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平成25年度森林・林業技術交流発表会を開催(関連記事2-3P Contents 平成25年度森林・林業術交発表会を開催(関Contents 「平成25年度 東北森林管理局 森林・林業技術交流発表会」を開催 特集1 技術普及課 海岸防災林の復旧・再生に向けて-3年目の状況- 特集2 治山課 美しい森林づくり 美しい森林づくり 山形森林管理署最上支署 大池風景林 我が署の名所 由利森林管理署 Vol. 120

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平成25年度森林・林業技術交流発表会を開催(関連記事2-3P)

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平成25年度森林・林業技術交流発表会を開催(関連

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「平成25年度 東北森林管理局 森林・林業技術交流発表会」を開催特集1 技術普及課

海岸防災林の復旧・再生に向けて-3年目の状況-特集2 治山課

美しい森林づくり美しい森林づくり ● 山形森林管理署最上支署

大池風景林我が署の名所 ● 由利森林管理署

Vol.120

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Special Feature Article

特集1 「平成25年度 東北森林管理局森林・林業技術交流発表会」を開催技術普及課

 

2月5日(水)、6日(木)の両日、当

局大会議室において「平成25年度

東北森

林管理局森林・林業技術交流発表会」が開

催されました。

この発表会は、森林・林業・木材産業の

活性化等を推進するための情報提供・意見

交換を行い、関係者の技術の普及・向上、

さらには交流の推進に寄与することを目的

として毎年開催しているものです。

今年度は、「一般の部」では、「森林技術

部門」に17課題、「森林ふれあい部門」に

4課題、今年度から新たに設定された「森

林保全部門」に5課題の計26課題、「高等

学校の部」に4課題の発表がありました。

 

また特別発表として、「シカ分布のさら

なる拡大に備えて」((独)森林総合研究所

東北支所)、特別講演として「秋田藩の林

政改革と近代への継承/(補論)近代下北

における国有林経営」(筑波大学)があり

ました。この特別講演は、長年にわたり旧

秋田・青森営林局に残っている膨大な資料

に基づく貴重な研究成果の一部です。

審査結果は、「森林技術部門」では東日

本大震災での被災状況、被災メカニズムか

ら得られた教訓を基に、「粘り強い構造」

の防潮堤の設計・施工について発表された

宮城北部森林管理署

海岸防災林復旧対策

事務所の宮下崇さんと水村年一さんが、「森

林保全部門」では山形県におけるブナ豊凶

予測手法を開発された山形大学の東澤春菜

さんと山形県環境科学研究センターの佐藤

充さんがそれぞれ最優秀賞を受賞されまし

た。「森林ふれあい部門」では地元の小学

生を対象に、伐採から加工、利用までを内

容とした森林教室に取り組んだ三八上北森

林管理署の鈴木晃輔さん、児玉俊一さん、

一重喬一郎さんが優秀賞を受賞されまし

た。

 

また、平成16年から続けている「ゆりり

ん愛護会」の海岸林再生活動に対して、代

表の大橋信彦さんが東北森林管理局林政記

者クラブ賞を受賞されました。

「高等学校の部」では、継続研究の2年

目として、今回はシイタケについて安全・

安心・おいしいきのこづくりに取り組ま

れた秋田県立大曲農業高等学校のみなさ

んが優秀賞に選ばれました。

各部門の審査結果は表のとおりです。

森林技術部門の最優秀賞を

受賞された宮下崇さん

森林保全部門の最優秀賞を

受賞された東澤春菜さん

森林ふれあい部門で優秀賞を

受賞された鈴木晃輔さん

東北森林管理局林政記者クラブ賞を

受賞された大橋信彦さん高等学校の部で優秀賞を受賞された大曲農業高校の皆さん

March 2014●2

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特集1●今年度の活動を振り返って

一般

発表番号

16

9

20

2

15

21

27

17

23

14

24

3

11

25

28

10

賞   区   分 発 表 課 題 名 所 属 機 関 職  名 共同研究者発 表 者

森林技術部門

森林ふれあい部門

森林保全部門

高等学校の部

東北森林管理局林政記者クラブ賞

最優秀賞

優秀賞

奨励賞

優秀賞

最優秀賞

優秀賞

奨励賞

優秀賞

奨励賞

東日本大震災の教訓を踏まえた防潮堤の設計・施工について

岩手県における木質バイオマスの供給ポテンシャルの経済的評価

主伐と植栽の一括発注による低コスト造林の基本モデルの開発

秋田県森吉山麓高原ブナ林再生事業における土壌改良材施用の効果

ヒバ施業実験林資料の電子化に関する取組(最終報告)

森林経営計画作成指導

多雪寒冷地等におけるコンテナ苗の改良と低コスト育林手法の開発

地元の小学生を対象とした森林教室の取り組みについて

山形版ブナ豊凶予測手法の開発-2013年の結実状況で検証する-

遠野地域におけるニホンジカ被害の現状と地域と連携した被害防止対策の取組

管内の若齢造林地におけるシカ被害の特徴とその防除につい

Our Green Innovation utilizing area resources~ 地域資源を活用した                   私たちのグリーンイノベーション ~

捨てたらゴミ、拾えば資源?間伐材の有効利用!

守れ!殖やせ!南限の植物エゾノウワミズザクラ青

除間伐材、廃材を用いた森林体験活動の促進

「ゆりりんの森から」~海岸林再生と市民活動~

宮城北部森林管理署海岸防災林復旧対策事務所

岩手大学

東北森林管理局資源活用課

秋田県立大学大学院

森林技術・支援センター

秋田県北秋田地域振興局 農林部 森づくり推進課

林業振興班

岩手北部森林管理署三陸北部森林管理署

三八上北森林管理署

山形大学

岩手南部森林管理署遠野支署

三陸中部森林管理署

秋田県立大曲農業高等学校

山形県立村山農業高等学校

青森県立五所川原農林高等学校

岩手県立盛岡農業高等学校

ゆりりん愛護会

宮 下   崇

相 馬 夏 美

西 村   祐

金 丸 孔 明

木 村 正 彦

小笠原  正 太

松 尾   亨河 田  光 美

鈴 木 晃 輔

東 澤 春 菜

茂 木 大 佑

土 肥 和 貴

立 原 昂 平

高 橋 広 大今 野   諒

前 田 天 斗

中 村 拓 哉川 村 恵 菜 

大 橋 信 彦

海岸防災林再生専門官

農学部4年

供給計画係

生物資源科学研究科2年

業務係長

主査

主任森林整備官首席森林官

森林官鈴

農学部4年東

業務グループ一般職員

業務グループ一般職員

農業科学科2年

環境クリエイト科3年

森林科学科2年

環境科学科2年

代表

水 村 年 一

澤 口 勇 雄立 川 史 郎佐々木 一 也

奈 良 一 志入 交 信 太岩 間 由 文

松 下 通 也蒔 田 明 史

岡 浦 貴 富

 

        

児 玉 俊 一一 重 喬一郎

佐 藤  充(山形県環境科学研究センター環境企画部専門研究員)

 

石 橋 史 朗外 柳 剣 太

後 藤   滉簗   芳 洋加 藤 慎 也

戸 村 矯之介西 田 洸 亮

黒 瀧 康 諒田 中 大 聖

太 田 代 竜坂 本 滉 季畑    翔花 澤 拓 人

平成25年度 森林・林業技術交流発表会 審査結果

3●March 2014

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Special Feature Article

特 集 2  海岸防災林の復旧・再生に向けて-3年目の状況-治山課

 

平成23年3月11日

の東北地方太平

洋沖地震から3年が経過しようとし

す。「み

vol.

87・

100・101・110」に引き続き、津波

により被害を受けた海岸防災林の3年目の

復旧・再生状況を報告いたします。

●海岸防災林復旧・再生の進捗状況

 

海岸防災林の復旧にあたっては、津波に

対して根返りしにくい健全な海岸防災林の

再生を図るため、地下水位から2〜3m

程度の高さの盛土を行う生育基盤造成工事

を実施しています。

 

仙台湾沿岸では、平成24年5月から工事

に着手し、平成26年1月時点で約98

haの生

育基盤が完成、一部では植栽も開始してい

ます。

 

すでに平成25年度中に、がれき仮置場等

を除く全箇所に着手しており、未着手箇所

も、がれき処理の進捗等に応じて、順次工

事に着手する予定です。

気仙沼・東松島地区では、地元自治体の

復興計画や地域との調整が整った箇所につ

いて、防潮堤工事を実施しています。その

他の箇所についても、地元の意見を踏まえ、

関係機関と連携を図りながら事業を実施し

ていく予定です。

●民間団体との連携について

 

生育基盤の造成が完了した箇所の一部で

は、平成24年度に引き続き、植栽や保育活

動を希望するNPOや企業等の民間団体と

の連携した取組を実施しています。

 

平成24年度には14団体と協定を締結し、

平成25年4月上旬からは、仙台市荒浜国有

林にて植栽を開始しました。

 

平成26年度は名取市台林国有林で実施予

定で、11月には植栽等を希望する民間団体

向けに説明会を実施しました。公募の結果、

12団体から応募があり、仙台森林管理署長

と「社会貢献の森」の協定を締結しました。

●今後の取り組み

 

海岸防災林の復旧にあたっては、防災機

能の確保と生物多様性保全との調整を図る

ため、各分野の有識者等から意見をいただ

き、生態系保全に配慮した工法等を検討し

ながら、今後も、引き続き生育基盤造成工、

植栽工を実施し、平成32年度中には海岸防

災林全体の復旧を完了する計画です。

民間団体による植栽箇所(仙台市荒浜、平成25年8月)

植栽完了箇所(仙台市荒浜、平成25年4月)

March 2014●4

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美しい森林づくり

Build Beautiful Forest

山形森林管理署最上支署

美しい森林づくり

最上支署は、山形県北東部の1市

4町3村の国有林約107千haを管

理しています。森林率79%、国有林

率75%と国有林地帯となっており林

業に対する位置付けが非常に高い地

域です。また、管内は自然公園も多

く、周囲を緑の回廊(奥羽山脈、鳥

海朝日・飯豊吾妻)に囲まれた自然

豊かな地域です。

このような広大で豊かな自然環境

を活かした様々な取組について、平

成25年度の実施内容や今後の取組を

紹介します。

【自治体と共に実施した体験ツアー】

毎年6月のはじめに、鮭川村が主

催、国有林のフィールドを活用し

た「まぼろしの滝・与蔵の森体験ツ

アー」にスタッフを派遣し、案内役

や森林クイズを実施しました。幻の

滝群、与蔵峠・与蔵沼の伝説、ヒメ

ギフチョウやモリアオガエルの卵な

ど、見どころいっぱいのツアーは20

回目を数え参加者が年々増加し、今

回は90名(スタッフ込みで120名

以上)、特にリピーターの参加が多

いイベントとなっています。

【地元小学生への治山現地見学会】

平成8年に大規模な地すべりが発

生した大蔵村で実施している「銅山

川地区地すべり防止工事(立体排水

工を主体とした工事)」について、

治山事業による安全安心の取組を地

元大蔵小学校児童に理解してもらう

ため、平成20年度から継続して見学

会を行っています。地すべりで発生

した滑落崖や地下150m以上の深

さに作設している排水トンネルを見

学、自分たちが住んでいる地域の大

規模な工事をみてびっくりしている

様子でした。

【遊々の森体験活動や教育機関か

らの要請に対する森林環境学習】

「遊々の森」「ふれあいの森」併

せて6ヶ所の協定締結箇所のうち、

遊々の森「ふながた薬師の森」を利

用し、2回の森林環境学習を実施し

ました。また、教育機関から要請を

受け職場訪問なども実施していま

す。

残念ながら、学校の統廃合の影響

から活動が停滞している協定箇所も

見受けられますが、今後も継続し活

動、国有林も積極的に対応していく

ことが重要と考えております。

① 

8月24日から25日にかけ、東京

都港区内の小学生29名・父兄や先生

25名がブナ林トレッキングを行い、

その中で森林官が森林の水源かん養

機能を中心に森林の大切さなどの説

明を実施しました。ミズナラの樹液

に集まったクワガタを観察、店で

売っているモノしか見たことのない

子供達の興奮はマックスとなってい

ました。

② 

10月10日に地元中学生50名を対

象とした森林環境学習が行われ、森

林の役割などの説明を実施しまし

た。ブナの鼓動を聴診器で聞いたり、

わき水を飲んだりと貴重な体験を楽

しむ中、ブナの実が豊作であったた

め、参加者みんなで初めてブナの実

を食味、そのおいしさは忘れられな

い思い出となったようです。

③ 

7月24日小学1年生から5年生

を対象に課外授業として森林環境学

習の実施、9月9日小学2年生を対

象に生活科学習の一環として職場訪

問対応を行いました。今まで繋がり

の少なかった地域からの要請を受け

たもので、出前講座を準備し実施し

ました。

 

小学生に説明し森林の大切さや役

割を伝えると共に教職員にも伝える

ことが出来たと感じています。

【カタクリの里など地域との連携】

平成26年10月12日、全国植樹祭を

行った遊学の森で第38回全国育樹祭

が開催されます。現在、金山町や山

形県ではその準備を着々と行ってい

るところです。

会場となる遊学の森は、野外学

習・レク活動・森林保全活動の場と

して各種イベントを実施しており多

くの市民の参加があります。活動す

るための場として「カタクリの里」

を整備している箇所の隣接国有林に

もカタクリの群生地があり、一体と

なった整備や古道整備の要望があり

ました。カタクリ群生地を含んだ自

然観察教育林の整備とあわせ対応し

ていく考えで調整しているところで

す。

また、全国育樹祭の成功に向け、

地元金山森林事務所を筆頭に全面協

力しています。

まぼろしの滝・与蔵の森体験ツアー

地元小学校への治山現地見学会

小学生の職場訪問

5●March 2014

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森のおはなし

織部 雄一朗 Oribe Yuuichirou

森林総合研究所林木育種センター東北育種場

東北地方太平洋沖地震で壊滅した海岸防災林再生への取組

~東北における抵抗性クロマツ種苗の   供給システムの確立を目指して~

Column

Column

1 被災したクロマツ海岸防災林の再生

 平成23年3月に発生した東北地方太平洋沖地震では、東

北地方の太平洋側地域において海岸防災林が津波によって壊

滅的な被害を受けました。被災した海岸部周辺において、住

環境を改善し、経済活動としての農業を復興するためには、

樹種特性として耐塩性に優れたクロマツを主に植栽して、潮・

風・飛砂への防備機能を発揮できる海岸防災林を再生するこ

とが必要です。

 一方、マツ材線虫病の最前線である東北地方では、病原体

であるマツノザイセンチュウに対して抵抗性がある、いわゆ

るマツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ(以下、抵抗性クロ

マツ)を植栽することが求められています。東北育種基本区

では、抵抗性クロマツの開発に取組んでいますが、現在の東

北地方における抵抗性クロマツ種苗の供給量には限りがあ

り、海岸防災林の再生計画で予定されている需要に対しては、

他の産地から抵抗性クロマツ種苗を導入して補完することも

検討が必要です。

2 産・官協同プロジェクトとしての取組み

 このような状況下で、抵抗性クロマツについて、種苗の生

産性を飛躍的に向上させる技術と西日本等の温暖地産の種苗

を寒冷な東北地方へ導入する技術を開発するために、東北地

方の試験研究機関である(独)森林総合研究所林木育種セン

ター東北育種場、( 地独 ) 青森県産業技術センター林業研究

所、宮城県林業技術総合センターと福島県林業研究センター

は、苗木生産者である宮城県農林種苗農業協同組合と協同で、

平成25年度から農林水産業・食品産業科学技術研究推進事

業実用【技術開発ステージ】に参画し、研究課題「東北地方

海岸林再生に向けたマツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ種

苗生産の飛躍的向上(25084c)」に取組んでいます。

 この課題では、抵抗性クロマツについて、飛躍的な種子生

産性の向上化技術、東北地方では確立されていないさし木増

殖技術、温暖地から寒冷な東北地方への種苗導入技術を開発

し、開発された技術による苗木の供給システムを確立するた

めの実証試験を実施するとともに、東北地方を含め抵抗性ク

ロマツが求められている地域に、この供給システムが広く普

及されることを支援します。

3 平成25年度の取組み

平成25年度は、研究期間の初年度として平成26年度から

本格化する試験・調査の準備を進めました。飛躍的な種苗生

産性の向上化技術の開発では、植物ホルモン投与による種子

の増産、充実種子の効率的で確実な選別、簡易人工交配によ

る種子の量的・質的生産の安定・向上化、寒冷な東北地方に

適したさし穂とさしつけの条件の探索に着手しました。一方、

温暖地産種苗の寒冷地への導入技術の開発では、西日本の温

暖地から移入した抵抗性クロマツ苗木の環境への順応性を把

握するために、東北森林管理局の協力を受けて宮城県仙台湾

岸の海岸防災林の再生現場(仙台市若林区松林国有林 87 林

班る 2林小班)に試験地を造成しました。

4 おわりに

 東北地方の太平洋側地域の海岸防災林の再生には、抵抗性クロ

マツ苗木を補植用も含めて大量に供給し続ける必要があります。

この供給システムを構築するためには、森林・林業界だけではな

く他の分野も含めて利用できる技術を集約することが重要です。

東北地方への抵抗性苗木の導入技術開発試験地 (0.10ha)

津波により1,000ha以上が壊滅

マツ材線虫病被害の最前線

March 2014●6

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各地からのたより The Letter from Each Place MIDORI NO TOHOKU

蓬田小学校森林教室

青森森林管理署

 

当署管内の蓬田村は、津軽半島の陸

奥湾側に位置し、豊かな自然とトマト

栽培・ホタテの養殖等の農林水産業が

盛んな地域です。

 

当署では平成15年から蓬田村と「川

上から川下に至る様々な森林の役割・

森林と地域の暮らし等を体験林業等を

通して学ぶ」ことを目的に遊々の森の

協定を締結しております。蓬田小学

校・蓬田漁協組合員等が協定締結後の

3年間で、0.79

haにブナ1,470

本を植樹し、その後下刈等の保育作業

を毎年実施しています。

 

10月29日(火)、蓬田村から蓬田小

学校5年生に対する森林教室の講師派

遣依頼があり、当署職員3名が出前授

業を行いました。

 

まず、蓬田村内の森林状況、森林の

役割等について判りやすく説明した後、

森林に対する理解を深めるために、紙

芝居「森からのおくりもの」を上演し

たところ、迫真の演技もあり、多くの

児童の目の輝きから改めて郷土の森林

への関心が高まったものと思いました。

 

その後、郷土樹種の青森ヒバを用い

た「びゅんびゅんコマ」の作成を体験

しました。予め用意していた板を児童

達がノコギリで必要な大きさに切断し、

その断面をサンドペーパーで磨きをか

ける作業では、のこくず(青森ヒバ)

の香りを確かめながら手際よく行いま

した。教室に戻り、絵付けを行いタコ

紐を通して完成です。完成後は、先生

を含めてびゅんびゅんコマの回しに熱

中していました。

牧山市民の森散策と海岸の復旧を見る

宮城北部森林管理署

 

11月13日(水)、今年度第3回目の

森林ふれあい教室を開催しました。

 

当日は秋晴れの下、大崎市内外から

20名が参加しました。午前中は、石巻

の市街地に近く、気軽に歩ける公園と

して整備されている牧山市民の森を散

策しました。歩道沿いには、ヤクシソ

ウ、キクタニギクなどが咲き、ニシキ

ギの紅葉を見ながら深まりつつある秋

を体感していました。また、散策コー

ス上には、坂上田村麻呂が東征の折に、

抵抗する蝦夷の一族を討伐し埋葬した

と伝えられている魔鬼山寺跡を見学し

里山の秋を満喫しました。

 

午後からは平成23年3月11日に発生

した東日本大震災により甚大な被害を

受けた東松島市大曲地区の災害復旧状

況の見学を行いました。被害前の当地

区は、アカ松林の中に水路や歩道が整

理され、地域住民の憩の場となってい

ましたが、今回の津波により破滅的な

被害を受けました。

 

担当者から、被災前後の状況や復旧

工事の進め方等を、パネルを使い説明

し、現在行われている工事は、緑を取

り戻すための第一歩であること、被災

前の森林を取り戻すためには数十年が

かかること等の説明を受けた参加者か

らは、「これからの道のりの果てしな

さに胸を打たれた。」、若い職員さんの

「今できることをコツコツやっていく

だけです。」との言葉に頼もしさを覚

えたとの感想が出されていました。

青 森 森 林 管 理 署

宮 城 北 部 森 林 管 理 署

企 画 調 整 課

職員による紙芝居を上映

東松島市大曲地区の復興状況の説明を受ける参加者

びゅんびゅんコマ回し

生産請負事業の説明

7●March 2014

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各地からのたより The Letter from Each Place MIDORI NO TOHOKU

特集1●今年度の活動を振り返って

March 2014●8

平成25年度 国有林モニター 

 現地見学会・会議を開催

企画調整課

 

林野庁では、国民の意見を反映し

た国民のための森林づくりを進める

ため、国有林モニター制度を設けてお

り、当局においても管内5県にお住ま

いの35名の方に国有林モニターとし

て、会議やアンケートなどを通じ、ご

意見をお伺いしています。

 

こうした取組の一環として、1月22

日(水)、14名のモニターの皆様にご

参加いただき、東北森林管理局におい

て国有林モニター会議を実施すると

ともに、株式会社宮盛において、国有

林モニター現地見学会を実施しまし

た。

 

まずはじめに、国有林モニター会議

では、国有林モニターの皆様より、東

北森林管理局管内の国有林の管理経

営や国有林モニター事業に対するご

意見・ご要望等を伺いました。

 

続いて、現地見学会の株式会社宮盛

では、集成材及びラミネート天井板を

製造しており、森林から生産された木

材が製品である構造用集成材に加工

される過程について、宮盛の担当者

よりご説明いただきました。その後、

ラミナ(

乾燥した板状の木材)

の切削か

ら継ぎ合わせ、接着剤の塗布、プレス、

仕上げに至る一連の加工過程を実際

に見学させていただきました。国有林

モニターの皆様は加工の過程や原材

料等について、熱心に担当者に質問さ

れていました。

 

森林から生産された木材が実際に

製品に加工される現場を国有林モニ

ターの皆様に見学していただき、木

材の生産・加工に対する理解を深め

ていただくことができたものと考え

ています。ご参加いただきましたモ

ニターの皆様、お疲れ様でした。また、

当日の会議等で国有林モニターの皆

様から伺ったご意見を、今後の運営に

役立てて参りたいと考えております。

Mini Column

松尾 亨Tooru Matsuo

岩手北部森林管理署 主任森林整備官

春はどこから? コキンバイ(バラ科)エンレイソウ・シロバナエンレイソウ(ユリ科)ミヤマハタザオ(アブラナ科)ヒナスミレ(スミレ科)ネコノメソウ(ユキノシタ科)

東 北でも海沿いの地域では、福寿草が咲き始める頃ですね。春の気配が感じられる今回は、シーズン始めの森で再会を待っ

ていそうな、タイプの違う6種を紹介します。 ①コキンバイはブナやミズナラの林床で見かけ、写真のように3出複葉と黄色の開いた花弁が特徴。花を金杯に見立て小金梅が由来。②エンレイソウ③シロバナエンレイソウともに少し暗い林床を好み、3輪生の大きな葉とその中心から花柄を出すところまでは似ていますが、花の色が褐紫色で3枚のエンレイソウと、白い内花被と緑の外花被が3枚あるシロバナエンレイソウで区別します。④ミヤマハタザオは、ぺんぺん草でおなじみのナズナの仲間で、4枚の花弁が特徴のアブラナ科です。岩場や乾燥気味の斜面でしっかりと小さな花を、旗竿のように立てているところが語源です。⑤ヒナスミレは日当たりの良い場所を好み、薄いピンクの花と三角形で先が長く尖り、基部がハート型にへこむ葉が特徴。スミレの仲間は区別が難しいので、葉に白い斑が入ることや、距が太いことも見分けの参考になります。⑥ネコノメソウは湿地を好み、雪解けの早いところから芽を出し淡黄緑の花を付けます。実が細長い菱形で「猫の目」に見えることが由来です。 弥生も終盤、寒気も少しずつ緩んで来ました。雪解けの早い浜辺、里の小川、街のショーウインドウ、いろんなところで春の準備~本番へ進んでますね。新人もベテランもちょっとソワソワする新年度ですが、春の気配は案外、自分の「心の中から」来るのかもね?

① コキンバイ ② エンレイソウ

③ シロバナエンレイソウ ④ ミヤマハタザオ

⑤ ヒナスミレ ⑥ ネコノメソウ

国有林モニター会議の様子

株式会社宮盛にて、担当者より製品の説明

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森林官からの手紙                  a Letter from

a Forester

Special Feature Article

特集1 「平成25年度 東北森林管理局森林・林業技術交流発表会」を開催技術普及課

「及位の冬は全て雪の中」山形森林管理署最上支署 及位森林事務所森林官

迎山 吉実Yoshimi Mukaeyama

「及位の冬はすべて雪の中である」及位

の冬を、藤村風に少々大げさに表現

すれば、この言葉に尽きるような気がしま

す。私の勤務する及位森林事務所はそんな

所にあります。

 

二十数年ぶりの現場勤務が決まった時、

五十歳を過ぎて体力的に少し衰えを感じ始

めていた頃だったので、果たして業務を全

う出来るのか一抹の不安もありましたが、

事務所スタッフのチームワークにも支えら

れ、また、及位の豊かな自然、そして、地

域の皆さんの温かい人情に接するうちに、

しだいに現場感覚を取り戻し、何とか一年

が過ぎようとしています。

 

及位森林事務所は、山形県の北部、秋田

県と県境を接する真室川町及位地区に位置

し、ブナを主体とする天然林地帯、そして、

前森山団地に代表される高齢級のスギ人工

林団地等を主体として約8,700haを管

轄しており、地形的には、管轄する国有林

が地区全体を取り囲んでいると表現しても

過言ではないと思います。所管する国有林

の一部は、秋田県境にかけて加無山県立自

然公園に指定され、その中に、男甑山(981

m)、女甑山(979m)、男加無山(997

m)等の県北部の名山がそびえ立っており

威容を誇っています。古来よりこの地は、

これらの山々を畏れる山岳信仰が非常に盛

んだったということで、今でもこれら山々

の周辺には、至る所に修験者が修行をした

修験道の痕跡が残っています。

 

余談になりますが、難読地名で知る人ぞ

知る「及位(のぞき)」の地名も修験道に由

来していると言われています。昔、女甑山

の断崖から逆さ吊りになって、断崖の岩窟

に安置された秘仏を拝む「覗きの行」という荒行があったそ

うで、見事にその覗きの荒行を修めた修験者は、より高い行

者の「位」を得るに「及」んだということで、その地位を「及

位」と書いて「のぞき」と呼ぶようになり、ふもとの集落も

及位と呼ばれるようになったとの謂われがあります。

⦆  このような山々に抱かれた森には、当然のことながら豊か

な生態系が育まれており、管内の国有林にはツキノワグマ、

ニホンカモシカをはじめとする多くの動物や野鳥が生息し、

クマタカの営巣も確認されています。特に今の時期には、林

内の雪上で多数の小動物の足跡を見かけることがあり、及位

の森の生態系の豊かさを実感することが出来ます。

 

また、江戸時代から最上地方は巨木の産地として知られて

いましたが、女甑山の裾野には、林野庁の「森の巨人たち百

選」にも選ばれた「女甑の大カツラ」の巨木があります。樹

高約25m、幹周り13.4m、樹齢は推定で800年を超える

という説もあります。古来よりこの地域のマタギから神木と

して崇められてきたため、明治期に周辺の天然木が大量に伐

採された時も、この木だけが伐られることなく残ったようで

す。私が初めてこの木を見た時は、まるで、女甑山の麓にそ

びえ立つ大鳥居のように感じ、辺りに漂う野生動物の気配や、

往事の修験者達の修行の痕跡と相まって、不思議な印象を強

く持ったのを覚えています。

⦆  一方、地域との関係に目を向けると、立木販売及び慣行販

売等を通じての木材供給、山菜・きのこ栽培関連の貸付・使

用等々を通じて、地域住民の生活と国有林は深い関わりを持っ

てきました。しかし、この地域も少子高齢化と過疎化が同時

進行しており、地域と国有林との関係も希薄になっていく傾

向にあることは非常に残念なことです。

 

私は、この地域の国有林を管轄する森林官として、国有林

が地域のために果たしてきた役割を改めて考え直し、今後、

地域のために国有林に存在する有形、無形の資源をどのよう

に活用していくか、地域の皆さんの声を聞きながら、具体化

していくことが極めて重要だと考えており、その為に、これ

からも地域との関係を大切にして、微力ながら努力して参り

たいと思っています。

左:男甑、右:女甑 冬の及位地区

9●March 2014

Page 10: ¯ º...Special Feature Article 特集1 「平成25年度 東北森林管理局 森林・林業技術交流発表会」を開催 技術普及課 し 2月5日(水 ) 、 6日(木

www.rinya.maff.go.jp/tohoku/

the Noted Place of My Jurisdiction

the Noted Place of My Jurisdiction

-我が署の名所⑫- 大池風景林

由利森林管理署 〒015-0885 秋田県由利本荘市水林439TEL● 0184-22-1076 FAX ● 0184-22-2274

発行日●平成26年3月/発行●東北森林管理局/秋田市中通五丁目9-16/TEL●018(836)2192

Vol.120

平成25年度森林・林業技術交流発表会を開催(関連記事2-3P)

Contents

平成25年度森林・林業技術交流発表会を開催(関連

Contents

「平成25年度 東北森林管理局 森林・林業技術交流発表会」を開催特集1 技術普及課

海岸防災林の復旧・再生に向けて-3年目の状況-特集2 治山課

美しい森林づくり美しい森林づくり ● 山形森林管理署最上支署

大池風景林我が署の名所 ● 由利森林管理署

Vol.120

大池風景林は、秋田・山形県境に位置し、東北百名山に選ばれた甑山(

こしき

やま)

の手前にあり、大池森の断崖とブナ林を主体とした広葉樹林に囲まれ

た山間の沼地で、神秘的な景観を醸し出しています。指定面積は35

haほどですが、

自然度が高く、新緑や紅葉の季節には多くの人が訪れ、レクリエーションの森とし

て市民の憩いの場となっています。大池の周囲約1㎞を散策できますが、遊歩道か

らは天然の鯉が泳ぐ姿が見られ、季節によりワカサギ釣りを楽しむこともできます。

⦆  そして、甑(こしき)

林道から延びる一帯は、秋には絶景の紅葉でも知られる名

勝沼(

めいしょうぬま)

があり、また甑山(

こしきやま)

(女甑山(

めこしきやま)

979m、男甑山(おこしきやま)

981m)に向かう登山道もあります。標高の

割には急峻で険しい山でも知られています。体力に自信のある方は挑戦してみてく

ださい。

 

さらに、甑林道から通じる大池風景林周辺は、矢島街道と呼ばれる旧街道があり、

藩政時代には由利本荘市鳥海町笹子から真室川町につながる大名の参勤交代に使わ

れた歴史の道でもあります。一度訪れてみてはいかがでしょうか。

おおいけふうけいりん                          秋田県由利本荘市

大池風景林

●交通アクセス

・鳥海山麓線矢島駅より国道108

号線

を湯沢市方面へ車で約50分

・由利本荘市鳥海町笹子(じねご)よ

り甑(こしき)林道方面へ車で約25分

大池

大池

名勝沼

至 国道7号線

鳥海山麓線矢島駅

道の駅 ホットイン鳥海

由利本荘市鳥海町

至 湯沢市

甑林道

大池風景林

108

「大池風景林」と周辺名所

名勝沼

女甑山

男甑山

至 国道108号

甑林道

拡大図 大池風景林

大池P