障害との関

係)」という論文名でした。

本研究は脊椎を固定する器

具であるPedicle screw

(P

S)

を用いて脊椎手術を

行った胸腰椎損傷例の術前

MRIのSTIR画像にお

ける皮下血管構造を後ろ向

きに調査し、皮膚障害との

関連を検討したものです。

皮下血管構造はSTIR画

像の矢状断像にて椎弓根高

位でScrew

刺入部の皮下に

高頻度に認めました。除圧

のための正中縦皮切と経皮

的PS挿入のための傍正中

の縦皮切の併用すること

で、二例で術後に皮膚壊死

が生じていました。この機

序は、PS刺入部の皮下血

管構造が損傷されること

で、皮膚の血流障害が生

じ、創傷治癒に影響を与え

 

この度は、私が整形・災

害外科に投稿した論文「超

音波検査による軟部腫瘍内

の血流及び弾性の評価」

(整・災外61:101‒106, 2018

が、二〇一八年度整形・災

害外科の優秀論文賞に選出

されたことを報告申し上げ

ます。

 

軟部腫瘍は画像診断が難

しい疾患であり、一般整形

外科医のみならず骨・軟部

腫瘍専門医であっても誤診

することがあります。日整

会が監修した「軟部腫瘍診

療ガイドライン2012」

では、超音波検査の推奨・

根拠のGrade

はCであり、

未開拓の分野でした。本研

究は、超音波機器A

plio500

(東芝メディカルシステム

ズ社)が当院に導入された

二〇一六年三月より開始と

なりました。当時、整形外

科領域における超音波検査

の有用性を強く感じていた

石橋教授が、新規の血流及

び弾性の評価が可能な本機

種を、軟部腫瘍の診断に応

用するよう指示して下さい

ました。

 

新規の血流評価法である

Superb-Microvascular

Imaging

(SMI)は、カ

ラードプラやパワードプラ

で捉えにくい低流速の血流

を評価できます。従来は血

流の分布で軟部腫瘍の良悪

性を判定するのが一般的で

したが、本研究ではSMI

を用いて血流の面積を定量

化する方法を試みました。

また、新規の弾性評価法で

あるShear W

ave Elastogra-phy

(SWE)は、従来法

のStrain Elastography

より

簡便な上に、硬さを絶対値

として数値化できます。こ

れらSMI、SWEともに

軟部腫瘍の領域ではまだ報

告がなかったため、これは

 

二〇一九年八月三十日に

東京で開催された令和元年

度糖尿病性神経障害を考え

る会にて優秀演題賞を拝受

しましたのでご報告いたし

ます。

 

糖尿病はインスリンの枯

渇または相対的な作用不足

により体が糖を正常に利用

できなくなる病気です。現

在は血糖値を下げる治療法

には有効かつ多種多様の選

択肢が存在しますが、加

齢・生活習慣と遺伝因子が

織りなす2型糖尿病の病態

は複雑であり、その合併症

の発症予防における血糖管

理は必要条件ではあるもの

の十分条件ではないことが

明らかとなっています。糖

尿病性神経障害(DPN)

は最も罹患率が高く早期に

発症する糖尿病性合併症で

あり、下肢の痛みや痺れに

よりQOLを低下させ、糖

尿病性足壊疽や下肢切断の

て短命県返上があります。

その達成にはまだ時間がか

かりそうですが、青森県男

性の平均寿命の延び幅(平

成二二~二七年)は全国三

位であり、着実な進展が見

られています。COI事業

が、少なくとも医学研究科

にとっては研究力の向上と

研究費の獲得に結び付く活

動であり続けることを期待

したいと思います。そのた

めにも、やはり岩木健診を

継続してゆくことが必要で

す。今後とも各講座、診療

科の皆様にはご支援を賜り

ますようお願いを申し上げ

ます。

4th International M

ISt Congress

Best Paper Aw

ardを受賞して

整形外科 

講師 

熊 

谷 

玄太郎

4th International M

ISt Congress

授賞式にて 写真は右から青森県立中央病院の富田卓先生、私、選考委員長の関西医大小谷善久先生

ることを考察しています。

このことは、今後の脊椎手

術治療において非常に参考

になる結果と思います。こ

の研究は、皮膚壊死の合併

症が生じた際に、整形外科

カンファレンスで、なぜこ

のような合併症が生じたか

と、石橋教授に指摘してい

ただいたことが始まりで

す。Screw

刺入部位の解剖

の教科書を読みなおし、M

RI所見を見直し、皮下血

管構造の存在と、Screw

入による損傷リスクがある

ことに気づきました。この

結果を学会発表、論文化ま

ででき、優秀論文賞として

ご評価いただいただいたこ

とは、非常にうれしく思い

ます。最後になりますが、

ご指導くださった石橋恭之

教授をはじめ、脊椎グルー

プの皆様、関係者の皆様に

深く感謝を申し上げます。

「第23回整形・災害外科優秀論文賞」

受賞報告む

つ下北地域医療学講座 

講師 

大 

鹿 

周 

チャンスと思い研究を開始

しました。研究を始める前

は超音波機器を使用した経

験がなく、操作に不慣れな

上に評価基準の設定を試行

錯誤していたため、当初は

患者一人に二十~三十分は

かかりました。金曜日の午

前を超音波外来として、リ

ハビリテーション外来の診

察室をかりてじっくり観察

していました。津田先生は

じめリハスタッフのご厚意

に感謝しております。慌て

ずに地道に症例を積み重

ね、学会発表や論文作成が

可能な成果を得ることがで

きました。最終的に、悪性

軟部腫瘍は血流が豊富で硬

いため、SMIとSWEを

評価することで診断精度が

向上するという結論に至り

ました。もちろん、血流が

乏しくて軟らかい悪性軟部

腫瘍も存在するため注意が

必要です。本研究の内容

が、皆様の日常診療の一助

になれば幸いです。  

 

最後に、本研究を行う上

でご指導・ご支援をいただ

きました石橋教授をはじめ

大学スタッフの皆様にこの

場を借りて感謝申し上げま

す。

優秀演題賞を受賞して

分子病態病理学講座 

助手 

遲野井   

令和元年度糖尿病性神経障害を考える会

(次ページへ続く)

Page 3: 弘前大学COI 弘前大学COIヘルシーエイジング・学人間健康学部 砂川昌範 いて紹介されました。先生が、研究の最前線につ 「地域連携最前線」では、

医学部ウォーカー第 91 号 令和元年 12 月 18 日(前ページより)

原因となる上、高度の心血

管自律神経障害を来した際

には直接的に予後を左右し

ます。しかし、DPNにお

ける病態に則した有効な治

療法は限られており、新し

いアプローチによる治療法

の開発が期待されていま

す。

 

分子病態病理学講座では

八木橋操六前教授の代より

DPNに関する基礎研究を

国内外に発信して参りまし

た。私は学部三年の研究室

研修から水上浩哉教授にご

指導を賜り、現在は助手・

大学院生として内分泌代謝

内科の臨床と並行して基礎

研究に従事しています。研

究テーマはDPNにおける

マクロファージ(MΦ)を

介した炎症の関与です。糖

尿病に伴う軽度の全身性炎

症はインスリン抵抗性や合

併症の発症に関わり、その

機序はMΦを介することが

報告されています。MΦに

は炎症性M1と抗炎症性M

2が存在し、その極性=バ

ランスの乱れが様々な疾患

の病態に関与しています。

我々は糖尿病マウスの坐骨

神経にはM1が優位に浸潤

していることを見出しまし

た。私はマウスと培養細胞

を用いた実験により、M1

由来の炎症性サイトカイン

が末梢神経の軸索内輸送を

障害することを証明し、今

回の学会にて報告いたしま

した。今後はこの研究を炎

症をターゲットとしたDP

Nの新規治療法へと発展さ

せて行けるよう精進して参

ります。

 

この研究は八木橋前教

授、水上教授のご指導と大

門眞教授を始めとした内分

泌代謝内科の先生方のご理

解のもと、教室員や研究室

研修の皆様にお力添えを頂

きながら進めています。急

速に進歩する現代の科学に

多忙な臨床医が一人でつい

ていくことは容易ではない

と思います。しかし、臨床

におけるチーム医療という

概念と同様に、研究も異な

る知識や技術を持ち寄った

チームで深めていくことが

できれば、医師は臨床を科

学に投影できるユニークな

存在:Physician Scientist

となるのだと信じていま

す。日頃お世話になってい

るすべての皆様にこの場を

借りてお礼を申し上げま

す。

W受賞して

放射線治療科 

助教 

佐 

藤 

まり子

 

二〇一九年六月二十一日

~二十二日に開催されまし

た第百四十回日本医学放射

線学会北日本地方会、およ

び九月七日~八日開催の第

十六回日本中性子捕捉療法

学会学術大会において、そ

れぞれ優秀演題賞、ベスト

プレゼンテーション賞を受

賞いたしましたので御報告

申し上げます。

 

放射線腫瘍学講座では、

二〇一八年度より青森県の

委託研究として、六ヶ所村

に開設した青森県量子科学

センター(QSC)にてホ

ウ素中性子捕捉療法(BN

CT)による抗腫瘍効果の

メカニズムを明らかにする

ための研究を行ってまいり

ました。BNCTは、腫瘍

細胞へ取り込まれる一方で

正常細胞へは集積しないと

いう特徴を持つホウ素製剤

を利用した、腫瘍細胞選択

的な放射線治療です。ホウ

素化合物を投与して中性子

線を照射すると、腫瘍細胞

内に集積したホウ素が熱中

性子を捕捉し10B(n,α)7Li

応が起こります。これに

よって生じるα線やLi粒子

が腫瘍細胞のDNAを損傷

して細胞死をきたします

が、その飛程距離はそれぞ

れわずか約9µm、5µmであ

るために、ホウ素を取り込

んでいない周囲の正常細胞

への障害が極めて少ないの

が特長です。これまで、中

性子線照射に原子炉を必要

とすることがBNCT普及

の大きな足枷となっていま

したが、当講座の前教授で

ある髙井良尋先生がセン

ター長を務める南東北BN

CT研究センターに世界で

初めて病院併設型加速器シ

ステムが設置されました。

再発悪性脳腫瘍並びに頭頚

部癌を対象とした第Ⅱ相試

験が完了してその実用化は

目前に迫っており、難治性

腫瘍に対する新たな治療選

択肢としての役割が大いに

期待されているところで

す。

 

今回、これまでよくわ

かっていなかったBNCT

による抗腫瘍免疫環境の変

化を解明する基礎実験を行

い、その成果を両学会で報

告いたしました。通常の放

射線治療においては、抗腫

瘍免疫を誘導する細胞死で

ある免疫原性細胞死を生じ

ます。これはダメージ関連

分子パターンと呼ばれる

calreticulin

の細胞表面発現

やhigh mobility group box-1

(HM

GB1

)の細胞外分泌を

介して惹起されることが知

られていますが、BNCT

では、これらがX線照射と

比較して非常に強力に誘導

されることを明らかにしま

した。さらに、BNCT後

の腫瘍細胞表面には免疫

チェックポイントである

programm

ed death-ligand 1

(PD-L1

)発現が増強してい

ることも発見し、抗PD

-L1

抗体が有効に作用しうる環

境が誘導されている可能性

が示唆されました。

 

青森県QSCは、その立

ち上げから当講座も関与・

協力してきたこともあっ

て、ここでの研究成果を発

表できたこと、さらには大

変名誉ある賞まで賜ること

ができたことに、感慨も一

入です。私自身、BNCT

に関する研究を始めてまだ

日が浅く、日本中性子捕捉

療法学会学術大会での発表

も初めてでしたが、BNC

T界における日本最高峰の

学術大会での受賞は非常に

光栄なことと存じます。ま

た、第百四十回日本医学放

射線学会北日本地方会は、

ちょうど当講座の青木昌彦

教授が当番世話人となり、

医局員一丸となって

開催に取り組んだた

め、青木教授から直

接賞をいただけたこ

とも大変に嬉しい思

い出となりました。

 

最後に、日々の診

療・研究に対し御指

導くださる講座の先

生方、先が見えず苦

しい時にも一緒に研

究を進めてくださる

先生方、さらに、無

理を言ってもいつで

もあたたかく迎えて

くださるQSCのス

 

今回、二〇一九年九月二

十六日から二十七日まで、

札幌市で開催された第四十

四回日本足の外科学会に参

加させていただきました。

学会一日目の開会式前に、

地域別研修医報告という研

修医と学生を対象とした

セッションが企画されてお

りました。全国各地から九

演題の発表があり、そこで

発表させていただき、最優

秀賞を受賞することができ

ました。

 

発表内容は「若年スポー

ツ選手に生じた足関節内果

疲労骨折の治療成績」につ

いてです。足関節内果疲労

骨折は比較的まれな骨折で

す。今回、弘前大学整形外

科で治療を行った十七例十

八足の治療内容とスポーツ

復帰までの期間について調

べて報告しました。足関節

内果の疲労骨折には骨折の

進行度によりstage 1

から

4に分類されております。

完全骨折であるstage 4

あれば手術治療を要し、ス

ポーツ復帰まで長期間かか

地域別研修医報告最優秀賞を受賞して

医学科五年 

倉   

諒 

第44回日本足の外科学会

タッフの皆様に、この場を

借りて感謝申し上げます。

今後も、弘前大学放射線腫

瘍学講座からBNCTの発

展に寄与できるよう、邁進

して参ります。

るのですが、X線で骨折線

を認めず、MRIのみで診

断できる早期の病変(stage

1

)であれば、保存療法で

早期のスポーツ復帰が可能

でした。また、不全骨折で

あるstage 2

の病変であれ

ば、通常、保存療法を行い

ますが、内果前方と距骨頸

部内側に骨棘を有するもの

では、保存療法に抵抗する

可能性があることを報告し

ました。

早朝に行われたセッショ

ンでしたが、一番大きなメ

インの会場で、審査員の先

生と多くの聴衆がいること

に緊張しました。しかし、

発表の後には、会場の先生

方からの質問も多数あり、

非常に嬉しく思いました。

 

今回このような機会を与

えてくださった石橋教授を

はじめとする弘前大学整形

外科学講座の全ての方々

に、この場をかりて感謝申

し上げます。

第140回日本医学放射線学会北日本地方会 

優秀演題賞

第16回日本中性子捕捉療法学会学術大会 

ベストプレゼンテーション賞

Page 4: 弘前大学COI 弘前大学COIヘルシーエイジング・学人間健康学部 砂川昌範 いて紹介されました。先生が、研究の最前線につ 「地域連携最前線」では、

医学部ウォーカー第 91 号令和元年 12 月 18 日 

櫻井記念医学研究賞は株

式会社丸大サクラヰ薬局

(代表取締役:櫻井清氏)

からのご寄付を原資として

平成二十九年度に設立され

た研究助成であり、平成三

〇年度から運用を開始し

た。特別賞は一件三百万円

以内、若手奨励賞は二件百

万円以内としており、選考

にあたっては、これまでの

国際共同研究の実績だけで

なく、今後の研究計画を審

査し、受賞者には研究論文

を成果として求めることに

している。第二回となる今

年度は五月に公募を開始

し、特別賞には一名、若手

奨励賞には三名の応募が

あった。研究推進委員会に

おける選考の結果、特別賞

にはゲノム生化学講座の藤

井穂高教授(研究課題:G

ARP蛋白質の発現異常に

よる病態発現機構の解析)

を、若手奨励賞には胸部心

臓血管外科学講座の齊藤良

明助教(研究課題:虚血性

僧帽弁逆流に対する多角的

アプローチを応用した自己

弁温存大動脈基部置換術に

おける大動脈基部形態の三

次元評価と大動脈弁血流に

関する研究)、子どものこ

ころの発達研究センターの

髙橋芳雄特任講師(所属お

よび職階は受賞時)の二名

を決定した。

 

令和元年十月二十八日に

医学研究科大会議室におい

て第二回櫻井記念医学研究

賞授賞式が、櫻井清様、雅

子様ご夫妻、佐藤敬学長ご

列席のもと行われた。医学

研究科長の挨拶の後、今回

の受賞者に助成金が贈呈さ

れた。佐藤学長、櫻井清様

からお祝いのお言葉があ

り、受賞者から挨拶と受賞

対象となった研究に関する

説明がなされた。最後に参

加者全員で記念撮影を行

い、式は終了した。

 

研究の継続にはアイデア

と研究環境と研究費が必要

である。この賞が弘前大学

医学研究科における国際共

同研究の発展と若手研究者

の支援に貢献することを確

信している。

第2回櫻井記念医学研究賞授賞式

 

この度、第二回櫻井医学

研究賞特別賞を受賞させて

いただくことになりまし

た。賞の原資を御寄付いた

だいた株式会社丸大サクラ

ヰ薬局の櫻井清社長さまは

じめ関係者の皆さま、選考

委員の先生方はじめ弘前大

学医学部の先生方に篤く御

礼申し上げます。

 

本研究助成は、国際共同

研究の実績及び計画につい

て評価されるということ

で、国際共同研究の促進が

目的の一つであると認識し

ています。研究者同士の自

由闊達な議論や相互作用

が、科学の発展を促してき

た実例は枚挙にいとまがな

く、それが日本人同士であ

る必要は全くありません。

私も十年近く海外にいた経

験から、私が全く考えても

いなかった発想をする研究

者に数多く出会うことがで

き、日本人同士では出てこ

特別賞を受賞して

 

この度の第二回櫻井記念

医学研究賞受賞に際しまし

て、本学に多額のご寄付を

頂きましたサクラヰ薬局の

櫻井ご夫妻とご多忙の中選

考に腐心してくださいまし

た選考委員の皆様方に深く

感謝申し上げます。

 

二〇一八年七月に二年の

研究留学を終えて帰国して

から現在まで、臨床活動の

ブランクを埋めるために努

力してまいりました。そん

な中、本年六月に櫻井記念

医学研究賞の公募を見まし

て応募要領に「国際共同研

究」という項目があり、当

科福田幾夫教授より応募し

てみてはどうかとお話を頂

きましたのがきっかけとな

りました。

 

二〇一六年

二〇一八年

にアメリカのペンシルバニ

ア大学に留学いたしまし

たが、研究室のGorm

an C

ardiovascular Research

Group

は虚血性心筋症・僧

帽弁閉鎖不全症を中心とし

た研究を行っており、私が

在籍しておりました際には

 

この度、「子どもの睡眠

に関して朝型夜型(クロノ

タイプ)が行動・情緒に与

える影響の日中両国間での

検討」という研究課題で第

二回櫻井記念医学研究賞若

手奨励賞を受賞いたしまし

た髙橋芳雄と申します。こ

のような賞をいただきまし

たこと、誠に光栄に存じま

す。また、これまでの研究

を支えていただいた、中村

和彦教授、栗林理人教授、

斉藤まなぶ准教授、足立匡

基准教授をはじめとして、

子どものこころの発達研究

センター並びに神経精神医

学講座の先生方、また共同

研究者の上海交通大学小児

医療センターのW

ang

先生

に厚くお礼申し上げます。

 

今回受賞した研究テーマ

は、アジア地域の子供の睡

眠習慣や睡眠の問題の比較

に関するものです。子供の

睡眠は、大人のそれと比較

して文化や生活環境から大

きな影響を受けやすいとい

う特徴があります。これま

での子供の睡眠と文化・環

境の研究については、文化

差が比較的明確な欧米諸国

とアジア諸国との比較研究

が主であり、アジア諸国間

での比較研究は殆ど行われ

ていませんでした。そこで

私は上海交通大学小児医療

センターのW

ang

先生と共

同研究を行い、文化的にも

地理的にも比較的近いと考

えられる日本と中国の未就

学児の睡眠の問題の違い

や、それらの問題が情緒・

行動の問題にどのような影

響を与えるかについて調べ

ています。これまでの研究

成果からは、アジアの国の

中での未就学児の睡眠の問

題の様相や、睡眠問題と情

緒および行動の問題との関

係パターンが異なることが

示されました。これらのこ

とから、子供の睡眠の問題

を考える上で、欧米とアジ

アという大きな文化的差異

のみならず、文化的・社会

的な差異が小さいアジアの

地域間においても文化的差

異を考慮する必要があると

いえます。

 

これらの研究は子どもの

こころの発達研究センター

と神経精神医学講座が弘前

市と協働して行なっている

弘前市5歳児発達健診から

得られたデータを利用して

進めているものです。ま

た、この他に弘前市の国公

立小中学校の児童生徒およ

び保護者を対象に毎年、学

校コホート調査も行ってお

ります。これからは、5歳

児健診と学校コホート調査

のデータの両方を利用し

て、幼児期から思春期にか

けての発達や情緒的・行動

的問題の発生メカニズムの

解明と有効な予防・支援法

の開発に関する研究を行う

予定です。

 

私は今年の十月に保健学

研究科で、新年度より医学

部に新設される学科、心理

支援科学科において公認心

理師養成に携わることにな

りました。さらに一層研究

および教育に励んで参りた

いと思います。

医学研究科長 

若 

林 

孝 

ゲノム生化学講座 

教授 

藤 

井 

穂 

ないような斬新なアイディ

アが生まれる場に立ち会う

ことができました。国際共

同研究の促進という目的

は、こうした交流を加速さ

せることを目指すという点

で、素晴らしい着眼点であ

ると思います。また、昨今、

海外に留学する日本人研究

者が減っているという憂慮

すべき状況にあります。国

際共同研究は、一朝一夕で

できるものでなく、国を越

えた研究者の信頼構築作業

を経た息の長いステップが

必要です。このような助成

金があることで、特に若い

研究者が海外に目を向ける

きっかけになり、共同研究

の種を播く端緒となりうる

という点でも、誠に時宜に

叶ったものであると考えま

す。

 

今回助成いただく研究

テーマは、「GA

RP

蛋白質

の発現異常による病態発現

機構の解析」です。GA

RP

蛋白質は、私が米国・ニ

ューヨーク大学医学部在籍

時に、同僚だったD

erya U

nutmaz

博士(現Jackson

Laboratory for Genom

ic M

edicine

教授)と共同で、

活性化された制御性T細胞

(T-reg

)特異的な細胞表面

分子として見つけたもので

す。私は、GA

RP

蛋白質の

生体での役割を解明する目

的で、T細胞特異的に

GARP

蛋白質を高発現する

トランスジェニックマウス

や、組織特異的に機能的な

GA

RP

遺伝子を欠損する

マウスを作製しました。こ

うしたユニークな研究材料

を用いて、GA

RP

蛋白質の

機能解析を行ってきてお

り、また、これらの変異マ

ウスは世界中の研究者に広

く使われています。今回の

研究提案では、U

nutmaz

士や他の海外の研究者と共

同で、G

AR

P

遺伝子の発現

制御機構の解析や、全身で

GA

RP

遺伝子を欠損させ

た場合に胎生致死となる分

子機構の解明を行います。

こうした解析から、新しい

遺伝子発現制御機構が発見

されるとともに、GA

RP

白質の多彩な機能が明らか

となることが期待されます。

若手奨励賞を受賞して

胸部心臓血管外科学講座

 

助教 

齊 

藤 

良 

大動物(ヒツジ・ブタ)を

使用してそのモデルを作成

し、3Dエコーやcardiac

MRIを用いてその三次元

的構造変化を解析する実験

を行っていました。3Dエ

コーのトレーシングなどを

中心に行い、MRIデータ

と合わせ成果物としてまと

めました。現地大学院生に

そのトレーシングや心構造

の講義・指導を行った縁も

あり、現在も他の実験につ

いて相談を受けたりしてい

ます。こういった経験と当

講座福田教授が積極的に推

進してこられた大動脈弁の

研究に活かすことはできな

いかと考え応募し、この度

の受賞に至りました。大動

物を使用する実験は施設・

機材など莫大な予算を必要

とするため(在籍していた

研究室は一月のランニング

コストが十万ドルでし

た。)一から実験を立ち上

げるのは大変難しいもので

すが、櫻井賞の理念でもあ

る国際共同研究として他研

究室とコラボレーションす

ることで可能になるものも

多くあると思われます。今

回の受賞について研究室の

Gorman

教授に報告し、今

後色々な形で共同研究して

いく事喜んで引き受けて頂

きました。

 

授賞式の際に櫻井様より

ご祝辞を頂戴し、短命県返

上に貢献したいという思い

が強くあったという言葉を

頂きました。直接的な貢献

をどれほどできるかはわか

りませんが、心筋症・弁膜

症の三次元的病態生理を解

明・理解することで、病気

の予防につなげる、あるい

は病気を見つけた際には、

より良い手術で治療する、

これらを目標に研究を進め

て参りたいと思います。

若手奨励賞を受賞して

保健学研究科 

総合リハビリテーション科学領域

准教授 

髙 

橋 

芳 

Page 5: 弘前大学COI 弘前大学COIヘルシーエイジング・学人間健康学部 砂川昌範 いて紹介されました。先生が、研究の最前線につ 「地域連携最前線」では、

医学部ウォーカー第 91 号 令和元年 12 月 18 日

え、今後、更に研究を重ね

非定型うつ病の早期発見・

早期治療に向けた方策を開

発出来るよう努めてまいり

ます。

 

最後に本研究を進めるに

あたりご指導を賜りました

廣田和美教授をはじめ、ご

支援頂いております皆様に

厚く御礼申し上げます。ど

うぞ引き続きご指導、ご鞭

撻の程よろしくお願い申し

上げます。

 

令和元年九月二十日に開

催された、第二回COI学

会において、「高齢期にお

ける足底接地面の状態は、

運動機能や転倒経験と関連

するか?」というテーマで

発表し、優秀賞を受賞する

ことができましたので、ご

報告いたします。

 

超高齢社会を迎え、地域

住民の健康づくりに注目が

集まっています。健康づく

りを始めるにあたって、「自

分自身の健康状態を知る」

ことがスタートになりま

す。その中で、足部の状態

を知ることも重要であり、

足部の状態悪化は、運動機

能の低下や転倒の危険性も

高くなります。しかし、地

域住民の健康づくり現場で

話を聞くと、意外と足部の

状態を観察している人は少

ないことがわかりました。

足部に関する研究は多いで

すが、大掛かりであり、機

材コストが高いため、地域

住民の体力測定に導入する

のは無理があることも理由

の一つと考えます。そこ

で、立位姿勢で身体が接地

する唯一の部分である足裏

(土踏まず)を、簡便な方

法で測定し、

運動機能の低

下や転倒経験

を調査しまし

た。

 

方法は、繰

り返し活用で

きる「水でお

習字半紙」(呉

竹)を使用

し、フットプ

リント方式で

土踏まずの状態を観察し、

デジタルカメラで撮影し評

価しました。結果は、七十

歳以降に土踏まずが小さく

なっていました。また、介

護予防二次予防対象者や要

介護保険制度の要支援者な

どは、運動機能が低下する

ほど、土踏まずが小さく

なっていました。その結果

から、簡便な測定方法で

も、運動機能とともに土踏

まずの状態も悪化する可能

性を示唆しました。簡便な

方法での足部観察を可能に

したことで、より多くの人

の運動機能を把握でき、自

分の健康状態を知るきっか

けになるのではないかと感

じます。

 

今回は、多くの発表の中

で、私が受賞できたこと

は、とてもうれしく思いま

す。また、ポスター発表に

 

この度は第二回COI学

会において優秀賞を賜り、

大変光栄に存じます。学会

にて投票頂いた方々ならび

に日々の研究においてご協

力を賜りました多くの先生

方にこの場をお借りして御

礼申し上げます。特に、臨

床研究を主体的に進めて頂

いている麻酔科の工藤隆司

先生、神経科精神科の冨田

哲先生には厚く御礼申し上

げます。

 

今回、賞を頂きました発

表演題は「非定型うつ病の

新規療法及び発症予防プロ

グラム開発に向けたバイオ

マーカーの探究」です。非

定型うつ病(非定型症状を

伴う大うつ病性障害)の患

者は抑うつ症状を示すほ

か、好きな事では元気にな

る気分反応性や過食、体重

増加、過眠、手足の鈍様麻

痺、注意や否定に過敏に反

応する拒絶過敏性を示しま

す。非定型うつ病患者はそ

の症状のために甘えや怠け

だと周囲から誤解されやす

く、適切なサポートや治療

の開始が難しくなっていま

す。さらに、非定型うつ病

患者の二十五

二十八%が

糖尿病や高血圧、肥満等の

生活習慣病を併発するとの

報告もあり、社会の理解を

進めると共に早期発見や早

期治療を目指した対策が必

要です。

 

これまでに、我々は弘前

COIや弘前大学神経精

神医学講座のご協力を賜

り、岩木健康ビッグデータ

から抑うつ傾向に代謝関

連物質であるレプチンと

C-peptide

が関わる事を見

出しました(T

akekawa et

al., J. Affect. D

isord., 2018

)。

その後、検討を続けたとこ

ろ、生活習慣病との関りが

報告されている非定型うつ

病が研究対象に挙がりまし

た。現在、我々は非定型う

つ病の予測及び早期治療

ターゲットとしてのレプチ

ンとC-peptide

に注目し、

うつ病患者の方とボラン

ティアの方を対象にレプチ

ンやC-peptide

の変動につ

いて臨床研究を進めていま

す。

 

研究自体はスタートした

ばかりで紹介出来るような

結果は得られていません

が、学会では研究経緯と将

来的に目指す姿について紹

介させて頂きました。ポス

ター会場では多くの方から

医療・研究における問題に

加え、企業に

おける非定型

うつ病の問題

について伺

い、本研究の

社会貢献につ

いて大きな期

待を頂きまし

た。賞を頂け

たのもその期

待の表れと考

第2回 

COI学会において優秀賞を受賞して

フローラ健康科学講座 

助手 

杉 

村 

嘉 

あたり、多くの先生方から

の助言や、興味を持ってい

ただいた関係者からのアド

バイスに感謝お礼を申し上

げたいと思います。今後も

地域の健康づくり支援を進

めながら、研究も継続して

参ります。

麻酔科学講座 

助教 

二階堂 

義 

和 

この度は、教育に関して

優れた業績を上げた教員と

して表彰いただき誠にあり

がとうございます。教育に

携わる身としてこのような

栄誉ある賞をいただけたこ

とを大変光栄に思います。

 

現在担当している科目は

生化学(講義2)、生化学

実習、地域学ゼミナール(教

養教育)などです。このう

ち、生化学講義は二〇一六

年度より担当し、二〇一七

年度から「細胞の分子生物

学」を教科書として講座ス

タッフ三名で分担していま

す。講義のプレゼンテー

ションはスライド形式でハ

ンドアウトは配布していま

せん。講義内容は核酸とタ

ンパク質の構造・機能に始

まり、細胞の構造・機能、

シグナル伝達、がん、発生

などと多岐に渡ります。ご

存知の通り、生化学は「生

物を化学的に理解する学

問」で、高校までの生物や

化学から踏み込んだ内容と

なるため、これらの基礎を

理解していないと生化学も

理解できません。履修生の

中には高校で生物を選択し

なかった学生も多く(実は

私もそうですが)、そのよ

うな人たちにも解ってもら

えるようスライドを組み立

てたり言葉を選んだりと腐

心しています。しかし、生

化学は広汎で、講義では要

点を絞っているものの限ら

れた時間で十分に説明する

ことは難しく、随時進め方

の見直しと工夫を要します。

 

講義の担当にあたり、参

考としたことの一つは私自

身の経験です。学生の頃ど

のような講義が分かりやす

かったか記憶を辿ってみる

と、「明瞭な口調で」、「学

生の方を向き」、「平易な言

葉で説明する」先生の講義

でした。このような講義

は、内容が高度でも自然と

興味が湧き理解を深めるこ

とができました。この経験

を基に、興味深く分かりや

すい講義となるよう努めて

いますが、当時の先生の域

にはまだまだ及びません。

特に、平易な言葉で説明す

ることは大変難しいと痛感

しています。

 

私は医学部出身ではない

ため医師免許を持っておら

ず、教職課程は途中で放棄

したため教員免許も持って

いません。このような者が

「教壇」に立ち、「医学科の

学生」に「生化学」を教え

るなど場違いかもしれませ

ん。それでも、学生による

授業評価で「分かりやす

かった」「楽しかった」と

いう感想を貰えたことは大

きな喜びです。彼ら学生の

声と今回の受賞を励みに、

より良い教育を目指して講

義や実習の指導にあたる所

存です。今後共、どうぞ宜

しくお願い致します。

教育に関して優れた業績を上げた教員を受賞して

令和元年度

ゲノム生化学講座 

助教 

清 

水 

武 

消化器内科,血液内科,膠原病内科 

講師 

山 

形 

和 

 

この度は「令和元年度教

育に関して優れた業績を上

げた教員」

として表彰いた

だきありがとうございま

す。社会人となって、初め

て社会から表彰された気分

であり、感動しておりま

す。

私は本学の卒業生ではあ

(次ページへ続く)

Page 6: 弘前大学COI 弘前大学COIヘルシーエイジング・学人間健康学部 砂川昌範 いて紹介されました。先生が、研究の最前線につ 「地域連携最前線」では、

医学部ウォーカー第 91 号令和元年 12 月 18 日

 

弘前大学秋季学位記授与

式(学部および大学院)が、

令和元年九月三十日に五十

周年記念会館岩木ホールで

行われ、大学院医学研究科

五名を含む四十七名に学位

が授与されました。佐藤学

長のお祝いの言葉の後、学

部卒業生および大学院修了

者に学位記が授与されまし

た。

 

引き続き、大学院医学研

究科秋季学位記伝達式が行

秋季学位記授与式医学研究科長 若 林 孝 一

弘前大学医学部

解剖体慰霊祭

令和元年度

生体構造医科学講座 

教授 

下 

田   

 

弘前大学医学部および同

附属病院において系統解

剖、病理解剖、ならびに法

医解剖のために御遺体を捧

げられました三百二十七柱

の御霊に対して弔意を捧げ

るため、新元号となって初

めての弘前大学医学部解剖

体慰霊祭が十月一日午後一

時三十分より弘前市文化セ

ンター一階大ホールで挙行

されました。慰霊祭にはご

遺族九十六名ならびに本学

白菊会会員五十八名の方々

にご臨席賜り、また各方面

から多くのご来賓をお迎え

し、医学科および保健学科

の教職員と学生が参列して

しめやかに執り行われまし

た。式に先立ち、弘前大学

医学部管弦楽団による献体

者慰霊のための演奏が行わ

れ、会場全体が粛然とした

空気に包まれました。まず

初めに医学の教育と発展の

ために本学にご献体いただ

きました御霊に対して参列

者全員による黙祷を捧げ、

ご冥福をお祈りいたしまし

た。そして、昨年から本年

の慰霊祭までに御献体なさ

れました方々のご芳名が奉

読されました。続いて、若

林孝一医学部長より祭詞が

述べられましたのに引き続

き、医学科二年生の忠平和

子さんが学生代表として、

ご献体いただきました諸霊

に対する深い感謝とご遺族

への厚い御礼の意が込めら

れた弔辞を捧げました。そ

の後、若林医学部長、福田

眞作附属病院長、齋藤陽子

保健学科長、医学科二年生

の奥寺真子さん、保健学科

三年生の福井美音さん、林

朋子白菊会理事長による代

表献花が行われ、福田附属

病院長よりご参列いただき

ました方々へ御礼の言葉が

述べられました。最後に、

参列者全員で献花を行い、

慰霊祭は滞りなく終了いた

しました。

 

慰霊祭終了後に、医学部

教職員とご遺族、ならびに

白菊会会員の方々はともに

弘前市墓地公園にある弘前

大学慰霊施設に参拝し、長

期納骨施設に献体者名簿を

納めました後、黙祷を捧

げ、医学部長による代表献

花を行いました。その後、

本学埋骨施設にて黙祷、な

らびに医学部長、白菊会理

事長、続いて参列者による

献花を行いました。最後に

筆者よりご参列頂きました

方々に御礼のご挨拶を述べ

させていただき、参拝式は

無事終了いたしました。

 

この度の忠平さんの弔辞

について、慰霊祭終了後、

ご遺族を含めたくさんの方

から暖かいお言葉を頂戴い

たしました。その書面をご

要望されたご遺族の方もお

られ、忠平さんは直筆で作

成されたものをお渡しされ

たようです。白菊会事務局

を代表いたしまして改めて

厚く御礼申し上げます。ま

た、本号では「解剖学実習

を終えて」と題した学生の

寄稿がなされていると存じ

ますが、忠平さんを含めて

四名の学生に原稿作成を筆

者からお願いさせて頂きま

した。いずれも本当に熱心

に、かつ真摯に解剖学実習

に取り組んでくれた学生で

す。皆様にはぜひお目通し

頂けましたら大変有難く存

じます。

りませんが、大学

時代に基礎医学、

臨床医学の講義・

実習ともに成績の

悪い学生の目線に

立った厳しくも温

かい指導を教官か

ら受けました。も

し教官になったら

こんな教育をしよ

うと思える教官に

多く出会い、その

経験が今の自分

の教育スタイルの

原点になっていま

す。

医師国家試験に合格した

後、地元の青森での勤務を

希望し、歴史ある本学内科

学第一講座(現・消化器血

液内科学講座)に入局しま

した。当講座の関連施設を

含めた医局の先輩方は、他

大学卒業の私も含めた後輩

に分け隔てなく熱心に指導

してくださり、その面倒見

の良さに心を打たれまし

た。学生時代に受けた厳し

くも温かい指導の大切さを

再確認しました。世の中で

は厳しすぎる指導が問題視

されていますが、個人的に

は、厳しさの中に相手を思

う気持ちがある指導は間

違っていないと思います。

初めて講義をする機会を

得たときのことです。私の

担当する血液内科学の上司

より「学生や研修医に指導

して理解が得られないと

き、それは指導者である貴

方自身がよくわかっていな

いまま説明していること

があるので気をつけなさ

い。」というお言葉をいた

だきました。実際に講義を

してみると、たしかに自分

が苦手な分野ではその傾向

がありました。今もこの言

葉を胸に、再度指導内容に

立ち返り、確認することを

(前ページより)

心がけています。

 

さらに、大学教育機関と

して、よりアカデミックな

内容の教育、また、医学部

は医師免許取得という大き

な目的をもつことから、よ

り実地臨床に即した指導、

この二つをバランスよく行

うことを常日頃より念頭に

おいております。このこと

により、弘前大学として、

質の高い教育の提供に少し

でも貢献できておりました

ら幸いです。今回のこの表

彰を励みにさらなる教育の

向上に邁進していく所存で

す。

 

最後に附属病院長として

若輩である私を今回の表彰

にご推薦いただき、また講

座の上司として大学での学

生教育の機会を与えてくだ

さいます消化器血液内科学

講座の福田眞作教授に深謝

いたします。

われました。学部(医学部

医学科)では学位記伝達式

は三月のみですが、大学院

では九月に学位を授与され

る方が毎年コンスタントに

出ています。これには二つ

の理由があります。一つ

は、四年の修業年限内に修

了できる学

生が減少し

たことで

す。大学院

が部局化さ

れた平成

十九年度か

ら、学位論

文として提

出される論

文はすべて

査読制のあ

る雑誌に採

択されてい

ることが義

務づけられ

た結果、学

位論文の採

択を待って

いる四年生

が以前より

も増えまし

た。より評価の高い医学雑

誌に挑戦することで、時間

がかかるという事情もあり

ます。もう一つの理由は、

修業年限短縮制度を用いて

修了する学生が増えている

ことです。医学研究科で

は、優れた研究業績を上げ

た学生については、三年あ

るいは三年半で修了するこ

とができる修業年限短縮制

度を設けています。従っ

て、春季入学で半年早く修

了する学生と秋季入学で一

年早く修了する学生は、秋

季に学位を授与されること

になります。今年度の医学

研究科の秋季修了生は甲の

五名でしたが、そのうち一

名は修業年限短縮制度を利

用して修了された方でし

た。今回の学位論文は何れ

も素晴らしい内容であり、

学位授与者の今後の活躍を

期待したいと思います。今

年度の秋季学位記伝達式に

は二名が出席し、研究科長

から学位記が授与されまし

た。

 

令和元年十一月十三日、

基礎研究棟キャンパス北西

角の大黒松小公園に「弘前

肉腫 

腫瘍医学への貢献」

と記した記念石碑が設置さ

れました。弘前肉腫は、弘

前大学の黎明期にあたる昭

和二十六年に、臼渕勇先生

(一九一五~二〇一二

旧・病理学第二講座・初代

教授)により発見・樹立さ

れました(写真は、臼渕名

誉教授と弘前肉腫の細胞

像)。来年(令和二年)は、

臼渕先生の教授就任(研究

室開設)からちょうど七十

年であり、令和三年には、

弘前肉腫発見七十周年を迎

えます。高さ

一五〇セン

チ、

四五センチ、奥行

三〇センチの記念石碑は、

この功績を称え、研究の志

を継承するために設置され

ました。

 

以下に、記念石碑傍らの

説明板の内容を転記させて

いただきます。大黒松小公

臼渕 勇 先生

弘前肉腫(細胞像)

「弘前肉腫 

腫瘍医学への貢献」

記念石碑の設置

病理生命科学講座 

教授 

鬼 

島   

(次ページへ続く)

Page 7: 弘前大学COI 弘前大学COIヘルシーエイジング・学人間健康学部 砂川昌範 いて紹介されました。先生が、研究の最前線につ 「地域連携最前線」では、

医学部ウォーカー第 91 号 令和元年 12 月 18 日

医師修学資金〟の貸与を受

けること。⑵卒業後直ちに

〝青森県のキャリア形成プ

ログラム〟にしたがって臨

床研修を含む九年間(内四

年間は医師の不足

している地域)医

療に従事するこ

と。〝青森県弘前

大学医師修学資金

制度〟は青森県お

よび県内市町村か

らの財源提供によ

るものです。この

入試出願資格・要

件変更に合わせ

て、青森県による

〝弘前大学医師修

学資金制度〟も変

更予定です。

 

現時点において

大きな変更内容

 

弘前市および西目屋村在

住で弘前市内の中学校に在

籍し、将来医療職を目指す

中学生を対象とした「医師

との交流プログラム」が令

和元年八月九日に弘前大学

医学部で開催され、市内の

十の中学校から二十一名が

参加した。この事業は弘前

市教育委員会の主催で平成

二十六年度から開催され、

今年で六年目となる。当

日の午前中は医学部長と

吉田健弘前市教育長の挨

拶の後、参加者は医学科

の五名の学生との意見交

換や血圧測定などの実習

体験を行った。午後は附

属病院屋上のヘリポート

を見学した後、附属病院

皮膚科の原憲司医師と神

経科精神科の神崇太医師

と交流を行った。中学生

からは様々な質問があ

り、両先生は自らの体験

をもとに、医師としてのや

りがいや喜びを語った。参

加した中学生からは実習体

験やヘリポート見学ができ

たこと、そして何よりも現

役の医学生や医師から直接

話が聞けたことが有意義で

あったと感想が述べられ

た。参加者の中から将来、

医学、医療を担う人材が輩

出することを期待したい。

中学生と医師との交流プログラム

医学研究科長 

若 

林 

孝 

園を通られる折には、是

非とも記念石碑を見てい

ただき、大学黎明期の功

績の息吹を感じていただ

ければ幸いです。

弘前肉腫は、弘前大学

医学部病理学第二講座

(現・病理生命科学講

座)開設許可の翌年に

あたる昭和二十六年

(一九五一)八月に、

元医学部教授で第六代

学長の臼渕

名誉教

授により発見され、そ

の後は癌化学療法(が

んに対する薬剤療法)

に関する研究に寄与

し、腫瘍医学の進歩に

役立てられている。弘

前肉腫について、遠藤

正彦第十二代学長は

「学問の場で国際的に

『ヒロサキ』の名を現

した第一号であったろ

う」と述べている。そ

の功績を称えるととも

に、研究の原点とも言

える志を継承するため

に、ここに記念碑を設

置した。

(前ページより)

入試専門委員長 

上 

野 

伸 

(脳神経生理学講座 

教授)

弘前大学医学部スクーリング

 

五月一日から令和とな

り、五月の十連休の影響

で、本年の夏のスクーリン

グは例年の八月七日から八

月九日の開催となりまし

た。

 

スクーリングでは四コマ

の講義;⑴医学部長の若林

孝一先生から「弘前大学医

学部の歩みとこれから」、

⑵附属病院長 

福田眞作先

生より「躍進を続ける弘前

大学医学部附属病院」、⑶

入試専門委員長 

上野より

「弘前大学AO入試選抜の

概要」を行った後、青森県

健康福祉部より「医師修学

資金貸与制度について」を

紹介いただきました。

 

令和二年度入試は入試募

集人員枠の変更がありま

す。AO入試において従来

の「県内枠」及び「地域枠」

がそれぞれ「青森県内枠」

及び「北海道・東北枠」と

名称変更しました。同時に

「青森県内枠」の出願資格

および要件において、以下

の二つの大きな変更を行い

ます。⑴〝青森県弘前大学

令和元年度

は、この修学資金の対象者

になります。

1.

特別枠・一般枠

従来

は〝原則として青森県

出身者〟が〝AO入試

「青森県内枠」入学者〟

のみ。

2.

学士枠

〝原則として

青森県内枠〟が〝青森

県出身者(青森県内の

高校または大学を卒業

した者)〟のみ。

 「青森県内枠」合格者は

入学後に特別枠(五名)又

は一般枠(二十二名)を選

ぶこととなり、学士枠(三

名)は、学士入試の合格者

のうち青森県出身者から希

望者を募る予定です。

 

詳細は青森県庁の以下の

サイト 

https://ww

w.pref.

aomori.lg.jp/soshiki/kenko/

iryo/ishisyugakushikin.html

に逐次、載せられる予定で

すのでご確認ください。

 

暑い中、スクーリングに

協力いただいた、青森県健

康福祉部、大学教員及び事

務の方々に深謝いたします。

医学展2019を終えて

医学科四年 

代表 

小 

林 

祐 

 

十月二十五日~十月二十

七日に行われた弘前大学総

合文化祭において、今年も

医学科は医学展を開催致し

ました。医学展が無事に閉

幕致しました事を報告させ

て頂きます。

 

今年の医学展のコンセプ

トは「医nvolve

」というも

のでした。英単語の

「Involve

」には「巻き込む」

という意味があり、

「Involve

」と「医学展」を

掛け合わせた「医nvolve

には、より多くの方々を「巻

き込んで」医学展に参加し

て頂きたいという願いを込

めました。

 

医学科からは外科・救

急・健診・精神・産科・臓

器の全六ブースを設け、来

場者との触れ合いを重視し

た体験型の企画を数多く用

意しました。特に産科ブー

スでの3D超音波、胎児模

型を用いた胎児エコー、分

娩体験や妊婦体験エプロン

などの体験型企画には、老

若男女問わず大勢の方々に

足を運んで頂きました。胎

児エコーや今年一番人気で

あった外科ブースの腹腔鏡

といった機材は企業も医学

展に巻き込んだ結果、無償

で借り受け、学生のみでは

成し得ない企画を提供する

のにご協力頂きました。

 

各ブースメン

バーによる当日の

声がけの甲斐もあ

り、来場者アン

ケートの結果によ

ると、今年の医学

展来場者の約三割

が「当日の呼び込

み」及び「通りす

がりが足を止め

た」と昨年と比較

して約七%増加、

また中学生の参加

者の割合が約二倍

増となりました。

三日間の医学展に

おいては、多くの

外国人来場者の姿

も見受けられ、普

段の講義とは違

い、幅広い層の

方々と触れ合う事

ができました。

 

最終日には、救

急災害医学講座の

伊藤勝博先生より

「あなたの前で家

族があだったら

(脳卒中になった

ら)」と題し、ご

講演頂きました。

身近な題材を選んで頂いた

事もあり、熱心にメモを取

る来場者の姿や質疑応答が

活発であり例年より多くの

聴講者を巻き込む事ができ

ました。

 

以上のように、多くの診

療科や研究室、企業、四学

年・約百五十名の医学生、

来場者の皆様、鵬桜会の皆

様、事務の方々等、数多く

の方々を巻き込み多大なる

ご協力を頂いた結果、医学

展を開催する事ができまし

た。このような素晴らしい

医学展を実現できたのは、

医学展代表として大変光栄

で、皆様にこの場をお借り

して心から御礼申し上げま

す。

Page 8: 弘前大学COI 弘前大学COIヘルシーエイジング・学人間健康学部 砂川昌範 いて紹介されました。先生が、研究の最前線につ 「地域連携最前線」では、

医学部ウォーカー第 91 号令和元年 12 月 18 日

りやすかったです。私自

身、この分野の講演を聞く

ことはまれで、聞いてよ

かったと思いました。その

意味では、古くともup-to-

date

の内容であったと思わ

れます。その証拠に、聴衆

の皆さんは全員食い入るよ

うに聞き入っていました。

 

私のタイトルは、「生活

習慣病をきたす嗜好品(タ

バコやお酒)の影響」でし

た。青森県の短命県返上活

動の本質と現状そして問題

点を紹介させていただき、

短命県返上の視点から、そ

のための健康づくりのあり

方につき、飲酒と喫煙を中

心に話をさせていただきま

した。

 

学外に出て、このような

講演会を開催するたびに感

じることですが、医学・医

療やその知識というものは

市民一人ひとりに届けてこ

そその役割が全うできるも

のと思われます。その意味

では本講演会を、弘前大学

(医学研究科)の社会貢献

のひとつとして今後も続け

ていってほしいと思いまし

た。

境に目をむけることの重要

性が不登校の子どもの治療

を例に説明されました。

 

メンタルヘルスと一口に

いっても、精神疾患の予防

や治療に関わる狭義のメン

タルヘルスから、病気その

ものではない精神健康に関

わる広義のメンタルヘルス

まで、その意味するところ

は多様です。今回の講演は

広義から狭義のメンタルヘ

ルスまで、また対象も高齢

者から子どもとその親世代

までを広くカバーしていま

した。講演者は、それぞれ、

一般市民向けという講座の

性質上、ゆっくり話した

り、専門用語をできるだけ

使わないようにしたり、親

しみやすい絵や写真を用い

たりして分かりやすく伝え

る工夫をしました。受講者

には、メンタルヘルスの多

様な側面を、自身のこと、

あるいは子どもや両親のこ

とと関係づけながら理解し

 

令和になり最初の弘前大

学大学院医学研究科公開講

座が九月六日に弘前大学医

学部コミュニケーションセ

ンターで開催されました。

テーマは「メンタルヘルス」

で、住民の高い関心を反映

して百人近くの受講者が会

場を埋めました。はじめに

広報委員長である高橋識志

教授から本会の趣旨を含め

たご挨拶をいただき、その

後三人の演者による講演が

スタートしました。

 

メンタルヘルス関連の

テーマは、これまでの公開

講座で何度も取りあげられ

ていますが、今回は、講演

1が社会医学講座の井原に

よる「高齢期のうつ病」、

講演2は美と健康医科学講

座の鄭松伊(ジョンソン

イ)助教による「身体活動

とメンタルヘルス」、講演

3が子どものこころの発達

センターの栗林理人特任准

教授による「子どものメン

タルヘルス

どもと養育環境

」でした。講

演1での地域高

齢者に特徴的な

うつ病の紹介と

早期発見の重要

性の説明から、

講演2の軽症の

うつ状態の予防

に歩行の効果を

検証した研究の

紹介に続き、講

演3では子ども

の精神疾患の発

症と治療とにお

いて両親や祖父

母を含む養育環

ていただけたのではないか

と思います。

 

午後六時から始まった公

開講座ですが、多くの受講

者の熱心な聴講と質問時間

の演者との遣り取りがあ

り、二時間の予定時間が

あっという間に過ぎていき

ました。講座終了後も、栗

林先生には受講者が列をな

して質問をしていました。

栗林先生、お疲れ様でし

た。今回の公開講座のテー

マは、昨年度の医学科研究

科広報委員長であった小林

恒教授のご示唆により設定

されました。小林先生、そ

して現広報委員長の高橋先

生、並びに開催の準備にあ

たった事務の皆様に厚くお

礼申し上げます。

 

去る九月七日第五十七回

日本脳神経外科学会東北支

部会を弘前で主催したこと

に併せ、九月八日に市民公

開講座を弘前大学医学部コ

ミュニケーションセンター

で開催しました。総合タイ

トルを「

身近な脳疾患の治

療」

として二部に分け行い

ました。

 

第一部「学ぼう、脳卒

中!」(担当:奈良岡征都

講師)では、脳卒中の概要・

予防など広範囲にわたり解

説しました。具体的には、

脳卒中は、最も頻度が多い

「脳梗塞」、脳表の動脈にで

きる瘤が破れて出血する

「くも膜下出血」、そして脳

内の細い動脈が破れる「脳

内出血」の三つに大別さ

れ、さらに「脳梗塞」は「ア

テローム血栓性脳梗塞」、

「心原性脳塞栓症」、「ラク

ナ梗塞」に細分されること

を説明しました。「心原性

脳塞栓症」に対する急性期

血栓回収療法や、「くも膜

下出血」におけるクリッピ

ング術・コイル塞栓術、「脳

出血」に対する内視鏡下血

腫除去術などの最新の治療

にも触れるとともに、何よ

りも「脳卒中」を発症しな

いために、予防としての「高

血圧治療」や「減塩」「運動・

肥満解消」などの生活習慣

改善の重要性を強調しまし

た。

 

第二部は「その頭痛、こ

うやって治します!」(担

当:片山耕輔助教)と題

し、頭痛をテーマに講演を

行いました。日本人の十人

に四人は何らかの頭痛を有

していると言われており、

一般診療で遭遇する頻度の

高い主要な症候の一つと言

えます。頭痛には、頭痛そ

のものが疾患である一次性

頭痛と、何らかの頭蓋内疾

患により生じる二次性頭痛

があります。頭痛のうち九

割が一次性頭痛と言われて

いますが、残り一割程度の

二次性頭痛にはくも膜下出

血、脳腫瘍や髄膜炎などの

生命にかかわる疾患による

頭痛が含まれており、頭痛

診療では必ず二次性頭痛を

除外する必要があります。

一次性頭痛では頻度の高

い、片頭痛、緊張型頭痛、

薬剤乱用型頭痛を、二次性

医学研究科学内公開講座

「メンタルヘルス」の開催報告

社会医学講座 

教授 

井 

原 

一 

「「身近な脳疾患」の治療」を

開催して

脳神経外科学講座 

教授 

大 

熊 

洋 

頭痛では、外科治療が有効

な脳腫瘍、脳脊髄液減少

症、三叉神経痛を取り上

げ、それらの病態、治療に

ついて説明しました。

 

脳の疾患は、身近なも

の、あるいは頻度の高いも

のが少なくないにも関わら

ず、一般市民からの認知度

は高くはありません。そん

な中で今回百名近くの参加

が得られました。今回の講

演で、脳卒中予防の理解に

よる脳卒中発生率の低下

や、極めて保有率の高い頭

痛の理解に基づくQOLの

向上など、微力ながら一般

市民の健康向上の一助にな

りましたならば幸いです。

今後も脳疾患の啓発活動を

継続していきたいと考えて

います。

 

さる、十月十九日㈯

十四時から、五戸町立

公民館で医学研究科健

康・医療講演会が開催

されました(医学研究

科主催、国民健康保険

五戸総合病院共催)。

テーマは「あなたの元

気、応援するために教

えたいこと」でした。

演者は、五戸総合病院

院長の安藤敏典先生と

私、そして司会進行は

法医学講座の高橋識志

先生がつとめられまし

た。

 

全部で約五十名の参

加者があり、講演後の質疑

応答も活発で、年に一回の

学外での本講演会の意義を

改めて感じました。

 

安藤先生の講演テーマ

は、「日常生活に支障をき

たす外科疾患(痔・下肢静

脈瘤・脱腸など)」でした。

先生は外科医で、日常の大

きな悩みのもととなってい

る痔・下肢静脈瘤・脱腸を、

専門家の立場からわかりや

すくお話しいただきまし

た。なんといっても実際の

患者さんのリアルな写真が

その都度示されとても分か

医学研究科健康・

  医療講演会の報告

社会医学講座 

特任教授 

中 

路 

重 

 

令和元年十月十六日~十

七日に東京・ホテルサン

ルートプラザ新宿にて

International Conference on B

iomedical and C

ancer Research

を開催しました。

今回のカンファレンスは演

癌研究の国際カンファ

レンスを開催して

病理生命科学講座 

教授 

鬼 

島   

題数百余りの小規模な研究

会でしたが、熱のこもった

口演・ポスターの演題発表

が続き、活発な質疑応答が

行われました。参加者の半

数ほどはインドネシア・イ

(次ページへ続く)

市民公開講座

Page 9: 弘前大学COI 弘前大学COIヘルシーエイジング・学人間健康学部 砂川昌範 いて紹介されました。先生が、研究の最前線につ 「地域連携最前線」では、

医学部ウォーカー第 91 号 令和元年 12 月 18 日

大きくはマストが艇に固定

されているヨットと、マス

トとボードがユニバーサル

ジョイント(可変式)で接

続されているウインドサー

フィンとに分けられます。

 

レースは通常風下にマー

ク(本部艇)を置きスター

トラインを決めます。そこ

から各種目一斉スタート

し、まず風上のマークをめ

ざします。その風上マーク

を回航し、またスタートラ

イン近くの風下マークまで

戻ってきます。このコース

を二周して、ゴールするこ

とになります。風は常に変

化しているため、タイムト

ライアルではなく一斉ス

タートで順番を競います。

各種目とも最大一日二レー

スを三日間行い、その成績

を合計し総合順位が決まり

ます。

ンド・タイなどアジア諸国

でしたが、アフリカ・ヨー

ロッパ・アメリカの各大陸

からの参加者もおりまし

た。演題は、基礎的な研究

から、基礎・臨床をつなぐ

トランスレーショナル・リ

サーチ、臨床研究に至るま

で多彩な内容でした。

 

せっかくのチャンスでし

たので、病理生命科学講座

関連の若手医師・研究者に

も計四演題を口演で発表し

てもらいました(表参照)。

各々二十五分の枠のため、

二十分間のまとまった英語

での発表は、準備から本番

までの苦労も含めて貴重な

経験となったようです。

 

二日間にわ

たり一つの会

場で行ったた

め、カンファ

レンス終了時

には参加者全

員がお互いに

打ち解けあっ

て、国際交流

の場としても

(次ページへ続く)

少なからず貢献できたかと

思います。

演 者 現在の所属 演  題  名

後藤慎太郎 病理生命科学講座・助手 Micro-environment of pancreatic cancer, and its clinical significance

諸橋 聡子 弘前市立病院・臨床検査科長 Growth/differentiation of colorectal cancer, and its therapeutic targeting

平井 秀明 東京医科大学・助教 Histopathology of gastric cancer, and its clinical significance

呉  雲燕 自治医科大学・ポスドク研究員 BHLH transcription factors DEC1 and DEC2: From structure to various diseases

 

研修医時代『のび太君』

があだ名の私でも、四十六

歳にして初めてセーリング

競技で青森県代表として国

体に参加することができま

したのでご報告させていた

だきます。令和元年天皇陛

下御即位記念という記念す

べき国体で、まさに国をあ

げてのスポーツの祭典でし

た。『のび太のいきいき茨

城ゆめ国体』といった映画

にでもなりそうな貴重な体

験を満喫させていただきま

した。

 

国体セーリング競技は①

成年男子:470級、レーザー

級、ウインドサーフィン

級 

②成年女子:セーリン

グスピリッツ級、レーザー

ラジアル級、ウインドサー

フィン級 

③少年男子:420

級、レーザーラジアル級 

④少年女子:420級、レー

ザーラジアル級に分けられ

ています。一般的に、セー

リングには他にも多くの種

類がありますが、基本的に

風の力を推進力にして海上

を自由自在に進むスポーツ

です。風上にも四十五度程

度のぼることができます。

『のび太のいきいき茨城ゆめ国体』

国体セーリング競技に参加して

心臓病遠隔管理システム開発学講座

講師 

堀 

内 

大 

 

やはり岸から観戦してい

て見栄えが良いのは二人乗

りの大きな470級で、セーリ

ング競技の花形です。470級

の青森県代表は青森工業高

校の高校生二人ペアでし

た。合図とともに各県の

ヨットが一斉に出艇開始で

す。セッティングスポット

からスロープまでチーム青

森全員で出艇の手伝いをし

ます。スロープから海上に

向かう恥ずかしそうな高校

生の背中に向けて、全員で

『フレー!フレー!青

森!』と声を張り上げま

す。各県との応援合戦にな

り、まるでねぶたが始まる

ようなワクワク感でした。

 

私は国体ウインドサー

フィン級で参加しました

が、セーリング競技中、最

も体力を必要とする種目と

されています。強風になる

とボードが浮き上がり、『プ

レーニング』と呼ばれる状

態になり海上を飛ぶように

滑走できます。しかし微風

では『パンピング』といっ

てセイルを自分で扇いで進

みます。約三十分全身を

使って扇ぐため、体力勝負

になります。今回は風の強

弱が激しい難しいコンディ

ションで、三十六人中三十

四位という個人成績でした

が、課題が明確になり今後

につながりそうです。二〇

二五年には青森国体が開催

予定で、『のび太の大冒険

ver.7

』を目指しています。

 

海上を滑走していると、

日常の嫌なことも些細なこ

後援会のご案内会長 石戸谷 忻 一

 弘前大学後援会では、学生の学業、課外活動への助成、学生の進路指導に必要な助成等学生生活の多岐にわたる分野の助成を行っております。つきましては、何卒本会の趣旨にご賛同頂きまして、各位の格別のご高配、ご支援を賜りますよう、切にお願い申し上げます。 なお、入会方法等の詳細については、弘前大学総務部総務広 報 課(Tel:0172-39-3012、E-mail:[email protected])までご連絡いただくか、弘前大学後援会ホームページ(http://www.hirosaki-u.ac.jp/kouen/index.html)をご覧ください。

弘前大学

とに感じられます。もっと

大袈裟にいうと『生きてい

ることの尊さ』を感じま

す。最近、『短命県返上』

のため事業所などで一般の

健康な方々にお話しさせて

いただく機会があります

が、そこで感じるのは、実

は『いつ死んでもいい』と

思っている方が意外に多い

ことです。短命原因の一つ

が『いつ死んでもいい』じゃ

ないかと、私は疑っていま

す。特に独身中年男性に

は、この傾向が強いと感じ

ています。そんな方々にこ

そ、私の『のび太の大冒険』

を一つのヒントとして考え

ていただければ幸いです。

病理生命科学講座助教 吉 澤 忠 司

 

二〇一八年八月からアメ

リカ東海岸メリーランド州

ボルチモアにある、Johns

Hopkins U

niversity, Depart -

ment of Pathology

に留学

しております。ボルチモア

はワシントンD

.C.

から北東

に一時間ほどのところにあ

る、アメリカで最も古い都

市のひとつです。また、南

北戦争の舞台にもなった、

アメリカ国歌誕生の地でも

あります。

 

Johns Hopkins

大学は実業

家であったJohns H

opkins

氏の寄付により、一八七六

年に世界初の研究大学院大

学として設立されました。

Johns Hopkins

大学は、ボ

ルチモアには主に三つのキ

ャンパスがあり、医学部・

病院はダウンタウンの比較

的治安の悪いところにあり

ます。全学は北に二十分く

らいのところのH

omew

ood

というところにあり、また

港近くのBayview

には病

院がもう一つあります。私

は現在、医学部の研究施設

(Cancer research building

に勤めています。医学部周

辺は治安が悪く出歩くこと

は少ないのですが、週二回

ほど、H

omew

ood campus

実験施設を使用しに行って

います。病院のあるダウン

タウンと違い、H

omew

ood

はまさに古き良き大学とい

った雰囲気で、若い学生た

ちにまじって構内を歩く

と、気持ちも若返る気がし

て、いい気分転換となって

います。

 

研究ですが、H

opkins

Surgical Pathology

で肝臓・

胆道病理を担当している大

島喜世子先生、膵臓病理で

有名なD

r. Ralph Hruban

そして、膵癌の研究でLab

を主宰されているD

r. Laura W

ood

とともに研究を行っ

ています。私が研究してい

るのは、T

issue Clearing

いう技術を用いた癌の形態

留学だより

Medical Campus

Homewood Campus

解析です。T

issue Clearing

技術とは、組織を透明化

し、三次元構造解析をする

技術で、主に脳神経病理の

分野で研究されています。

その技術を人体組織に応用

し、既存の病理組織標本(二

次元)では解析困難であっ

た、人体組織の癌細胞の形

(浸潤形態・脈管侵襲像

等)

を三次元で解析する研

究を行っております。人体

組織、特に癌組織ではまだ

試行錯誤の段階ですので、

うまくいかないことばかり

ですが、最近はなんとか、

癌細胞の三次元での形態が

観察できるようになってき

ました。癌細胞の三次元形

態は、想像以上に多彩であ

り、今まで二次元で病理診 Halloween party

(前ページより)

Page 10: 弘前大学COI 弘前大学COIヘルシーエイジング・学人間健康学部 砂川昌範 いて紹介されました。先生が、研究の最前線につ 「地域連携最前線」では、

㉓鬼 

島   

(病理生命科学講座・教授)

医学部ウォーカー第 91 号令和元年 12 月 18 日(前ページより)

断を行っていた私にとっ

て、その多様性・奥深さに

驚かされると同時に、その

美しい像に魅了されていま

す。

 

生活面では、同じアパー

ト群に住んでいる日本人研

究者の家族と助け合いなが

ら、バーベキューをした

り、ホームパーティーをし

たりと楽しんでいます。子

供達はたくましいもので、

親の心配をよそに、現地の

小学校・幼稚園に楽しそう

に通っています。一年もた

つと、アメリカ人の友達の

言っていることがわかるら

 

前回に引き続き、十和田・八

甲田界隈です。八甲田一帯の九

つの温泉宿による「八甲田山九

湯会」があり、八甲田山系周辺

の温泉宿泊施設や観光地を温泉

郷として一体的に情報発信する

のが目的で、今年から充実した

ホームページが公開されていま

す。温泉宿が泉質や日帰り入浴

情報を公開しているのは意外と

少ないので、訪れる方はぜひ活

用してください。

 

みちのく深沢温泉(第八十八

青森市駒込字深沢

日帰り

十七時迄)は、昭和五十五年開

業とのこと、昭和の懐かしい空

間が広がる静かな温泉民宿で

す。ナトリウム・カルシウム-

硫酸塩泉は、やさしめの芒硝泉

でしっかりと温まり、開放感あ

る露天風呂もあります。八甲田

山雪中行軍で有名な田代街道

(県道四十号線)近くにあって

通年営業しており、「冬も来い

へ!」という看板と共に宿主の

意気込みが感じられます。

 

グダリ温泉又兵衛の茶屋(第

八十九湯

青森市駒込字深沢

日帰り十七時迄

冬期休業)は、

県道四十号線沿いで田代平にあ

る「茶屋」の一角にある温泉民

宿です。グダリ沼に近いことか

らグダリ温泉と呼ばれますが、

HP検索等では専ら又兵衛の茶

屋のようです。総ヒバの浴室は

平成二十二年にリニューアルさ

れたとのことで、木の温もりの

中で浸るかけ流しのナトリウム

硫酸塩・炭酸水素塩泉は、

車を停めてひと風呂の価値

があります。

 

酸ヶ湯温泉(第九十湯

青森市荒川字南荒川

日帰

り十七時迄)は、貞享元年

(一六八四)

に発見された

全国的にも有名な温泉で

す。正に独特の酸性・

含鉄

含硫黄

アルミニウム

硫酸塩・塩化物泉が、酸ヶ

湯という名の由来です。昭

和二十九年

(一九五四)

四万、日光湯元と共に国民

保養温泉地第一号に指定さ

れ、八甲田山九湯会の幹事

も務めています。東北大学

植物園八甲田分園が隣接し

ているのは、大正時代に研

究のために高山植物を寄贈

したことに由来します。

 

城ヶ倉温泉(第九十一

青森市荒川字南荒川

日帰り十六時迄)は、さっ

ぱりしたカルシウム・ナト

リウム塩化物泉です。ガラ

ス張りの内湯からも十分に

自然を眺望できますが、源

泉かけ流しの露天風呂は眼

前にブナ林が広がり自然に

溶け込む感じがします。

 

冬場の八甲田は荒天も少なく

ありません。道路も冬期閉鎖に

加えて、夜間通行止めもありま

すので、道路情報を収集しなが

ら運転に十分に注意しつつ、八

甲田山九湯会の個性あふれる温

泉を堪能してください。

みちのく深沢温泉

グダリ温泉

又兵衛の茶屋

酸ヶ湯温泉

城ヶ倉温泉

 

初めまして。私は弘前大

学医学部平成十五年度卒の

柞木田礼子と申します。今

年の四月より、当大学神経

精神医学講座に所属させて

いただき、精神科医一年目

として勉強中です。それま

では産婦人科医として勤務

していました。もともと幼

い頃に見たドラマの影響で

産婦人科医だけにはなるま

いと思っていた私でした

が、外病院の実習で、将来

行かない科を勉強しようと

産婦人科を選択しました。

実習先の先生は、精神科か

皮膚科に行きたいと答えた

私を、実習の最後に「一緒

に産婦人科を盛り上げてい

こう」とお誘い下さいまし

た。その先生のおかげで今

の私があると思っていま

す。当時、産婦人科医は絶

滅危惧種と言われており、

私でも何か役立つことがあ

ればと考え産婦人科を選択

しました。医師を目指した

頃から精神科を考えていた

私は、学生時代、精神科医

には必要ないと思い(もち

ろんそんなことはありませ

ん)、解剖や画像診断の勉

強を全くしていなかったた

め、とても後悔しました。

学生の皆さんには、どの勉

強も役立つ日は来るので、

真面目に勉強をすることを

強くお勧め致します。産婦

人科に所属してからは、本

当にたくさんのことを学ば

せていただきました。一人

では何もできないチーム医

療が大切な科なので、産婦

人科の先生方

はもちろん他

科の先生方に

も様々な面で

支えていただ

きました。手

術のセンスが

ない私でした

が、本当に根

医師だより

若手教員・医師だより

神経精神医学講座 

助教 

柞木田 

礼 

 

まず自己紹介をします

と、弘前大学を卒業、青森

県立中央病院で研修後に、

県外で乳腺外科を中心に研

修を行っていました井川明

子です。青森県に戻ってく

るにあたって、二〇一五年

に消化器外科学講座に入局

しました。現在は、高度救

命救急センターに籍を置い

ています。当直ではできな

い動きや手技も多く、様々

な先生方にお世話になって

います。専門には、乳腺甲

状腺外科の外来を中心に業

務を行っています。

 

さて、学生時代以来の弘

前での生活は五年目となり

ました。この間、色々な意

味で最もウエイトを占めて

いたのが大学院研究になり

ます。まず臨床を行いなが

ら、研究テーマを探すとこ

ろからスタートしました。

ご存知の通り、乳腺診療は

診断から手術、術後治療、

再発治療まで多岐に渡りま

す。その中で私の興味は、

画像と病理という「診断」

気強く教えて下さいまし

た。子供を育てるように面

倒をみていただき、感謝し

てもしきれません。たくさ

んの患者さんにも出会い、

楽しいことも悲しいことも

たくさんあり、とても充実

した生活を送り、産婦人科

医になったことを後悔した

ことはありませんでした。

自分なりに少しずつでも成

長できればと思い、立ち止

まらずに進んできました

が、ある患者さんが亡く

なったことをきっかけに、

今後のことを考えるように

なりました。この先後輩た

ちのために私は役立てるの

か、私は患者さんの力にな

れているのか、私に合って

いることは何か、私がした

いことは何か。その時、先

に精神科医の道を歩いてい

た妹の後を付いて行こうと

思い立ちました。ここまで

育てていただいた産婦人科

の先生方には大変申し訳な

く、心苦しさもありました

が、今後の自分の人生を考

え、十四年間勤めた産婦人

科を離れました。送り出し

てくださった産婦人科の先

生方、このような私を受け

入れて下さった精神科の先

生方には大変感謝しており

ます。精神科医として勤務

し、目から鱗が落ちまくる

毎日です。産婦人科では「い

つでもどうぞ」と二十四時

間診療体制でしたが、精神

科では決まった時間、決

まった場所でのみ診察をす

る枠組みを作り、適切な距

若手医師だより

若手教員・医師だより

高度救命救急センター 

助手 

井 

川 

明 

に関することでした。そこ

で、浸潤性小葉癌について

のいくつかのクリニカルク

エスチョンのストックを元

手に、漠然と分子病態病理

学講座にお世話になること

になりました。しばらく研

究テーマを絞り切れません

でしたが、多くはない臨床

知識をフル稼働させて手術

標本を見続け、「脈管周囲

浸潤」という所見に注目す

るに至りました。漠然とス

タートした分、気付けたの

ではないかと思っています。

しく、子供の適応能力の高

さに感心しております。

 

この文章を書いている時

点で、残りのアメリカ生活

も五か月となってしまいま

した。残り短い留学生活を

より実りの多いものにでき

るように努力していこうと

思っております。最後に、

人手不足のなか、海外留学

を認めてくださった、鬼島

教授、病理生命科学講座の

先生方、そして、サポート

していただいている病理関

係の先生方、関係者の皆様

に感謝するとともに、帰国

後は少しでも、恩返しがで

きればと考えております。

離を取ることが、患者さん

の治療の上でとても大事だ

と学びました。私は患者さ

んとの心の距離が近過ぎ

て、思い入れが強くなって

しまったり、無力な自分が

悔しくて、患者さんや家族

の前で涙を流してしまった

りしたこともありました。

医師として感情のコント

ロールができていなかった

と思い知りました。また患

者さんの症状でも、「あの

症状は抑うつによるもの

だったのか」とか「あの方

は発達障害だったのだろ

う」と今更気付いたことも

多々あります。わずか半年

で学んだ知識でも、産婦人

科医時代に知っていれば、

もっと患者さんのためにで

きたことがあったなと思う

毎日です。今後の医師人生

があと何年あるか分かりま

せんが、これからは時々立

ち止まり自分や周囲を見つ

め直しながら進んでいきま

す。どの道を歩いても、学

んだことは無駄にならない

と思っています。

(次ページへ続く)

温   泉 泉     質 営  業 日帰り入浴

1 酸ヶ湯温泉 酸性・含鉄・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉(硫化水素型)(低張性酸性高温泉) 通年 9:00~17:00

2 ホテル城ヶ倉(城ヶ倉温泉) カルシウム、ナトリウム、塩化物(低張性、弱アルカリ性、高温泉) 通年 11:30~16:00

(15:00受付終了)

3 八甲田リゾートホテル(寒水沢温泉) カルシウム、ナトリウム、塩化物(低張性、弱アルカリ性、高温泉) 通年 11:30~16:00

(15:00受付終了)4 猿倉温泉 硫黄泉(単純硫黄泉) 4月下旬~ 10月末日 土日祭日のみ

5 蔦温泉 ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉(低張性中性高温泉) 4月20日~ 11月24日 11:30~16:00

(15:00受付終了)6 谷地温泉 単純硫黄温泉(硫化水素型低張性弱酸性温泉) 通年 10:00~17:00

7 八甲田温泉 酸性・中性(カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉、他に複数泉あり) 4月下旬~ 11月上旬 10:00~17:00

8 みちのく深沢温泉 ナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉 年中無休 8:00~20:009 又兵衛の茶屋(グダリ温泉) ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩泉 4月上旬~ 11月中旬 10:00~17:00

八甲田山九湯会

猿倉温泉、蔦温泉、谷地温泉が十和田市、その他の6湯が青森市

Page 11: 弘前大学COI 弘前大学COIヘルシーエイジング・学人間健康学部 砂川昌範 いて紹介されました。先生が、研究の最前線につ 「地域連携最前線」では、

医学部ウォーカー第 91 号 令和元年 12 月 18 日

学生だより

解剖学実習を終えて

解剖学実習を終えて

医学科二年 

芦 

野 

倭 

 

厳しい三か月だった。こ

れが、解剖学実習を終えて

抱いた正直な感想です。こ

のように感じるのは、人の

身体が非常に緻密な構造を

とっており、筋や臓器の配

置、血管や神経の走行等の

構造を細かく覚えるのが大

変だったからだと思いま

す。そして何より、実際に

ご遺体を目の前にして、毎

日緊張を覚えたからだと思

います。私にとって本当に

大変な実習でしたが、心身

ともに成長する素晴らしい

実習であったと確信してい

ます。

 

人体の正常な構造を理解

するという目的のもと行っ

た実習ですが、これは単に

医師に必要な意識を身につ

けるためだけのものではな

かったと思います。例え

ば、印象深いのは膝の靭帯

を観察したことです。率直

に、「え、こんなに太いの?

引っ張ったり、強く力をか

けても全然外れないじゃな

いか」と感じました。ス

ポーツ選手で前十字靭帯の

断裂をする、というのはよ

く聞く話ですが、これは相

当に異常な事なのだ、とい

うことがよくわかりました。

体が正常な状態ではない、

ということがその本人に

とってはどんなに苦しいこ

とか、痛いほどよくわかり

ました。私にとって、今回

の実習は人の痛みが伝わっ

てくるような実習でした。

 

私達は将来、医師となっ

て患者さんの診察をするこ

とになります。診察をして

も、実際に自分がその病気

になったことがない場合が

ほとんどだと思います。そ

ういう意味で、医師は、想

像でしか患者の痛みを理解

できないのではないかと感

じます。しかし、そんな時、

きっとこの実習が生きて来

るんじゃないか、とも感じ

ます。医学的知識に基づい

て、患者さんの辛さや怖さ

をわかろうとする、器の大

きな医師になりたいと思い

ます。

 

患者さんは、大事な命を

医師に預けてくださいま

す。解剖学実習を通じて感

じた医療従事者としての、

患者さんに対して果たすべ

き責任を忘れることなく、

日々精進し、医学の道を全

うしていきたいです。

解剖学実習を終えて

医学科二年 

忠 

平 

和 

 

解剖学実習を終えて、ご

献体である「先生」は私た

ちが学ぼうとすればするだ

け与えてくださると下田教

授がはじめにおっしゃった

ことをあらためて噛みしめ

ています。

 

慰霊祭で読ませて頂いた

弔辞の中で、医師の手は医

療行為のためだけではな

く、その傷や痛み、心、そ

して人生を包む手であるべ

きであり、私はそうありた

いと私たちの「先生」の御

霊、ご遺族の御前に誓いま

した。実は、解剖学実習に

おいて一つ大きな反省が

あったことを私はこの慰霊

祭では心のうちにしまって

いました。それは、解剖学

実習の最終日のことでし

た。全ての実習過程を終

え、私には気になっていな

がら手を付けていないお体

のある一つの関節がありま

した。それを、班員の一人

がどうしても気になると、

残り一時間となったときに

剖出し始めたのです。目に

したその関節は左右の差が

歴然でした。私は声が出ま

せんでした。私たちのご献

体である「先生」がお持ち

になっていた左右の体格の

差は、ああ、これだったの

かと、驚きと納得と反省は

言葉になりませんでした。

生前の先生が歩くお姿、傍

らに付き添われていたであ

ろうご家族、先生の小さい

頃の面影。この関節は私が

知るべき、先生の人生を物

語るものでした。班員の助

けがなかったら、私は先生

の人生の多くを知らずに終

えるところでした。チーム

医療の利点を図らずも知

り、「先生」からの声なき

メッセージを受け取れな

かったことを深く反省しま

した。学ぼうとする気持ち

の欠如です。どこまで学び

を求めるかは私たちの胸三

寸、人生を包む手であらん

ことを誓うならば、もっと

解剖学実習を終えて

医学科二年 

久保田 

崇 

 

解剖学実習のガイダンス

にて、先生はこう仰ってい

ました。「解剖学実習を終

えた学生には医者以外の道

は残されていない。社会が

それを許さない。」その言

葉を大げさに感じていた私

は、後にそれが医師という

職業の責任感の重さを理解

し、それに見合った相応し

い人格を養ってほしいとい

う鼓舞のメッセージであっ

たことに気が付きます。

 

解剖学実習初日、ご遺体

のお顔を始めて見た際に、

今自分の目の前にいらっ

しゃる方も、かつては自分

のような若者であり、家族

があり、友人があり、人生

があったのだとまざまざと

実感させられました。そし

てその方々はご自身の大切

なお身体を、医学の発展の

ためにと、何の縁も無い若

者に託して下さいました。

自身にとっても、ご家族に

とっても、ご友人にとって

も大切なお身体をご献体さ

れることは大変なご決断で

あったと思います。解剖学

実習にはご献体をなされた

方々のみならずご家族、そ

して友人を含めた大勢の

方々の思いが詰まっていま

す。それは決して軽々しい

ものではなく、尊く崇高な

思いです。そしてそれは臨

床の場においても同じで

す。医師が背負うものは患

者さんの思いだけでなく、

患者さんのご家族、ご友人

など多くの関係者の方々の

思いです。私はそのことを

胸に解剖学実習にてご遺体

と向き合わせて頂きました。

 

解剖学実習を通して、私

は死の意味や医師としての

責任感といった哲学を学ん

だだけでなく、医師として

不可欠な素養である人体へ

の理解を深めることができ

ました。この実習で得た経

験を糧に一層勉学に励むと

共に、人格のさらなる研鑽

を積んでいきたいと思って

います。

 

最後になりますが、ご献

体して下さった方々、そし

てご家族の方々、友人の

方々、この度は私共に解剖

学実習の機会を与えて頂き

本当にありがとうございま

した。そして解剖学実習を

担当して下さった先生方、

未熟な私共を導いて下さり

本当にありがとうございま

した。 解

剖学実習を終えて

医学科二年 

松 

丸 

麗 

 

まず初めに献体してくだ

さった方々、またそのご家

族の方々に感謝を申し上げ

ます。

 

実習を終えて、私は目指

す医師像について考えさせ

られました。その大きな

きっかけとなったのはご献

体から発せられる「生」の

実感です。ふと見上げた時

に見える、穏やかに眠って

いるような顔や、ずっしり

と組織が詰まった臓器を持

ち上げたとき、「ああ、彼

は間違いなく生活をしてい

て、今は冷たく眠っている

組織も、生きるために必死

に働いていた時があったの

だ。」と改めて感ぜられ、

以前生きていた体にメスを

入れるたび、目を背けたく

なるほどにずしりと胸が重

くなりました。そしてその

たびに「逃げてはならな

い、この感情と向き合い続

けなければならない」と自

分に言い聞かせました。

 

私が解剖させて頂いたご

献体の胃には大きな病変が

ありました。満足に物を食

べられず、日々激しい腹痛

を起こして大変苦しかった

だろうと思います。この病

変を見たとき、「この方は

病気になってからの人生を

できる限りの範囲ででも生

きたいように生きられただ

ろうか」と思いました。

 

人は誰しも生活や大切な

思いを持っていて、病気

は、時として治療の副作用

も、それを制限することが

あります。私は病気ばかり

に気をとられず、患者さん

の思いを大切にする医師に

感覚を研ぎ澄ませ、求めよ

と、納棺の儀では反省の涙

に暮れ、「先生」の抱えて

いらっしゃった痛みも光も

影も、両手で抱かせて頂い

ているつもりでお別れをし

ました。

 

解剖学実習では本当に多

くの学びを頂きました。未

熟な私たちに機会を与え、

見守ってくださった下田教

授をはじめとする解剖学教

室の先生方、スタッフの

方々、弘前大学の諸先生

方、ありがとうございまし

た。そして、ご理解を賜り

ましたご遺族の皆様、何よ

りご献体くださった「先生

方」に心より感謝申し上げ

ます。ありがとうございま

した。

 

多いと言われる乳癌です

が、小葉癌はその約四%を

占めるに過ぎません。その

ため、関連施設を含め過去

十年の多くの症例を提供い

ただきました。これほど多

くの小葉癌症例をまとめて

みる経験はこれまでなく、

  弘前の冬

 

これからまた寒い冬が

やってくる。自分は北海道

の出身で子供のころから冬

に雪があることが当たり前

だったが、雪なし県から来

た一年生は初めての雪国の

体験となると思う。きっと

一度は転ぶことであろう。

札幌から弘前に来た自分は

当初は札幌の方が雪が多い

と思っていたが、実は青森

の方が札幌の一・五倍雪が

降ると聞いて驚いたことを

思い出す。以前は青森市の

方が弘前市よりもはるかに

雪が多かったようだが最近

はそうでもないことも。自

分はスキーを趣味としてい

るので雪が多いことは嫌で

ないが、自宅の前に雪が降

ることは嫌だ。また二月か

ら三月にかけての弘前の町

中は最悪である。札幌市は

お金がたくさんあるせいか

除雪に関しては町の中央は

とてもしっかりしていた

が、弘前は裏道に入ると道

路幅は狭く、雪はぐちゃぐ

ちゃでとても恐ろしい状況

になる。そのため、弘前の

冬の町中は軽の四駆が最強

だと思うようになった。自

分は冬でも裏道を通って大

学に通勤するので、冬にな

ると家を出る時間が早くな

る。しかし雪が溶けても既

に体が慣れてしまい同じ時

刻に家を出てしまうため出

勤時間がだんだんと早く

なってしまった。しかし、

しんしんと雪が降る夜は好

きだ。

各施設で臨床情報を収集

し、病理と対比させる中

で、自分の中での小さな発

見や、新たな疑問も生まれ

ました。大学院研究をまと

め、これらを今後の臨床に

生かすだけでなく、今後の

研究にもつなげていきたい

と考えています。

なりたいです。しかし、きっ

と現実は甘くないでしょ

う。病気が早く見つかって

も患者さんの思いや事情で

治療できずに悪化して亡く

なることもあれば、故意で

はないにしろ、選んだ治療

方針が最適でなく、理想と

は裏腹に思いを踏みにじる

こともあるだろうと思いま

す。病気だけを診ていたら

どれだけ楽だろうかと思い

ます。しかし、逃げてはな

らない。人の思いを尊ぶか

らこそ葛藤を抱き、理想を

追いかけられるからです。

 

ご献体の方は人生で私が

悩むたび原点に立ち返らせ

てくれる、いわば人生の先

生の一人です。実習で学ん

だ思いや考えを胸に、これ

からも勉強を頑張っていこ

うと思います。

(前ページより)

Page 12: 弘前大学COI 弘前大学COIヘルシーエイジング・学人間健康学部 砂川昌範 いて紹介されました。先生が、研究の最前線につ 「地域連携最前線」では、

医学部ウォーカー第 91 号令和元年 12 月 18 日

 

初めに、貴重な機会を与

えてくださった、弘前市関

係者の皆様、弘前大学の先

生方、学務の皆様に心より

御礼申し上げます。

 

本研修では主に、PB

L、医療面接/

診療技術の

研修を受講しました。ハワ

イ大学では、早い時期から

診療経験を導入することを

目的とし、一、二年次(日

本の三、四年次)にPBL、

講義、実習を中心とした医

学教育を行っています。週

の大半を占める講義・PB

Lはいずれも午前中で終わ

るため、午後は自学自習の

時間に当てる学生が多いと

知り、日米医学教育のカリ

キュラムの違いを実感しま

した。また、現地の学生

が、教科書から学ぶ知識を

どのように目の前の患者さ

んに活かすかを常に考えて

いると仰っていたことも印

象的でした。短期間でした

が、彼らと時間を共にする

 

私は八月十九日から二十

三日にかけて、ハワイ大学

医学部(以下、JA

BSOM

 

私はJA

BSOM

で、何事

にもチャレンジすること、

そして「I’ll do it

の精神

を学びました。今まで海外

留学に興味はあるものの、

言語や文化の違いなど苦手

意識を持っていました。プ

ログラムにはJA

BSOM

はじめ、各地から沢山の学

生が参加していました。P

BL、模擬患者さんの診察

など様々な実習を通し日本

との違いを実感しました。

また、実践を意識した医療

面接などは大変勉強にな

り、充実した実習ができま

した。JA

BSOM

の学生と

もランチ、H

ula

ダンスな

ど文化的な交流をし、友人

も多くできました。全ての

プログラムを英語で取り組

むのはもちろん、初めての

手技もあり、言葉の壁、能

力の差など不安な点もあり

ました。しかしJA

BSOM

の先生から「I’ll do it

」、

何事にも積極的にチャレン

ジすれば、自分の可能性を

広げることができると学び

ました。JA

BSOM

での経

験が海外を恐れずチャレン

ジする勇気と自信、素晴ら

しい友人達との出会いを与

え、自分にとっての今後

の推進力になったと思っ

ています。弘前大学では

 

今回八月十八日~二十五

日の一週間という短い期間

でしたが、ハワイ大学の夏

季研修へ行ってきました。

自分は将来的に、国際医療

に携わりたいと考えてお

り、英語を勉強していたの

で、今の自分の英語は実際

にアメリカの人たちにどれ

だけ理解してもらえるか、

また相手の英語をどれだけ

理解することができるかと

いうことを知ることができ

るとても良い機会でもあっ

たため、今回の夏季研修を

とても楽しみにしていまし

た。

 

ハワイ大学での研修を通

して、自分の英語力に磨き

をかけることができたこと

が今回の研修の大きな収穫

の一つです。授業ではたく

ハワイ大学夏季研修レポート

医学科五年 

川 

岸   

さんの医学英語を使いまし

たが、自分のわからない英

語のほうが圧倒的に多かっ

たです。そのため、患者さ

んの病気の鑑別疾患や鑑別

するために必要な検査など

を英語でいうことができ

ず、悔しい思いをしまし

た。これからの自分の勉強

を通して、疾患や検査、症

状など専門的な医学英語を

もっと勉強したいと思うよ

うになりました。

 

今回の研修の一番の収

穫はハワイ大学の学生だ

けでなく、他の大学の

方々と仲良くなることが

できたことがあります。

みんな、積極的に英語を

しゃべろうと努力してお

り、新しいことに対して

前向きに取り組んでいく

ハワイ大学夏期研修に参加して

医学部四年 

白 

石 

絵美里

中で、日々の学習への取り

組み方を再考するきっかけ

になったことが私自身の大

きな収穫となりました。

 

医療面接/

診療技術の研

修では〝診察室/

病室の

ノックの仕方〟に関する講

義から研修が始まったこと

を新鮮に感じました。非言

語的コミュニケーションは

対人関係において非常に重

要と言われていることか

ら、診療技術以前にそれら

を言語化して学ぶという点

を興味深く感じました。

 

最後に、アメリカの医学

教育の水準に触れることを

目的に本研修の参加を決め

ましたが、それ以上に国境

を越えて同じ志を持つ仲間

に出会えたことが人生の財

産となりました。近い将

来、彼らと同じ土俵に立ち、

遜色なく働けるよう今後も

努力を重ねてまいります。

ハワイ大学夏期研修に参加して

医学科四年 

山 

田 

咲季子

で行われた夏期研修に参加

してきました。私がこの研

 

八月十九日から二十三日

までの五日間に渡ってハワ

イ大学夏季研修プログラム

に参加した。主な研修内容

としては、PBL、身体診

察の練習であった。

 

PBLは、弘前大学では

四年生の後期から始まるた

め、ハワイ大で初めて体験

することとなった。大人数

での講義で知識をインプッ

トする勉強とは異なり、少

人数グループで症例につい

て英語で議論しながら、今

まで学んできたことをアウ

トプットするというスタイ

ルは新鮮であった。PBL

を通して、臨床の現場での

疾患に対する考察過程を学

ぶことができた。身体診察

の練習では、患者さんへの

ハワイ大学Sum

mer M

edical Education Institute

に参加して

医学科四年 

山 

縣 

恵茉理

挨拶から始まり、問診の内

容や聴診器を用いた診察の

仕方を学んだ。問診の中で

患者さんの生活環境を把握

し、適切なアドバイスを考

え、患者と医師の信頼関係

を築くコミュニケーション

の取り方を考える機会と

なった。

 

今回ハワイ大学の研修で

は今までの講義とは異な

り、PBLや身体診察、シ

ミュレーションなどの新し

い学び方を通して実臨床的

な医師としての考え方や態

度などを習得する機会で

あったと思う。この様な大

変貴重な経験をする機会を

与えてくださった関係者の

方々に感謝します。ありが

とうございました。

JABSOM

での夏留学

〜MAHALO

医学科六年 

堀 

内 

みちる

 

令和元年八月十九日から

二十三日の五日間、ハワイ

大学医学部の夏季研修に参

加させて頂きました。私は

留学経験も無ければ、英語

も得意ではありませんでし

た。ですが、思い切ってチャ

レンジしてみようと思い、

応募しました。その結果、

とても貴重な経験ができ、

毎日が新鮮で楽しみなが

ら、医学や文化を学ぶこと

が出来ました。

 

ハワイ大学はPBLで有

名な大学で、日本では四年

生に行う事を一年生で行

なっているそうです。私は

三年生で参加したため、知

識が浅く、分からない事が

多かったのですが、討論を

行なった後の自主学習によ

り、三年前期で習った事も

交えながら理解する事が出

来ました。またこの他に

も、医療面接やマネキンを

ハワイ大学夏季研修

医学科三年 

山 

邊 

麻友香

用いた実習、注射実習など

どれも初体験の事で、今後

医学を学ぶモチベーション

にもなりました。特に医療

面接は実際の英語圏の方を

診察し、一人一人フィード

バックを行ってくれるた

め、自分の短所を客観的に

学ぶことが出来ました。

(次ページへ続く)

JABSO

M

に行く機会に恵

まれており、もし少しでも

興味があれば今後も研修に

チャレンジして欲しいと思

っています。機会を与えて

くださった弘前大学の皆

様、研修でお世話になった

方々、本当にありがとうご

ざいました。

ような方々ばかりでした。

また、将来どのような医師

になってどのように医療に

携わっていきたいかという

考えをしっかり持っている

方々ばかりでした。このよ

うな仲間たちと将来医師と

してともに働ける日をここ

ろから楽しみにしています。

 

また勉強だけでなく、放

課後にはハワイ大学の学生

や日本の他大学の学生と交

流を深めたり、勉強に対す

る姿勢なども話を聞くこと

が出来ました。是非、英語

が苦手だと思っている方も

勇気を出して参加して欲し

いです。

 

最後にこのような素敵な

機会を与えてくださった先

生方、本当にありがとうご

ざいました。これからも

日々勉学に励んでいきたい

と思います。

Page 13: 弘前大学COI 弘前大学COIヘルシーエイジング・学人間健康学部 砂川昌範 いて紹介されました。先生が、研究の最前線につ 「地域連携最前線」では、

医学部ウォーカー第 91 号 令和元年 12 月 18 日

Hawaii

大学研修を終えて

医学科四年 

藤 

巻 

昂 

 

この度、H

awaii

大学

JABSO

M

校で開かれた研

修に参加して参りました。

将来、臨床医として海外に

留学し最先端の医療を学ん

でみたいという気持ちや、

これまでの四年間で培って

きた、自身の医学や英語力

がどの程度通用するのかと

いうことに興味があり、そ

して人一倍ハワイをこよな

く愛していたためこの研修

に参加できることを大変嬉

しく感じておりました。最

も楽しみにしていたPBL

実習ではいくつかの症例に

ついて英語で自分の意見を

交えながら討論を進めるこ

とができ、自分が今まで勉

強してきた医学の知識が海

外の大学でも通用したこと

に感動しました。模擬患者

に対して診察をする実習で

は、自分が本当に伝えたい

ことを瞬時に英語で発する

ハワイ大学医学部夏期研修に参加して

医学科三年 

相 

馬 

満優子

 

八月十九日からの五日

間、ハワイ大学医学部での

夏期研修に参加させて頂き

ました。研修ではPBL

(Problem Based Learning

や注射実習、禁煙外来など

の実践的な授業が多く、人

との関わりを楽しみながら

多くのことを学ぶことが出

来ました。

 

研修で特に印象に残って

いることは、模擬患者さん

との医療面接です。面接で

は、自身の英語力の未熟さ

ゆえ、患者さんの目を見て

話を聞き、その気持ちに寄

り添うという大切なことが

出来ていなかったと反省し

ました。英語で話すという

こと以前に、一人の人と向

き合い相手の話を聞き、落

ち着いて診断をしていくた

めには何が大切なのかを、

自分の中で考える良い機会

となりました。また、模擬

患者さんとの面接を通し、

コミュニケーションをとる

楽しさや奥深さに改めて気

づくことができました。

 

さらに、海外の医学生と

の交流をはじめ、フラを

三沢米軍基地実習を終えて

医学科五年 

外 

崎 

龍 

 

私は八月九日~八月十三

の五日間、三沢の米軍基地

実習に行ってきました。

ローテーション科としては、

Urgent Care U

nit, General Surgery, Pediatrics, M

ental H

ealth

でした。病院の特徴

は患者が軍関係者、その子

供達ということです。また

軍外の外国人の方で、説明

と治療はアメリカ人医師が

いる病院で受けたい、そう

いった方も来院していまし

た。担当医のD

r Bitterly

一般外科医で、一緒に虫垂

炎手術の術野に入り日本と

アメリカでは手術適応、保

存療法が違うことを教え

て頂きました。中でも私

に影響を与えたのは小児

科でした。小児科医のD

r Parkinson

に指導していた

だき、子供達のw

ell-being

を測る途中で私は子供達と

会話しながら、D

r

の診断

を聞いて勉強することがで

きました。精神科も興味深

く、flight m

edicine

など、

パイロットに必須としてな

んと精神病薬を処方してい

たし、軍敷地内でしか生活

できない思春期の子の心理

ケアなど、まさに軍特有の

一面が見られたと思ってい

ます。どの教官も指導熱心

で、〝鑑別を上げて〟、〝必

要な検査は〟など非常にト

レーニングになる経験でし

た。電子カルテシステムに

は軍規則があり、三段階認

(次ページへ続く)

(前ページより)

踊ったりレイを編んだりす

るなどの異文化体験を通し

て日本の文化を再認識し、

自分のアイデンティティー

を考える機会にもなりまし

た。

 

今回の研修で見聞を深

め、視野を広げることが出

来た貴重な体験は、医師を

目指すうえで大切な礎の一

つになったと思います。こ

の一週間を通して得た出会

い、経験、感じたことを日々

の生活の中に生かして、人

として、医学生として、成

長していけるように努力し

たいと思います。

 

このような機会を与えて

下さった多くの方々に本当

に感謝しています。ありが

とうございました。

ことが出来ず度々悔しい思

いをしました。実習に臨む

前までは日常会話程度であ

れば英語でもなんとかなる

だろうと構えていたのです

が、将来海外の大学で研修

を積み、学会等に積極的に

参加するためには英会話力

の向上が不可欠であると感

じました。この有意義な研

修を無駄にするまいと、帰

国後は英会話教室に通った

りUSM

LE

を受験するため

の勉強をしたりと、日頃か

ら英語に触れる機会を増や

す努力をしております。結

びに、このような貴重な経

験をするにあたりご協力い

ただいた方々に感謝申し上

げます。

修に参加したのは、海外の

医学生がどのように勉強し

ているかを見て、今後の自

分の勉強に生かしたいと

思ったからでした。研修自

体は短期間でしたが、PB

L、医療面接、シミュレー

ター実習などを体験し、多

くのことを学びました。な

かでも医療面接では、模擬

患者さんに個室で八分ほど

禁煙指導を行いました。緊

張しましたが、思っていた

よりも落ち着いて目を見な

がら話すことができまし

た。また、模擬患者さんも

明るい方、物静かな方など

様々な方がいらっしゃった

り、使用した部屋に診察台

や流しがついていたりと本

格的でした。

 

JABSO

M

は素晴らしい

施設や設備があるだけでな

く、学生の方たちがとても

自主的に勉強されていると

感じました。それに加え

て、他大学から参加した学

生たちが自分の考えを英語

ですらすらと伝えている姿

には大きな刺激を受けまし

た。今回の研修で得た多く

の課題をこれからの生活に

生かし、よい医師となれる

ように日々努力していきた

いと思います。今回の研修

のために、準備や相談をし

てくださった先生方、学務

の方々、JA

BSOM

の方々

に深く感謝いたします。

 

私は夏季休業の五日間、

三沢米軍基地病院で実習を

させていただきました。こ

の期間の宿泊はホームステ

イで、私は米軍基地のTO

PAという部署(米軍基地

病院と日本の病院間で書類

の手続きをする部署)で勤

務されているH

oneycutt

んのお宅でお世話になりま

した。米軍基地での実習に

ついては他の方が書いてく

れると思うので省略したい

と思います。

 

このプログラムに応募し

たきっかけは、とにかく英

語を喋ってみるという経験

をしたかったからです。有

難いことに私は昨年もハワ

イ大学で行われる夏季セミ

ナーに参加させていただき

様々なことを学びました

が、英語に関しては積極的

に話せず後悔が残りまし

た。私は、今回のプログラ

ムと昨年のハワイのプログ

ラムの最も違う点は、良い

意味で英語が強制されてい

る点だと感じています。期

間中は周りに日本人がいる

状況は少なかったです。

従って、当然英語を使わざ

るを得ない状況になりま

す。このような状況で、

昨年できなかったとにか

く英語を喋ってみるとい

うことを実践することが

できました。今考えると、

本当にちぐはぐな英語で

したが、出会った皆さん

は親切に耳を傾けてくれ

ました。ちぐはぐでも意

外と通じることが多く、

またステイ先に帰った後

に「こうやって言えばよ

かったのか」とすぐに自

分でフィードバックでき

ました。昨年に続き、非

常に有意義な時間を過ご

三沢米軍基地病院での

実習を終えて

医学科五年 

下 

鳥 

泰 

証のようなロックがかかっ

ておりセキュリティの厳重

さを感じました。実習中は

Dr Bitterly

の家にホームス

テイさせていただき、病院

以外での時間を一緒に過ご

しました。犬と遊んだり、

一緒に料理をしたり、日本

のドラマを英語字幕で鑑賞

してスラングの通訳を頼ま

れたりと、友人のように過

ごすことができました。大

学での実習につながる非常

にいい経験になったと実感

しています。

すことができました。

 

最後になりますが、大学

から提供されているプログ

ラムは参加してみると、何

かしら得られるものがあり

ます。少しでも興味を持っ

たならば是非参加してみて

ください。

三沢米軍基地病院実習を終えて

医学科五年 

内 

田 

烈 

 

令和元年八月五日から五

日間、三沢米軍基地病院に

て精神科/内科/救急科/

小児科/産婦人科を各一日

ずつ周り、外来診察を中心

に見学させて頂きました。

精神科では米国人医師が医

療面接した後、症例の検討

や治療方針のReview

を日

本人インターンの医師とと

もに受けました。インター

ンは米軍病院では手に余る

症例を設備の整った日本の

病院へ搬送する際に双方の

仲立ち業務を担うそうで、

当然ながら高いレベルで会

話を成立させており、聞き

取りに精一杯だった私は初

日から圧倒されてしまいま

した。

 

三沢ではD

r. Coswin

夫妻

の家にステイさせて頂きま

した。夫妻はハワイ出身の

日系三世で、自分のルーツ

である日本を知りたいとリ

タイア後に三沢にいらっ

しゃった方々。ちょうど私

は部活で茶道を習っていた

ため、弘前から持参したお

抹茶を点ててふるまいまし

た。日本文化を体験しても

らい、お茶も気に入ってい

ただけたようで嬉しかった

です。

 

また、基地病院とステイ

先との往復の毎日で英語漬

けだったため、英会話も

徐々に上達しました。最終

日に連れて行っていただ

Page 14: 弘前大学COI 弘前大学COIヘルシーエイジング・学人間健康学部 砂川昌範 いて紹介されました。先生が、研究の最前線につ 「地域連携最前線」では、

医学部ウォーカー第 91 号令和元年 12 月 18 日

 

三沢米軍病院での実習は

一年の時に実際に行った先

輩の話を聞いて五年になっ

たら行ってみたいと思って

いたのですが、実際申し込

みの時になると自分の英語

力の無さからこんな自分が

行っても大丈夫だろうかと

申し込むかどうか大変悩み

ました。しかし、ここで行

かなくては絶対後悔するだ

ろうと思い英語力のことは

これから考えようと思い今

回参加させていただきまし

た。

 

私のホストは三沢米軍病

院で働いている栄養士さん

であり、働きながら日本語

教室に通うとても勤勉な方

でした。拙い英語しか喋れ

ない私でしたが、彼女はと

ても歓迎してくれました。

彼女とともに過ごした数日

はとても新鮮な日々でし

た。早朝五時に起床し、朝

のエクササイズは彼女の日

課のようで私も毎朝頑張っ

て起きて一緒にエクササイ

ズしました。食事は一緒に

買い物に行き、彼女の手料

理をご馳走してもらいまし

た。私の実習の前後の時間

では彼女のお仕事について

行ったり、彼女の同僚も交

えてお喋りしたりしていま

した。夜は英語と日本語を

互いに教え合い二人で勉強

をしました。二人で夜遅く

の映画を見に行き、疲れで

映画の途中から二人で寝て

いたこともいい思い出です。

 

病院での実習では救急、

産婦人科、整形、小児科と

Family Practice

と呼ばれる

科をまわりました。未熟な

英語力の私にも丁寧に説明

してくださり、皆親切な先

生ばかりでした。実際の診

療を見学させていただいた

のですが、診察の雰囲気が

日本と全然違い驚くことば

かりでした。診療の合間に

廊下で腹筋ローラーをして

いた先生の姿は忘れないで

しょう。

三沢米軍病院での実習を

振り返って医

学科五年 

工 

藤 

甚 

(前ページより)

 〝M

isawa A

ir Base

〟そう

書かれた門をくぐると、歩

く人、車、標識、その全て

がアメリカでした。私は三

年次にハワイ大学医学部で

のPBLワークショップに

参加しましたが、三沢米軍

病院では実際に臨床現場で

実習することができ、今回

は五年生となった自分の医

学知識や英語力を実践で試

してみたいという思いで参

加させて頂きました。結果

としては、いずれにおいて

も悔しい思いをすることが

多く、自らの未熟さを痛感

すると同時に、今後は医学

にせよ語学にせよ、世界で

の共通言語として「使う」

ことを意識したトレーニン

グが必要であると強く感じ

ました。また、アメリカの

臨床現場を目にするのは今

回が初めてでしたが、何よ

り私の印象に残ったのは丁

寧な患者教育です。医師は

疾患についての情報を分か

りやすく伝え、患者さんご

自身も納得しながら治療に

参加することができていま

した。患者教育は恐らく今

の日本の医療に足りない部

分だと思うので、将来医師

として診療する中で今回の

経験を十分に生かしていけ

たらと思います。

 

三沢滞在中は病院内で働

くAndrew

さんのお宅に

ホームステイさせて頂き、

実習後には一緒にボーリン

グをしたり、家で映画やド

ラマを鑑賞したりと楽しく

過ごしました。また実習で

お世話になった先生に誘っ

ていただき、基地内での

門をくぐるとそこは

アメリカだった。

医学科五年 

久保田 

泰 

 

今回の実習を通して感じ

たことはやはり英語をもっ

と勉強するべきだと思いま

した。もっと多くのことを

学ぶために、もっと多くの

ことを経験するために、

もっと人生を楽しむための

ツールとして英語は重要で

あると思いました。今回も

十分多くの経験をさせてい

ただき、たくさん楽しませ

ていただいたのですが、

もう少し英語が話せたので

あればもっと楽しめたので

はないだろうかと思いまし

た。そう思えた今回の経験

をこれからに活かしたいと

思います。

いたoff-base

の料理店で、

夫妻のために「英語のメ

ニューありますか」と日本

人の店員さんに英語で尋ね

てしまう程に思考のベース

が英語になっていました。

 

紙幅の都合で本実習の魅

力を語りきれませんが、日

本にいながら米国式の医療

を体験できました。このよ

うな貴重な機会を与えて下

さった米軍基地、本学関係

者の方々に深く御礼申し上

 

私は七月の一か月間、台北

市にあるM

ackey Mem

orial H

ospital

で実習をさせても

らいました。元来英語は好

きでしたが、さほど海外経

⑴ 

なぜそこを選んだのか

 

昨年度からクリニカルク

ラークシップで台湾を実習

先で選べるようになったと

の話を聞いて、海外の医療

に接する機会を魅力に感

じ、ぜひ自分も行ってみた

いと思い志望しました。昨

年度、台湾からの実習生の

一人が私たちの実習班と一

緒に実習をしていて、その

時に台湾の学生たちと充実

した交流ができたことも台

湾での実習を希望するきっ

かけの一つとなりました。

⑵ 実習内容

 

一週目に産婦人科、二週

目に麻酔科、三・四週目に

一般内科の感染症グループ

で実習を行いました。

Mackay M

emorial H

ospital

(MMH)は台湾国内にい

くつかの分院があり、私た

ちは淡水の病院に併設して

いる寮に住んでいて、淡水

で実習を行った二週目の麻

酔科以外の一・三・四週目

台湾での実習を終えて

海外臨床研修を体験して

医学科六年 各 務   萌

Mackay Memorial Hospital

での

クリニカルクラークシップを終えて

海外臨床研修を体験して

医学科六年 高 橋 弘 樹

げます。ありがとうござい

ました。

ジョギングに参加したり

と、実習時間内外を問わ

ず、皆様の温かさに支えら

れ無事五日間の実習を終え

ることが出来ました。

 

最後になりましたが、今

回の実習参加にあたりご尽

力下さいました弘前大学医

学部と三沢米軍病院の皆様

に心より感謝申し上げま

す。今回の貴重な経験を糧

に、今後より一層精進して

参ります。

は毎日台北の病院に通って

いました。七時三十分頃か

ら朝のミーティングがあり、

簡単な朝ごはんが出るの

で、朝食をとりながら先生

たちが話し合っていました。

 

一週目は、産科では大学

病院での実習と同様に分娩

を見学させてもらいまし

た。婦人科では、子宮筋腫

や奇形腫などの手術を見学

しました。処置等がないと

きは病棟の本を借りて勉強

していました。また、私た

ちのために一

二時間のレ

クチャーを二回してもらえ

る機会がありました。

 

二週目の麻酔科では、術

中麻酔を見学しました。毎

日一人の指導医のもとで見

学して、丁寧にレクチャー

を受けた後に喉頭鏡などを

用いて気道確保をさせても

らえました。台湾では麻酔

を専門に行う看護師が主に

処置を行うため、麻酔科医

の数は少ないとのことでし

た。全身麻酔では大学病院

ではTIVAが多かったで

すが、MMHでは吸入麻酔

が多かったです。また、神

経ブロックや硬膜外麻酔、

脊髄くも膜下麻酔がより多

く行われていました。

 

三・四週目の一般内科で

は、常勤医一人、レジデン

ト一人が主に私を担当して

くださって実習を行いまし

た。外来ではHIVなどの

感染症患者の診察を見学し

ました。病棟では、実習中

に日本人患者が入院して日

本語で会話して聞いた内容

を先生に伝える機会があり

ました。レジデントからは

感染症について何度もレク

チャーを受けて実践的な抗

菌薬の使い方を学ぶことが

できました。

⑶ 実習を終えての感想

 

実習に関しては、台湾は

医療の環境が日本と似てい

ると感じました。一方、院

内のW

i-Fi

を使えば個人の

スマートフォンやタブレッ

トからカルテなどを閲覧可

能であるため、外来見学な

どは日本より有意義だと感

じました。私は中国語が分

からないため、医療者同士

や医療者と患者の会話が分

からないのが残念でした。

台湾の方々と少しでも交流

するために、ある程度中国

語、台湾語を学んでから台

湾に行けていたら良かった

と思いました。また、台湾

の医学教育は英語で行われ

ているため、先生方の話す

英語の医学英語が分からず

苦労したこともよくありま

した。日本語で正しく理解

していれば用語が分からな

くても何について話してい

るか理解できるため、もっ

と勉強しておけば良かった

と感じました。

 

台湾での生活について、

海外での実習ということで

初めは緊張感が大きかった

ですが、どの先生もとても

親切で充実した実習を行う

ことができました。台北の

病院は台北市の中心部にあ

るため大都会で、救急はた

くさんの人で混み合ってい

ました。台湾での生活に関

しては、治安も全く不安が

なく安心して生活すること

ができました。台湾の人た

ちは日本を非常に身近に感

じていて、何度も日本を訪

れたことがある人もたくさ

んいました。物価は日本よ

り少し安く、屋台などの飲

食店も多数あり、日用品な

ども安く入手できました。

また、台湾の先生方は皆フ

レンドリーでとても親切に

してもらい、様々な飲食店

に連れて行ってもらって楽

しい時間を過ごすことがで

きました。週末や実習が早

く終わった日などは、地下

鉄を使って台北市内を観光

したり、電車で台湾の中部

や東部に行ったりできまし

た。青森県にいると文化や

習慣の同質性が高く、多様

な人と接する機会が乏しい

ため、台湾でマイノリティ

な外国人として生活するこ

とを通じて、病院という慣

れない環境にいる患者の立

場や、異なるバックグラウ

ンドを持つ人々に対する寛

容さの重要性について感じ

ることができました。今

後、様々な価値観を持つ

人々の幸福や健康に寄与で

きるよう、今回の台湾での

経験を日本での医療に生か

していきたいと考えていま

す。

 

最後に、台湾での実習の

機会をくださった袴田先

生、許先生をはじめとする

先生方、学務の方々、台湾

でお世話になった医療者、

秘書の方々に御礼申し上げ

ます。本当にありがとうご

ざいました。(

次ページへ続く)

Page 15: 弘前大学COI 弘前大学COIヘルシーエイジング・学人間健康学部 砂川昌範 いて紹介されました。先生が、研究の最前線につ 「地域連携最前線」では、

医学部ウォーカー第 91 号 令和元年 12 月 18 日

験もなく、医

学英語もきち

んと覚えきれ

ていない自分

にとって、こ

の留学はとて

も大きな挑戦

でした。しか

し、一か月を

振り返ると、

毎日がとても刺激的で、沢

山のことを学んで帰ってく

ることができました。

 

まず、一週目は産婦人科

で実習を行いました。朝は

七時三十分からのm

orning m

eeting

に参加しました。

基本は中国語でのプレゼン

ですが、スライドは英語な

のでなんとか理解すること

ができました。m

orning m

eeting

では必ず朝食がも

らえて嬉しかったです。そ

の後は病棟実習か手術見学

でした。病棟実習では先生

が私たちのためだけに英語

でレクチャーをしてくださ

り、女性の急性腹症や出産

の手順について解説してく

ださいました。手術見学で

は先生方が適宜解説して下

さり、またどんな些細な質

問でも丁寧に答えて下さっ

たため、とても勉強になり

ました。

 

二週目は小児科でした。

小児科も同じように

morning m

eeting

から始ま

り、その後はレクチャーが

あり、NICUの見学や未

熟児についての解説、また

発達外来なども見学させて

頂きました。産婦人科での

失敗を生かそうと、事前に

勉強していったので何とか

ついていく事ができました

が、毎日帰るとわからな

かった事を調べ、日々が

あっという間に過ぎていき

ました。

 

三、四週目は消化器内科

でした。先生方はとても優

しく、患者さんと先生との

やり取りを英語で私に通訳

してくださいました。沢山

質問も飛んでくるので毎回

ドキドキでしたが、なんと

か理解でき、時には自分か

ら質問をしてディスカッシ

ョンをする事ができました。

 

最後に、この留学は自分

にとって大きな挑戦でした

が、自分の視野が広がり、

英語力が上がったのは間違

いありません。このような

貴重な機会をいただけたこ

とにとても感謝していま

す。海外留学に興味のある

後輩の皆さんには、是非と

も挑戦して頂きたいです。

部活動紹介

医学科三年 

池 

崎 

裕 

 

弘前大学医学部剣道部

は、大正十年(旧制官立弘

前高等学校時代)に設立さ

れた剣道部から弘前大学剣

道部医学班を経て現在に至

る、非常に歴史ある部で

す。現在男子八名、女子八

名の計十六名の部員が在籍

し、福島成利先生(教士七

段)の指導の下で稽古に励

んでおります。全学剣道部

と武道場を共用し、水曜日

と土曜日の週二回の練習の

ほかにも、全学剣道部の練

習や大会にも自由に参加で

きます。それだけでなく、

納会やコンパなども全学剣

道部と合同で行うなど、学

部の垣根を超えての活動が

一つの伝統として受け継が

れています。

 

私たちは東医体・北医体

での入賞を目標の一つに掲

げています。十年ほど前ま

での剣道部は東医体や北医

体で連覇を重ねる、かなり

の強豪校でした。しかしな

がら、ここ数年は部員の確

保も難しく、特に団体戦で

は規定人数に達しないため

出場を諦めざるを得ないこ

ともありました。こうした

状況を脱すべく、新勧等に

尽力し、一時は存続さえ危

ぶまれた部員数が徐々に増

加しつつあります。部員確

保をはじめとする根本から

のチーム再生で、古豪復活

を目指します。

 

我々のもう一つの目標は

「剣道は剣の理法の修錬に

よる人間形成の道である」

という理念に基づく自己の

修養です。剣道は、勝利至

上主義の〝スポーツ〟では

なく、あくまで稽古を通じ

た〝道の追求〟であること

にその重きがあります。剣

道の稽古ではたとえば、酷

暑や厳寒の時期は忍耐を、

相手を竹刀で打ち込んで技

を習得していくなかで礼節

を、対戦後には友好などと

いった精神を学ぶこと

ができます。大会があ

る以上、競技性の側面

は無視できませんが、

勝敗に無理にこだわら

ず、将来医師として求

められる人格を完成さ

せていきたいと思って

おります。

 

最後になりました

が、我々がこうして稽

古し大会に参加できる

のも、部長である中村

和彦教授やOB・OG

の先生方のおかげで

す。剣道部を応援し支

えてくださる皆様に、

この場をお借りして感

謝申し上げます。

医学科三年 

島   

貴 

Medical Cool Q

uartet

医学科三年 

大 

庭   

 

私たち医学部空

手道部は文京キャ

ンパスの武道場で

練習しています。

活動は平日週三

日、全学の空手道

部と一緒に行って

います。部員は全

学も含め四十名

程、医学部だけで

は十三名です。空

手は来年からオリ

ンピック競技にな

るということもあ

り、現在注目の集

まっている武道と

なっています。空

手は初心者でも比

較的上達しやすい

というのが魅力です、加え

て競技人口がそれほど多く

ないので医学部の大会では

初心者も努力次第で好成績

が望めます。

 

空手は形、組手と二種類

の競技があり当部活では両

方練習を行っています。形

に重きをおいて練習する人

もいれば組手中心で練習す

る人もいます。また両方同

じくらいの度合いでやる人

もおり、スタイルは人それ

ぞれで練習に臨んでいま

す。医学の大会は初夏に北

医体、夏に東医体、秋には

女子のみで行う、女医体が

あり、それぞれの大会で勝

つために練習しています

が、最も私たちが重要視し

ているのが東医体です、大

会前には土曜練習を医学部

の部員だけで行っていま

す。今年二〇一九年の東医

体では男女で総合優勝とい

う好成績を納めることが出

来ました。試合の競技は

形、組手の二つでそれぞれ

個人戦と団体戦がありま

す。それぞれの競技で一

三位を取るとその成績が点

数化され、大学ごとに合計

され、総合の順位が付きま

す。弘前大学は今年男子個

人形、準優勝。男子団体形、

優勝。男子個人組手、準優

勝。

 

女子個人組手、優勝、準

優勝。女子団体組手、準優

勝。という成績でした。

 

四年生は医学部の大

会だけでなく全学の大会に

も参加することができま

す。全学の大会は年に四回

と多くあり、医学の大会よ

り強い選手が多く出場して

いるのでとてもいい刺激に

なります。初心者は特にで

すが公式の試合に出場する

ことは得るものがとても多

いです。

 

弘前大学の空手道部の一

番の魅力は全学と一緒に練

習したり試合に出られたり

することだと思っていま

す。お互いに刺激しあうこ

 

弘前大学に

は軽音サーク

ルが五つあり

ます。その中

で唯一、医学

部に本拠地を

置いている

のが、我々

Medical C

ool Q

uartet

(通

称MCQ)で

す。発足当初

は医学科の学

生のみによる

少人数サーク

ルでしたが、

現在では他の

学部学科も加

えて百人近く

に及ぶ大所帯

で活動してい

ます。MCQ

の活動は自由度が高く、自

分のやりたい時に、好きな

相手と、好きな音楽を楽し

む事が出来ます。大学から

楽器を始めたばかりの部員

も数多く在籍しています

が、楽器ごとの講習会等を

開催して部員同士で教え合

うことにより、バンドとい

う枠を越えて部員一同日々

切磋琢磨しています。

 

主な活動は、弘前市内の

ライブハウスで行う月一回

程度のライブです。その

他、弘前大学総合文化祭で

行う「学祭ライブ」、OB

OGの先輩方と一緒に行う

「OBライブ」、弘前大学の

五つの軽音楽サークルが合

同でライブを行う「M

usic Cube

」、北海道・東北地方

の様々な大学の医学部軽音

部と合同でライブを行う

「北医音」など、数多くの

イベントへの参加や開催を

行っています。北医音で

は、昨年は秋田、今年は仙

台に遠征し、我々弘前大学

MCQが二年連続で優勝を

果たすことが出来ました。

 

多くのMCQのライブ

は、MCQ関係者以外も自

由に見に来ることが出来ま

すので、少しでも興味を持

たれた方は是非遊びにいら

してください。また、MC

Qのライブに出てみたいと

お考えの方がいらっしゃい

ましたら、SNSなどで是

非ご相談ください。現在M

CQは、数多くのOBOG

の方々や、弘前大学医学部

に関係する方々との交流や

合同ライブを行っていま

す。私たちが学業に勉めな

とでさらなる成長につな

がっていると実感していま

す。

(前ページより)

(次ページへ続く)

Page 16: 弘前大学COI 弘前大学COIヘルシーエイジング・学人間健康学部 砂川昌範 いて紹介されました。先生が、研究の最前線につ 「地域連携最前線」では、

医学部ウォーカー第 91 号令和元年 12 月 18 日 今泉忠淳今泉忠淳今泉忠淳

 医学研究科の正門を出て、左へ向かい、在府町の緩やかな坂を上っていくと徒歩数分で茂森町の通りに出ます。突き当りが酒舗成豊です。酒舗成豊は、もともとは昭和7年建築という趣のある建物です。現在は小売りですが、昔は酒造りをしていたらしいです。酒舗成豊に向かって右隣が玉田酒造です。玉田酒造は、江戸時代の宝歴年間(西暦1751-1764年)以前の創業で、津軽藩の御用達であったということですから、老舗です。レンガ造りの煙突が印象的です。【写真1】は1989年の撮影です。道路の拡幅工事があって建て替えられ、2018年には【写真2】のようになっています。

 酒造りに重要なのは米、麴、酵母はもちろんですが、よい水が重要です。日本各地の酒どころにはよい水がありますが、玉田酒造では岩木川の伏流水を使っているということです。つまり、白神山地のブナの森で蓄えられ、ろ過され、地下を流れてきた水です。白神山地

に思いを馳せながらお酒をいただくのもよいでしょう。すぐ近くに、江戸時代から続く造り酒屋がある医学部は、全国でも数えるほどしかないのではないでしょうか。「弘前大学医学部の近所で醸されたお酒です」と、お土産にもよいと思います。

(表) 令和元年度 第62回東日本医科学生総合体育大会夏季競技の主な好成績

空⼿部 男⼦ 総合 優 勝⼥⼦ 総合 優 勝男⼦ 団体 形 優 勝⼥⼦ 団体 組⼿ 準優勝男⼦ 個⼈ 形 横山理久⽃(2年) 準優勝男⼦ 個⼈ 組⼿ 井上喬⼆郎(6年) 準優勝男⼦ 個⼈ 組⼿ 横山理久⽃(2年) 3 位⼥⼦ 個⼈ 組⼿ 海老名日奈⼦(4年) 優 勝⼥⼦ 個⼈ 組⼿ 島  貴⼦(3年) 準優勝

陸上部 ⼥⼦ 円盤投 浦田  ⾵(6年) 優 勝⼥⼦ 100m 中村 優希(6年) 3 位

ラグビー部 準優勝ソフトテニス部 ⼥⼦ 団体 準優勝

⼥⼦ 個⼈ 市沢 歩美(5年)・岩渕 那海(2年)組 準優勝

卓球部 男⼦ 団体 準優勝⼥⼦ 団体 4 位男⼦ シングルス 小田桐直⽣(6年) 準優勝

水泳部 ⼥⼦ 200 m ⾃由形 岩下  葵(3年) 3 位⼥⼦ 400 m ⾃由形 岩下  葵(3年) 2 位

バドミントン部 ⼥⼦ 団体 準優勝⼥⼦ ダブルス 吉田⿇梨乃(5年)・

荒川夏々果(3年)組 3 位⼸道部 団体 4 位

⼥⼦ 個⼈ 三上 花⼦(6年) 準優勝⼥⼦ 個⼈ 西川 晴菜(2年) 3 位

準硬式野球部 3 位バスケットボール部 ⼥⼦ 4 位

 

東日本医科学生総合体育

大会、通称東医体は東日本

医科学生体育連盟が主催す

る大会です。各加盟校には

参与、理事、評議員がおり、

本学の参与は若林孝一医学

部長、理事は今泉忠淳教授

がらも音楽活動を楽しむ事

が出来るのは、度々支援し

てくださる弘前大学医学部

の先生方やOBOGの

方々、そして今年度まで長

い期間顧問を引き受けて下

さった福田幾夫先生のお陰

です。この場を借りて感謝

申し上げます。そして、我々

はこれからも音楽を通じて

様々な交流を広げ、部員一

同楽しんで音楽活動を続け

ていくつもりです。今後と

も弘前大学MCQを宜しく

お願い致します。

放射線腫瘍学講座

放射線腫瘍学講座 

教授 

青 

木 

昌 

 

放射線腫瘍学講座の前身

である放射線科学講座(旧

放射線医学講座)は、昭和

二十二年に青森医学専門学

校の弘前移転とともに開講

され、初代高橋信次教授、

二代篠崎達世教授、三代竹

川鉦一教授、四代阿部由直

教授、五代髙井良尋教授の

時代を経て、平成二十九年

より青木が担当しており、

平成三十年より放射線科学

講座から分離した放射線腫

瘍学講座を青木が引き継ぎ

ました。

 

放射線腫瘍学講座のス

タッフは教授以下七名で構

成され、悪性腫瘍を主な対

象疾患とする放射線治療を

担当しております。放射線

治療には高エネルギーX線

や電子線を体の外から照射

する外部照射のほか、ラジ

オアイソトープが密封され

た小線源を腫瘍に挿入して

照射を行う密封小線源治

療、ラジオアイソトープを

直接人体に投与して放射線

を照射する核医学治療な

ど、多くの治療法があるの

が特徴です。その守備範囲

はほぼ全身と言っても過言

ではありません。治療実績

は年間の新規患者数で約六

百件、再照射などの再患も

含めた実患者数で約七百件

と多くの治療を担当してお

ります。

 

放射線治療の特長は、体

への侵襲が少ないこと、機

能と形態を温存できること

などが挙げられますが、近

年、放射線治療の進歩はめ

ざましく、定位照射・強度

変調放射線治療・画像誘導

放射線治療など高精度な治

療技術が導入された結果、

重篤な副作用もほとんどな

く、根治できる悪性腫瘍が

増えてまいりました。年々

進歩する放射線治療に対応

するために我々も日々研鑽

を積んでいるところではあ

りますが、より負担の少な

い高精度治療を求める患者

さんが増えた結果、治療計

画の順番待ちをする待機リ

ストに名前を連ねる患者さ

んが増えているのが現状で

写真コラム (6)

茂森町の造り酒屋

脳血管病態学講座教授 今 泉 忠 淳

【写真2】玉田酒造 . 2018

で、評議員は代々バレー

ボール部の主務が務めさせ

ていただいております。評

議員として六十年以上の歴

史ある大会に携われること

を大変嬉しく思っておりま

す。精一杯努めてまいる所

存ですので、よろしくお願

いいたします。

 

令和元年度の第六十二回

東日本医科学生総合体育大

会夏季競技は、新潟大学の

代表主幹で、例年通り八月

に開催されました。本学の

夏季競技終了時点の総合成

績は全参加校三十八校のう

ち第五位と健闘し、多くの

部活で優秀な成績を収める

ことができました。本学の

主な成績を表に示しました

ので、ご覧ください。なお、

冬季競技のスキーは三月に

長野県の菅平高原で開催さ

れます。

 

東医体出場にあたり、今

年度も多くの方々からお力

添えをいただきました。こ

の場をお借りし、御礼申し

上げます。今後も各部とも

文武両道の精神で、学業に

勤しみ、東医体冬季競技に

向けて、また来年度の夏季

競技に向けて練習に励んで

まいります。引き続きご声

援のほどよろしくお願いい

たします。

東日本医科学生総合体育大会夏季競技を終えて

女子バレーボール部 主務 別 府 佳 奈

第62回

(前ページより)

(次ページへ続く)

【写真1】玉田酒造 . 1989

Page 17: 弘前大学COI 弘前大学COIヘルシーエイジング・学人間健康学部 砂川昌範 いて紹介されました。先生が、研究の最前線につ 「地域連携最前線」では、

医学部ウォーカー第 91 号 令和元年 12 月 18 日

放射線診断学講座

放射線診断科 

講師 

三 

浦 

弘 

 

医学や医療に携わる方で

あれば、放射線科、放射線

診断科は欠くことの出来な

い、infrastructure

的な診

療科であることをご存じな

い方はいらっしゃらないで

しょう。しかし、かつて私

が放射線科に〝入局〟(当

時)した頃は世間一般のみ

ならず、学内でも知られて

いないことがあり、辛い思

いをすることもありまし

た。それが近年の医療機器

やコンピュータ技術の進

歩、多岐に渡るデマンド、

IVR(interventional

radiology

)の発展等により、

放射線科学はわずか三十余

年で類を見ない急速な進歩

を遂げました。

 

そのような状況で、放射

線科学講座は放射線腫瘍学

講座と放射線診断学講座に

分かれました。そして令和

元年七月一日、放射線診断

科に掛田伸吾教授が着任さ

れました。九州の地からい

らした掛田先生は、当教室

に着任早々「このような素

晴らしい幸せな教室は他に

ない」としみじみおっしゃ

いました。我々にとっては

西日本の放射線診断科とい

えば、教室員が多く、勢力

も強大、きっとブイブイい

わしてるんだろうな(個人

の意見です)、と思ってい

たので、意外に感じまし

た。

24 公益

[email protected]

公益社団法人 青森医学振興会

す。もう一台、高精度放射

線治療に対応する医療用直

線加速器の導入を実現でき

ないものかと模索しており

ます。将来的には、サイク

ロトロンの小型化とコスト

ダウンにより、高エネルギ

ーX線から陽子線や中性子

線など、粒子線の時代が来

るものと考えており、是非

とも皆様のご理解とご協力

をお願いしたいと思います。

 

しかし、今のX線CTの

祖と言うべき回転横断撮影

装置を開発された高橋信次

初代放射線科教授から連綿

と続く当教室は、最近退職

された小野修一前准教授の

ご指導の下、西日本に比べ

たら圧倒的に少ない人員に

もかかわらず、質の高い画

像診断を心がけ、その全て

を検査翌日までに各診療科

にレポートしてきました。

また、IVRは二十四時間

対応できる体制を少ない人

員ながら協力し合って整え

てきました。一方、こんな

忙しい中でも、「やりがい

搾取」のような状況にはな

らず、アットホームで自主

的に行動できる雰囲気を大

事にしてきました。掛田教

授着任後も、個性を尊重

し、様々な領域への興味を

最大限に伸ばすような環境

づくりと教育体制を日々模

索しています。最近は学術

面でも論文や受賞も徐々に

増え、若手が学会で活躍す

る機会も多くなってきまし

た。今後は掛田教授の下

で、より強固かつ確実なも

のにしていきたいと考えて

います。

 

都道府県毎の放射線科医

の充足率は、青森県が未だ

全国最下位で、診断学を専

らとしている常勤医は旧三

市のみです。逆に考える

と、活躍の機会は無限大で

あり、これ程伸びしろのあ

る講座は他にないかもしれ

ません。掛田教授の言われ

た「幸せな教室は他にな

い」に通じます。

 

今後も、我々は、地域医

療と、放射線診断学の発展

のために邁進していく所存

です。本稿をご覧の皆様

方、これからも放射線診断

学講座をご贔屓に、そして

ご指導、ご鞭撻の程、何卒

宜しくお願い申し上げます。

 

さて、放射線治療で根治

可能な癌が増えたと言って

も、まだ充分とは言えない

状況もあり、難治癌克服の

ための研究として、画像診

断技術を駆使した予後予測

の研究、低酸素細胞を中心

とした放射線生物学的研

究、BNCTの基礎的研究

など、臨床から基礎まで幅

広い研究活動も積極的に

行っております。青森県の

短命県返上と、どの地域で

暮らしていても青森県民が

安心してがん治療を受けら

れる環境の整備が当講座の

大きな目標のひとつです

が、放射線腫瘍学講座のみ

では達成は不可能であり、

多くの診療部門・診療科の

ご協力が必要です。今後と

もご支援を賜りますようど

うぞよろしくお願い申し上

げます。

 

本年七月七日、十四日、

二十一日、二十八日の四日

間、ATV「テレビ診察室」

で口腔内の疾患についてお

話しをする機会を頂きまし

た。口腔内の疾患として、

う蝕と歯周病が代表的なも

のであり、特に歯周病は人

類史上最も感染者の多い疾

患として二〇〇一年ギネス

世界記録にもに認定されて

います。最近、舌癌に罹患

して手術を受けた芸能人が

話題となり口腔がんについ

ても認知されてきました

が、他にも多くの疾患があ

ります。テレビ診察室では

ATVテレビ診察室に

出演して

歯科口腔外科学講座 

教授 

小 

林   

う蝕や歯周病が原因となっ

て生じる重篤な炎症性疾患

の他、顎関節の疼痛、雑音、

開口障害が症状である顎関

節症、口腔がんが代表的な

口腔腫瘍、口腔心身症でも

ある舌痛症、手術でかみ合

わせを治す顎変形症治療に

ついてお話しました。

 

芸能人の舌癌報道により

人々の感心が強くなったた

めか、口腔がんを心配して

受診する患者さんが急増し

ました。口腔がんは日常生

活のQOLに大きく影響す

る疾患です。早期発見早期

治療により障害も少なく治

癒可能な疾患ですが、進

行してからの手術となる

と術後の機能障害も大き

く、QOLの低下は無視

出来ません。最近では進

行癌でも超選択的動注化

学放射線治療により手術

をせずに治癒が可能と

なっています。番組では

口腔がんの初期症状と治

療法について説明しまし

た。口腔機能として咀嚼

が重要ですが、多くの皆

さんは歯さえあれば、入

れ歯さえ入れれば咀嚼が

できると思っています。し

かし歯だけあっても咀嚼は

できません。動く舌(機能

する舌)が有り、頬筋に裏

打ちされた頬粘膜があって

初めて食物を歯と歯の間に

維持することが出来、咀嚼

することが出来ます。つま

り、舌の大半を切除してし

まうと、嚥下するだけに

なってしまい義歯を入れる

意味はなく、逆に言えば歯

が邪魔にさえなることもあ

ります。

 

歯周病は糖尿病の第六番

テレビに

出演して

目の合併症としても知られ

ていますが、他にも様々な

影響を与えていることが報

告されています。特に番組

では岩木健康増進プロジェ

クトのデータから口腔と全

身との関係で得られた結果

も含めて、糖尿病、誤嚥性

肺炎、四肢筋力と口腔の関

係について説明しました。

口腔管理が全身疾患の治療

の助けとなることも多く、

日頃のメインテナンスの重

要性をお話しして四回の番

組を終了しました。

ATVテレビ診察室に

出演して

輸血・再生医学講座 

教授 

玉 

井 

佳 

 

六月二十三、三十日の二

日間にわたり、「輸血」に

関する話題提供をさせてい

ただきました。平成二十二

年にも一度出演したのです

が、まずは健康サポーター

として聞き手をしてくださ

る千葉美佳さんの、以前よ

りも更に若々しく素敵なお

姿と声に感嘆しました。

 

第一回目は、輸血の必要

な病気と献血の現状につい

ての話です。近年の医療技

術は驚異のスピードで発展

し、十年・二十年前には救

えなかった多くの命が助か

るようになってきました。

どんなに外科技術が向上

し、救急・急性期医療や移

植医療が発展しても、これ

らの治療は「輸血」なしで

は遂行不可能です。輸血は

悪性新生物(がん)の患者

が最も使用します(全体の

三八%)。そして、輸血は

五十歳以上の患者が八五%

以上を使用しています。一

方で、献血者の七〇%は五

十歳未満の方々で支えられ

(前ページより)

(次ページへ続く)

Page 18: 弘前大学COI 弘前大学COIヘルシーエイジング・学人間健康学部 砂川昌範 いて紹介されました。先生が、研究の最前線につ 「地域連携最前線」では、

医学部ウォーカー第 91 号令和元年 12 月 18 日

ATVテレビ診察室に

出演して

救急・災害医学講座 

教授 

花 

田 

裕 

 

ATVテレビ診察室で九

月一日と八日にDMAT

(Disaster M

edical Assistance

Team

)に関して放送され

ました。その内容について

簡単に説明させていただき

ます。

 

DMATは「災害急性期

に活動できる機動性をもっ

た 

トレーニングを受けた

医療チーム」と定義されて

います。通常医師二名看護

師二名業務調整員(ロジス

ティクス)一名で構成さ

れ、大規模災害や多数傷病

者が発生した事故などの現

場で活動します。一九九五

年の阪神淡路大震災の教訓

をもとに、日本では初めて

災害医療体制、すなわちD

MAT、災害拠点病院、広

域搬送、EMIS(Em

er-gency M

edical Information

System

)が整備されまし

た。阪神淡路大震災では自

身が被災してスタッフも少

なく水や医薬品も足りない

地域の病院に非常に多数の

患者が殺到しました。一方

で少し離れた大阪市内など

の病院には、電話が通じな

い・搬送手段がない・道路

や橋の損壊と渋滞といった

理由でほとんど搬送されま

せんでした。その結果〝防

ぎえた災害死〟と考えられ

る症例数が五百例になった

と分析されました。この医

療供給のアンバランスをな

くして、多くの災害におけ

る傷病者がより適切な医療

を受けられる仕組みとして

DMATが組織されまし

た。医療を提供する場とし

て災害拠点病院が、情報を

やり取りする仕組みとして

インターネットを用いたE

MISが使われることにな

りました。このDMATは

青森県内の災害拠点病院に

一隊以上整備されています。

 

DMATの活動内容は、

災害対策本部での活動、病

院支援、救護所・救助現場

などでの現場医療活動、地

域内・広域医療搬送、救護

所での医療活動などがあり

ます。実際にこれまで青森

県のDMATは二〇〇七年

八甲田のバス転落事故や二

〇〇八年の八甲田山雪崩事

故、同年の岩手北部地震な

どから始まり、東日本大震

災や最近の熊本地震や北海

⃝医学研究科【昇任】

発令日 所   属 職 名 氏  名 前 所 属R1.10.1 感染生体防御学講座 助教 廣瀨 昌平 感染生体防御学講座 助手R1.11.1 (寄附講座)先進血液浄化療法学講座 准教授 畠山 真吾 泌尿器科 講師

【採用】発令日 所   属 職 名 氏  名 前 所 属R1.9.1 救急・災害医学講座 助教 野村 理 国立成育医療研究センター

R1.10.1 眼科学講座 講師 齋藤 昌晃 秋田大学大学院医学系研究科R1.10.1 生体構造医科学講座 助教 千葉 智博 弘前医療福祉大学R1.10.1 循環器腎臓内科学講座 助教 澁谷 修司 大館市立総合病院R1.10.1 耳鼻咽喉科学講座 助教 武田 育子 大館市立総合病院R1.10.1 (寄附講座)不整脈先進治療学講座 助教 要 致嘉 社会医療法人近森会近森病院R1.10.1 消化器外科学講座 助手 兼田 杏理 消化器外科、乳腺外科 甲状腺外科 医員R1.10.1 消化器外科学講座 助手 梅津 誠子 消化器外科、乳腺外科 甲状腺外科 医員R1.10.1 地域救急医療学講座 助手 長沖 隼英 医療法人誠仁会 尾野病院R1.10.1 メタボロミクスイノベーション学講座 特任准教授 山本 博之

【配置換】発令日 所   属 職 名 氏  名 異 動 先 等

R1.10.1 救急・災害医学講座 助手 菅沼 拓也 麻酔科 助手

【任命】発令日 所   属 職 名 氏 名 異 動 先 等

R1.11.1 (寄附講座)先進血液浄化療法学講座 教授 大山 力

【辞職】発令日 所   属 職 名 氏 名 異 動 先 等

R1.9.30 消化器外科学講座 助教 山名 大輔 市立函館病院R1.9.30 耳鼻咽喉科学講座 助教 後藤 真一 青森県立中央病院R1.9.30 地域救急医療学講座 助手 市川 奈菜 むつ総合病院

【任期満了】発令日 所   属 職 名 氏 名 異 動 先 等

R1.9.30 附属子どものこころの発達研究センター 特任准教授 栗林 理人 保健学研究科 教授R1.9.30 附属子どものこころの発達研究センター 特任講師 髙橋 芳雄 保健学研究科 准教授R1.9.30 附属子どものこころの発達研究センター 特任講師 足立 匡基 保健学研究科 准教授

人 事 異 動(R1.9.1 ~ R1.11.30)⃝附属病院

【昇任】発令日 所   属 職 名 氏  名 前 所 属R1.9.1 消化器外科,乳腺外科,甲状腺外科 講師 脇屋 太一 消化器外科学講座 助教

R1.10.1 呼吸器外科,心臓血管外科 助教 小渡 亮介 呼吸器外科,心臓血管外科 助手R1.11.1 泌尿器科 講師 鈴木 裕一朗 泌尿器科 助教

【採用】発令日 所   属 職 名 氏  名 前 所 属

R1.10.1 泌尿器科 助教 濱野 逸人 鷹揚郷腎研究所弘前病院R1.10.1 放射線診断科 助教 藤田 大真 放射線診断科 医員R1.10.1 産科婦人科 助教 山谷 文乃 大館市立総合病院R1.10.1 呼吸器外科,心臓血管外科 助手 今村 優紀 呼吸器外科,心臓血管外科 医員R1.10.1 泌尿器科 助手 堀口 裕貴 むつ総合病院R1.10.1 麻酔科 助手 高橋 枝み 琉球大学

R1.10.16 集中治療部 助手 川口 純 つがる総合病院R1.11.1 泌尿器科 助手 百田 匡毅 むつ総合病院

【配置換】発令日 所   属 職 名 氏  名 異 動 先 等

R1.10.1 麻酔科 助手 紺野 真緒 救急・災害医学講座 助手

【配置変更】発令日 所   属 職 名 氏  名 異 動 先 等

R1.10.1 総合臨床研修センター 助教 西崎 史恵 卒後臨床研修センター 助教

【辞職】発令日 所   属 職 名 氏  名 異 動 先 等

R1.9.30 消化器内科,血液内科,膠原病内科 助教 樋口 博之 むつ総合病院R1.9.30 泌尿器科 助教 相馬 理 大館市立総合病院R1.9.30 泌尿器科 助教 松本 哲平 つがる総合病院

R1.10.15 集中治療部 助教 太田 大地 つがる総合病院

診療教授等新規称号付与者(R1.9~ R1.11)称  号 氏  名 所   属 期   間診療講師 工藤 孝志 眼科 令和元年10月1日~令和4年9月30日

臨床教授・臨床准教授称号付与者(令和元年10月1日現在) 称 号 名 氏 名 現  職  名 称 号 付 与 日 称号付与期間 推薦講座

臨床准教授 櫛引 基 青森県立中央病院循環器科副部長 2019年10月1日 2019年10月1日

~2022年9月30日 循環器腎臓内科学

臨床准教授 福田 陽 むつ総合病院整形外科部長 2019年10月1日 2019年10月1日

~2022年9月30日 整形外科学

道胆振地震でも活動してき

ました。今年の台風十九号

による災害においても活動

しております。当初は四十

八時間を目安とした活動が

考えられていましたが、東

日本大震災の活動経験か

ら、急性期の救急医療の提

供のみならず、急性期から

避難所生活安定までの活動

を行っています。

 

日本は災害大国です。災

害時における医療活動は現

場だけでなく、ある時は当

院が広域搬送患者の受け入

れをすることが予想されま

す。また、青森県で大きな

災害が発生した場合は当院

で多くの患者とともに、た

くさんのDMATを受け入

れることになります。皆様

の災害医療に関するご理解

とご協力をお願いいたしま

す。

(前ページより)

 

医学部ウォーカー第九十

一号をお届けいたします。

今回もお忙しい中多くの先

生方から情報をいただきま

してまことにありがとうご

ざいます。最近の医学部

ウォーカーを見ると、受賞

報告が非常に目立っている

ことがわかります。これは

以前に比べ各学会で様々な

賞を新たに制定しているこ

と以外にも、学内で受賞に

値するような質の高い発

表、論文が増えているおか

げだと思います。日常の忙

しい診療に加えて、研究を

行うことは並大抵のことで

はありません。受賞者の先

生方の努力、苦労はもちろ

んのことですが、それに加

えて指導者の先生方の熱意

にも頭が下がる思いです。

さらに喜ばしいことは、今

号でも医学科の五年生、倉

君のように学生の受賞も目

立つことです。研究室研修

で講座配属されて、終了後

もそのまま講座に通って研

究を続けてくれるのが理想

ですが、試験勉強をしなけ

ればいけないため学生もな

かなか時間がありません。

しかしながら、そのような

厳しい条件の中においても

学会発表できるまでがんば

る学生も存在します。その

ような学生が少しでも増

え、受賞したことがある学

生達が将来弘前大学医学部

を牽引する存在になってく

れることを願ってやみませ

ん。

(M)

ています。若年層(三十代

未満)の献血人口が激減し

ており、二年前には『二〇

二七年には延べ八十五から

百万人の献血者が不足す

る』という試算が出されま

した。このため、適正な輸

血(不要な輸血を避ける)

方策、献血推進対策、献血

者からの安全な高単位採血

方策等で対応している現状

を伝えました。献血のお願

いも併せて行いました。

 

第二回目は、輸血を受け

ることのメリットとデメ

リットについての話です。

身体に不足している血液成

分を輸血によって補うこと

で、より安全に原疾患の治

療を進めることができま

す。その一方で、他人の血

液細胞や血液成分が血管内

に注入される輸血では、ど

んなに注意しても一定の割

合で副作用が発生します。

輸血して早期に生じる即時

型(急性)副作用と、数日

から数年を経て生じる遅発

性副作用について説明しま

した。さらには、献血に頼

らない「自己血輸血」につ

いても紹介しました。特

に、予定手術の場合に自己

血輸血を考慮することは、

他人の血液が体内に入るこ

とによって生じる免疫反応

を回避するとともに、危機

的状況にある献血血液使用

の削減にもつながるメリッ

トがあります。

 

自己血輸血は施行できな

い医療機関も青森県内には

多く存在します。今回の機

会をいただき、当院麻酔

科・手術部で施行されてい

る希釈式自己血輸血の有用

性・貢献度を自分自身強く

感じました。この場をお借

りして、関係者各位に心よ

り御礼申し上げます。